留学生が見た中国ビジネストピックス 第2回

「北京商業地区を揺るがす改築工事」

99.11.8 梅田ゆみ

《筆者プロフィール》
京都産業大学外国語学部中国語学科に在学中。'99年2月より首都経済貿易大学に漢語進修生として留学。就職活動を来年にひかえ、現在は中国語の勉強に熱中。夢はコンリーやビビアン・スーと中国語で会話をすること。

1.現在北京で起こっている最大の変化は商業地図上の変化
   国慶節50周年の前夜、北京市がおよそ1000億元を投資した改築工事が次々と完成していった。これらの大がかりな改築工事は、首都の都市建設のため、建国50周年に美しい風景を人々に見せるためだけではなく、北京伝統の商業構成に大きな変化をもたらした。
   現在北京商業の主旋律は実際商店が都市建設を中心として自分の経営戦略や投資計画を調整している。

2.王府井は“都心”商業の役目を担う北京一の街
   王府井は北京伝統商業、北京第一の街という声誉より、旅行者が必ず立ち寄る街、そしてこの街も国慶節に合わせ、2年以上にもわたる全面再建設が行われた。
   新しくなった王府井は、人民生活レベルの向上と商業の繁栄の条件を満たし、さらに人々に娯楽の場所を提供するという課題にも取り組み始めた。

   *“都心”商業区…北京の新名詞の1つ。都市の中心に位置し、交通が便利、住民の需要に影響を与える商業地域を指す。
   *1元=約13円


3. 西単が王府井からの圧力に当面している
   90年代に入ってよその地方の人は王府井へ、北京人は西単に買い物に行くと言われるようになり、商品のランクは西単が王府井を超え、若者をターゲットとした商品が多い。
   しかし、現在王府井へ客が流れてしまっている現実に対して、西単も改善を迫られている。

4.“東城富,西城闊,崇文窮,宣武破”
   この言葉は北京商業の地域格差を意味している。しかし、このような局面も変わりつつある。例えば崇文区では、崇外大街の新世界商場の建設を筆頭に、10年の時間をかけて購買力を高めようと計画されている。また、宣武地区のSOGO、菜市デパートの建設なども注目を集めている。

   *東城、西城区―北京市の東、西部に位置する地域
   *崇文、宣武区―北京市の南部に位置する地域
   *富、闊―豊か 窮―貧しい 破―おんぼろ


5. 北京市の住宅地も団地化?
   昨年下半期、多くのデパートが経営困難によりつぶれていく中で、大・中型スーパーは前例にないほど賑わいだした。これは人々が“社区購買”(住宅地域内での買い物)の傾向に流れたためと考えられている。台北では5年前にはすでにスーパー、大型の中・高レベルのデパートも“社区サービス”(例えば、デパートであっても消費者に日用品などを提供する)を開始した。

6.私見
   北京では、王府井、西単など主要繁華街だけが客の需要を満たしているわけではない。しかも、個人的な観点からみて、一般の中国人がブランド志向になるのは、まだまだ先のことと考えられる。 品物を売る側は、客の微妙な要求の変化に敏感になり、それに対応していく必要がある。
   現在の王府井と西単を比較してみると、王府井はブランド品がたくさんあるというイメージがあるが、さらに伝統的な品物も売られていて、名物的なもの、例えば飴をひと掬いで、きっちり目的の量をとることができる飴売りのおじさんもいておもしろい。それに対して西単は、若者をターゲットした店が多くあり、韓国からの流行の服もたくさん売られている。私たちもその目的によって買い物に行く場所を選択することができる。

戻る