memo3.gif北京雑感 

学ぶことの意味

『北京かわら版』編集部  関口 美幸  girl2.gif

 私は今北京大学に留学している。留学一年目の第二外国語は必修なので、何とか楽をしようと考えた私は英語を選んだ。第二外国語の授業は毎週二回夜七時から行われ、どうやら成人教室も兼ねているようで、仕事帰りの年輩の人もよく見かけた。幸い授業はABCから始まり英語の苦手な私も楽々ついていけた。初めの頃は発音が中心で、授業中先生が再三に渡りhe≠ニいう単語は「ヘイ」とは読まず、「ヒー」と読みます、と注意していたところをみると、どうやらこの単語、中国人にはつい「ヘイ」と読みたくなってしまうような何かがあるのかもしれない。
 授業が終わると毎回先生の周りには質問の人だかりができた。人だかりの中には例のおじさんたちもいて「先生、he≠ヘヘイと読むのですか? ヒーと読むのですか?」と聞いている。私は心の中で、「さっきから先生が何度も言っているじゃないか、何を聞いていたんだ」と思いながら教室を後にした。
  この授業中のほんの小さな一こまが、なぜか私の心の中にいつまでもこびりついて離れない。私だったらあんな時どうするだろう。こんな簡単な単語読めなくてはずかしい、という気持ちが先にたって、後から調べればいいや、とほおっておかないだろうか。「知りたい」と思う気持ちが「学ぶ」ことの第一歩なのではないだろうか。知識へのどん欲なまでの追及、それをあのおじさんから学んだような気がした。

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