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−−− 男 −−− |
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「おーっすぅ」 「あ、おはよぉー」 「オーラス、おっせぇぞ。よぉく眠れたかぁ?」 「うーん、なーんか寝付き悪くてさァ」 「やだぁ、夏ばて?」 「分かんね。痛いって程じゃないけど、頭がすっきりしないって感じなんだ」 「それって寝過ぎじゃないのかよ?」 「ひどいな。ちっとは心配しろよ」 「んじゃ、なんだ、ハマ行くのは止めてお留守番してるか?」 「バッカ、そう言う事じゃないだろォ。ハマに行かなかったらここへ何しに来たってんだよ」 「なら気にすんなよ。着替えてとっとと行こうぜ」 男女が入り混じった仲良し8人組…、と言ったところだろう。男女比5対3だが、それを気にするものは1人としていない。 高校生である俺たちはこの時期当然夏休みである。 長期休暇を利用してみんなで海へ来たと言うわけだ。 実際にこの民宿に到着したのは昨日の夕方。 さすがに電車を乗り継いで来ただけに疲れが溜まっていたのだろうか。夕べは大したことも出来ないまま、風呂に入ることすら忘れてすぐに寝てしまった。 俺は最後に起きたので知らなかったが、2部屋借りているというのに全員同じ部屋に男女入り混じるざこ寝状態だったそうだ。 それを聞いて、早く起きていればいろいろな楽しみがあったかもしれないと思わず舌打ちしたのはちょっとした余談。 それにしてもそんなにはしゃいだつもりはなかいのに…と俺は部屋を見回してバッグを見つけた。 と、女子たちがいそいそと部屋を出て行く。それはそうだろう、これから海に行くために着替えるのだ。自分たちの部屋に戻って着替えるのが道理。 去っていく女子たちを視線だけで見送ると、俺は自分のバッグを壁際から引っ張りファスナーを開けた。 中には日数分の着替えが入っている。もちろん、水着やタオルもだ。 衣類をかき分けて手を突っ込むと水着が入ったビニール袋を取り出す。あとは、タオル、と…。 必要なものを取り出して振り返ると、他のやつらはすでに素っ裸になって読んで字のごとく“振る”チンしてはしゃいでいた。 「お前らなぁ…。ガキじゃないんだから。ちょっとは隠して着替えろよ」 「なんだよ、女々しいこと言いやがって。ここにゃ男しかいねぇんだぜ。まさかお前、タオルで必死に隠しながら着替えますなんて言う気じゃねぇだろうな?」 「ばっ。必死になんて隠すかよ…」 少し口をもごもごさせて俺はタオルを背後に忍ばせた。 必死に隠すつもりはないが、普通に隠すつもりはあったのだ…。 が、複数の目がタオルの行方を見逃すはずもない。 1人が素早くそのタオルを手にとって高く掲げて広げた。 「うっわっ、スカートタオルじゃんか。高校にもなってこんなの使うなよぉ」 「い、いいだろ。返せよ!」 「使う必要ねえんだからいらねぇだろ、こんなの」 なんか、ガキのイジメみたいになってきた。 良く見れば、他のやつらもニヤニヤと俺のことを見ている。 くそう、くだらないことに巻きこまれてたまるか。と、俺は何故かムキになってTシャツに手を掛けた。 「使うか、そんなもん!」 視界が一瞬真っ白になり、元の視界が戻ると、周りのやつらはなぜかチラチラと俺の身体に視線をぶつけてくる。 別に男同士、気にする必要はないが、脱ぐところを注目されると言うのは何となく気恥ずかしい。 そうでなくても、こいつらはまるで女の裸でも見るかのように俺のことを見ているのだ。 しかし、それを気にして手を休めたらまた何か言われかねない。 俺は周りの視線を無視して、ハーフパンツに手を掛けた。 腰ヒモで縛るタイプなので、それを解くだけでストンッという感じで下に落ちる。 片足を抜き、残った足の甲にそれを引っ掛けたまま足を持ち上げて手に取る。 軽くたたんで後ろを向くとバッグの上にひょいと放った。 ん…?何か妙な視線が…。 別に俺は後ろに目を持つ武術の達人ではないが、軽く屈んだ俺の尻に異様とも取れる強烈な視線を感じたのだ。 屈んだ格好のまま思わず振りかえると、確かにその場にいる全員の視線が俺の尻に向けられていた。 男のパンツを見て、こいつらは何が楽しいんだ? ふと見ると、平静を保っているナニは皆無で、良くて半立ち、悪くて目一杯反り返っている。良い悪いと言ってもどちらの状態が良いのかは分からないが…。 「おい、なに見てるんだよ?」 俺が睨みを効かしても全く効力がないようなので、とうとう口を開いてしまった。 「なにって、お前見てるんだよ」 「ああ?お前ら、男の尻見て何が楽しいんだよ?」 「気にすんなよ。お前が裸になるのを待ってるだけだ。裸になってないのはお前だけだかんな」 言う通り、この場でパンツ一丁とは言え、裸になっていないのは俺だけだ。 確かに俺だけだが…それは理由として正当なのか…? 頭の中に疑問符が湧くが、それを問いたところで、流されるのは目に見えている。 とにかくいったん裸になって、海水パンツをとっとと穿いてしまおう。 手に持ったままの青と白のまだら模様が入ったビキニの海水パンツを確認して、パンツをいそいそと脱いだ。 と、完全にギャラリーになっている4人の男たちが俺の前と後ろへ別れて移動した。 視線は俺の腰周りに絡みついていて、逸れる様子は全くない。 後ろに回った2人の視線は俺の尻へ。前に回った2人の視線は股間へ。ダイレクトに向けられている。 「お、おい…っ!」 思わず海水パンツで股間を隠す。 素早く海水パンツを穿きたかったのだが、穿くために屈んだら、当然尻が突き出される。後ろのやつらの視界を想像して屈めなくなってしまった。 こいつら、ホモか? ケリの1つも入れてやりたいところだが、足を上げる行為は明らかにいつらを喜ばせるだけのようだ。 股間に海水パンツを押し当てたまま、大股にならないように気をつけて移動を開始する。 とにかく壁際、隅に行ければしめたものだ。 身体を横に動かして壁際を目指すと予想通り4人も一緒に横移動を開始した。 やはり隅には行けそうもない。手を伸ばして壁はまだかと宙を探る。 「お、お前らなぁ。冗談が過ぎないか?」 意識しすぎるからこいつらは面白がって、わざと見ているのだろう。分かってはいるが、上手く回避できない。 真ん中に近いところで脱いでしまったことを後悔しつつ、それでも横歩きを続けると、手に壁の固い感触があった。 思わずさっと身体を動かして壁に尻を押し付けた。 これで後ろから見られることはない。 ニヤッと笑みを返して穿くなら今だと海水パンツを股間からずらした。 後ろからの視線さえなければ、前から多少見られても何てことはない。 屈みつつ片ヒザを持ち上げて海水パンツの穴に足を突っ込み…。 その時だった。上げた足の足首を1人が持ったのだ。 「こ、こら。離せよ!」 腰を壁につけているのでバランスが崩れることはないが、足を持たれていたら穿くことが出来ない。 「とっとと穿こうとするからじゃんか」 「そうそ、仲間だろ、俺ら」 そんなセリフを聞いている場合ではない。俺は大股を開く事になっても構わないと、思わず足を大きく振った。 こんな状況では当たり前だろう。 だが、こいつらは自分たちと同様に裸になって“振る”チンしろと言う。 冗談じゃないと思ったが、そのとき妙に仲良し8人組み…仲間と言う言葉が脳裏でふいに強調された。 仲間なら当たり前…? そんな考えが思考全てを占有する。 それなら…!! 直後、俺はそれまでからしたら信じられない行動をし始めた。 足を掴んでいたヤツにそのままあごの辺りへ蹴りを入れ、うつ伏せにひっくり返ったところを馬乗りになって押さえ込んだのだ。 「うわっ?」 素っ裸で他人に股間を押し付けるような格好は正直いやだが、その位しなければ打開できない。 押さえ込まれたヤツにしてみればかなり意外だったようだ。 だが許しはしない。 俺の下にひれ伏しているそいつの尻を鷲掴みにした。 「や、やめろおっ」 やめろだと?俺が拒否したときに止めなかったヤツのいいなりに止める必要がどこにある? 俺はそいつの尻の中央へ手を動かし、中指を中心にして手を股の間へ押し当てた。 「お、おおっ?おいっ!」 目を白黒させつつも、顔は間違いなく嬉しそうにしている。 やっぱりこいつらホモか?しかもマゾも入っていやがる? 力を入れると指先にイナリの裏が触れる。と、急にイタズラ心が浮かんだ。 握ってやれ! さらに深く手を突っ込んでイナリ全体をキュッと握ると、その中に自由に動く2つのボールが感じ取れる。 それを締め上げるかのようにしてクニクニとこね回してやった。 「うりうりっ。これでどうだ!?」 「おおっ、おおおおっ!?ウ、ウヒャヒャヒャッ!ギ、ギブッ、ギブウッ!」 そいつは四肢を突っ張らせて不恰好に悶絶しだした。 そのまましばらくこね回して悶絶振りを笑ってやったが、納得すると手を離して立ち上がり、そいつを解放してやった。 「バカやってないで、とっとと着替えようぜ」 これで終わらせるつもりだった。が、別のヤツが俺の後ろからタックルしてきやがった。 「とうっ!」 「うわっ!?」 さすがに対処できずに前につんのめる。 そうだった、まだ他に3人いたんだ。 あと3人と言っても1人はビデオ片手にこのバカ騒ぎを撮りつづけているので、行動を起こす雰囲気はない。 実質2人…。 素っ裸ではしゃぐ事を拒否するために、俺は素っ裸でそいつらを相手にプロレスごっこをする羽目になった。 「そりゃっ」 どたんっ! 「うりゃあっ」 ばたんっ! 「どうだあっ」 ギリギリッ 「ロープロープッ」 室内で出来るプロレス技となるとどうしてもサブミッションが多くなる。 身体が密着する機会が必然的に多くなり、そのたびに大きくなったままの相手のナニが当たる。 なんか嫌だなと思いつつ、こちらもワザの応酬をする。 くんずほぐれつ、時には大技を繰り出し合う。敵対味方ではなく、それぞれがそれぞれの敵になり、あるいはタッグを組み、部屋をフルに使って大暴れをする。 と、うつ伏せになった俺の四肢に、1人がやはり四肢を絡みつけてきた。 もう1人がその補助をしやがる。 やばい、この絡め方は…っ。 「ふんっ」 四肢を絡めた状態のまま、瞬時に上下が入れ替わった。吊り天井だ。 く、くそうっ。解けないっ。 必死に暴れるががっちりとはまっていて外せそうにない。 いつの間にかに当初の目的を失念していた俺は必死にもがいた。 く…っ、見た目より苦しいし、何より裸でこの格好はちょっと恥ずいぞ…カメラの存在を思い出しつつ、そんなことを考えていた時だった。 バタンッ! 「用意出来たあっ?」 勢いよくドアが開いて着替え終わった女子が自慢の水着を見せびらかそうとなだれ込んできた。 「キ、キャアーッ!?」 俺の視界には見えなかったが、俺たちの姿を見た女子たちは慌てて外に出ていったようだ。 吊り天井をされている俺の身体は、下半身をドアに向けている。つまりこれ見よがしにドアに向けて股間を晒していたわけだ。 モ、モロに見られた、女子に…。 抵抗する気も失せて力を抜くと、さすがにマズいと思ったようで俺を解放してくれた。だがもう遅い。 「お〜ま〜え〜な〜」 「いやー、わりぃ、わりぃ。けど俺も見られたんだ、おあいこだぜ」 「ンなわけ、あるかっ」 と、怒鳴ってみぞおちに一発。 「これであいこだ」 仲間同士のお遊びにしては度が過ぎた事を怒り、気を落ち着けて部屋を見回した。 3人はすでに水着を身に付けている。 俺も急いで穿こうとさらに見回し、部屋の隅に飛んでいた海水パンツを見つけた。 無事に穿き終え、準備を済ませた俺は無事に和解した仲間と連れ立ってハマを目指した。 民宿から海まではのんびり歩いても10分ほど。 さらに海沿いの道を、渋滞を横目に2〜3分も歩くとハマにつく。 が、その途中で妙な事に気が付いた。 「なんか、妙に視線を集めてないか、俺ら?」 ざっと見ても俺たちに目立つ要素は別にないはずなのだが、すれ違う人たちといい、車中で車が進むのを待つ人たちといい、じーっとこちらを見ているのだ。 ただ見ているだけならまだしも、失礼な事に指差して奇異な目を向けているやつまでいる。 「そうかぁ?気のせいだろ」 しかしその言い方までもが気になる。なにか事情を知っているような素振りなのだ。 わざと俺に教えたくないという感じがひしひしとする。 そんな勘繰りをしている間も、人々の気になる視線は向けられている。 特にヤローの視線がすごい。ニヤニヤと薄笑みを浮かべて、まさにオヤジのスケベ顔でこちらをじろじろと見ている。 うーむ、どうしたものか。 車中のやつらが間もなく海に入れるであろう俺たちを羨んで見ているぐらいならまだ容易に想像が出来るのだ。 しかし歩道を歩いているやつらまでもが俺たちを見る理由がわからない。 何よりそんな理由の視線とはどうしても思えないのだ。 俺たちの中の誰かが…もしかして俺が何らかの理由で目立っているのだろうか…? 仲間の輪から外れれば、少なくとも俺かどうかぐらいは分かる気がするが、何となく怖くなってそれ以上の追求はやめる事にした。 ハマに着くと、民宿で借りたビーチパラソルを広げるためにポールを適当な場所に突き刺す。 「こんなもんかな?」 「ああ、いいんじゃねぇの?」 「よし、と。んじゃ、お前ら泳いでこいよ。俺は先に焼くから、荷物番もしといてやるよ」 せっかく海に着たと言うのに、なんとなく入る気のしなかった俺は、妙に眠いこともあって、荷物番をかってでた。 「あー、アタシも焼くぅ〜」 結局2人が残り、他の6人は海へと走っていく。 ・ ・ ・ 「おいっ、おいってば!おい、起きろよ!おいっ」 レジャーシートに寝転がって、どのくらい時間がたっただろう。誰かが乱暴に揺さぶり起こす事で俺は眠りから覚めた。 「ああ、やあっと起きやがった。お前、焼き過ぎてんなよ」 「ああ?焼き過ぎって何が?」 ぼんやりしている頭では上手く考えられない。 何の事かと起きあがろうとしたとき、全身の皮膚に違和感を感じた。 「あれ?あいたたたたっ」 違和感が一瞬にして激痛にすり替わる。 ヤケドだ。皮膚は日焼けを通りすぎて真っ赤になっている。 一体何時間寝ていたんだろうか。 「朝からずっと、昼飯時まで寝転がってたら、そりゃそうなるだろ。しかも寝相の悪さが災いして裏表こんがりやりやがって。おい、薬あったよな?」 午前中のわずか3時間と言う短い時間だと言うのに、この地方のこの時期の日差しはこれほどまでの仕打ちをしてくれた。 が、最近は日焼け対策用のスプレー薬も市販されている。 バッグから缶を出した女子が全身にスプレーしてくれると、浸透していく片っ端からひんやりとしてきた。 クスリの効果というのはすごいもので、あっというまに動かしても触っても痛みを感じないほどにまで皮膚は落ち着いてくれた。 そのことを知っていたのか、仲間たちは総出でスプレーされた薬をぴたぴたと伸ばし始めた。 麻酔の効果があるのか、触られるたびに痛みよりも心地よさが優先される。 こんなときばかりは仲間をありがたく思うものだ。 「こんなんじゃ、海にも入れんだろ。午後も荷物番よろしくな」 う…。それは酷い。が、自業自得だ、仕方がない。 諦めてうなずく。 何気に周りを見るとさすがに真昼と言うこともあって朝と比べて人が多くなっていることに気が付く。 ざっと見まわして見える俺たちの場所の周りにはむさい男たちの集団しかないが、偶然だろう。 深くは考えないで、眠気の取れた俺はビーチパラソルの陰から外れないように気を付けて片ヒザを抱えるような格好で風景を眺めることにした。 風景と言っても、周りはむさい男ばかりの海水浴場だ、あまり楽しめそうもない。 それでも少し遠くを見ればビキニのねーちゃんもいるにはいる。 自分の肌を気にしつつ、遠くにいるねーちゃんに視線を向けると、俺のように日焼けを失敗してる者は一人としていない。 俺の真っ赤になった肌はよっぽどみっともないのか、周りのやつらがじろじろと見ている。 自業自得と言えばそれまでだが、ちょっとは気を遣ってくれと言いたくなる。 と、1人の男が近づいてきた。 周りのやつらの視線が俺からそいつのほうへ移動する。 「スッゲー焼けてんじゃん。それ焼き過ぎと違う?」 妙になれなれしく人の失敗を突つきやがる。 「ああ、失敗したんだよ」 俺がつっけんどんに言うと、そいつは身を引きかけたが、懲りずに俺のすぐ隣にしゃがんだ。 「ところでさ、どっから来たの?」 …なんだ、こいつ。 「さあね。お前にゃ関係ないだろ」 「いいじゃん、ちょっとお話しよーよぉ」 からかうにもほどがある。思わず手が出た。 バキッ! ものの見事にあごに入ったパンチ。 バカが…。 座りながらのパンチだったこともあって、脳にまでは勢いが届かなかったらしく、そいつはあごを押さえながら去っていった。 周りの視線がそいつの後を追って、ざまあ見ろとでもいいたげに笑っている。 しかし、この1発がなかなかに効果があったようで、俺の事をじろじろと見る輩はいなくなった。 おかげでしばらく暇になったが、仲間の女子はなかなかに優しいやつらが揃ってる。 時々荷物番してくれてるお礼と言っては、海水浴場名物とまで言われるまずいラーメンやらヤキソバ、カレーに始まり、ジュースやかき氷の差し入れを持ってきてくれた。 おかげで夕方までの4時間ほどを、さして飽きずに過ごすことが出来た。 ビーチパラソルを分解してレジャーシートをたたむと、さしたる荷物もないおかげで撤収準備は仕上がる。 民宿までさしたる距離もないので、海の家でシャワーを浴びる必要もない。 俺たちは朝通った道をそのまま逆に歩き出した。 「ところで、肌大丈夫?」 女子の1人が声をかけてくれた。 「ああ、大丈夫みたいだな」 薬はけっこう効果が持続してくれている。 「実はね、さっき民宿のオバちゃんに会ってね、民宿の名前言えばタダで入れる銭湯があるって教えてもらったんだけど、行かない?」 銭湯…広い風呂で泳ぐのも気持ちいいかもしれない。 しかし、今は薬を塗ってあるから落ち着いているが、洗い流しても大丈夫なのだろうか。 「ああ、そうそう。薬はね、塗ってからだいぶ経ってるから、多分洗い流しても大丈夫なくらい治癒してると思うよ」 まるで俺の考えを聞いた上でのセリフかと思えてしまう回答だ。 「なら問題ないや。行く行く」 ということで俺たちは、そのままの格好で民宿のオバちゃんに教えられたと言う銭湯を目指すことにした。 とりあえず本当にタダで入れるのか確認するために1人が聞きに入る。 間もなくして出てきたそいつは、にっと笑って手招きをした。 「なんだよ、オッケーだったのかよ?」 「入って番台見れば分かるよ」 目いっぱい含みの入った言い方に、とりあえずはオッケーらしいと判断して入ってみる。 「あっ!?」 入って、言われた通りに番台を見た俺たちは呆気に取られた。 民宿のオバちゃんではないか。 まさかこの人は民宿と銭湯の掛け持ちをしているのか? ア然としている俺たちに、番台に座るオバちゃんは大笑いし出した。 「違うのよぉ。民宿にいるのはうちの姉。双子なのよぉ。似てるでしょ?あっはっはっはっ…」 似てるなんてものじゃない。並ばれても違いを見つけるのが難しいのではないかと言うほどに似ている。 相変わらずア然としていると、オバちゃんは俺を見て、突然慌て出した。 「あらあら。あなたはこっちでしょ。ほら、そこのドアを通って。ダメじゃない。ご覧なさい、他のお客さんも驚いてるわよ」 俺は再び呆気に取られた。 そこのドアと言って指差しているのは、女風呂に通じているドアなのだ。 そのドアを通れば、まさに女の園があるはず…。いや、もしかしたらババアばかりかもしれないが、少なくとも顔見知りの女子が3人いることは確実だ。 いくら番台のおばちゃんの命令でもそれを聞くのはかなり抵抗がある。 どうしたものかと思案していると、一人が俺に囁いた。 「いいじゃんか、オバちゃんが勘違いしてるだけだろ。女子の裸をたっぷりと見るチャンスだぜ」 なるほど、言われてみればその通りだ。 俺は恐る恐るドアを開けた。 俺たちの連れである女子3人は水着を着たままだが、他にも意外に若くて粒ぞろいの裸の女性が当たり前のように何人もいる。 思わず興奮しすぎてくらくらしてしまう。 女子たちは嫌がるだろうと思っていたが、笑顔で俺を迎えてくれた。 「いいよ、一緒に入ろ!」 ほ、本当にいいのか? キイ、パタン。 ドアが閉まり、俺が戻る道はなくなった。 女子たちは俺の手を引き、中央にカゴを置くと、そのカゴを囲んで俺の目の前で水着を脱ぎ始めた。 おいおい…。 おっぱいがプルンッと露わになり、茂みがワサッと露出する。 あっという間に俺と同年代の女子の裸3体が目前に現れた。 物怖じ1つしない。 ここで俺が物怖じしたらそっちのほうが恥ずかしい雰囲気だ。 俺も負けじと海水パンツを脱いで全裸になった。 カゴをロッカーに入れて鍵を掛け、鍵についてるゴムの輪を足首にはめて脱衣所から風呂場へ。 脱衣所よりも多くの女性の裸がそこには待ちうけていた。 こんな天国がこんな身近にあったなんて…。 不思議なことに誰も俺の存在に異を唱えることもなく、騒ぎの1つも起こらない。 気付かないだけだろうか…。 まあいい、番台のオバちゃん公認なんだ。気付かないなら気付かない間、ずうっと見させてもらうさ。 ある程度なれて大胆になった俺はじろじろと特に若い女性を選んで身体を見させてもらった。 もちろん、連れの3人の全裸も隅から隅までしっかりと見させてもらった。 陰毛の生え方の比較とか、胸の大きさや形の比較なんて程度のものじゃない。 湯船から最後に出ることで背後からのローアングルを確保し、ヒダのはみ出し方はおろかお尻の穴の形までしっかりと目に焼き付けた。 これでしばらくオカズには困るまい。 最後は可愛いものからセクシーなものまでの下着姿を拝んで銭湯を出た。 最小限の荷物の中に入れておいたノースリーブやらハーフパンツやらを着た俺たちは、さっきまで海に行っていたなどこれっぽっちも思わせない格好で買い食いをしながら旅館に戻っていった。 そして夕食。 さすが海が近いだけに海産物の新鮮さは都会からは信じられないほどだ。 食べ過ぎなほどしっかりと夕食を採って俺たちは部屋に戻った。 またしても1つの部屋に全員集まってわいわいと騒ぎ始める。 男女が混じっているからと言って変に気を遣ったりもせず、ワイ談だろうが何だろうが、馬鹿笑いのネタが片っ端から飛び交う。 そんな中、何の前触れもなく一瞬の静寂が訪れた。 こんな状況をよく、天使が通ったなんて言うらしいが、知ったこっちゃない。 と、一人が立ち上がって俺の前に立ち、俺の額に手を当てた。 「さて、そろそろ暗示は終わりにしようぜ。これからはちゃんとした関係で楽しもうじゃねえか」 俺の目の前に手をかざしていたヤツのセリフだ。声ははっきりと聞こえているが、意味が上手く掴めない。 暗示…何のことだ…?終わり…ちゃんとした関係…一体どういう…? 何か頭の中にもやが掛かったようにはっきりしない。 何か、ヘン。何かが…違う。俺は…。俺?何を言って…?私は、私だよ。男の子みたいな言葉なんか、どうして…。あれ…!? 自分の正しい性別を確認できた直後、1日中眠かったのが嘘のように頭の中が急激にすっきりし出す。 そう、私は“女の子”。胸だっていい具合に膨らんでるし、股のところにヘンなものはついていない。 誰が何と言おうと、正真証明の可愛い(?)女子高生。 何で私はこんなところにいるの?でも…記憶がなくなっているわけじゃない。 ちゃんと仲良し8人組みで海に来た事も、昼間海で遊んだ事もしっかりと覚えている。 …仲良し8人組…?違うっ!私とこいつらなんかとは仲良しなんかじゃないっ! 今私の目の前にいる男子4人は、クラスで…学校中で鼻摘まみ者として疎まれている悪ガキ4人組。こんなのと私との間に何の接点もありはしないはず。 その後ろにいる女子3人は…、悪ガキ4人組と急に仲良くなってヘンだと噂されてた子たちだ。 何かが違う…。一体何が…?記憶?そう、記憶が狂っているとしか思えない。でも、どの記憶が狂っているんだろう。 海に来たって言う事?ううん、潮の香りはするし、海で身体を焼いたことは身体が覚えてる。 じゃあ、8人で来たって言う事?これも違う。だって、この部屋には私も含めてきっちり8人いるんだから。 じゃあじゃあ、8人が仲良しなんかじゃないって事?違う、仲良しじゃないって事は紛れもない事実…のはず。 じゃあじゃあじゃあ…。 「だいぶ混乱してるようじゃん。そんなに怖がらなくてもタネ明かしくらいしてやるよ。催眠術って知ってんだろ?」 ニヤニヤとイヤラシイ目つきでリーダー格の男がそう言ってタネ明かしを語り始めた。 「お前さんにゃ、男として俺たちの仲間になってもらったのさ。催眠術を使ってな」 …そうだったんだ。記憶が狂っているって言うのはやっぱり間違いなかったんだ。 「最初は…7月の始めだったな。遅くまで学校に残っていたお前さんは、俺たちのパーティを見たんだ。男と女の熱くて楽しいパーティをな」 男と女の熱くて楽しいパーティ…頭の中で復唱する。それがどんなものか分からないけど、何か危険な物だって事ぐらいは想像がつく。 こいつらは学校で何か危ない事をしていた…?ダメ、分からない。覚えてない。 「ドアの外から傍観してるお前さんに気付いた俺たちはお前さんを捕まえたよ。ハハッ、覚えてないって顔してるな。当たり前だろ。その記憶は消してあるんだからな。俺たちに代わる代わるヤられて同性にまでヤられたなんて覚えてたら発狂しちまうかと思ってな、消しといてやったんだ。優しいだろ?」 ヤられた…。この言葉の意味くらい、子供じゃないんだから十分に分かる。 だけど、どうにも実感がわかない。記憶がないせい?それとも心のどこかでそんなことは嘘だと思っているから? そいつはさらに話を続けた。 「お前さんの処女は中々に極上だったぜ。全然濡れねぇから処女の血か、擦れて出来た傷からの血か、最初は分からなかったけどな。泣き叫ぶお前さんを思い出すたびに俺の巨砲が爆発しそうになるんだ」 そう言ってそいつが指差した先は、当人の股間だった。 パンツを下ろしたそいつの股間には隆々としたこん棒のようなモノが付いている。 思わず目をそむけようとしたとき、はっとした。見覚えがある…!? 細かい部分に自信はないけれど、あの色と形…間違いなく見た記憶がある。それも、チラリと見たのではなく顔を近づけてまじまじと見た記憶だ。 イヤな事に手にはそれを握った感触までよみがえってくる。 口の中には苦いという感覚までもが…。 まさか私はこんなものを握って口に含んだとでも…? 突然、胃の中身が逆流するような感覚…この吐き気まで記憶にある。 そうだ、思い出した。思い出してしまった。 こいつらは逃げ惑う私を笑い者にして、押し倒して、無理やり…。 これ以上は思い出したくもない。 だけど、身体の隅々がこいつらにされたことを鋭敏な感覚でこと細かに覚えている。 自分の身体がおぞましいもののように思えてくる。 身体中がズキズキと痛みを訴えてくる。 どうして?こんな、酷い…。 目から勝手に涙が溢れてくる。次から次へと大粒の涙が止めど無く。 「思い出したようだな。どうだ、実は自分がこの上なく汚れていたんだと知らされた感想は?」 ニヤニヤと笑いながら問う。だけどそんなものに答えられるはずもない。 「答えたくないならそれでもいいぜ。今日1日の行動はビデオに撮ってあるんだ。今日だけじゃないぜ。昨日も、その前の分も。残念ながらお前さんの処女を頂いたときは“写るんです”しかなかったけどな」 そいつがそう言うと、別のやつが写真の束を私に手渡した。 目をやると、1枚目は涙でぐしゃぐしゃになった私の顔のアップ。 知らない人が見れば、ただ泣きじゃくって呆けているだけと取れることだろうけど、私は違う。思い出してしまったから。この写真の少女がなぜ泣きじゃくっているか、私自身がよく知っているから。 その顔写真をめくって2枚目。 面積の広い肌色がちらりと見えて一瞬どきりとする。ヌードだ。ただし写っているのは背中。 抑えつけられているのか、力尽きているのか、両手を左右に広げて床に突っ伏している。 下半身は写ってないけど、全裸だとすればお尻は見られているはず。 異性に囲まれたまま、強要された全裸で突っ伏している姿は想像するだけで情けない。その情けない格好を私がしていたと言う証し。 3枚目を見るのが怖い。 2枚目まで精神的ショックこそはあれど、決定的なものではなかった。だけど、そろそろ見られたくないところが写されているのではないだろうか? 見たくない。けど、された事を見ておかなければならない気がする。 私は恐る恐る、写真をめくった。 …一応はほっとした。全身写真だけど制服は着ているから。 廊下の突き当たりだろうか、鉄製の扉に背中を押しつけてぺたんとお尻をついてしまっている。 ピンクのパンツは見えてしまっているけど、このぐらいはどうってことない。 4枚目は2人の男に押さえ付けられているけどやっぱり制服は着たまま。 そんな感じで決定的な写真はないまま数枚を捲りつづけ、もしかして変な写真は撮らないでくれたのかもと期待しながらさらに捲った直後、その思いはあっさりと打ち崩された。 「や…っ!」 全裸で、仰向けで、大の字に押さえ付けられて、それでも必死に抵抗しようとして、それでもやっぱり全てをさらけ出してしまって、しかもここそこを触られている私がそこに写っている。 両胸をそれぞれ別人に握られ、おヘソに指を突っ込まれ、股のところに複数の手をあてがわれ、鼻に2本の指まで突っ込まれ。 口は、何かを言っているのか叫んでいるのかノドの奥が見えるほどの大口を開けている。 わざとこう言う順番に見せて、安心したところで突き落とすつもりだったのかもしれない。 酷い。余りに酷過ぎて、驚いた拍子に写真の束を放り投げて辺りへ撒き散らしてしまった。 私の惨めな姿を納めた写真が一面に散らばった。 中には私の持ち物かどうかも分からないほどドアップで撮られた大事なところの写真まで…。 「イ、イヤッ。見ないで。見ないでぇーっ!」 必死になって写真をかき集める。 「その写真の束はお前さんの分だ、大事に取っておけよ」 かき集めたそれの上に覆い被さっていると、そんな事を言われた。 私の分?それって、他の人の分もあるってこと?思わず顔を上げて声の主を睨む。 「俺たちは全員、同じ物を持ってるんだよ。共有してないのは昨日と今日のビデオテープだけだぜ。まだダビングが出来てないからな」 愕然とした。私の最も恥ずかしい、最も見られたくない記録をこの場の全員が持っている? 冗談じゃない。じゃあ、今ここで必死に隠しても全く無意味と言う事? ううん、それでも隠さずにいられない。私の目の前で私の恥部を見られたくないから。 かき集めていた時にもいろいろなアングルがチラチラと見えていた。胸も、お尻も。ただ撮られているだけならまだしも、鷲掴みにされる胸や、谷間を一杯に広げられたお尻とその奥までもが写されていた。 悔しい。こんな事までされていたなんて…。 再び涙が溢れてくる。 「そんなに喜んでくれるなんて、嬉しいぜ。はあっはあっはあっ」 そいつの高笑いが、私をよけい惨めにさせる。 どうしようというよりも悔しいと言う思いが何よりも優先される。 「ついでだ、ビデオも見せてやる。何しろお前さんは、目をそらすことが出来ないんだからな」 そらすことが出来ないって…?私は私の苦しんだ記録なんて見たくはない。 されたことを見ておかなければならないという思いもあるけど、とんでもなく悲惨であろうことぐらいは分かる。 怖いもの見たさで目が反らせないとでも言いたいのだろうか。 「お前さんが特に見たいだろうからな、今日のヤツをノーカットで見せてやるよ」 今時珍しいCカセットがアダプターにセットされてデッキに入っていく。 「準備できたぜ、たっぷりと見るんだな」 テレビの画面にいかにも素人が撮りましたって言う感じの画面が映し出された。 場所はこの部屋だ。 私と同じ姿をした少女が半裸になっている。 どうやら今朝の着替えの時に撮った物らしい。 パンツを脱ごうとしてるけど…少女が手に持っているものが気になった。 記憶が正しければ、あの時手に持っていたのは青と白のまだら模様が入ったビキニの海水パンツだったはず。 だけど、少女が持っているのは…。 どう見てもそれは青と白のストライプの下着。 全裸で男子と取っ組み合いをすると言う、か弱い女の子にあるまじきすったもんだの末、少女はそのパンツを穿いてしまった。 まさかそれって…。信じられない。信じたくない。 画面の中で動く私と同じ姿をした少女は胸を臆することなく披露し、あからさまに女性用のそれと分かる下着1枚きりで外に出たのだ。 本人に恥ずかしがっている様子は微塵もない。 それはそうだろう。本人は自分が男だと思っているし、自分が穿いているものも男物の海水パンツだと思っているのだから。 「う、うそ…」 ビデオには少女の身体をじろじろと見る人たちの視線も映り込んでいる。朝の…昼の人々の視線の意味がヤッと分かった。 当たり前だ。いくら暑い夏とは言え、下着1枚きりで年頃の少女が屋外を出歩くなんて、この国の法律が許さないだろう。 野外露出プレイと銘打ってるくせに人が見てないところで脱ぐのとはわけが違う。 前からのアングルでは胸の揺れ具合が執拗に撮られ、後ろからのアングルではお尻の揺れとそれに追従するパンツのシワの寄り具合が克明に撮られている。 ビーチパラソルのポールを突き刺しているときは力を込めるたびにプルンプルンと跳ねる胸が画面一杯に映し出される。 その後、カメラは少し離れたところに固定されたようで、少女が寝ているシーンが延々と映し出された。 全ての映像の背景には少女の身体を執拗に見ている男たちの様子が映っている。 少女が熟睡しているのをいいことに、たまに見知らぬ男が近付いてきて写真を撮ったり胸をつついていったりまでしている。 とどめは日焼け対策のスプレー薬を塗ってもらっているときだ。 少女が本当に男だったら、仲間同士の親切で済んだだろう。 しかし少女の華奢な身体を這う12本の手はいやらしい以外の何者でもない。 そのときは気付かなかったけど、何本もの手が胸やお尻に集中している。 「ねえ…これ、嘘よね…?ねえ!?」 画面に映される真実を信じたくなくて、誰に問うでもなく叫ぶ。 「嘘かどうか、お前自身が一番分かってんだろ」 肯定したくないのに否定できない私にお構いなく映像は進み、画面にはあのホモナンパ男が現れた。 あの時はホモかと思ったけど全てを理解した上で画面を見ると全てに道理が行く。 エッチな格好をした少女をナンパしようとしてる、ありきたりの健全(?)なただのナンパ男だ。 周りにいた男たちの視線も、日焼けしすぎた肌ではなく、格好を見ていたのだ。 そうとは知らず、少女は恥ずかしい格好を堂々と晒している。 銭湯でのオバちゃんの反応も、女風呂にいた人たちが何とも思わなかったのも十分に理解できる。 そして否定できない決定的な理由が、私の記憶の中に、私が男としてそういうことをしていたと言う事実が残っているということ。 画面は更に進んで銭湯からの帰り道になった。 ノースリーブの脇から胸が完全に露出してしまっている。 なんて恥ずかしい…。そう思ったとき、今もその格好をしていることを思い出した。 はっとして下を向くと、画面と同様にノースリーブの脇から胸がこぼれている。 慌てて服を正し、それでも隠し切れない胸の膨らみを両手で覆った。 「何を今更。ほら、自慢の胸なんだろう?もっと強調しろよ」 リーダー格の男は服を脱ぎながら言い放つ。 確かに自慢ではあるけど、強調なんで出来るはずがない。逃げよう。 立ちあがろうと足に力を入れたが、足には力が入らなかった。 バランスを崩して倒れる。 「ちょうどいい。そのままショートパンツも脱いじまえよ」 こいつ、何言ってるの? 文句を言おうとしたとき、手が勝手に動き出した。ショートパンツのゴムに指をかけ…。 「また白か。黒とかスケスケとかねぇのかよ?」 「って、お前、コイツの荷物は全部チェックしてたろーが」 「分かってんよ。いっそのこと今後一生ノーパンってのにしちゃろうか」 「おっ、いいんじゃん、それ。スカートだろうが何だろうが」 「明日は露出狂の女って暗示掛けるんだろ?だったらよ、スケスケパレオの下は何もなしってのはどうよ?」 「いいねぇ、それ貰い。けど今は…」 男たちはみんな、私のことを話しているのに、私自身のことはずっと無視していた。 なのに急に現実に戻ったこいつらは、呼吸を合わせたように私を見て全裸の身体を近づけてきた。 目が怖い。 視界の隅に同性の姿が映る。助けを求めようと見やると、彼女らも全裸になり、嬉しそうに腰に張り型を付けているところだった。 彼女たちも、何かの暗示を掛けられている…? 視線を戻すと男たちは…男たちのアレは目前に迫っていた。 もう逃げられない。だけど…いや…誰か助けて。誰か…。 「いやあああぁぁぁーっ」 |
....おわり |
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