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−−−  男[前夜の記録]  −−−
「準備できたぜ、たっぷりと見るんだな」
 テレビの画面にいかにも素人が撮りましたって言う感じの画面が映し出された。
 場所はこの部屋だ。
 男子も女子も関係なく全裸になってる。当然私の姿をした1人の少女も。
 少女だけは別格のようでみんなが部屋のあちこちに座っているのに、1人だけ部屋の中央に立って…踊っている?
 違う。もそもそと動いているけど踊っているわけじゃなくて、動かされていると言ったほうが正しいかもしれない。
 少女は一体何をしているんだろう。なんとなくモンキーダンスかフラダンスをしているように見えるけど…。
 時折、何かに驚くようにビクビクッと腰を痙攣させて、今にも倒れそうにふらふらと足元がよろける。
 そのたびに妙に艶かしい声を漏らして、ギャラリーを楽しませてる。
「ほらほら、もっとケツの穴締めて踏ん張って踊れよぉ」
「やだぁ、げっひーんっ。キャハハッ」
「何が下品よー。お尻の穴締められないようにしたの、あなたじゃない」
「何よぉ。締めようと思えば締められるでしょお」
「そーそー。締めれば気持ちいいしな」
「キャハハハッ」
 男たちの周りにはべっている彼女たちは明らかに普段とは違う。普段の彼女たちを知らなければ、そんな子だろうで済みそうだけど、そんなことは決してない。
 やはり彼女たちも同様に暗示を掛けられているんだろう。
 一方、そんな野次も耳に入らないのか、少女はふらふらと動きつづけては時折痙攣するという状態を維持している。
 いったい、何で痙攣しているんだろう。それに、ギャラリーの話の内容の意味は…?
 それらは10分もしないうちに分かった。
 少女がとうとう耐え切れずに倒れたのだ。
「おいおい。まだいいなんて言ってねぇぞ」
「しょうがねーだろ。暗示は脳に命令するんだ。身体が持たなけりゃ、そりゃ倒れるさ」
 カメラが少女に近づく。
 1人がうつ伏せに倒れた少女の身体を転がして仰向けにし、2人掛かりで足を天井に向けて大きく広げた。
 カメラがその中央にズームアップしていく。
 肝心なところには黒いエナメル質の…股当てというイメージがしっくりくる長方形のものがあてがわれていて、そのものが見られることはないけど、意識があったら必死に抵抗したくなるような格好だ。
 恐らくその場にいる全員の視線がその黒いエナメルに集中していると思う。
 そのエナメルに一人の手が伸ばされ、フチをぐっと掴んだ。
 はがされる…見られる…ヤダ、取らないで。
 だけど手はそれを引っ張ってしまった。
 簡単にはがれるものと思いきや、何かが引っ掛かっているのか上手く取れないでいる。
 何か違う。ただの股当てじゃない…?
 それでもゆっくりと引っ張られて…違う、引き抜いている。
 時折、股の部分からお腹のほうへ雫が流れ落ちていく。
 ふと気が付くと、いつから聞こえていたのか、モーター音が妙に目立ってきた。
 まさか、それは…。
 私が信じられないと思っていると、私の心が分かっていたのかカメラはアングルを変えた。
「!!!」
 直径5センチはありそうな太くて黒い棒が少女の一番大事なところに突き刺さっている。
 棒もその回りもびっしょりと濡れていて、とどまり切れなかったものがさっきからお腹のほうへ流れていたんだと分かった。
 良く見れば、内もも全体もびっしょりと濡れている。
 女の子にとって一番大事なところは一杯にめくれ上がっていて、内側の赤さが余りに痛々しい。
 酷い…。
 アングルは更に移動した。
 今度は後ろから。
 私は愕然とした。
 お尻にも何か刺さってる!?
 前に刺さってるものと比べたらはるかに細いけど、じゃばら状のそれは出し入れするだけで痛そうな感じがする。
 あんなものが過去の私のお尻に挿さっていたと考えるだけで、お尻が妙にもぞもぞしだす。
 カメラはそこに固定され、2本の黒い棒が抜かれていく様を映し続けている。
 …あれ…?私は自分の目を疑った。2本の棒がそれぞれ、うねっているように見えたのだ。
 ただの棒じゃない?
 確認しようと目を凝らす。
 間違いなくうねっている。
 バイブレーターくらいは知っている。けど、それは読んで字のごとく振動するだけじゃなかったの?
 ゆっくりと引き抜かれ、床に放られてたそれを見た私はまたも愕然とした。
 いずれも長さは20センチはある。
 そしてそのどちらもが、激しくのた打ち回っているのだ。
 少女の体の中でもそんな動きをしていたんだと思うと、走る悪寒を抑えられない。
 こんなものを身体の中に入れられていたら、少女が身悶えてしまうのも当たり前だ。
 少女は気絶していて、多分何も感じていないはずだけど、股間に2本の異物が入っていそうな感覚が私を襲う。
 思わず自分の身体を抱きしめるけど、震えが止まらない。
 バイブレーターのスイッチが切られて、一瞬静かになった後、画面の中で誰かが喋り出した。
「おい、コイツ起きねぇぜ」
「体力が限界なんだろ。家からずっとバイブ挿しっぱなしで、とどめに身体の中で動いてるやつを身体で表現しろって暗示だったからな」
「おいおい。それってつまりやりすぎだったってことじゃねぇか。マグロ抱く気はねぇぞ」
「バァカ。マグロならマグロなりの抱き方があんだろ。それに明日もあるんだ。そうだ、明日の分の暗示を掛けておかねぇとな」
 そう言って、少女のまぶたに手を乗せる。
「明日の朝、目が覚めたお前さんは男だ。俺たちと仲間として海へ遊びに来たんだ。明日は俺が暗示を掛け直すまで男として過ごすんだ…」
 暗示と言うものは寝ていても効果があるものなのか。
 そのままいくつかの命令を告げ続け、やがて少女のまぶたから手を離した。
「これでいい。明日は楽しみだぞ」
「んじゃ俺らは仲良く8Pといこうじゃねぇか」
「ばーか、乱交パーティって言えよ」
 映像はその後、まさに入り乱れてのパーティに移行した。
 マグロと表現された少女には実験と称して様々な異物が挿入されていく。
 なるほど、起きていたら泣き叫んでまともには出来ないことだらけだ。などと納得している場合ではない。
 少女の抵抗がないのをいいことに、大事なところに拳まで入れようとしてる。
 やめて、そんなの入るわけがない。画面を睨みながら心の中で哀願する。
 間もなくして処女の血でも、オリモノでもない血が滴り、そこでやっと手の挿入を諦めてくれた。
 その男は血が出ても最後まで入れるつもりだったらしい。けど、他の男が今日で終わりじゃないんだと叱咤して止めてくれたのだ。
 止めてくれたとはいえ、それで良かったのか悪かったのか…。それで派手に裂けていれば、もしかしたら今ごろ私は開放されていたかもしれない。
 手の挿入を諦めた男は、代わりに少女の鼻をつまんで少女が口を開けたところにアレを挿入した。
 気絶していても相当に嫌悪感があるのか口の中を必死に動かしているけど、それが返って男を悦ばせているみたい。
 画面が変わって股間が映し出されると、お尻にピンポン玉を入れようとしているところだった。
 そんなものは入らないと思ったのに、思ったよりもあっさりと埋まった。しかも3個。
「明日は1日、これを入れたまま過ごしてもらおうぜ。夜になったら俺たちの目の前で生ませるんだ。さぞや楽しいだろうぜ」
 画面を見ていた私は驚愕した。まだそれを出した記憶がない。そもそも今日1日トイレで大きいほうを出した記憶がない。
 一緒に画面を見ていた男たちも忘れていたようだ。
「そうだったな、それじゃそこにしゃがんで踏ん張れよ」
 イヤなのに。たとえそれが本物の汚物じゃなくても、踏ん張るところなんて見られたくないのに。暗示は私の身体を思うがままに動かす。
 私は必死に哀願したけど、受け入れてもらえるはずもなく男たちの前で和式便器にでもまたがるようにしゃがんで、意思に反して身体は下腹部に力を入れ出した。
 もう堪えられない。だけど…いや…誰か助けて。誰か…。
「いやあああぁぁぁーっ」


−−−  男[半月前の記録]  −−−
「準備できたぜ、たっぷりと見るんだな」
 テレビの画面にいかにも素人が撮りましたって言う感じの画面が映し出された。
 見覚えのある床…これは学校…?教室じゃない。特別教室のどこか?
 記憶にはあるけどどこなのか断定できずに考えていると、アングルが急激に変わった。
 どうやらカメラマンがカメラを持った手を持ち上げたらしい。
 周囲の様子が視界に入り、背もたれのない四角い椅子と、グループごとにまとまって作業が出来るための大きな机。その机の脇には流し台が見える。
 理科室か、家庭科室か…。
 突然画面内の下のほうに緑色の数字が現れ、その数字が大きくなると画面の両脇にあるスピーカーから雑音と声が聞こえてくるようになった。
「…そこがいいぜ。そこのど真ん中の机の上に立ってやれよ」
 そんな声が椅子を引きずったり上履きが床を鳴らしたりする音にまぎれつつも、はっきりと聞き取れる。
 アングルがまた変化し、そこに制服姿の一人の少女が映し出された。
 周りのにぎやかな雰囲気とは一線を画した暗い少女。少しうつむき加減で表情をはっきり見ることは出来ないけど、焦点の合っていない目がヤケになっているのかと思えてしまう。
 焦点の合っていない少女は椅子を踏み台にして言われるがままに部屋の中央にある机の上に乗った。
 机の上に何をするでもなく立ち尽くす少女。それは、私の姿をした少女。
 画面はその少女の上半身に焦点を合わせてズームアップしていく。
「さあ、とっとと始めろよ」
 少女は表情1つ変えることすらしない。だけど間もなくして画面に下のほうから現れた少女の手は間違いなく震えている。
 それはきっと暗示という絶対命令の中での最後で唯一の抵抗だったんだろう。
 シュルッ。
 スカーフが解かれる。次いでファスナーも外され、少しもそもそと動いた後、少女は白いセーラーを脱いでしまった。
 白いブラジャーだけど、レースが結構可愛い。
 周りから口笛やら何やらが聞こえてくる。
 次は胸を出せとか、いやスカートが先だとか好き勝手なことを言っている。
 少女は聞こえているのか聞こえていないのか、スカートに手をかけた。
 ズームが引いて少女のほぼ全身が映し出されると、ちょうど紺色のスカートが落ちていく瞬間だった。
 上下合わせているのか、白いパンツにも可愛いレースがついている。
 この少女は恥ずかしくないのだろうか?異性がたくさん見ている中で机に乗って下着姿になるなんて…。
 しかし少女はブラジャーを外し、パンツを脱いであっさりと全裸になってしまった。
 少し濃い目の乳首も、ちょっと剛毛気味の陰毛も露出するたびに画面一杯に映し出された。
 まじめそうで、そんなことをするとは到底思えない雰囲気の少女…。その少女が私自身だと言うことは十分に分かってるのに、どうしたことか自分のことのように思えない。
 確かに画面の中では恥ずかしい事をしているけど、映画かドラマでこんなシーンがあったところでウブじゃないんだから目をそむけるはずがない。そんな感じだ。
 そう、まるで映画のワンシーン…ストリップ劇場だったらもっと上手く綺麗に脱いでいくと思う。
 全裸を見せている恥ずかしさよりも素人っぽさに恥ずかしさを感じる。
「そういや、持って来いと命令しておいた水着と体操着は持ってきたんだろ?バッグの中か?」
 少女がうなずいた。
 誰かが少女のバッグを物色…カメラも一緒になってバッグの中を覗いている。
 そして下のほうから出てきたキンチャク袋の中身を確認して満足そうにそれを取り出した。
 中からはブルマーと体操着、それに紺色のスクール水着が出てきた。
 あれは私…の?
 うちの学校はブルマーなんて今時穿かせないし、水着も学年カラーの緑色を基調としたちょっと競泳用っぽいデザイのはず。
 だけど、黒いブルマーと紺のスクール水着はごく最近見た記憶がある。
 いつだったろう…?そう思って考え、思い出したとき、事実と記憶が線で繋がってしまった。
 7月の中ごろ、私はわざわざ小学校の頃に使っていたそれらを部屋の中から探し出して学校に持っていった記憶がある。
 持っていったことに疑問など感じなかったけど今見せられているこの映像は、あのときの出来事なんだ。
 理解してしまうと、あとは映像を見れば見るほどに記憶の糸を手繰り寄せるように記憶が甦ってくる。
 私はこの後何をしたっけ?
「これ着てオナニーしろよ」
 そうだ、今の私の身体にはキツい小学生時代のスクール水着を強引に着て言われるままオナニーをしたんだ。
 そしてみんなが見ている目の前で絶頂を迎えるとスクール水着でキチキチに締め上げられてる身体を撫で回されて…お尻に…。
 そこで記憶が途切れた。お尻にも何かされた記憶がある。お尻が妙に疼く。けど、何をされたか思い出せない。
 画面を見ていれば分かるだろうけど、このまま見ていていいものか…。何かとてつもなくイヤだったことのような…。
 悩んでも解決せず画面に集中すると、少女がキツい水着をずりずりと一生懸命に着ているところだった。
 どう見たって着られるわけがない小さなそれに豊満な身体を懸命に通そうとしている。
 どうにかぎりぎりで脚の付け根まで入り、ようやくと言う感じで豊満なお尻を詰め込む。
 ああ、今にも破れそう。
 だけど思ったよりも丈夫らしくて元々2つに割れてるお尻をきっちり4分割するほど食い込んでいるのに破れる様子はない。
 余りにキツくて気持ち悪かったことを身体が覚えてる。
 だけど画面の中の少女はそんな感情すら微塵も見せずに次の関門である胸へと水着を上げていく。
 どう見積もっても丈が足らない。胸の先はギリギリ隠せそうだけど、きちんと着ることは不可能そうだ。
 このとき私はどうしたっけ…?はっきりと思い出せないけど、妙に股間が気になる。
 少女は無理を承知で腕を通し、肩紐を肩にまで上げようとしている。
 すると、2人の男子がそれまで少女の独壇場であった机の上に登った。
 思い出した!思い出した途端、私は股の…大事なところを締め上げる激痛を思い出した。
 思わず股を押さえるけど、記憶とともに甦った激痛の感覚は押さえようがない。
 画面の中では…小さな水着を無理に着せるために二人の男子が水着だけを持って少女の体を持ち上げ、揺さぶっている。
 最初のうちは股間全体をきちんとおおっていたはずなのに、まずお尻のほうがハイレグからヒモパンになり、それに追従するように股間のほうもひも状になって大事なところに潜るように食い込んでいってしまった。
 脇からぐにゃりと溢れてしまったヒダがしっかりと撮られている。
 こんなはみ出ている状態を撮られるなら全裸を撮られていたほうがはるかにマシだろうに。
 少女の身体が2人の男子によってゆっさゆっさと揺さぶられるたびにヒダはねじれたり、さらに大きくはみ出たりとまるで生きているミミズのようにのた打ち回っている。
 そう、ミミズだ。赤黒い色といい、ぐにゃりとした質感といい、ミミズにそっくりだ。あんなものが私の身体にあるなんて…。
 しかもそんなものがあるせいでこんなに股が痛いなんて…。
 なぜかそのヒダが恨めしく感じられ、股に当てていた手でパンツ越しにヒダをきゅっとつまんだ。
「痛いっ!!」
 こんなに敏感なところだったなんて、今まで触ったことがなかったから知らなかった。
「痛いか?暗示は完璧なようだな。記録を見ることでそのときに体感した感覚が甦るんだ。こんなに食い込んでいたらさぞ痛いだろうな」
 叫んだ理由は勘違いされたけど、あながち間違いじゃない。それに何もされてない私の股が急に痛くなった理由も知ることができた。
 しばらくして画面の少女はやっと水着を着られるに至った。
 何度も揺さぶられることによって水着の生地が縦に伸びやすくなったのだろうか。
 そんなことはない。股の部分は信じられないほど食い込み、本来ロウレグのスクール水着がハイレグに…お尻に至ってはTバックになり、肩もかなり食い込んでいて猫背の状態から直立できないままでいる。
 多分、少しでも身を起こしたら肩か股かどちらかが破れると思う。
 胸も相当キツいようで、肩ヒモ状になる直前の部分で上手く先端を隠しているけど、乳房の部分はほとんどが水着からはみ出している…というか押し出されている状態になっている。
 まるでSMで緊縛されているみたい。
 きつくて気持ち悪いはずなのに、身体を締め上げる感覚が少女の気分を異様に高揚させる。
 その画面を見ている私までもが高揚してしまう。
 しかも画面の少女はそのままヒザを付き片手を胸、片手を股間に当てて…オナニーを始めた。
 あ、ああ…。気持ちいい…。
 自分で自分の身体を触るのだからツボは十二分に心得ている。
 その触っている感覚が、今の私がそうやって触っているわけでもないのに甦ってきてしまってこの上なく気持ちいい。
 思わずヒダをつねっていた手をその感覚に合わせて動かしてしまう。
 記憶に残っている気持ちよさと、今触って発生している気持ちよさとが相乗効果を成して、全てがどうでもいいような気持ちになってくる。
 いけない。こんなところで我をなくしちゃ、こいつらの思うがままになっちゃう…。
 分かっているのに気持ちよさには勝てない。
 指が勝手に敏感な部分をソフトに、ハードにとさする。
 回りの視線が痛いほど感じられる。男だけじゃない、女子までもが私の手の動きに注目してる。
 男に見られるのもイヤだけど、同じ女子にまでこんな姿を見られていることがとてつもなくイヤ。
 見られないように足を閉じようとするけど、そうすると一番気持ちいい場所が触れない。
 その場所を触るためだけに身体が言うことを聞いてくれない。
 そんな葛藤をしていると…その葛藤も興奮材料の1つだったのか、一気に上り詰めていく。
 あ、ダメ…イッちゃう…。
 身体がふわりと浮くような感覚。ダメ、いま堪えないと一番恥ずかしい瞬間をみんなに見られちゃう。
 見られているのにイきたくなんかない。だけど、身体が止まってくれない。指が止まってくれない。
 イヤ…イヤ…イヤ、イヤ、イヤッ。
「いやあああーーっ」
 ビクビクゥッ!!ビクッ、ビクッ!
 全身が痙攣して、閉じようとしていたはずの足を目一杯伸ばして私はのけぞった。
 目は開いているはずなのに、全てが真っ白に映って何も見えない。
 こんな…こんなすごい感覚があったなんて。
「ねえ、次はアレでしょ?用意しなくていいの?」
「用意って何のだよ?…ああ、必要ねえって。何のために感覚が甦るなんて面倒な暗示を掛けたと思ってんだよ」
「ああ、そういうこと」
「けど、このままじゃまずいか。アレ用意しとけよ」
「オッケー」
 声だけは耳に入ってくる。
 確たる意味までは理解できないけど、次の行動に何かあるらしい。
 今まで感じたことのない、これぞエクスタシーと言わんばかりの絶頂感。
 その余韻に浸ってたけど、その言葉が気になる上に気をしっかり持たなくちゃいけないと言う思いが重なって、上手く動かせない身体を必死に起こそうとした。
 身体が言うことを聞いてくれないせいで自分がイモ虫になったような感覚に陥る。
 きっと正常な状態だったら動かないことが歯がゆく感じられただろうけど、気にならないのは気持ちいいからだと思う。
 余韻のおかげか、もそもそとけだるく動くほうが却って気持ちいい。
 やがて目に像が映るようになり、その映像が脳にまで到達するようになるといくつもの視線が私に向いている様子が見られるようになった。
 だけど気にならない。見たければ、勝手に見ればいいんだから。
 上半身をやっと起こせた私は、真正面にある画面を再び直視することになった。
 画面の中の少女は泣いている。今の私とはえらい違いだ。
 泣き声の大きさが気になったのか、誰かの手によってボリュームが少し下げられる。
 音が少し聞き取りにくくなったけど、音なんて大した意味を持っていない。
 机の上で全身を振るわせながら泣く少女。私にはそれで十分全てが理解できる。
 画面にいくつもの手が乱入してきた。
 男たちの手だ。
 少女の身体を撫で回している。
 少女は泣くことのほうが必死のようで、感じるどころではないみたい。
 きっと受け入れれば気持ちいいだろうに。この少女には嫌悪感しかないんだ。なんてもったいない。
 しばらく何本もの手が少女の身体をまさぐっていたけど、透明な棒状の物体を持った手が現れた。
 あれは…何?
 ぼんやりと眺めていると、その物体は引っ張られて倍くらいに伸びたところで真っ二つになった。
 そのうちの片方が別の手に渡る。受け取った手はそれを流し台に持ってゆき、蛇口をひねるとその中に水を入れ出した。
 理科の実験道具で似たものがあった気がするけど…。
 やがて筒の中が水で満たされると、さっき分割された片割れが筒の口にあてがわれた。
 と、下から水が流れ出て…。その様子を見てそれが何であるかやっと理解できた。
 あれは、注射器だ。目を凝らしてみれば目盛りもうっすらと見える。
 多分、あれは500ccサイズの注射器。理科の実験で使ったことがある。
 あんなもので何を?少女が水着を着ているから水鉄砲の要領で少女を濡らして楽しむ?…違う、そんな記憶はない。
 もっと違う何かをされた気がする。
 なんだったろう。
 水で満たされた注射器は机の上で泣き崩れたままの少女のお尻のほうへ。
 お尻と注射器だけが映るように画面がアップになると、私のお尻に妙な疼きが戻ってきた。
 ものすごい嫌悪感が全身を襲い、けだるさが一気に吹き飛んだ。
 このまま見ていちゃいけない。心の中で警報が鳴り響く。この先は忌むべき記憶。思い出してはいけない。そう心が叫ぶ。
 なのに…。なのにどうしても目が逸らせられない。
 さっきまでの心地よかった感覚はどこへやら、天国から一気に地獄へ落とされたようなイヤな感覚だけが全身を襲う。
 脂汗が一筋、頬を流れ落ちる。恐らく今の私は顔面蒼白になってる。
 全身がガタガタと震えて止まらない。
 なに?一体なに?
「目は逸らせないぜ。さっき言っただろ?」
 誰かが私に話しかけた。
 そうか、これも暗示なんだ。このままじゃ見たくないものを見せられちゃう。どうしたら…?
 必死に策を考えている間も画面は展開していく。
 2人が両側から少女のお尻に手をあてがって、思いっきり広げてる。
 水着はまだ破れてないから大事なところが映ることはないけど、キツイ水着のフチに締め上げられているヒダがしっかりと露出している。
 なんて痛々しい。
 目を逸らすことが出来ないまま見つづけていると、片側の手がひも状になっている水着の股の部分に指をかけてズラし始めた。
 でも、大事な…アノ部分じゃない。
 アノ部分よりももっと後ろ…お尻のほうをずらそうとしている。
 がんばってるけど水着がキツイからなかなかずらせない。
 少女も何をされているのか不安になっているようで、時々お尻がプルンと揺れる。
 しばらくして、男たちが二言三言話し、ついに注射器が動いた。
 先端を…見えるか見えないかの少女のお尻の穴にあてがったのだ。
 冷たい感覚に女の子がビクリと震えた。
 同時に私のお尻にも冷たい感覚が甦る。
 まさか、あれは…。
 そのままずぶずぶと先端がうずめられてく。
「う、うあああぁぁ」
 他人の手によって冷たくて硬い異物が、本来出口である穴を逆流する感覚。
 あまりのことに、思いっきり叫びたいんだろうに…。場所が場所だけに鼻から抜けたような力ない叫びしか口からは出てこない。
 信じられない出来事と感覚の記憶が甦った。そうだった、この後、私は浣腸をされたんだ…。
 しかも1回や2回じゃなかった。
 画面の中のピストンが押され、シリンダー内の水が見る見る減っていく。
「ふぐううぅぅ…」
 冷たい水が少女のお尻の中を埋め尽くしていく。
 このときかなり強い力でピストンを押していたようで、下腹部の奥に水が腸に当たっていると言う感覚までもが甦った。
 1回目はあっという間に流し込まれた。
 カメラが切り替わって少女の顔を映し出す。
 どうやら2つのカメラで同時に撮っていたようで、1回目を挿す直前からの映像らしい。
 初めて異物を挿入された驚愕の表情に続き、水を流し込まれたなんとも言い様のない、驚きと恥ずかしさと切なさと苦しさと、他にもいろいろなものが入り混じった少女の苦悶の表情が画面一杯に映っている。
 こんな恥ずかしい顔を撮らなくてもいいだろうに。
 気を紛らわせるためにわざとそんなことを考えた。一番恥ずかしい感覚が私の身体を、お腹を苦しめはじめたから。
 画面の中では2回目の注入が始まっている。
 500ccだったんだから合わせて1リットルにもなってしまう。
 …違う、このとき3回入れられた記憶がある。それに500ccサイズでもシリンダー一杯に入れたら700ccくらいは入りそうな長さなのだ。
 単純計算でこのときは2リットルも入れられたことになる。
 ボリュームは絞ってあるはずなのに、3回目が注入され出すと、ビブラートとクレシェンドの効いた少女の鼻声はこの上ない絶叫となってスピーカーを揺さぶった。
 私の体内にも変化が表れていた。おぞましい感覚…お腹を壊したときの限界のような感覚だ。
 トイレに…おトイレに行きたい…。
 だけど身体が動かない。画面を見ることが最優先になっているから。
 ここがトイレで、このまま一気に吐き出せたらどんなに楽だろうという思いがよぎる。
 画面の脇に立ってる男が、私の様子をうかがっているのが見える。
 男たちは私の中の葛藤に気付いている。
 なおさら私は便意に身を任せることが出来なくなってしまった。
 画面の中では四ん這いになった少女が白い流し台にお尻を向けて、うめきながらお尻を振って堪えている。
「出したくなったら出していいんだぜ」
 スピーカーから聞こえてくる、なんて優しい言葉。
 だけど少女は理性だけで我慢し続け、その苦悶の表情を画面に延々と撮られ続けることになる。
「お前も相当苦しいんだろ、腹が」
 突然、画面の脇に立っている男が私に向かってしゃべり出した。
「だけどな、そのまま出されたら俺たちもたまったもんじゃねぇんだ。そいつの言う通りにしてオムツを着けてもらえよ」
 オ…オムツ!?
 男があごで示した先にいた女の子の手には確かにオムツが握られている。
 オムツがどんなものかは当然知ってる。まさかそんな恥ずかしいものを私に着けて、しかもここで洩らせと言うつもりじゃ…!?
「はーい、それじゃ、赤ちゃんみたいにゴロンちようねぇ」
 近付きながら私の身体に指示をする。
 私の身体は手足を亀のようにきゅっとちぢ込ませて、言われた通りゴロンとそこに転がった。
「やだぁ、この子、手までにぎにぎしてなりきってるぅ!」
 好きでなりきっているわけじゃないのに…。
 女の子はケラケラと笑いながら私の足の間に割って入った。
「まず、これは邪魔よね」
 そう言ってするりと私のパンツを脱がしてしまった。
 下半身が丸裸になる。当然、今この時もビデオに撮られているというのに。
「ねえねえ、どーせなりきってるなら、本格的にやんない?」
「本格的にって何をよ?…ベビーパウダァ?あんた、そんなもんどこに…。いらないわよ。どーせ10分もしないで汚れるんだから」
 それは、画面の少女があと10分持たないことを知った上での発言だろう。だけど私までもが10分持たないと断言してしまうなんて酷い。
「はーい、じゃオムチュ、かえまちょうねー。まずは腰を上げられまちゅかー?」
 赤ちゃん言葉が小憎らしいけど、指示のままに下半身だけブリッジのようにして腰を上げる。
 その腰の下にオムツが入れられた。
「はーい、いい子でちゅねー。腰をゆっくり下ろちて、あんよを大きく広げまちょうねー」
 そのままてきぱきと私の下半身にオムツをつけてしまった。
 他人にシモの世話をされる屈辱が私を襲う。
「わあー、うまーい!」
「妹がいるからね。任せてよ、こんくらい」
 この女の子の指示に従うのはオムツをつけるまで。
 つけられた途端に起き上がれるようになり、私は再び画面に視線を向ける格好に戻った。
 丈が短めで脇の大きく開いたノースリーブと赤ちゃん用のオムツ。そんな格好のまま、私の姿をした少女の惨めな映像を見させられている。これが今の私。なんて情けないんだろう。
「ちょっと早く終わらせすぎた?」
「問題ねぇよ。おまえが手馴れてるのは知ってたからな。早送りしてスタンバイさせてんだ」
 一時停止状態だった画面が再生ボタンを押されることで動き出し、少女が我慢できなくなった直前から再生が始められた。
「うむむううーっ」
 必死の我慢の限界を迎え、少女は肛門の筋肉を緩めて排泄のために腸をうならせた。
 最初は液体が派手に噴出。水着のフチからわずかなしぶきが八方に飛び、しぶきになりきれなかった液体は水着を汚しながらぽたぽたと机の上に落ちていく。
 だけど勢いが途中で止まった。固形物が残っていたのだ。
 固形物は腸から押し出されつつも、外に出ることは出来ない。きつい水着が出口を塞いでいるから。
 崩れやすくなってるならまだしもしっかりとした形を残している固体を押し出すことは不可能だった。
「お、おおお…。くおおぅぅ…」
 いくら踏ん張っても出てくれない固形物。
 その苦しさは私に吐き気を催させるほどだ。
「そんなもん、てめぇて水着ずらせよ」
 こんなことに時間を割きたくないという感じで、だれかが冷たく言い放つ。
 少女は言われたとおり、手を後ろに回して水着を必死にずらそうとした。その結果、
 ビリッ!
 見た目よりも乾いた音がして水着の股の縫い目が裂けた。
 その音がきっかけだったかのように少女の詰まっていた汚物が一気に動いた。
 ブバババッ!
 お尻の穴をずっと塞いでいた固形物が流し台の底に叩き付けられ、白かった流し台が瞬時にして黄土色に変化した。
「い、いやああーっ!こんな、こんなの見せないでっ、見ないでっ、いやあーっ!!」
 私は訴える。だけど目がそらせられない。
 男たちは、そんな私と画面の少女とを交互に見て笑っている。
 私のほうはと言うと少女と一緒になって意思とは関係なく軟便をオムツの中に吐き出してしまった。
 どろどろとした熱いものがお尻にまとわりついているのが分かる。
 気持ち悪い…。自分が出したものとは言え、汚物がお尻にべっとりとくっついている。
 と、再びオムツ替えの上手な女の子の登場。私はまたもゴロンと寝かされ、みんなが見守る中、汚物がたっぷり詰まったオムツを広げられた。
「かあーっ、くっせぇーっ」
「うわっ、マンピーまでイッちゃってんじゃん」
「きったなーっ」
 あまりに酷い言葉の暴力に、目頭から涙がこぼれる。
 腰まわりに付着した汚物を優しく拭かれれば拭かれるほど、惨めさが浮き彫りになる感じがしてくる。
「おい、お前、クソぶちまけた後どうなったか覚えてるか?」
 私はうなずいて答えた。
「寝ているあなたの上に乗って、あなたのソレでお尻の処女を失いました」
「よく覚えてんじゃん。んじゃ、そのときのことを、今お前さんのケツを拭いてるヤツを相手に実演してみせな」
 その命令に疑問が沸く。今私のお尻を拭いているのは、女の子だから実演と言っても…。
 そう思って頭を上げると、女の子の股間には真っ赤なこん棒が生えていた。張り型…?
 ソレが張り型であると確認した途端、私の身体はガバッと起きあがり、女の子を押し倒した。
「きゃっ!?」
 そのまま女の子の上に乗り、張り型を手に取った。
 うそ…やだ…。
 ひざを折り、腰の位置を下げ、張り型の中ほどを掴んで先端をお尻にあてがう。
 そんな…だめ…。
 先端がピトッとお尻の穴に当たる。
 激痛だけの記憶が甦る。
 これ以上、腰を落としちゃいけない。必死に腰を上げようとした。だけど、暗示のほうに優先権があるらしい。
 もう押さえられない。だけど…いや…誰か助けて。誰か…。
「いやあああぁぁぁーっ」
....おわり
−−−  男[最期の選択]  −−−
 帰りの電車の中。久しぶりに朝から何もされずに来て、潮の香りもしなくなった頃。
 ボックス席の正面に座ってた1人がすごく普通に話し掛けてきた。
「お前に3つの選択肢をやる。帰るまであと1時間くらいか。それまでに決めとけ」
 1つは、このままこれっきりで縁を切ること。そのとき、私に関するものは全て処分してくれると言う。
 2つめは、現状を受け入れてこいつらの仲間になること。こいつらが飽きるまで…もしかしたら一生その関係が続くかもしれない。
 3つめは、奴隷…性奴という暗示を受け入れて今までの本来の私を捨て去ること。人間以下の扱いを暗示によってされることもあるらしい。
 1人でじっくり考えろと、私はボックス席に1人残された。
 無条件で1番目にするのが当然。最初の10分くらいはそう思っていた。
 なのに知らないうちに私の中には、本来ならありえない葛藤の要素が生まれてしまっていた。
 この旅行の間だけでなく、処女を奪われた日からの散々な出来事が走馬灯のように浮かんでは消える。
 決していい思い出ではない。はっきり言ってしまえば今すぐにでも忘れてしまいたい忌むべき記憶ばかり。
 でも…こいつらと完全に縁を切って良いのだろうか。後悔はしない?
 こんなことで迷っちゃいけない。迷っちゃいけないはずなのに…。
 1時間という間は長いのか短いのか。考えれば考えるほどいろいろな考えが浮かんでしまう。だけど、簡単に決断が出来ない。
 私はどうしたらいいの…?

 それから1時間後。
 私たちが住む街の駅のホームには1人の少女が立っていた。
 ぶかぶかのノースリーブとスケスケの白いマイクロミニスカート。下には何も着けていないその少女の顔には満面の笑みが浮かんでいた。
....おわり
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