目次
−−−  第1章  −−−

 伯父貴が結婚をした。
 結婚式の見栄えを良くするためだけに作った嘘っぱちのなれ初めが俺を笑わせてくれた。
 もっとも真のなれ初めを知っているのは伯父貴夫婦を除くと俺だけなのだ、仕方あるまい。
 何より真のなれ初めを華やかな結婚式の場で言えるはずもないだろう。
 晴れの舞台で照れ笑いをしている伯父貴を見て俺は数日前のことを思い出していた。
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 ・
 ・
「伯父貴ィー、これ何だ?」
 あらかた片付け終わって荷物をトラックに載せ終わった伯父貴の部屋で、ロフトの奥からダンボールの箱を見つけたのだ。
 しっかりと封印されていて開けられないまま俺は伯父貴の元へそれを持っていった。
「ん?ああ、懐かしいな。俺とアイツのなれ初めだよ」
「なれ初め?」
「ああ。クロロホルムって知ってるか?」
「それぐらい知ってるさ。当たり前だろ。…まさかこれがクロロホルムなのか?」
「そうだ。情けない話だがな、予備校1美人のアイツのことがどうしても知りたくてそいつを使ったんだ」
 ばつが悪そうに話す伯父貴が嘘を言っているようには見えない。
「クロロホルムって要は即効性の睡眠薬だろう?まさか、これを吸わせて…」
 伯父貴がうなずく。
「いたずらしたのさ。だけどあっさりとばれてな。逆にしてやられて今に至るってわけさ」
「してやられてって、犯罪だろ?訴えられでもしたら」
「ああ、俺も焦ったさ。しかしアイツは俺のところへ殴り込みに来てな。訴えても少年法がある限り罪に見合ったバツは与えられないからってな」
「へえ、すっげえ」
「だが、俺にはもう無用だな。良かったら持っていくがいい」
「えっ、いいのかよ?」
「ああ。そのつもりで話したんだ。お前なら楽しいことに使ってくれそうだからな」
 こうして俺はクロロホルム11本を手に入れた。
 結婚式は無事に終わり、俺は久しぶりに田舎の自室に布団を敷いた。
 田舎の夜は早い。考える時間はいくらでもある。
 俺は伯父貴から貰い受けたクロロホルムをどう使ってやろうかと考えあぐねていた。
 伯父貴と同じ方法を取ろうにも俺は予備校生ではないし、キャンパス内一の美人に惚れているわけでもない。
 もし惚れた女がいたとしても、今時一軒家に住んでいるような女もそうそういない。
 これではせっかくのクロロホルムも手詰まりではないか。
 そう思ったとき、俺は悪友の話を思い出した。
 悪友は俺にバイトの話を持ってきていたのだ。俺は裕福ではないが、今の生活で十分満足だし金に困っているわけでもないので断ったのだ。
 サマーキャンプの手伝い…。
 内容こそはハードらしいが、女性バイトが多くていろいろな期待が持てると言っていた。
 クロロホルムを実験に使うのなら、見ず知らずのほうがいいかもしれない。
 寝泊りも部屋は違えども同じ屋根の下、部屋への侵入も容易だろう。
 そう考えてみれば、絶好のシチュエーションではないか。
 俺は時計を見、ひらけた街ならば宵の口であろう時間であると確認して悪友に電話を掛けた。
「よお、俺だよ。ああ、伯父貴の式はとっくに終わったよ。今布団の中だ。え?しょうがねえだろ、田舎の夜は早いんだ。てめえの田舎なんか、日が沈んだらもう寝るんだろうが。ああ?ああ。はっはっはっ。…ところでな。お前、サマーキャンプのバイト仲間を探してたろ。あれどうなった?まだ空きあるか?そうか、ちょうど良かった。俺も参加するぞ。え?心境の変化?ちょっとな。あとでおいおい話すさ。じゃあよろしく頼むぜ」
 これで準備は万端だ。
 少々速いが俺は俺は安心して眠りに就いた。
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 バイト初日。
 サマーキャンプに来る子供は女の子が多いとかで、それぞれ担当を受け持つことになるバイトもそれに合わせて女性が多い。
 俺たち男性バイトは基本的に彼女らのサポートにまわることになる。
 そう考えると、男性バイト陣はおまけ的な感じがするが、実はその逆で、キャンプ経験者優遇のリーダー候補揃いなのだ。
 無論、俺も悪友もボーイスカウト上がりと言うこともあって、候補の1人だ。
 しかし、俺はどちらかと言うとリーダーになるつもりはない。
 リーダーになればいらぬ責任を押し付けられるだけではなく、自由な時間が奪われてしまう恐れがあるからだ。
 バイトとは言え、リーダーになったら役職手当のようなものがつくと聞いて、俺とは対照的に悪友は乗り気になっている。
 そんな思惑の中、バイトたちの初顔合わせが食堂で行われた。
 和んだ気分になることを図ってのことであろう、いろいろな菓子がテーブルの上に山盛りに置かれている。
 全員が集まってみて驚いたのは全体の年齢の低さだ。
 経験が多く責任の負える年上が多いのかもと思っていたのだが、女性陣に至っては俺より年下しかおらず、初顔合わせの場を見まわして余りに若いのでびっくりしてしまった。
 聞けば何の事はない、揃いも揃って短大で児童教育学科を専攻している学生ばかりだったのだ。
 女子大生…一昔前ならばその言葉の陰に含まれる意味に興奮したものだ。
 女性14人と男性4人の初顔合わせが終わり、最初の仕事としてテントの設営を命じられる。
 半年以上倉庫の奥でほこりをかぶっていたテントを虫干ししなければならない。
 キャンプ経験のあるリーダー候補6人に2人ずつが割り当てられて、3人のチームを作る。
 そのメンツで倉庫に30張りある全てのテントを各々で設営するのだ。
 安物の5人用テント。手軽なドーム型なら1人でも組み立てられるが、三角柱を横にしたような昔ながらのテントは最低2人、通常ならば3人必要となる。
 各チーム5張りを手早く設営するには、知らないものにきちんとした教育をしなければならない。
 そんな作業にもう1つ別の真意があるとは知らなかった俺は、同じチームになった2人に要所要所の説明を、文字通り手取り足取り教えて設営していく。
 テント設営の仕方は俺、女性の扱いなら悪友がトップだったと見えて、俺たち2チームが指定数の5張りを設営し終えると、他のチームはまだまだ早くても4張り目と言う状態であった。
 俺たちの手際の良さに感心した館長は俺たち2チームに、ご褒美と称して1番風呂に入りに行っていいと言ってくれた。
 俺と悪友はその言葉に甘えて早速風呂に入り、こんなところの風呂桶にまでケロリンの文字があることに笑いつつ、湯船に入った。
「なあ、本当にアレ、使うのか?」
 アレとは“例のアレ”だ。
 今回使用するにあたって、悪友に黙っていることは出来ないと判断して入手元以外は全て白状してある。
 ビニールテープで封のしてある1本は自室のバッグの奥にある“例のアレ”。
 それとは別に、チャンスがいつ来るか分からないと言うことで小瓶に詰め替えた“例のアレ”を常に首からぶら下げている。
「当たり前だろ。何のためにバイトに来たと思ってるんだよ」
「そりゃ決まってんだろ。コマすためだ。けど、今日1日すごしてみてどうだ?俺たちゃ、尊敬のあつぅい眼差しで見つめられてたんだぜ。アレ使わなくても、十分ヤれるぜ」
「バカだな。今日1日で無理だって確信しろよ。ありゃ俺たちに対する熱い眼差しじゃない。子供好きが子供に好かれようとがんばってる目だ。昼間はレクチャー内容覚えるのに懸命だし、あの様子じゃ夜はすぐ寝ちまうだろ」
 子供に好かれる管理者になるには、子供に何でも答えられる管理者でなければならない。
 昼間の設営の間、彼女たちはいろいろな場面を想定して質問をしてきていたのだ。あれは明らかに子供に即答できるように勉強している目だった。
「じゃ、サマーキャンプが始まってからなら大丈夫だろうが」
「バカか。昼間、責任を秘めながら全力で子供と接してて夜はぐったり。出来るわけないだろ」
「じゃあ、やっぱり使うのか」
「当たり前だ。少々手荒だが、疲れた身体をすぐに眠りにいざなってやるんだ。問題はなかろ」
 風呂から上がって部屋に戻る。
 全てのバイトたちには鍵付きの部屋が与えられている。ほとんどは俺たちのような2人部屋だが、部屋の都合で何人かは1人部屋らしい。
 テントを使わない一般客には10人部屋が用意されていることを考えると結構な優遇ではないだろうか。
 部屋に入ろうとしたとき、偶然通りかかったのか、館長が現れた。
「おお、ちょうどよかった。ちょっといいかね?」
 驚きつつ、促されるままに館長の部屋に招き入れられる。
「ビールでいいかね?」
 俺は警戒していたが、酒好きの悪友は即座にうなずいた。
「リーダーは君たち2人にお願いするよ」
 含みのないストレートなセリフ。
 昼間のテント設営がリーダー選考の実技試験だったのだ。
 別段、早く終わった上位2名だからというわけではなく、いろいろな質問に即答していた辺りも評価されたらしい。
 あっ気に取られつつも気を取りなおして他にも適任がいるだろうと聞こうとしたとき、館長は机の上に鍵を置いた。
「館内の全ての部屋に使えるマスターキーだ。よろしく頼むよ」
 マスターキー…。これさえあれば、どの部屋にも無断で侵入することが容易ではないか。
 その鍵を目の当たりにして俺はリーダーになることを決定した。
 そうして鍵を預かって俺たちは自室へと戻る。
「こんなたった1本の鍵がねぇ。これならなんでもし放題じゃないか」
「し放題と言っても、証拠が残るような真似をすれば終わりだ。1日2日は様子を見るぞ」
 翌日は周囲の地形を頭に入れるためのまる1日を使ったハイキング。
 しかし俺と悪友はリーダーとしての引継ぎを受けるために宿舎に残った。
 午前中を会議とレクチャーですごし、午後を作業で潰す。
 その中休みとも言える昼食で悪友は1人でどこかに行ってしまった。
 戻ってきた時に妙に恍惚とした表情をしていたので気にはなったのだが、午後の作業は別行動だったので聞くことが出来なかった。
 夕方になって作業が終わった俺たちは他のものたちがハイキングから帰ってくる前にまたしても一番風呂を奪取し、やっと話が出来るようになった。
「時に。お前、昼間どこに行ってたんだ?」
 俺の問いに悪友はあからさまにうろたえる。
「お前、まさか…」
 問いただし、話を聞いた俺は慌てて部屋に戻った。
 遅れて部屋に戻った悪友がバッグから出したものは少しヨレた感じのするピンク色のパンティだ。
 悪友の話が事実ならば、それは悪友が一番に目をつけていた夏香という短大生のバッグの奥から見つけ出したものだと言う。
 明らかに洗ったと言う感がないそれは、使用済みでまだ洗っていないもののようだ。裏返すと、うっすらと汚れも見える。
 と言うことは、昨日はいていたもの…?
 確かにすごいシロモノではあるが、こんなものを盗ってきてバレないわけがない。
 幸い、ハイキングの一行はまだ帰ってきていない。
 俺は悪友を殴り、悪友とともにそれを返しに向かった。
 マスターキーをさして回すとかちゃりと音を立ててドアは開いた。
 中に侵入する。
 と、少し香水っぽい香りがする。
 部屋の造りは俺たちのところとほとんど一緒なのに香りが違うだけでこうも印象が変わるものか。
 感心しながら見回すと奥の方に夏香のバッグがある。
 部屋に入って初めて気付いたが彼女は1人部屋なのだ。
 部屋割りの都合で何人かは1人部屋になると話していたことが脳裏に浮かぶ。
「ほら、元のようにしまえよ。今バレたら全てが水の泡なんだぞ!」
 悪友はしぶしぶ元に戻そうとした。
 そのとき、廊下のほうから声が聞こえてきて、俺と悪友はピクリと反応する。
 …ハイキングから帰ってきた?
 青ざめた顔を見合わせて固まる。
 この部屋には隠れる場所なんてない。
 元気な笑い声がだんだんと近づいてくる。
 どうしようと思っていたとき、悪友が手に持ったままになっていたパンティが視界に目に入った。
 俺は慌ててドアに駆け寄って鍵を掛けると、夏香がドアを開けたときにドアの陰に隠れられる位置に身を置いた。
「おい。ドアが開いたら息を止めるんだ」
 悪友の手から夏香の使用済みパンティを奪い取り、小声で指示をする。
 胸元のペンダントを手に取り、すぐにフタを開けられるように構え、じっと時を待った。
「もう、疲れちゃった。このまま寝たいくらい」
「何言ってんのよ、一番の元気印が」
「アハハハ!」
 夏香の笑い声だ。
 もうすぐそこにまで来ている。
「じゃあね!」
 ドアの外に夏香が立ち止まる。
 ナップザックの中だろうか、がさごそと鍵を探している音が耳に入ってくる。
 ドアが開けられる、そのタイミングをじっと待つ。
 しばらくしてやっとガガガッと鍵を鍵穴に刺しこむ音が聞こえた。
 内側のつまみがかちゃりという音とともに90度回転し、鍵が開いたことを教えてくれる。
 何も知らない夏香がノブを回し、ドアを開けた!
 俺は息を止め、瓶のフタをひねった。
 その中身の液体――クロロホルムをもう片方の手に持つ夏香のパンティに全て振りかけ染み込ませる。
 ドアが俺たちを覆い、夏香が部屋に入ってくる。
 夏香の支えがなくなったドアが勢いのまま閉まり、俺の視界に入った時にはすでに夏香は部屋の真ん中に立っていた。
 俺はすばやく夏香の背後に忍び寄りっ…!!
「むぐっ!!?」
 夏香がふうーっとため息のように深く息を吐いた直後に後頭部を押さえてクロロホルム塗れのパンティを夏香の口に力強く押しつけた。
 タイミングは見事に決まった。
 息を吸おうとした瞬間の出来事に驚いたせいで、夏香は暴れながらも空気と一緒にクロロホルムを肺いっぱいに吸い込んだ。
 そして…何が起きたかも分からないうちに気を失う。
「おっ…もぉいいぃぃーっ」
 夏香の全身から力が抜けて崩れ落ちるその身体を、すんでのところで支える。
 寝ているのと同じ状態だから結構重く感じて息を止めてではとてもじゃないが支え切れない。
 なんとかゆっくりと床に寝かせて、早足で窓を開けに向かった。
 クロロホルム塗れのパンティを窓の外の手摺りに引っ掛けて外の空気をいっぱいに吸う。
 再び息を止めて中に入ると、入れ替わりで悪友が外の空気を吸いに走った。
 空気中のクロロホルムがどの程度で効果がなくなるのかが分からない俺は、空調のスイッチを入れて、息を止めたまま夏香を担いでベッドに寝かせた。
 このまましばらくは…朝まで起きないだろう。
 とにかく今はここから離れたほうがいいと判断した俺は悪友に合図を送って夏香の部屋を後にした。
 廊下で誰ともすれ違うことなく無事に部屋に戻れてやっと大きく深呼吸ができる。
「まったく、お前のせいでエラい目にあったぜ」
「アレ、あんなふうに使って大丈夫なのかよ?」
「ンなわけないだろ。あの娘にはもう同じ手は使えねぇぞ」
 全てお前のせいだと言わんばかりに悪友を睨む。事実、悪友のせいなのだから。
「風呂にも飯にも顔を見せないとなったら、他のやつらが怪しむだろうな。うまいこと、熟睡しているんだと勘違いしてくれれば何とかなるだろうが」
 自分のバッグを開いて、空になった小瓶に新たにクロロホルムを詰める作業をしながら悪友を責める。
「とにかく、そ知らぬ振りでメシ行くぞ」
 メシ時には、思ったよりも上手くことが運び、ハイキングでははしゃいでいたから疲れて寝ているようだと夏香の友人・春奈が発言してくれた。
 おかげで夏香抜きの夕食は誰も疑うことなく済ませられた。
 だいぶ安堵した俺は、ベッドに入ってから初めて自分のやったことに冷や汗を垂らした。
 はじめて人にクロロホルムを嗅がせた…。
 それも、本人が前日に穿いていたであろうパンティに染み込ませて…。
 それまで元気に歩いていたのに、一瞬のうちに力が抜けてまさに崩れるように倒れた華奢な身体…。
 意識のない身体は重たかったが、同時に触り心地が気持ちよくもあった…。
 胸とお尻の感触がまだしっかりと残っている両手を天井にかざす。
 あの手に余るボリューム感…もう1度触ってみたい。いや、しかし…。
 いきなり口を押さえつけられたことは、1度くらいなら夢の出来事で片付けてくれるだろう。しかし2度目はない。
 ならば、もしも触るなら今夜しかないのではないか。
 結局その考えに行きついた俺は、上のベッドで熟睡している悪友に気付かれないようにそうっと部屋を抜け出した。
 抜き足差し足忍び足とはよく言ったもので、静かに廊下を進み、夕方俺が締めたドアの鍵を開けて中に入る。
 一番不安だったクロロホルムの効果はとっくになくなっていて、俺は寝息を立てている夏香の脇に座った。
 クロロホルムで眠らされると数時間は何をされても起きることはない。そう言う知識だけはある。
 俺は遠慮なしに胸をわしづかみにした。
 指がTシャツ越しの乳房に埋もれていく。
 まるで握りつぶすかのように数回揉むが、夏香の反応は全くない。
 俺は夏香のTシャツを捲り上げて健康さを表すような白いブラジャーをずらして乳首を露出させた。
 指先でつまんでみる。
 くにゅくにゅと変な感触だ。
 いつまで触っても立たない乳首から指を離すとGパンを脱がしにかかった。
 ベルトとファスナーぐらいは簡単に外せるが、きつめのGパンと言うものは当人の協力なしに脱がすのは結構難しい。
 かなり苦労して結局腰回りの部分を太もものほうへ折り返すぐらいにしか出来なかった。
 それでも、夏香の使用済みではなく使用中のパンティの全貌を目の当たりにすることは出来た。
 薄い水色…パステルブルーのパンティだ。
 ごくりと生唾を飲んでパンティの上から股間をなぞってみた。
「ん…っ」
 夏香が思い出したように声を漏らす。
 びくりと手を離して様子を見るが、別段起きる様子はない。
 パンティの上から触る指先に神経を集中させると、思ったよりも複雑な形状をしていることが想像できる。
 俺は我慢しきれなくなり、パンティの上のほうから手を入れた。
 腰骨と肉が形成する不思議な感触をなぞりながら手を下ろしていく。
 ダイエットの効果か窪んでいた下腹部が急にぽこっと膨らむところが恥丘の始まりだ。
 ゴワゴワした陰毛の生える恥丘を越えるとすぐに大陰唇に到達する。
 大陰唇ともなれば、そこはすでに女性器の一部。
 童貞と言うわけではないが、こんなシチュエーションで触った経験などないせいで心臓が飛び出そうなほどに暴れている。
 大陰唇から急激に下る。
 下ってすぐのところにマメを包む包皮があり、さらに下げればヒダと呼ばれる小陰唇に触れられる。
 パンティの上から触ったときに思ったことはやはり正しく、かなり大量にはみ出ている感じがするそのヒダを、はさむようになぞって更に下へ、奥へと指先を伸ばす。
 と、指先がヒダとヒダの間にあるスリットを発見した。
 これは入れない手はない。
 そのまま中指をスリットに入れてヒダの内部をなぞった。
 指を入れたことで、夏香が声を出すのではないかと様子をうかがったが、多少眉をひそめる程度でさっきのように声を出したりはしないようだ。
 心持ち安心して注意を夏香の股間に向ける。
 多少の粘膜質であるヒダの内側は半端に湿っているようで、ヒダが指先に絡み付いてくる。
 それでも少々強引になぞっている指を下げていくと、急激に深い穴に指がはまった。
 慌てて指の動きを止める。
 そうか、今までのところが膣前庭で、ここが膣なんだ。
 俺は中学の頃に悪友といっしょに見た保健体育の挿絵を思い出していた。
 そう言う知識だけは有り余るほど持っているのだ。
 今が膣の入り口ならば、もう少し深く入れば処女膜――もしくは処女膜があったところに行きつくだろう。
 そしてその奥に観音様にたとえられる子宮…。
 触ってみたい、見てみたい。
 俺が付き合っていた彼女は指を入れられるのを極端にいやがり、見られるなんてもってのほかとまでほざいていた。
 それが原因で別れたわけではないが、今の俺は彼女なし状態なのだ。
 全ての女性が前の彼女みたいな反応をするわけではないだろうが、せっかくのシチュエーションなんだからなんとしても見てみたい。
 だが、それにはGパンがどうしても邪魔だ。
 俺は焦る気持ちを押さえて指を抜くと、夏香をうつ伏せにして、その腹の下に丸めた毛布を置いた。
 少々安産型のお尻全体をすっぽりと包むパンティを目前に見ながらGパンをずらしていく。
 ええい、せめてストレートだったらもっと楽だったろうにと、スリムタイプのGパンを恨めしげに睨むが、睨んだところで状況が変わるわけでもない。
 そうこうしていると時間が10分20分と過ぎていく。
 いくらクロロホルムを嗅いで寝ていると言ってもだいぶ時間が経っているし長時間身体に刺激を与えていたら起きてしまうのではないだろうか?そんな不安も生まれてくる。
 が、30分ほども奮闘したであろうか。やっと膝まで脱がすことに成功して、あとはすそを持って引っ張っただけで脱がすことが出来たのだ。
 夏香のすらりとしたナマ足が目下に晒される。
 そうっと触ってみると結構な張りを持っている。友人から元気印といわれているだけのことはあるようだ。
 足を撫でながら視線を上げると、少し突き出されたようになった夏香のお尻がある。
 パステルブルーのパンティに包まれたお尻と、そこから伸びる足が妙に艶かしくて、俺は夏香の足を撫でながら両手を上げてゆき、そのままパンティの中に滑りこませた。
 下のほうから手を入れたせいで、夏香のパンティは放射状のシワを作りながら少しハイレグのように食い込む。
 そんな感じが溜まらず、わざとシワが寄るように手を大きく動かして夏香の双臀を撫でさすった。
 時には握るように、時には引っかくように。また、お尻の割れ目の特に深いところを広げるようにも手を動かす。
 相変わらず夏香は静かな寝息を立てている。
 いったん手を抜いた俺は、パンティの上から菊門を探り出してそのまま人差し指を押し当てた。
 そのままぐりぐりとこねると、さすがに苦しそうな表情を見せる。
 さらに親指でマメがあるあたりを押さえ、俺は指2本で夏香の股間を挟み込んだ。
「ん、んっ…!」
 マメを触られているせいか、菊門に指を立てられているせいか、あるいは股間を挟まれていると言う感覚のせいなのかは分からないが、夏香の口から久々にうめきが漏れた。
 そして眠りながらもそれから逃れようとしているのか、もそもそと動いた。
 多少動いたところで俺が手を離すはずもなく、夏香は膝の位置をずらした程度で再び静かになってしまった。
 膝の位置をずらしたことで大股を開いたような状態になり、お尻が更に突き出されるようになる。
 俺のアドレナリンを刺激するには絶好のポーズだ。
 一気にパンティをずり下ろし、腰を落として股間に顔を突っ込んだ。
 …女性の生のスリットをこんな角度で、こんな間近に見たことはない。
 ふくよかな大陰唇と肉厚で大量にはみ出す小陰唇。その少し上に先ほどパンティの上から指を突き立てた可愛らしい菊門も見える。
 グロテスクと言ったほうがしっくり来る夏香のオンナ。しかしグロテスクであればあるほどに興奮の度合いが増してくる。
 こんなものを見られただけでも十分な収穫があったと言えるが、俺は震える指をスリットへと伸ばしていった。
 もっと奥を見たい。奥を見なければ。まるで強迫観念のように頭の中で同じ言葉が繰り返される。
 そうっと指先でヒダをつまむとゆっくりと左右に広げた。
 広げるほどに充血したような赤い肉壁が広がっていく。が、思ったよりも広がらない。
 大きくはみ出しているわりに余り伸びないようだ。
 親指と中指でヒダを引っ張りながら、人差し指をスリットの中央にある奥が見えない膣であろう部分に伸ばす。
 指先が赤い肉壁に触れても指先を更に伸ばして第1関節の辺りまで指を潜らせる。
 指2本を入れた状態でその部分も左右に広げてみた。
 ぶよぶよしたトンネルの奥に、小さい穴が見える。処女膜だろうか。素人には判別できないと言うので確信は持てないが、位置的にはそうである気がする。
 更に広げようとしたとき、夏香の内ももに鳥肌が立ち、お尻の筋肉がピクピクと痙攣した。
 あわよくばこのまま一発…とも思っていたのだが、なんとなく危険な気がしてそれ以上は広げないでぺろぺろと舐めることに専念した。
 大陰唇やヒダの隙間を丹念に舐め、マメを包皮ごと突ついたり口に含んだり。
「ん、うん…っ」
 やはり寝ていてもマメはそれなりに感じるのだろうか。
 俺の唾液がたっぷりと付いているせいで濡れてきているのかは分からないが、夏香の体温が少し上昇している気がする。
「んっ、くう、んん…」
 寝ているせいで派手なあえぎ声ではないが、逆にくぐもった感じの声がそそらせてくれる。
 それなのに最後まで出来ないというのは蛇の生殺し状態である。
 ヤッてしまいたい。しかし夏香が処女ならば激痛が伴うはずだし、その激痛がクロロホルムによる眠りから彼女を起こしてしまうかもしれない。
 いや、もしかしたらもうクロロホルムの効果は切れているのかもしれない。
 俺は結局素直に諦めて早々に切り上げるために責めるポイントを移動させた。
 舌先を尖らせ、尿道口や膣口を突ついたりしながら大陰唇やヒダを重点的に舐めまくる。
 そんな行為にも夏香はくぐもった声を漏らす。
 そのまま舐め上げれば到達する肛門へも舌先を伸ばして苦いことを期待しつつ、べろりと舐め上げた。
 すると、お尻から太ももに掛けてざざっと鳥肌が立った。
 どうやら寝ていてもおぞましい感覚と見える。
 数往復も舐め、再び尖らせた舌先で肛門をこじるように突ついてみると、あからさまにびくびくとお尻が痙攣する。
 その様子は、実は起きているんじゃないか?と疑いたくなるほどだ。
 しかしくすぐってみても何の反応もせず、やはり眠っているんだと安堵する。
 確認のために顔を見つめていたのだが、平和そうに寝ている寝顔を急に陵辱したくなってしまった。
 うつ伏せから仰向けにして夏香の身体にシックスナインのように覆い被さる。
 さっきから立ちっぱなしのイチモツの先端を夏香の顔のいろんなパーツに押し当てるのだ。
 目、頬、鼻、口…。
 押しつけるたびにちょっとずつ夏香の顔にガマン汁が付いていく。
 バイトの中では一番可愛い夏香の顔を汚しているという事実が俺を突き上げていく。
 可愛らしい唇をなぞっていると特にそう感じられる。
 そんな時、夏香の口が動いた。
「え!?」
 まるでイチモツの先端にキスをするように口を尖らせたのだ。
 驚いて夏香の表情を覗き見るがやはり寝ている。と言うより、起きていたらそんなことは出来ないだろう。
 夢心地で何かと勘違いしているのか。
 驚愕すべき事実だが、気持ちいい事に代わりはない。俺はキスされやすいように唇のど真ん中に押し付けるようにしてこすりつけた。
 と、陰のうから生える毛が鼻に当たってくすぐったかったのかわずかに顔をそらし、それまで閉じていた口を半分ほど開いた。
 口が半開きのまま顔が元に戻されると、亀頭があっさりと口腔に含まれてしまった。
「おおっ」
 ぬめっとした生暖かい感覚が腰をしびれさせる。
 これがフェラチオ。何て気持ちのいい…などと悠長に思っていられるほど間はなかった。
 口腔に含まれた異物が気になったのか、夏香の舌が亀頭をぺろりと舐めたのだ。しかも、その先端が尿道口の溝をなぞるように。
「うっ、くううっ!」
 ドンッ!ドクンッ!!
 まさにそんな感じで夏香の口腔へ白濁液を放出する。
 しばらく夏香の喉元が苦しそうにうごめいたが、やがては白濁液を無事に飲み込んだようだ。
 飲み終わった途端、今度は咥えたままのイチモツをチュウチュウと吸い始めた。
 ストローと思いこんでいるのか、幼い頃に咥えていたであろうおしゃぶりの夢でも見ているのか。
 その吸い方と、舌先のテクニックが、さっき出したばかりの俺を再び上り詰めさせるには大して時間も掛からなかった。
 ドクッ、ドクッ!
「くはあぁ〜」
 俺は全く動いていないのに、余りに間隔が短すぎて息切れしそうになる。が、イチモツは1発目を出したときからずっと立ちっぱなしで、今も萎える様子はない。
 それだけしっかりと刺激を与え続けられているのだ。
 結局抜かずの3発をただのフェラチオでやらかし、さすがにこれ以上はまずいと判断してイチモツを抜こうとした。
「あ、あれ?」
 しかし抜けない。
 夏香がしっかりと閉じている唇の裏側にいきり立っているイチモツのカリが引っ掛かって抜けないのだ。
 よもすれば、その刺激のせいでもう1発出てしまいかねない。
 それ以上出したら明日の仕事に響く。
 俺は少し冷静に考えて、夏香の鼻をつまむと半ば強引に夏香の口から引きぬいた。
 亀頭は唾液にまみれてテラテラと輝いていて、亀頭のすぐ下あたりがほのかに紅く染まっている。
 夏香の色付きリップクリームが移ったようだ。
 この程度なら、拭いた後のティッシュの処分のこともあるからとりたてて拭く必要もないだろうとパンツとズボンを穿く。
 半裸の夏香の服装も整えなければならないが、Gパンを穿かせるのは不可能だろうと判断し、眠りながら脱いだんだと言う感じに見せるためにくしゃくしゃにしてベッドの隅に置いた。
 パンティは穿かせ、上半身も整えてやり、こんなものかと室内を見回す。
 と、窓の事を思い出して近づいた。
 外の手摺りに引っ掛けたままだったパンティを中に入れ、夏香のバッグの適当なところに押しこむ。
 正確な場所は分からないが、これで怪しまれる確率はぐっと下がるだろう。
 窓を閉め、空調も止めて、やり残した事がないかを確認すると電気を消して自室に戻った。
 ・
 ・
 ・
「春奈ぁ〜オハヨ〜」
「あ、おはよぉ。昨日、どうしたの?本当に疲れて寝ちゃったの?」
「ん〜、そうみたいぃ。部屋に入ってからの記憶がないんだもん。で、起きたらもう朝だし、一応ベッドには乗っかってたけど、すっごい格好で寝てるしぃ」
「あはは。自分で自分をボヤけるなら大丈夫だよ。今日もがんばろうね」
 ボーっとしたまま洗面所にやってきた夏香に笑みを返し、春奈は顔に塗った洗顔クリームを落とすために水をバシャバシャと顔に叩きつけた。

 キャンプ場の朝は早い。遅起きの大学生には結構辛い1日の始まりを迎える事になる。
 普段の俺ならば、朝が多少早くても容易に順応出来る体質なのだが、さすがに夕べの情事が腰にひびいてわずかばかりだが寝過ごしてしまった。
 慌てて身だしなみを整えて食堂に行くと、それでも最後ではなかったことに安堵して席についた。
 朝食は到着した順から摂ることになっている。
 俺と悪友は別に狙ったわけでなく、夏香と春奈の隣に座る事になった。
「おはよう」
「おはようございます」
「おはよ!」
「おっはよー」
 夏香の斜め向かいに座った俺は何気に夏香の唇を見て思わずイチモツを反応させてしまった。
 が、とりあえず座っている間に落ち着かせれば済むであろうと、そ知らぬ振りで食事を始める。
「そう言えば今日はリーダーたちは一緒なの?」
「さあ?知らないよ。進行は全て館長の頭の中だから」
「そうでもないだろ。昨日丸1日テントを虫干しして、今日は朝から天気が良いんだ。必然的に全員総出でテントの撤収だろ」
 その程度の事は容易に想像が付くとばかりにパンをかじりながら言うと、他のものたちもなるほどとばかりにうなずく。
 そしてみんなの朝食が終わった頃を見計らってやってきた館長の言葉は、
「午前中はテントの補修と収納、午後一番で収納を終わらせてその後は工芸体験をしてもらいます」
「おおーっ」
 回りがどよめく。
 見事に言い当てた俺に対する尊敬の眼差しが向けられる。
 が、俺はそんなことは気にしないで朝食を終えて、集合時間に広場に向かった。
 いろいろあるテントのたたみ方の中でも、子供に見本になるようなたたみ方を館長から指示されて、それを無事に終わらせると工芸体験。
 子供たちに体験させるアウトドア工芸のいくつかを実際に経験してある程度教えられるくらいにまで覚えるための体験会だ。
 こればかりは俺も経験がなくて、みんなと同様に勉強に参加した。
 1日が終わり気が付けば俺の注意はずっと夏香に向けられていたことに気が付く。

 あのTシャツの下の膨らみ、先端の形までもが透視能力のように脳裏に浮かぶ。
 Gパンに一番きつく締め付けられている箇所には日本人の家系を象徴する大きなお尻。
 一番複雑な股の部分に覆われている奥には大人を象徴する陰毛と、驚くほどにヒダがはみ出たスリット。
 何も気になるのは服の下だけではない。
 あの均整の取れた顔の全てのパーツをイチモツで突ついたのだ。
 俺のイチモツを咥えた唇も昼の日差しの下では純粋に美しい。
 その唇から飲みこんだ白濁液はとっくに分解されているだろうが、成分は体内に残っているだろう。
 そんなことを考えるたびにイチモツが反応してしまう。結局のところ1日のほとんどを半立ち状態で過ごした。
 そして今夜一晩も我慢が出来そうにないと判断した俺は、夏香以外のターゲットにめぼしを付けることにした。
....つづく
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