目次
−−−  第1章  −−−
 「アツーッ、クーラーくらい入れろっての」
「無理無理。そんな甲斐性、あるわけねーっての」
「アハハハ。理事長も苦労してんのにね」
「なになに、あのハゲッは苦労の現れ?キャハハハッ」
 ざわざわと騒がしい体育館を埋め尽くしているのは白い夏用のセーラー服を身にまとった女子高生たちだ。
 1年から3年の700人が勢ぞろいしている。
 ちょっとした朝礼程度ならば立ったままで行われものだが、全員事前に用意されたパイプ椅子に座っている。
「ねぇねぇ、くらくなーい?」
「くらーい。あ、電気がついてないからだよ。ンだよ、ケチってんじゃねーよ」
「あー、ヤダヤダ、せこい貧乏主義!」
 1年生の美奈子は周りで騒ぐクラスメイトに苦笑いしつつ、見上げてみた。
 すると確かに数メートルおきに吊るされている強力な白銀灯が数個に1個の割合でしか点灯していない。
 さらに2階席の窓には暗幕、両サイドに4つある鉄製の出入り口はぴったりと閉じられ、真後ろの出入り口にも暗幕がかけられている。
 ついでに言うと、使用時には必ず回すはずの天井についている換気用ファンも回っておらず、ただでさえ暑くなり始めたこの時期に、体育館内をより暑くさせている要因の1つになっている。
 そんな状況をいぶかしく感じた生徒が数名。1年生の美奈子もその1人だ。
 これまでも数回…、隔週ペースで過去5回同じことが行われていたが、いずれもさして暑くない日だったから気にもしていなかった。
 しかしよくよく考えてみれば、全校生徒700人からが集まればそれなりの熱量が発生する。
 余分な熱量を増やさないために照明を落とすのであれば窓やドアを開けてしかり。暗幕など必要もないだろう。
 それに普段の集会ならば生徒たちの周囲に立っているはずの教師陣が見当たらない。
 この広い体育館の中で大人と呼べる人物はさっきから舞台に立ってにこにこしている理事長ただ1人だ。
 そう言えば席の並びもおかしい。1年が最前列、ついで2年、一番後ろに3年という具合にまるで入学式のようになっている。
 これも普段の集会なら各クラスが縦1列になって端から順に1年1組から3年6組までがずらりと並ぶ形式をとっているのだ。
 何気なく体育館全体を見渡そうと振りかえったとき、美奈子は異様な光景に気がついた。
 騒いでいるのは1年だけなのだ。
 2〜3年は、この暑い中、襟も乱さず整然と座っている。
 変だと思いはじめると切りがない。しかし暑さと騒がしいクラスメイトたちに邪魔をされて美奈子はそれ以上の詮索ができなくなった。

 「さて皆さん。私の声が聞こえますか?」
 それまでにこにこしていただけの理事長がマイクも何もなしにしゃべり始めた。
 途端に、それまで騒いでいた1年が静かになる。
「よろしい。では始めます。1年の生徒諸君はこれが6回目でしたね。今回は少し本格的にやります」
 マイクなどないはずなのに、理事長の声はギリシャのコロセウムでオペラ歌手が出す声のように体育館全体に響いていく。
 初老の理事長の外見通りに声は細いのだが、その声はなぜか全生徒の耳に確実に入っていくのだ。
「さて、あなた方は誉れ高き日本女子です。大和撫子です。分かりますね?大和撫子です。大和撫子はバカ笑いなどしません。暑いからと言ってみだりに足を大きく開いたり、スカートでパタパタと仰ぐなど持ってのほかです。大和撫子は奥深しく、高潔で、純潔です」
 不思議なことに大和撫子と言う言葉が理事長の口から発せられるたびに理事長ではなく理事長の言葉に集中してしまう。
 眼は理事長だけを見ているのに、理事長の姿は脳にまでは届いていない。
 美奈子はそんな不思議な感覚に引きずり込まれていった。
 いや、美奈子だけではない。全生徒が同様に理事長の言葉に集中している。
「あなた方は大和撫子です。大和撫子は…」
 理事長はそのまま大和撫子が何たるかを延々2時間も繰り返し繰り返ししゃべりつづけた。

 キーンコーンカーンコーン…。
 突然の鐘の音に全員がはっと我に返った。
「もうこんな時間ですか。今回はこの位にしておきましょう。では椅子を戻すように言われたクラス以外は解散してください」
「けーっきょく何だったんだろうね、今の?」
「さぁ?別にいーんじゃない。かったるい授業と変わらないんだしぃ」
 不思議なことに2時間も費やしたと言うのにその内容を覚えている生徒は一人もおらず、覚えていないことを疑問に思うものもいない。
 わたり廊下から廊下へ、そして各自の教室へ戻っていき、誰も何の疑問も抱かないまま普通の授業が開始される。
 翌日にはそんな集会があったことすら忘れてしまうのだった。
 そんな彼女たちを理事長室の窓から見ていた理事長は目的の達成具合を認識してほくそ笑んだ。
 そんな時、大声で話している生徒の声が聞こえてきた。
「みんな、絶対におかしいって!昨日の集会、変だと思わないの!?」
「しゅーかいぃ?何ソレ?おかしいのは美奈子の方だって。集会なんてしてないジャン」
「してないって…。じゃあ昨日の1、2時限目は何してたって言うのよ?」
「知んなーい。っていうか覚えてるわけないジャン。どうせくだらない授業っしょ」
 生徒たちの会話を偶然聞いていた理事長は少し複雑な笑みを浮かべて理事長室を出た。
「理事長先生、おはようございます」
「うん、おはよう。今日も勉学にいそしみなさい」
「はい、ありがとうございます。それでは失礼します」
 廊下に出た途端に生徒たちが礼儀正しく挨拶をしてくれる。
 見ると、3年の教室が近いせいか、どの生徒も3年生を示す赤い上履きをはいている。
 理事長は満足げにうなずくとそのまま2つ隣の職員室に入った。
 ちょうど職員だけの朝の朝礼の真っ最中だったようで、ほとんどの教職員が自席についている。
「あ、理事長。何か?」
「うん。ちょっといいかな。1年に美奈子くんと言う名の生徒がいると思うんだが。そう、赤くて大きなリボンをしている…」
 すると、1人の女性教諭が手を上げて立ちあがった。春菜先生だ。
「それは多分、私の受け持ちの生徒だと思います。彼女が何か?」
「いや、たいしたことじゃないんだが。その生徒、後で理事長室にくるように伝えておいてくれたまえ」
 理事長はそれだけ言うとすぐに職員室を出ていってしまった。
 戻るときもまた廊下ですれ違う生徒たちから挨拶を受けていく。
 その心地よい礼儀正しさに暖かい笑みを返しながら理事長は自室に戻った。
 と、同時にそれまでの笑みが消え去る。
 それまで開け放っていた窓もカーテンも閉め、照明を少し落し、空調のスイッチを入れた。
 一通り準備を済ますと理事長は椅子に深く座って瞑想に入った。
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 他界した前理事長の後を継ぐ形で地方から新理事長として就任したのはほんの数年前。
 そのとき最近の嘆かわしい女子高生の実態を目の当たりにして、少なからずショックを受けたのだった。
 自分が同じ年代だった頃の女学生はもっと美しかった。優しく、高貴で、まさに高嶺の花だった。
 あの美しかった大和撫子という言葉はどこへいったのだろう?大和撫子と言う言葉に見合う女性はもうこの世にはいないのだろうか?
 そのショックから立ち直るためにも、せめて自分の学校に通う生徒だけは立派な大和撫子に育て上げてみせる、そう誓ったのだった。
 そしてその誓いを行使する手段として選んだのが催眠術だった。
 理事長は催眠術の世界ではそれなりに名の知られた男だったのだ。催眠術を使って心理治療を行う、彼の手にかかれば治らない病気も治ると言われたほど。
 まず手始めに教師陣に暗示をかけた。
 隔週おきの催眠集会を他言無用で行うには教師陣の裏切りなき助けがなければ不可能なのだ。
 1度の催眠暗示で理想とする大和撫子に仕立て上げることは理事長ほどの術者ならば不可能ではない。しかしいきなり変えてしまっては周りから怪しまれてしまうし、すぐに解けてしまうのだ。
 徐々に、しかも永続的なものにするには暗示の効果が薄くなりだす2週に1回のペースで繰り返すしかない。
 2週でたった1回の暗示をより効果的にするための手段として理事長は体育館にも手を加えた。
 完全な密室状態を作れるようにし、外部とのつながりを遮断、放送装置も2時間は切るようにした。
 そして照明を落し、耳には聞こえない超音波と、残像にも残らない一瞬の光を数秒おきに生徒たちに照射するシステムも舞台裏に設置した。
 さらにわざと室内の温度と湿度を上げることで生徒たちを暗示に掛かりやすい状態にしたのだ。
 こうして暗示をかけ続け、効果が現れるにはおよそ半年。
 そして効果を定着させるにはさらに半年。
 これが体育館での1年と上級生との差だったのだ。
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 コンコン。
「失礼します。理事長、連れてまいりました」
 理事長を瞑想から醒ましたのは、先ほど職員室で手を上げた春菜先生だった。
 その後ろから数歩送れて美奈子が入ってくる。
「ああ、ありがとう。春菜先生は下がっていいですよ。彼女はしばらく借りますけど、授業は出席扱いにしておくように」
 春菜先生はうなずくと、一礼して理事長室を出ていった。
「さて。美奈子くん。君は私に聞きたいことがあるんじゃないかな?」
 なぜ自分が呼ばれたのか分かっていなかった美奈子は、その含みのある言い方にはっとした。
「君も薄々感づいているようだが、昨日の集会は催眠術なんだ。君は掛かりにくい体質のようだね」
 理事長の衝撃の告白に美奈子は唖然とする。
「催眠術って…人の心を弄ぶってことですか?それは…」
「いや、勘違いしないでくれたまえ。心理治療、催眠治療と言う言葉を知らないかな。今の女子高生たちは病んでいるんだ。心の病だよ。その治療なんだ」
 理事長は応接用の椅子を美奈子に勧め、自分はその正面に座った。
「私も病気だとおっしゃりたいんですか?」
「ハハッ。深読みし過ぎだよ、君は。人の身体なんてものは常にどこかしらが病んでいるものだ。何を持って区別するかで病気かどうかが変わってしまうんだ」
 美奈子は黙っていたが、この理事長は何かおかしいと感付き始めていた。
「少なくとも私の判断基準では君は病気ではないと思うよ。しかし…」
 それまで背もたれに身体をあずけていた理事長は、身を乗り出すように座り直した。
「君も治療に参加してくれなければ全体の治療に支障が出るんだよ!」
 そのとき美奈子は理事長の目が急に大きくなった気がした。
 そしてその目に吸いこまれるような錯覚に襲われ、ブラックアウト…。
「おっと。心眼を強く出しすぎたかな。まあいい。美奈子くん、聞こえているね?聞こえていたら返事をして」
「は…い…」
「よし、いい子だ。では…」
 そのとき美奈子の太ももの付け根が理事長の視界に入った。
 ブラックアウトの余波であろう、少し倒れかけたときにスカートがはだけたのだ。
 瞬間、理事長は年甲斐もなく男を思い出す。
「…では、スカートをめくりなさい。恥ずかしい事ではないからね。さあ」
 美奈子は左右に放られていた手をすっとスカートのすそにまで持っていき、そのすそを掴むとそのまま手を胸元にまで上げてしまった。
 さっきまで見えそうで見えなかった美奈子のパンティが理事長の目前に現れる。
 白くて真ん中にちっちゃなピンク色のリボンがあるそれは、いかにもワゴンセール品と思しき代物だ。
 理事長はそうっと顔を近づけた。
 ほのかに少女特有の臭いがする。しばらくその臭いを嗅いでいた理事長ははっとしていったん椅子に座りなおした。
 しかし…心理治療の権威と謳われたその裏では治療にかこつけて卑猥なことをしていただけに、理事長はもう歯止めが効かなくなっていた。
「美奈子くん。暑くないかな?ここは暑いよ。非常に暑いんだ。死ぬほどに暑い。暑くて暑くてたまらないよ。たとえ夏服でも君は暑さにはかなわないよ。だけど服を脱げば涼しくなるんだ。さあ、涼しくなりたい。涼しくなるにはどうすればいいのかな?」
「はあ、はあ…。服を…脱ぐ」
 さも暑そうにあえぎながらそう言って美奈子は躊躇しながらも我慢しきれずに制服を脱ぎ始めた。
 濃紺のスカートのファスナーとホックを外して床に落とすと、セーラーに手をかける。
 脇のファスナーを上げてもそもそとセーラーから首と腕を抜いて脱ぐ。
 ブラジャーはパンティと合わせたのか、色気のない白で、カップの合わせ目にちっちゃなピンク色のリボンがついている、それなりに可愛いデザインだ。
 脱いだセーラーはスカートと合わせて椅子の背もたれにかけられた。
「これで少しは涼しくなったね。だけど服を脱いだことで、下着を着けている部分の暑さが際立ってきたんじゃないかな。急いで下着も脱がないと、汗をいっぱいかいてしまうよ。いや、汗だけじゃない。下着はやけどするほどに熱くなってきたはずだよ。さあ、急いで下着も脱ぎなさい」
 言われて美奈子は慌てて脱ぎ始めた。
「あ、熱い、熱いっ!」
 肩紐を外して腕を抜くと、ホックを前に出すためにブラジャーをぐいっと回す。
 慌てて動くたびに揺れる胸のふくらみはCカップだろうか。
 ホックを外すと熱くて持ち続けられないとばかりに放り投げ、慌てて脱いだパンティも同様に放り投げた。
 これで全裸かと思いきや…。
「足は…熱くないのかな?熱いはずだね。さあ、急いで脱がないとやけどをするよ」
 なんと、服も下着も脱いだのに、靴下と青い上履きはそのままだったのだ。
 それを指摘されて美奈子はそれも慌てて脱いだ。
 頭の赤いリボンを無視すれば、やっと生まれたままの姿になった美奈子を正面に見る頃には、年甲斐もなく理事長のイチモツはいきり立っていた。
「やっと涼しくなったね。涼しくなったけど、今度は少し寒すぎだよ。でも服は熱くて着る事はできないね。さあどうしよう?」
 美奈子は少し猫背になり両手で左右の上腕を寒そうにさすりはじめた。
「ほら、だんだん凍えてきたよ。まるでブリザードの真っ只中にいるみたい」
「さ、さむい…はあっ、はあっ」
 美奈子はとうとうしゃがみこんでしまった。
「寒さをしのぐには人と抱き合わなければならないんだ。だけどここには君と私しかいないね。どうしたらいいか、分かるね?」
 理事長がそう告げると美奈子は顔を上げ、理事長をじっと見ると体を起こしてよたよたと歩き出した。
「そう、私と抱き合わなければ君は凍え死んでしまうんだ。助かるにはそれしかないんだよ」
 1歩、2歩と歩いてやっと理事長の前に立った美奈子は倒れるように理事長に抱きついた。
 しかももう2度と離れないとばかりに裸体をぎゅっと押し付けて抱き付いている。
 理事長は自らの手を動かして美奈子のお尻に両手を置いた。
 そのまま握ったりこねたり、お尻の谷間を広げるように動かしてみたりして楽しむ。
「ああ…、あったかい…」
 美奈子がそうつぶやいたとき、理事長は最後の一線を堪えるためのタガが外れてしまった。
 美奈子の尻たぶをいじっていた手をそのまま股下へ滑りこませ、もう片方の手は美奈子の乳房へ動かした。
「や、やだ、やめて!」
 自分のほうから抱きついているというのに美奈子は触られることを拒絶する。
「いや、やめられない。私ではなく君が、ね。私の手は神の手だよ。ちょっと触っただけで君は感じてしまうんだ。この指が乳房を触っただけで君の乳首は硬くとがるんだよ。股間を触っただけで愛液をしたたらせ、陰核をつつくだけで全身が性感帯になるほどに感じてしまうんだ。分かるね?」
 返事はなかった。代わりに美奈子の身体が正直に答えてくれた。
 それまで柔らかいだけだった乳房の先端に硬い感触が現れたのだ。
 股間はあっという間にびちょびちょになり、このままでは理事長のズボンが汚れてしまうと言うほどになった。
 そしてひとたび陰核を触った直後から、美奈子の身体はどこを触っても感じてしまうようになってしまった。
「ああっ、だめえぇっ」
「そ、そんなところ…どうして…っ!?」
「くふううぅぅーっっ!!」
「も、もうだめぇ…たすけてぇ…」
 離れようにも離れられず、美奈子の喘ぎ声だけが理事長室の中にこだまする。
 普通に触るだけでも感じてしまう美奈子の身体は、要所要所を攻められると一気に上り詰めてしまう。
 理事長はあっさりとイッてしまわないように気を付けながら美奈子の身体を触りまくった。
 そしてあと少しでイッてしまうであろうという時点で理事長は美奈子から手を離してしまった。
「そ、そんな。もう我慢できないのに…」
「私は聖職者だだからね。そんな私自らの手で君をイかせるなんてできないんだよ。どうしてもイきたければ君が動くんだ。君が勝手にすることなら何も問題はないよ。分かるね?」
 美奈子は聞きながらも腰をうねうねと動かし続けている。
「だけれどもオナニーはだめだよ。私の手も使えないんだ。そう、使えるのは私のイチモツだけ。分かるね?私のイチモツを使わなければ君はイクことはできないんだよ」
 もうとにかくイクことしか頭にない美奈子はうねうねと動かしていた腰をいったん引いて、理事長のズボンを下ろし始めた。
 理事長のズボンの股間を中心にした一帯は予想どおり美奈子の愛液で汚れまくっている。
 そのズボンを何かに取り付かれたようにずり下げ、その中にあったパンツも脱がすと現れたイチモツを美奈子はぎゅっと握った。
「おおぅ!」
 直後。
「ふぐうっ!!」
 美奈子は理事長の股間へ自らの腰を沈め落とした。
 美奈子の背筋がピンと反り返る。
 ほんの少し、妙な間の後、美奈子は前屈みになって自ら腰を上下左右、時には回転を加えて激しいピストン運動を開始した。
 美奈子の動きに合わせて美奈子の双胸がその柔らかさを示すように跳ね回っている。
「くっ、あっ、つっ、はっ、くああっ!ほっ、本当に、出たり、入ったり、いっ、いや、いや、いやああぁぁっ!!」
 最後の雄叫びとともに美奈子の膣がキューッと収縮し、美奈子はそのまま理事長の胸元へ倒れこんだ。
 理事長は、自分はまだ終わっていないのに、とぶつぶつ言いながら美奈子を抱えて自分の上からどかした。
 いきり立ったままのイチモツがスリットからずるりと抜ける。
 この憤りを鎮めるためにフェラチオでもしてもらおうかと思ったとき、イチモツに絡まる愛液が赤いことに気がついた。
「!?しょ、処女だったのか…」
 大和撫子を現代に甦らせるという崇高な目的の元、危険分子を処理しておこうと思っていただけだったのに、よりにもよって自ら禁忌を犯してしまったという思いで理事長のイチモツは一気に萎えた。
 黙り込んだ理事長はウェットティッシュをケースごと取り、うつ伏せのままの美奈子の股間の前に座って優しく美奈子の股間を拭き始めた。
 ティッシュを巻いた指をスリットに入れて届く範囲も拭いていく。
 時折痙攣すると新たな液が奥のほうから出てくるが、ある程度拭き終えた股間をじっと見つめていた理事長は美奈子をきちんと座らせて再びその正面に座った。
「美奈子くん、私の声が聞こえているね?身体が動くようになったら服を着て身なりを整えなさい。そして理事長室に入ってからのことは一切忘れるんだ。ロストバージンの感覚が体に残っているかもしれないが、それはただの体調不良だから気にしてはいけないよ。催眠集会のことも気にしてはいけない。大和撫子の君はそんなことは気にしないんだ。分かるね?」
「は、い…」
 返事を聞いた理事長は複雑な表情のまま立ち上がり、壁に埋め込まれているのロッカーの前に立って替えのズボンに足を通した。
 汚れたズボンはビニールに入れてロッカーに押し込んでしまう。
 そうして身なりを整えた理事長は美奈子のそばに立った。
「じゃあ、手を叩いたら君は目が醒めるよ」
 パンッ!
 はっと目が醒めた美奈子はゆっくりと立ちあがり、辺りを見回して衣類を探し始めた。
 部屋の隅に飛んでいた下着を見つけると、それを身につける。
 次いで椅子の背もたれにかけてあった制服を身につけた。
 そして身だしなみを整えた美奈子は正気に戻る。
「あれっ…?」
「ああ、美奈子くん。ご苦労様。もう教室に戻っていいよ」
「は、はい」
 正気に戻った直後は自分の状況が掴めずにいたが、気にすることができずに美奈子はドアに手をかけた。
「それでは失礼しました」
「ああ、美奈子くん」
「はい?」
「今日も勉学にいそしみなさい」
「はい」
 パタン。
 ドアが締まったのを確認して理事長は大きなため息をついた。
 しかし後悔してももう遅い。こうなったら次にこういうことがあったときに気をつけるしかない。
 そう心に決めて理事長は本来の実務を机に広げた。



−−−  第2章  −−−
 最近のカメラはすごいもので、撮影されている者に気付かれることなく、鮮明なカラー映像を視聴者に送ってくれる。
 女子高敷地内からいくつかの盗撮電波が漏れていることに気付いた元基はしばらく前からビデオを回しっぱなしにしていたのだが、ゲームセンターのバイトから帰ってテープを確認してみて唖然とした。
 ロングヘアに大きな赤いリボンの良く似合う可愛い女子高生が、普通と違った雰囲気で服を脱ぎ、自ら理事長に抱き付いて本番までやっていたのだ。
 音声がないので良くは分からないが、その状況は鮮明に記録されている。
 元基はそれを何度も見返して、翌日は結局大学を休む羽目になった。
 一晩のうちに同じ映像で何回ヌいたことだろう。
 眼の下にクマを作り、頬をこけさせて元基は黄色い太陽を見上げた。
 実は朝イチでそういうことに詳しい友人に連絡を入れ、テープを見てもらうことにしていたのだ。
「これは…催眠術だよ」
 知人こと衛は半分も見ないうちにそう断言した。
「催眠術?」
「そう、催眠術だ」
 言いながら衛はデッキを操作した。
「ほら、ここまでは普通なんだ。座って二言三言話した後から女の子の様子が激変するだろう?」
 映像と比較すると衛の言っていることが的確であると納得できる。
「でも、それって犯罪なんじゃ…」
「どうかな。同意の上だとしたら犯罪とは言えないだろう。先生と生徒という立場なのだとしたら、先生のほうが地位的にヤバくなるとは思うが」
「同意って、催眠術をかけられてセッ、セックスすることを女の子が同意するとでも?」
 セックスと言う言葉が言い慣れないせいか、少しどもりながら興奮気味に聞く。
「ありえないことじゃないさ。たまにいるんだ、催眠術で操られている不思議な感覚のままする性交がいいって言う女性が」
 そう、よくいると言うわけではないが、稀にいるのだ。
 たとえ稀でもこの女子生徒がそういう性癖の持ち主ではないとは言いきれないことになる。
「だが…こいつは使えるぞ。この映像を見る限りでは犯罪と言われても否定はできないからな」
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 「やあ、理事長さん。そろそろ踏ん切りはついたかな?」
 苦悩する理事長の元にやってきたのは衛だった。
 これで何度目の訪問だろうか。
「もう、私に構まわんでくれ」
「そうはいかない。あんたが屈指の催眠術師だってことは分かっているんだ。その力を使って悪さをした代償は払ってしかるべきだろう?」
「だ、だから。あ、あれは…」
 あれはたった1度の過ちだ、そう言いたかったが、言ったところで過ちに違いはない。
「あんたほどの人なら気付いているだろう。たった1つ、解決法があるってことを」
 たった1つの解決法。はっきりと言われて理事長は黙り込んだ。
 目の前にいる衛1人をどうこうしてもしょうがないし、かと言って衛の言いなりになるには理事長の良心は大きすぎるのだ。
 それを解決する方法とは…理事長の良心をなくせばいい。
 己自身に催眠を掛け、良心を小さく、もしくはなくしてしまえばいいわけだ。いわゆる自己催眠だ。
 そんなことは最初から分かっていたが、それをやってしまえばただの鬼畜に成り下がってしまう…それが理事長には怖い。
 しかし理事長に選択の余地はなかった。
 衛に鏡を付きつけられ、自己催眠を掛けざるを得ない状況にまで迫られてしまったのだ。
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 「やあ、理事長さん」
 それから数ヶ月後、理事長室に訪れた衛を見て理事長は笑みを浮かべた。
「これは、これは。衛さん。今回はまたお早いですな」
 良心をなくすとこうも違うものかと言うほど理事長は変貌していた。
 あれほど毛嫌いしていた衛を快く迎え入れ、コーヒーまで出すあたりはまるで別人である。
「申し訳ない。まだ新しい商品は出来ていないんですよ。さすがにちょくちょくうちの生徒ばかりが行方不明になっては怪しまれてしまうものでね」
「そう思って今回は土産を持ってきたんだ。ちょっと重たいんで車に積んであるんだがな」
 重たいと言うことで力自慢の体育教師を呼ぶと、衛はその体育教師を連れて土産を取りに駐車場に向かった。
 十数分後に衛と共に戻ってきた体育教師は、大きなキャスター付きの旅行ケースを押してきていた。
「なるほど、これは大きい。一体なんですかな?」
「見てのお楽しみってところだ」
 旅行ケースを理事長室に入れた体育教師がいなくなるのを待ってから衛はそのフタを開けた。
「ほお。これは…!」
 中から出てきたのはがんじがらめに縛られた女性だった。ガングロだが、素材は悪くなさそうだ。
 クスリか何かで眠らされているらしく、無理な姿勢だと言うのにすやすやと寝息を立てている。
 制服は茶色が基調のセーラーで、都内では有名なカトリック系女子高のものだ。
 だが…。
「これは本当に女子高生なんでしょうかな?こう見えても私も教師の端くれです。この制服の学校がどこかも分かるし、その学校の規律についても知っているつもりです。しかるにこの者は…」
「さすが。良く気付いたな。明らかななんちゃって女子高生だ」
 そう、規律が厳しい学校において、ガングロ、ヤマンバなどありえない。
「今回はこの女に暗示を掛けてもらう。中身こそは違うが、この制服は高く売れるんだ。中身があっていればこのままよりも5倍の値が付けられる」
 衛ははっきりとは言わないが、さして遠まわしな言い方でもないので理事長には何をすべきかが見えてきたようだ。
「分かりました。ではその女を起こしてくれますかな」
 笑みを浮かべた衛はポケットから気付け薬を取り出して女性に匂いをかがせた。
「ん、うんっ」
 刺激臭に女性の身体がピクリと反応する。
「お目覚めかな?」
 衛が声をかける。
「こ、ここは…?あんた誰!?」
 衛の声に驚いた女性はあたりを見回して叫んだ。その叫びに答えたのは理事長だった。
「ここは私の部屋です。しかし同時にあなたが変身する場所でもありますよ」
「え…」
「そう、あなたはここで華麗なる変身を遂げるんです。私の目をご覧なさい、何が見えるでしょう?私の目にはあなた自身が映っているはずですね。あなたには私しか見えないんですよ。分かりますね?」
 さすが、と言うべきだろう。女性はすでに術にはまっている。
 こうなればもう女性を縛っているロープはいらない。
 衛は暗示の邪魔にならないように気を付けながらロープを解き始めた。
「まずはあなたの名前を教えてください」
「…マコ」
「ではマコくん。変身するには脱皮が必要ですよ。まずその化粧を落としましょう。あなたの素顔は美しいんだ、その素顔をいたずらに隠してしまうのは罪ですよ。さあ、その化粧を落とし、美しい素顔を見せてください」
 理事長が命令すると、自由になった身体を動かし、理事長室を飛び出した。
 学校内に他校の生徒がいるというのは見つかればマズいが、今は授業中だからその心配はほとんどない。
 しばらくして戻ってきたマコはすっぴんになっていた。
 すっぴんの弊害として眉がないのは最近の傾向なので仕方ないが、それまでの汚くムラのある黒さが信じられないほど白っぽい肌色があらわになった。
 すっぴんになった途端に、すらりと長身のボディに気の強さを表すポニーテールがぴったりと似合うようになった。
「今後は2度と化粧をしてはいけませんよ。化粧はあなたを苦しめます。ただ、眉だけは書いた方がいいですよ。分かりますね?」
 言われてマコがそばにあったバッグをひっくり返すと、その中からはいろいろな化粧道具が出てきた。
 一番目立ったのはやけに大きな容器に入ったドーランだろうか。
 しかしマコはそれには目もくれず、鏡と鉛筆のようなものを手に取った。
 そして、慣れた感じで手早く細くて切れ長な眉を描き上げる。
「いいですね。美しいですよ。では、次は服です。かわいい制服ですね。だけど、もっとかわいくしましょう。まずは一度脱いでみましょう。分かりますね?」
 マコは立ち上がり、てきぱきとスカーフを解き、セーラーを脱ぎ、茶色いスカートを下ろすと、あっさりと下着姿になった。
 黒い上下の下着が制服と似合わず、妙に浮いている。逆にそのギャップがいいという人もいるらしいが。
「あなたはこの制服がどの学校のものか分かってますよね?この制服の学校ではルーズソックスは許されると思いますか?」
 その問いにマコは首を横に振った。
「そうですね。ではそのソックスはおかしいですね。脱いでしまいましょう。ついでにその下着も脱いでしまいましょう。清純な高校生の制服に黒い下着はおかしいですよ。分かりますね?」
 そうしてマコは理事長室で、理事長と衛の前で全裸になった。
 全裸になった女性の周りを衛がじろじろと見ながらぐるりと一回りする。
「ふむ、ぎりぎり許容範囲だな」
 胸やお尻の張りを見る者が見れば、年がばれてしまうのだ。
 実際には20歳を過ぎたばかりのマコだが、女子高生と言う年齢からは数年のギャップが生まれている。
 それをいかにごまかせるかを衛は見たのだ。
「ぎりぎりですか。そうですね。では衛さん。この娘も剃ってしまいますかな?」
 衛がうなずくと理事長は机の引出しからシェービングセットを取り出した。
「さあ、その男の人はあなたをもっときれいにしてくれますよ。そこに寝転がって、足を大きく開きましょう」
 20歳そこそこの場合、毛がないほうが幼く見られる。
 だからごまかす手の1つとして道具が準備されていたわけだ。
 衛は理事長の言いなりになって寝転がるマコに近づき、足を持つとM字に開いてその間に入った。
 立派な陰毛だがはさみで適当に切り落とし、短くなったところをクリームを塗って髭剃りでジョリジョリと剃り始めた。
 きれいに剃り上げるには結構な時間が掛かる。
 その間理事長はマコの横に座って暗示をかけ続けた。
「あなたは清純な高校3年生ですね。あなたの学校は規律が厳しいことで有名ですよ。しかしその学校の制服を着続けることで、男性からは言い寄られ、女性からは羨ましがられるんです。あなたは制服を着続けるために厳しい規律を守らなければなりませんよ。分かりますね?」
 なるほど、今回は守らなければならない規律ということで暗示をかけるのか、と陰毛を剃りながら衛は思った。
 理事長はその時々に合わせて暗示のかけ方を変えているのだ。
「規律ではルーズソックスも派手な下着も認められていませんよ。いえ、派手でなくとも制服を着ている間は下着の着用が禁止されているんですよ。分かりますね?」
 理事長はかって知ったると言う感じで暗示を続ける。
「規律ではスカートはもっと短いはずですね。そう、膝上25センチ以上だったはずですよ。でも階段などでスカートのすそを押さえることは禁じられていますね。他人にスカートの中を見られても、触られても、厳しい規律を守るために我慢しなければなりませんよ。分かりますね?」
 理事長の暗示の言葉をよそ目に衛は刃を換えて剃りの仕上げに入った。
 最後に新しい刃でもう一度剃ることでざらざら感のない肌が生まれるのだ。
「あなたは多感症です。男に触られただけで股間が熱く濡れてきてしまいます。しかし感じることは規律で禁じられているんですよ。だからあなたは感じていることを必死に隠さなければなりません。分かりますね?」
 理事長は、衛が剃り終えたのを確認すると暗示の最終段階に入った。
「私が3つ数えたらあなたは目醒めますよ。目醒めたら自分の部屋に自分だけがいるつもりで制服を着てください。制服を着終えた途端にあなたはここが理事長室だと気が付き、私たちの存在に気がつきますよ。しかし大きな声が出せず、ここから出ることができませんよ。分かりますね?」
 最後の問いかけにマコがうなずくと理事長は数を3つ数えた。
 途端に女性は、朝目が覚めたときのようにむくりと起き上がり、脱ぎ捨てられた制服を見つけてそれを着始めた。
 無論、下着は着けない。素肌にスカートを巻き、制服を着ていく。
 スカーフを締めて出来上がりかと思いきや、マコはスカートのウエストの部分を数回折り返してスカートを短くしていった。
 そして壁にある姿見の前に立ち、スカートの長さをチェックする。
 先ほど掛けた暗示の膝上25センチ以上と言う架空の規律を守ろうとしているのだ。
 膝上25センチ。小柄なら股上になりかねてしまう短さだが、長身のマコはぎりぎり股下で収まったようだ。
 マコが自身で納得できる格好になったとき、マコは突然あたりを見まわした。
 さらに衛と理事長の姿を見て驚愕する。
「あ、あ…!?」
 見覚えのある2人を怒鳴ろうとしたが声が出せない。
 幸い今は縛られてはいない。これなら逃げ出せると思いマコは部屋を見回すが、なぜか出口が見つけられない。
 マコには窓もドアも視界に入っているのに、出口がどうしても見つけられないのだ。
 ただただ、おろおろするばかりのマコは部屋の真ん中で立ち尽くした。
「おや?逃げないのかな?俺を覚えているだろう?君をこの旅行ケースに押し込んでここに連れてきた男だ。逃げないと、またこいつに押し込むぜ」
 だがマコはおろおろするだけだ。
「それともヤッてほしいか?人前で平気で着替えるくらいだものなぁ」
 からかうように言い、衛はマコに近づいた。
 マコは数歩後ずさり、机にぶつかると横にずれてさらに下がった。
 が、程なくして壁に突き当たる。
 思わず振り向くと、窓越しに校庭の風景が見えた。
「あ…ああ…。どうして…」
 外はすぐそこにあると言うのにどうしても逃げ出せないやるせなさにマコの瞳から涙が出そうになる。
 逃げなきゃ、逃げなきゃと思えば思うほど涙が止まらなくなる。
 とにかく捕まらないようにしなきゃいけない、そう思って振り向いたマコは、その考えが遅すぎたことを思い知らされた。
 衛はとっくにマコの目の前にまで着ていたのだ。
 反射的にマコは衛を押しのけて逃げようとした。しかし…。
「あ…!!?」
 衛が突き出されたマコの手首を掴んだ瞬間、マコの身体に電気が走りぬけた。
 その感覚は脳天と股間を突き抜け、マコの身体をがくがくと震わせた。
 衛がさらにマコのもう片方の手首を掴むと、さらに強い電気が流れる。
 ジワーッと何かが染み出してくる感覚がマコ自身にも分かった。
 思わず股をすり寄せてこらえようとする。
 股のほうに注意がいったために抵抗する力が半減したマコの身体は衛のいいように振りまわされて床に投げ飛ばされた。
 わずかに動いただけでもめくれてしまうのに、振りまわされたことによってスカートは大きくめくれあがり、投げ飛ばされたことで足をガバッと広げてしまった。
「いっ、たたた…」
 特に痛かった二の腕をさすりながら置きあがったマコは大きくめくれあがったスカートに気付き、慌てて足を閉じてスカートを正した。
 さっきまでのガングロからは想像できないほどシャイな反応だ。
「クスッ、かーわいいなぁ。正直が一番だぞ」
 衛は再びマコに近づいた。
 今度は膝こぞうを触る。
 普段なら何でもないところだというのに、触られたと言うだけでまたしても電気が走る。
 膝から流れた電気は直接股間を刺激してから脳に到達する。
「あ、ああ…」
 膝を撫でられただけで上ずったような声が漏れる。
 漏れるのは声だけではない。スリットからも大量の愛液がだらだらと漏れまくっているのだ。
「な、なんでこんな…」
「こんなに感じる身体じゃなかったはずだとでも言いたいのかな?でもこれは現実だ。素直に認めるんだな」
 膝を撫でていた手を太ももへ滑らしただけでさらに強い電気が全身を駆け巡る。
 体を起こしておくことすら難しくなったマコは、パタンと仰向けに倒れた。
 だが両手だけはしっかりとスカートを押さえていて、洪水になっているそこは何としても見せたくないという意思表示が見うけられた。
「あ、あ、感じてなんか…感じてなんか…」
 衛がクスリと笑う。
「感じてないのならスカートの中を見せてみな」
「いや、いやあ…」
 片手で必死にスカートを押さえ、スカートをめくろうとする衛の手をもう片方の手で押さえようとしているが、衛の手がマコの手に触れるたびにマコの身体はビクビクと痙攣を起こす。
 もう絶頂に向けて感じているという状態ではなく、迎えた絶頂が残っている状態で新たな快感を与えられて絶頂が継続してしまっている状態なのだ。
 それなのに必死で感じていないと言う辺りは、それだけ精神力が強いと言うことだろう。
 だがどんなに精神力が強くても絶頂し続ければ精神・肉体ともに限界が来る。
 だいぶ前から焦点が合わなくなってきたマコの目に生気がなくなりだしたことに気が付いた衛は、抵抗する力のなくなったマコのスカートをあっさりとめくった。
 そしてつるつるの股間の陰核の辺りをスッとなぞる。
「ひあっ、う、あ…!!」
 マコの身体か痙攣し、押し殺したような声が漏れ、そのままマコは気絶した。
「いかかですかな、衛さん」
「ふむ。簡単にイきすぎて俺はあまり好きになれんな。が、こう言う痴態を見たいギャラリーには受けるだろう」
 それを聞いた理事長は気絶したままのマコに近づいた。
「マコくん、聞こえてますね?あなたにはもう一度、旅行ケースに入ってもらいますよ。これから行くところがあなたの通う学校ですよ。目が醒めたら暗示を掛けられたことはすっかり忘れなさい。ただし暗示の内容は忘れてはいけません。分かりますね?」
 気絶している状態で効果があるのかどうかすら良く分からないが理事長は続けた。
「あなたは制服を着て全身を鏡に映したときに、暗示の内容を自分自身に反復しなければなりません。分かりますね?あなたがこれから行く学校は、先生の指示にしたがっていろいろな男性と会い、奉仕しなければなりません。それでも規律は守るんですよ。分かりましたね?」
 それから2〜3言で暗示を終えた理事長はマコから離れた。
「援交の待合室兼コスプレパブの待合室がこいつの学校か。で、そこの従業員が先生だと?良くそんなことが思いつくもんだな」
 そう言って衛は笑いながらマコを再び旅行ケースに押し込め、しっかりと封印すると再び体育教師を呼んだ。
「そうそう、理事長さん。次の催眠集会はいつだったかな?」
 引き上げ際、衛は急にそんなことを尋ねた。
「ええと…あさっての1、2時限目ですが、それがなにか?」
「俺も同席させてもらうぜ」
 衛はそれだけ言って帰っていった。
 理事長に良心が残っていればイヤな予感がよぎるところだろうが、理事長はやれやれと言った感じで席につき、通常業務を机の上に広げた。



−−−  第3章  −−−
 催眠集会の朝、衛は生徒たちが登校してくる前に学校に現れていた。
 理事長はいつものように教職員だけの朝礼をしている職員室に入り、こう言った。
「今日の集会もよろしく」
 それほど大きな声ではなかったが、その場にいた教職員全ての耳に入った途端、それがキーワードだったかのごとく教員たちはいそいそと動き始めた。
 放送装置担当の教員は2時間それが機能しないようにセットする。
 各クラス担任は生徒たちに体育館へ行くように告げるために職員室を出ていった。
 そして30分後。
 締め切られた体育館には整然と並べられた椅子に静かに座って集会の始まりを待つ女生徒たちの姿があった。
 1年生たちにもやっと効果が表れだしてきていていることは、その様子を見れば明らかである。

「さて皆さん。私の声が聞こえますか?」
 途端にそれまで目を瞑っていたものまでもが目を見開き、理事長に注目した。
「よろしい。では始めます。さて、あなた方は誉れ高き日本女子です。大和撫子です。分かりますか?大和撫子です。大和撫子はバカ笑いなどしません。暑いからと言ってみだりに足を大きく開いたり、スカートでパタパタと仰ぐなど持ってのほかです。大和撫子は奥深しく、高潔で、純潔です」
 毎月毎回、同じ言葉を繰り返して、その暗示を深層意識に刷り込むことでこの暗示は最終的な成功を迎える。
 しかし、数ヶ月前から新たな言葉がその中に加えられていた。
「真の大和撫子は、下着を身に着けません。下着を身に着けず、貞操を守るためなら命をも捨てる覚悟を持つ、それこそが真の大和撫子です。真の大和撫子は下着を身に着けません。しかしそれを他人に悟られてはいけません。真の大和撫子は悟られないように淑やかにふるまわなければなりません」
 どうやら前半は火事のときに下から覗かれるより命を捨てることを選んだ女性の話を織り交ぜているようだ。
「真の大和撫子は殿方のために謙虚にならなければいけません。真の大和撫子は殿方のためになら命をも惜しまない覚悟で日々生活しなければなりません。真の大和撫子はたとえ見知らぬ異性に恥部を触られても大声を挙げて拒絶したりしません。真の大和撫子はたとえ痴漢に出会ったとしてもじっと耐え忍ぶのです」
 そのとき、舞台の脇から衛が姿を現した。
 生徒たちは理事長に注目していて衛には気付いていないように見える。
 衛の存在を唯一認識した理事長は、言葉をそれまでのものからがらりと変えた。
「あなた方は大和撫子です。しかしいま下着を身に着けている者は違いますね。下着を身に着けているものはその場で立ちなさい」
 すると2年、3年では皆無だったが、1年の中で数人が立ちあがった。
「立ったあなた方は今すぐその場で全裸になりなさい。そして下着類だけを持って舞台の上に来るんです」
 するとその数人の女生徒たちは、その場で制服を脱ぎ、下着を脱ぎ、上履きまでも脱いで丸裸になった。
 身なりを整えて一糸乱れず整然と座る全校生徒の中でランダムに立った数人が恥ずかしがる様子もなく全裸になっていると言う光景は見ていて不思議である。
 全裸になったものから順に、ブラジャーやパンティ、スリップスカートなどを手にした生徒たちがすたすたと歩いて舞台の上にやってきた。
「下着類はその紙袋の中に捨てなさい。ここにおられる殿方は、下着を身に着けていたあなた方にバツを与えます。あなた方は列をなして殿方に身を任せなさい」
 すると全裸の女生徒たちは衛が持っていた紙袋に下着類を放りこむと、舞台の最前面で全校生徒にお尻を向ける格好で並んだ。
 衛は直立して並ぶ女生徒たちに近づき、ポケットから缶を取り出した。
 フタを開けるとその中のゼリー状の透明な物質を指先に取り、その生徒のスリットに押しこむように塗りつける。
「ん…っ」
 思わず漏れる声は反射的なものだろうか。
 ただでさえ直立と言う格好のせいで塗りづらいのに、女生徒はわずかに腰を引いてしまう。
 陰核はもちろん、小陰唇のヒダの間から、膣に至るまで塗りたくり、さらにはお尻の穴のほうまで塗っていく。
 全校生徒の側から見れば、ぴったりと閉じられた股の間から衛の指が前後に動いて突き抜けているのが見えるはずだ。
 女生徒の股間にたっぷりと塗り終えた衛は隣で立つ全裸の女生徒の前に座り、同様にゼリー状の物質を股間へ塗っていった。
 最終的に8人の生徒たちにゼリー状の物質を塗り終えると衛は手を拭いて理事長の隣に立った。
 8人全体を見渡すと、最初に塗った生徒は立ったまま何やらもじもじとしている。
 8人全員がもじもじとしだすにはさして時間も掛からなかった。
 衛が塗ったのは粘膜に塗ると痒くなる薬だった。媚薬成分も少し入っているそれは、ウルシの汁のようにかぶれることはないが、痒さはその比ではないのだ。
 しかもその痒さは半日も続く。
「いま殿方が塗った薬は真の大和撫子になるための薬です。どんなに痒くても、手で直接掻いてはいけません。我慢することがバツであり、真の大和撫子に近づくことになるからです。分かりますね?」
 ある者は太ももをすり寄せ、ある者は腰を引き、またある者は脚の付け根辺りで手をもじもじと動かし…。
 8人はそれぞれの動作をしているが、その思いはただ1つ、股間を掻きたいけど掻けないと言うものだった。
「あなた方は今日の半日、午前中の授業が終わるまでその格好でいてもらいます。座学も、体育も、全裸で授業を受けてもらいますよ。分かりますね?」
 すると8人とももじもじしながらうなずいた。
「よろしい。では席に戻りなさい」
 8人が席に戻ったのを確認した理事長は全校生徒への催眠暗示を再開した。
「大和撫子の皆さん、あなた方の中に裸で授業を受けるものがいますが、気にしてはいけません。それが普通なのです。しかし休み時間のたびに裸でいる生徒の股間を軽く掻いてあげましょう。それは大和撫子としての優しさなのです。そして4間目の授業が終わったとき、あなた方は裸で授業を受ける生徒がいることはおかしいことに気付きます。そのときは裸の生徒に詰め寄り、全身を掻きむしって上げましょう。特に股間を」
 その暗示を聞いて衛が満足そうに笑うのを見た理事長は、再びいつもの大和撫子になるための暗示を繰り返し始めた。

 キーンコーンカーンコーン…。
 途端に生徒たちははっと我に返り、理事長の指示の元、椅子を片付けるクラス以外は各クラスへと帰っていった。
 集会を終え、衛と理事長は肩を並べて廊下を歩いていた。
「仕上がり具合はどんな感じだ?」
「まだ時期尚早かと思えますな。今日見た限りでもざっと10人近くの生徒が下着を着用していたでしょう。人数は回こなすごとに減ってはいますが、この催眠法は確実な効果を得るには1年を要するんですから」
「だが、術をかけた直後ならしばらくは強烈に残っているはずだな?」
 衛の言葉に理事長がうなずく。
 この催眠法は繰り返し学習と一緒で、刷り込まれた直後は強烈に残っているはずなのだ。
「ならば明日か明後日ぐらいなら出来そうだな」
 そうつぶやいた衛は、理事長にその旨を伝えて、そのまま準備のために早々に学校を引き上げた。
 ・
 ・
 ・
 その頃、クラスで唯一裸になっていた亜美は股間の疼きを必死でこらえていた。
 常に学年トップの亜美なら多少授業に身が入らなくても成績には影響を及ぼすことはないが、この痒さは尋常ではないのだ。
 少しでも気を緩めた途端に気が狂うのではないかと思うほどに痒い。
 手をすぐそばにまで持っていくのだが、どうしても掻くことが出来ず、掻きたいのに掻けない状態がさらに痒さを増長させていく。
 亜美はもう、授業を聞くどころか教科書さえ見ることも、教師の声を聞くこともままならない状態になっていた。
(おねがい…なんとかして…なんとか…)
 心の中でつぶやきながら、亜美はうねうねと腰を回転させていた。
 全裸で座っているために股間が直接椅子に触れているので、円を描くように腰を動かすと椅子の表面が平らだから大きな効果こそはないが、少しでも掻くことが出来るのだ。
(ああ、気持ちいい…)
 その気持ち良さに身を任せていると、後ろからとんとんと背中を叩かれ亜美はびくっと振り返った。
「何してんの、もそもそ動いちゃって?」
 気付かれた…。裸で腰を回転させていれば気付かれて当然だが、亜美はかなりあせったようだ。
「な、何でもないの。邪魔してた?ごめんね、もう動かないから」
 そう言って亜美は前を向いた。
 前を向いたと言っても黒板を見るわけでもない。
 腰の動きを半端な状態でやめてしまったために、それまで以上に痒さが増してしまった。
(掻きたい…掻きたいのに…。ああ、でも…)
 キーンコーンカーンコーン…。
 地獄の50分間の終了を告げる鐘の音が黒板の上に備え付けられたスピーカーから流れてくる。
 教師は最後に2〜3言告げて教室を出ていったようだが、机に突っ伏したままの亜美にはまったく聞こえていない。
「亜美ちゃん、どうしたの?」
 クラスメイトの声がすぐ脇で聞こえる。
 が、亜美には答える気力すらない。
 ヌルッ!
「ひっ!?」
 机に突っ伏していた亜美のお尻のほうから何者かの手が股間へと滑りこんできたのだ。
 あまりの衝撃に亜美は思わず腰を上げた。
「どうしたの、亜美ちゃん?」
 それはクラスメイトのレイだった。
 亜美が立った瞬間、亜美の股間と椅子の間からニチャッと音がして糸を引いたが、塗られた薬か、はたまた別のものかは判別つかない。
「な、何でもないの。ただ…ひっ」
 今度は前のほうから股間を撫でられた。
「ただ?」
「ただ…くああっ!!」
「どうしたの、亜美ちゃん。そんな声出しちゃって」
「だ、だって…ひああんっ」
 クラスメイトたちに股間を触られることに嫌悪感も何もないのだが、今までずっと痒いのを我慢していたそこを触られるとそれだけで声が漏れてしまうのだ。
 みると、そんなに親しくないはずのクラスメイトまでもが亜美の周りにやってきている。
 人の輪は幾重にも重なり、無数の手が亜美の股間に伸び、そこを掻いていく。
「ああっ、くうっ、ふああっ、いっ、いいっ、くあああっ」
 あっという間に痒さは気持ち良さに変わり、掻かれることが快感に変わる。
 数分もしない内に亜美は立っていられなくなったが、無数の手が伸びる腰を落とすことが出来ず、亜美は上半身を机に預けるように突っ伏した。
「あっ、くっ、ふううっ」
 あまりの気持ち良さに、漏れる嗚咽をこらえることが出来ない。
 だが、その反面、もどかしさが亜美の心の中に生まれていた。
 痒いところを掻いてもらって確かに気持ちいいのだが、どの指先も軽く撫でるだけで、逆に新たな痒みを発生させてしまっているのだ。
 しかもそんな中途半端な状態がクスリに混じっていた媚薬と重なって性的快感に変わっていく。
 お願い、もっと…そう思った瞬間、天国の10分間の終了を告げる鐘の音が黒板の上に備え付けられたスピーカーから流れてきた。
 途端に亜美の股間に集中していたクラスメイトたちはさーっとクモの子を散らすように去ってゆき、自分たちの席に着いた。
「…え?みんな、どこへ…?」
 これからと言うときだったのに、突然触られなくなった股間に冷たい感覚があった。
 いろいろな液でべちょべちょの股間はわずかに空気が動いただけでひんやりとするのだ。
 その格好で呆然としていると、間もなくして教師が入ってきて当たり前のように授業が開始された。
 結局、10分だけでは痒みを消すことは出来ず、亜美はおずおずと椅子に腰を下ろした。
 濡れた椅子が冷たくて気持ちいい。冷たさが痒さで熱を持った股間を冷やしてくれる。
 だが、椅子はすぐに温まってしまう。するとそれに合わせるように疼きが高まっていくのだ。
(ああっ、も、もうだめ…。でも、どうしたら、どうしたらいいの!?)
 あと何分で授業が終わるかも分からなくなっている亜美は普段なら絶対しない貧乏ゆすりで疼きをごまかそうとするがその程度の刺激では疼きを増長させるだけだと立証済みなのだ。
 分かっていてもせずにはいられない亜美はただひたすら荒い息を吐きつつ貧乏ゆすりに専念し続けた。
 キーンコーンカーンコーン…。
 待ちに待っていた鐘が鳴った!亜美は歓喜の声を上げようとしたが、そのとき激しい違和感に襲われた。
「あれ?亜美ちゃんなんで裸なの?」
 第一声を挙げたのは亜美の後ろに座っていたクラスメイトだった。
「うわっ、全裸じゃん!」
「なになに、なんで?」
 鐘が鳴った途端に感じた違和感が何であるか気付いた亜美は胸を隠し、身体を縮こませてクラスメイトたちからその身体を隠そうとした。
「いいじゃん、同性しかいないんだから、もっとよく見せてよ」
「そうだよ、そうだよ」
「い、いや、やめて!!」
 しかしクラスメイトたちは亜美の手をまるで万歳させるかのように引っ張り、半ば強引に立たせると、そのまま亜美の身体を反らせてすぐ後ろの机に押しつけた。
「ちょ、ちょっと!!」
 仰向けで机に押しつけられると、亜美の身体は無防備にその前面をクラスメイトたちの前にさらけ出してしまった。
 そんな状態のまま、上に挙げられていた手は机の下に回され、机の脚に縛られてしまった。
「う、嘘でしょう!?みんな、変よ!!」
 からかい半分にちょっと触るぐらいならありえるかもしれない。しかし縛られると言うのは尋常ではない。
 集まってきた何人かの手が亜美の身体を撫でる。
「ひああっ」
「ヘン?ヘンなのはこんなところで裸になっている亜美ちゃんのほうじゃない」
 亜美の身体を撫でる手の何本かは、亜美の性的なポイント、特に股間に伸ばされている。
 裸でいる異常に気付こうが気付くまいが、股間の痒みに何ら変化はないのだ。むしろ痒みの最高潮をとうに超えて気が狂いそうなほどに疼いている。そんなところを触られては…。
「くあっ、だ、だめっ」
「ダメって言っても、亜美ちゃんのココは凄いことになってるじゃない」
「そうそう。椅子だってこんなに」
「それは…」
「それは?」
「それは…」
 明らかに自分から分泌した液だけではないと認識しているのに、否定するための決定的な部分がどうしても思い出せない。
 答えに詰まっていると、誰かの指がびちゃびちゃのスリットに入れられた。
「うああっ」
「こんなに敏感になってて、感じてないなんて言えないよね。亜美ちゃん」
 そういうと、レイは亜美の裸体を撫で回すクラスメイトたちの輪に加わった。
「ひっ、ひあっ!お、お願い…っ、くあっ」
 全裸の身体をクラスメイトたちに嬲られるのはこの上なく恥ずかしいが、2時間ずっと痒かった股間を触られるとあまりの気持ち良さに違う声が漏れそうになってしまう。
 しかも、その気持ち良さはさっきの休み時間の比ではない。
 さっきの休み時間には軽くしか掻いてくれなかったのに、今は皮膚が破けるんじゃないだろうかと言うほどにぼりぼりと掻いているのだ。
 それがまた気持ち良くてたまらない。
 そんな掻き方をクラスメイトたちは亜美の全身で行っている。脇やお腹、胸は元より、腕から足に至るまでまさに全身だ。
「うう、ふうっ!だ、だめぇ…」
 ショートヘアを振り乱して懇願しているが、いったい何がだめなのだろうか。
 亜美は自由の利かない身体をビクビクと痙攣させ続ける。
(みんな、絶対にヘンよ…どうか、どうかして…るっ)
「ひあっ!」
 くすぐったさと気持ち良さとで自分自身がどうなっているかすら分からない亜美は、それでも必死に現状を理解しようとしていた。
 クラスメイトたちは明らかにヘンなのだ。
 変と言えば、教室で裸になっていた亜美も変なのだが、亜美が必死に顔を上げて見ることが出来るクラスメイトたちの表情が普通ではない。
 まるで、何かに取りつかれているような…。
「みんな、おねっ、がいっ、正気にっ…正気に戻って!!くはあっ」 
 しかし答える者がいない。
 亜美の身体を掻くのに夢中で亜美の声に気付いていないと言った感じだ。
 亜美の喘ぎ声と、股間のくちゅくちゅとした音以外は何も聞こえないそんな状態の中、亜美の足が誰の煽動もないのにクラスメイトたちが協力し合って持ち上げられた。
 亜美自身が体位の変化に気付いたのは、身体を大きく折り曲げられたときだった。
 全身を掻き回す手が減ったなと感じたとき、亜美は自分の両膝が目の前に持ってこられたことに気付いたのだ。
 最初はそろえられていた膝が開かれると、亜美にはぐちょぐちょになった自分の股間が視界に入った。
「なに…これ…?」
 自分の身体の一部とは到底思えないほどにいやらしく変化していたのだ。
「亜美ちゃんて、本当はエッチだったのね。よぉく分かったわ」
「レイちゃん…、もう、やめて…」
 この気持ち良さを継続して欲しいと思う反面、このままでは気が狂ってしまうと言う思いが亜美の口からそんな言葉を出させる。
「あら、まだまだこれからよ。だって、もう1ヶ所、とっても痒いところがあるんじゃないの?」
 もう1ヶ所…。そう、実はスリット以外にもう1ヶ所、痒くて痒くて仕方ないところがある。
「けど、まさか…そんな…」
 怯える亜美を見てレイがニッと笑い、パチンと指を鳴らした。
「ぬ、あ゛ーっっ!!!」
 お尻が上に突き出されるような体位で亜美を含めたクラスメイトたち全員に見えるようになった亜美のお尻の穴に誰かの指が1本2本と潜っていく。
 そう、薬を塗られたのはスリットだけではなかったのだ。
 お尻の穴に指を入れられることで、それまで痒くても掻くことが出来なかったその内側を掻かれ、亜美の声はいっそう大きくなった。
 何人の指が何本入っているのかすら分からなくなっている亜美のお尻の穴は引き千切れんばかりに広がっている。
 そしてそれはスリットも同様であった。
 だらだらと液を滴らすスリットには無数の手が伸びており、その内の何本かは外性器の中でも特に外にある部分だけを掻いているが、ほとんどの手は内性器に入ろうと、あるいはすでに入って敏感な部分を掻いているのだ。
「あ゛ーっ、あ゛ーっ、あ゛あ゛ーっ!!!」
(気持ちいい、気持ちいいよぅ…)
 ・
 ・
 ・
 よそのクラスでもおよそ似たような地獄絵図が繰り広げられていた。
 無論、裸の生徒がいなかったクラスではごく普通に昼休みが訪れていたが、そのすぐ隣のクラスでは絶叫がこだまし、その騒ぎを覗きに来たものは途端に暗示を思い出して裸の生徒を囲む輪に加わっていった。

 そんなすさまじいことが起きているなどとは夢にも思わない衛はインターネットを駆使して今までのお得意客に明後日パーティを決行する旨を知らせた。
 この数ヶ月間、衛は理事長と協力して時には一夜の伽として政治家や各界の著名人たちに、またある時は本番ありのコスプレクラブに、そしてまたある時はパーティの皿として、催眠術で性奴隷にした女生徒たちを売りさばいていたのだ。
 そしてその大集成として、女子高の体育館を一晩使っての大乱交パーティを計画しているのだ。
 パーティのタイトルは決まっている。「ルナティックパーティ イン ムーンキャッスル」だ。当日はセレニティなる女性が複数人に輪姦されながら司会を勤める。
 主催者は衛。男性客は今までのお得意客と、その客から紹介のあった信用の置ける新たな客。会場は先に書いた通り、女子高の体育館。用意される女性陣はその女子高の生徒たち。
 それ以外にもさまざまな客の趣味に合わせてロリ顔、老け顔、ボーイッシュ等などの女子高生を他校から招く準備もできている。
 とても1日で用意しきれるものではないと判断した衛は決行日を明後日に決めて着々とその準備を進めていく。
 これが後に、風俗界に旋風を巻き起こす衛の第1歩になるのだった。
....おわり
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