#職人
 職人達は自らの技巧による製作/加工物によって収入を得ています。職人の種類は重要なものから そうでないものまで多岐に渡りますが、少なくとも彼と彼の家族を養って行くには十分な程の収入が得ら れる程度には必要とされています。
 職人達の多くはその性格上、村落や都市部で生活を営んでいます。小規模な村落では一つの村に 十分な種類の職人がいる事は無くそう言った状況において、彼らは共同体の財産です。職人が通商や時 には諍いの理由になる事もあります。
 中間卸が十分に発達していないこの社会に於いて、職人は同時に小売商でもあり場合が多く 見られます。

#芸人
 吟遊詩人を始め、楽師、噺家、大道芸の火吹き男から、いかさま師に至るまでありとあらゆる エンターティナーがここに含まれます。彼らは有力な貴族や王族に召し抱えられるようなごく一部の 者を除けば、その殆どが放浪の生活に身をやつしています。
 彼らの内、詩人などの口伝をその芸とする者は辺境の地においては彼らはエンターティナーで あると共に情報の伝達者、寓話の宝庫でもあります。これらの芸人達の殆どは楽人の神ドナンダーを 信仰しています。
 芸人には詩人よりもより危険でその内面に狂気を孕んだ者達もいます。こういった連中は トリックスターを崇めていて、オーランス文化圏ではこれは通常、ユールマルが相当します。
 彼らは一旦その正体がばれれば気の振れたどうしようも無い奴として扱われますが、氏族の輪 においてはしばしオーランスの傍らに席が置かれる程重要な存在でもあります。とは言え、その為に 彼らが何らかの形で優遇されることはありませんが。

#農夫
 この職業には都市近郊の大規模な土地所有者から原野で使われる農奴までが含まれますが、 一般的には自分の耕作地をもった村落や集落に住み自給自足の生活をしている者を指します。蛮族社会の 最も多くを占める彼らこそ典型的なオーランス人と言えるでしょう。
 彼らは農作物によって生計を立てていますが、野蛮な土地にあって農地を維持するには、害獣を 始め、他部族の襲撃や果ては混沌や超自然の怪物などの脅威から自らの財産を守らなければなりません。 彼らがカルトや村社会に属しているとはいえ、それらの抱える戦士達がいつも間に合うとは限らないの です。その為、蛮族社会の農夫は農夫にして戦士であることが要求されます。また、戦時や他部族への 略奪行に於いては民兵である事も期待されるでしょう。
 殆どの農夫はそれぞれの性別ごとにオーランスかアーナールダを信仰しますし、 土着の小神や精霊カルトを別にすればそれ以外の選択は事実上あり得ないようなものです。しかし、 PCに於いては他のカルトを選択する事も可能です。その場合、オーランスの平信者か入信者でなおか つ他のカルトの入信者とするべきでしょう。そういったPCは通常の農夫としてのもの以外にカルトに 応じた役割(チャラーナ・アローイなら治癒師、イサリーズなら交渉役等)を共同体において期待 されます。

#牧夫
 貴方の両親は畜獣を飼う事によって得られる毛や乳、肉などといった生産物によって生計を立 てています。オーランス文化圏で一般的な牧夫は羊飼いか、もう少し裕福なものなら牛追いでしょうが、 貴方の両親は馬丁かもしれませんし、ひょっとしたらかすみ猫やトリケラトプスあるはジャイアント・ ワスプの様な希少な動物の調教師かも知れません。
 ただし、畜獣を選択する際に山羊を選ぶことは出来ません。ブルーと同じ頭を持つこの動物は オーランス人にとっては不浄な獣だからです。
 牧夫は優れた戦士では無いかもしれませんが、それ自体が財産である畜獣を守る必要があります。 食いしんぼのトロウルや病気を感染させるブルー、あるいは略奪に来た他の部族など、彼らの敵は多い のです。

#狩人
 山林部に住み、野生の獣を狩ることによって生計を建てているのが狩人です。狩人の多くは 厳しいものの自然の恩恵にあふれた辺鄙な土地での生活に満足しており、必要に迫られない限り都市部 には近づこうとはしません。しかし、彼らに比べてまだ落ち着きの無く好奇心にあふれた年若い者ならは 都会と言う者に興味を持っているかもしれません。
 野外生活のエキスパートある彼らは、戦いに於いては優秀な弓兵でありまた斥候でもあります。  彼らの殆どは土着の狩人の神を信仰し、マリニアではオデイラがこれに当たります。それ以外の信仰 の可能性はあまりありませんが、オデイラの兄弟であるオーランスやインキン、また例外的にエルフの 生息域の近隣で貴方の両親がアルドリアミに帰化しようとするぐらい風変わりな人物であればあるいは アルドリアを信仰しているかもしれません。

#戦士
 近侍戦士から一介の傭兵まで、また、剣士を始め、騎兵、弓兵等の差を問わず自らの武力によって 口に糊する者全てが此処に含まれます。
 ゲーム上多数ある戦闘系カルトに属しているのもこの職業ですが、PCのとれる選択肢に反して、 実際に職業戦士達の殆どが信仰しているのはやはり、オーランスになります。フマクトはあくまでも 剣士の神であり、ウロックスは普段は鼻つまみ者の対混沌戦士です。PCとしては比較的メジャーなこ れらのカルトでさえ社会からみれば全くの少数派でしかありません。

#貴族
 サーターにおける貴族とは氏族長とその血縁者であり、さらには氏族を束ねる部族長、 32の部族を一つにして王国を指導する、王族と高等評議会員です。しかし、ここではもっと辺境の 村落を切り盛りするような、極めて小規模の評議会に属する者や単に多くの財産を築く事に成功した者も 含めるものとします。
 蛮族社会の貴族達は比効率的ながらも徴税制度を敷いてはいますが、これはあまり効率良く機能して いるとはいえず、辺境に行けば行くほど税収では食べていくことは出来ない場合が、殆どの場合みずからの 手に鍬を持つことになります。これらの土地では貴族の役割はせいぜい共有財産の管理人や共同体の苦情係 と言ったところです。

#司祭
 神々が実在するグローランサにおいて司祭の持つ役割は世俗への実益を伴ったものになります。 彼らは既に挙げられたカルトの精神的指導者かも知れませんし、あるいはもっと小さく重要では無い カルトの指導者かも知れません。ひょっとしたら、貴方の両親は部族でたった一人の専業マスターコス 司祭である可能性もあるのです。

#祈祷師
 祈祷師は本来、蛮族社会よりも未成熟な社会に存在するものです。しかし、蛮族社旗でも辺境に於いては祈祷師の存在する余地があります。
 祈祷師達は都市部よりも精霊に近しい、自身が結びつけられた土地の自然の中いる事を好みます。また、都市生活者も有事に際しては祈祷師ではなく司祭達を頼ります。祈祷師の地域社会に対する影響力は狭いものですが、それだけに密度の濃いものとなります。彼らは近隣の住民に対する霊的指導者であり、癒し手、霊媒、自然の代弁者、畏怖すべき存在です。
 オーランス社会に存在する祈祷師は主に、風の精霊使いで風の子との交渉役でもあるコーラートか、祖霊系のダカ=ファルを信仰する事になります。それ以外にも雑多な精霊カルトが存在しますがそれらは祈祷師の祖である、角を持つ男の下位カルトとして処理されます。

#商人
 蛮族社会の流通制度はまだまだ未発達で場所によっては貨幣を使うよりも欲しい物を直接、物々交換することもままあります。そういった事情もあって商人達はこの社会では希な存在ですし、存在したとしてごく一部の大都市を除けば、一カ所に店舗を構えてても十分な客がやって来る筈もありません。したがって、この社会の商人の殆どは行商人、交易商人といった形で商売をする事になります。
 全ての蛮族社会の商人は事実上、交易の神のイサリーズを崇めます。オーランス文化圏に於いてはイサリーズのカルトが実質ギルドの様な相互扶助と利益独占の為のネットワークを形成しているので、このカルトに属さずに商業活動を行う事は非常な不利になります。
 行商を行う以上、オーランスの御者であるマスターコスを信仰している可能性もありますが、イサリーズとの二重入信か、少なくともイサリーズの平信者として処理するべきでしょう。