我が父君の語るには
グレイズランド人の文化に関する個人的見解

original text by David dunham.
translation by tomoyuki hiroki, complement by Zebraface.


    あなたは誰なの?
       儂は”輝ける腕の”ジャロラストである。
       太陽の皇帝ユ=カルグザントの末である ”輝けるランス”ジャロラストの息子の ”夜のギャロップ”ヤランラストの息子である。

    ボクラは何者なの?
       我らは純粋なる馬の民 、素晴らしき馬の種の神聖な群れの番人である。
       余所者は我らを 草飼う民(グレイザー)と呼ぶ。
       我らは蹄の踊子の氏族に属する。
       我らの馬は二つの蹄鉄をもって焼印を押され、そして彼らは自身の素早さにおいて名高い。
       お前は我らのビーズで飾られたアンクレットによって我らの一族の者であるか否かを知ることが 出来る。そして、お前は彼女らの髪に飾られた同じビーズの飾りによって我らの一族の女性を識 別することができる。

    何がボクラを偉大にしたの?
       我らは唯一、”馬を従えし者”ハイアロールの理に付き従った民であり、馬を崇拝する者で ある。
       他の馬に乗る民は如何なる作法をもって馬を崇めるかを知らず、他の獣によって堕落してしま った者達である。

    ボクラは何処に住んでるの?
       我らはグレイズランドに生きる。セントール時代に鉄の蹄より譲り受けた土地だ。
       春ごとに各氏族ごとに分割され、 メアグレイズ渓谷の丘の上、もしくは”ジャルドンの過ちの河” の源に群を率い、冬には渓谷にて安らかに過ごす。
       羽馬の女王はノース・ポストに住まわれるが、たびたび氏族の間を旅されておられる。

    ボクラはどんな事をして生きるの?
       我らは(馬の女神)アランダイラの実りから暮らしの糧を得ている。我らは我らの群のミルクと血を飲む。重要な儀式に 於いて我らは彼の生き物の新鮮な肉を喰らい、そして女共はチーズ、とヨーグルト、 クーミス を作る。付け加えておくと、我らは我らの狩人の狩った野生の獲物、そして女共の収穫 したかヴェンドレフの育てた植物を喰らう。ヴェンドレフはたいていパンやワインかビール を作り、我らは異国風の食料を受け取る。そして、我らの土地を通過しようとする交易商人か らは衣服や黄金がもたらされる。
       我らの群の州は我らに幾多の道をもたらす。我らのテントは何頭もの馬の皮から縫われる。我ら のパンツと女共のドレスはたいてい彼らの皮から作られる。また、彼らのたてがみと尾から取 られた毛は紡がれてロープや敷物になる。

       もっとも重要なことは、馬の群れは我々の財産を運んでくれることである。
      そのおかげで、われわれは貧乏人のように、同じ場所に永久に留まる必要がない。

    ボクの人生で重要な事って何?
       お前は今や”乗り手”である。私のテントから出て行きキャンプの外周にある”乗り手”の テントへ行かねばならない。お前は群に対して責任を負わねばならないし、 家庭に狩りの獲物 をもたらさねばならない。また、戦士としての技を学ぶ事も必要だ。
       八つの年が経過した後にお前は”戦士”として認められる。そして、氏族の守りに関する 戦事に対して責任を負うようになる。お前がキャンプの入り口周辺にある戦士のテントに 住むようになり、娘の父親に充分な贈り物するだけの財産があれば、お前は結婚する事がで き、お前のテントを建てる事になる。お前の贈り物は寛大さの現れでありこの助力は彼女と 我らの氏族を一つに束ねる事になろう。

       儂の属する位は”導く者” である。指導者は直属の奴隷を選び、幾つかの集団を率いるか特 別の働きをする。かつて私が前の嵐の季にサンドームへの派遣団を率いたかの様にだ。

      時がみつれば、お前は”長老”の位に至る。これらの男達は経験に即してものを語り、そし て氏族のような大きな集団を導く。彼らの指示は尊敬に値するものだ。

       お前が死んでその身体が偉大なる積み薪にて燃やされた時には、閃光がお前の魂をユ=カル グザントの元へと運んでくれるだろう。彼の御方はお前に再生する準備が出来ているか、そ れとも地下の世界にてお前が清まれるまで時を費やすべきかを判断なさられる。

    誰がボクラを支配してるの?
       ”勇猛さに満ちあふれた”バンドロストが踊る蹄族の指導者である。全ての氏族の酋長の 様に彼はユ=カルグザントの血統である事を示す羽の帯を右腕ににまとい、また五つ星の鞭 を携えている。彼は他の貴族の家系を酋長階級からの助言を受け任命する。”力強き跳躍の” ディナリシュは助言をもたらし、精霊と共に相談に応じ必要ならば彼らに助力を求める。儂の 従兄弟のトラダリンは戦に際して十日間氏族を導いた。彼の勇猛さはグレイズランドの至る所で 知られる事となった。バンドロストは羽馬の女王に忠義を誓っている、”頭を運ぶ者”、彼の者 は羽馬の女神の力を具現化した者である。彼女の魔術が我らを一つに纏める、女共やヴェンドレ イフでさえもだ。そして彼女はトレーディングポストの法を定める。”頭を運ぶ者”は平和な 時の法である。

       バンドロストはやはり”十の群れの” ジャルサンドロンにも忠誠を誓う。彼は誰が酋長の様に彼 を補佐するか選出する。ジャルサンドロンは戦時の法である。

    立派なオトコになるにはどうすれば良いの?
       偉大なる男というものは多くの馬と奴隷を持っているものだ。そして、ピカピカと光る黄金を その身に帯びている。勇敢であり、誉れ高く、寛大であり、またその者が戦にて手に入れた 頭皮の 様に偉大なる戦士の規範に従順である。

    邪悪ってなんなの?
       混沌は悪だ。こいつは反逆の神が太陽を殺めたときこの世界を侵略した。そして、それ以来 我らはそいつらと戦い続けているのだ。
       ユ=カルグザントの法に従うことが出来なかった者は高い代償を支払うことになる。もし、生 きている内にそれが成されなかった、死後に於いてその代償を払う事となる。

       愚かなる獣をお前の群に加える事は間違った行いだ。そいつはお前の腹を満たすが、お前の 魂を養う事は出来ない。

    ボクの人生における運命って何?
       お前は弓の訓練にて将来の見込みがある事を証明せねばならない。さすれば儂が考えるに、 何時の日にか黄金弓の一員として受け入れるにたる資格を得るだろう。お前は最も 果敢に襲撃(略奪)隊に加わることでお前は素晴らしい栄誉を勝ち取ることができる だろう。上手くいくように努力 せねばならない。お前の群を増やす様に通り抜け、育む様気をつけるのだ。恐らくはお前は第二 の妻を得るのに充分なだけの財を為すだろう。

       儂が長老になるか死んでしまったなら、儂の息子達に儂の群を分け与えよう。最も年長の者、 お前は一番多くを得るだろう。ジャラスダラルはその半分より多く、メリポリティには半分を 与えればよい。

    オトコとオンナの違いって何なの?
       男共は守る者であり、分け与える者であり、導く者だ。女共は人生の力と共に来る贈り物 である。子供を躾け、お産の間中牝馬の面倒を観る。 彼女らは馬の群れの世話をし、牧草地を変える(移動する)時期を決定する。 お前が結婚した暁には、お前の嫁は言いつけに従う。しかし、 お前は言葉と行いをもってその女を気遣わねばならない。儂はお前の妹が成長すれば羽馬の女 王の庇護の元、祈祷師になるだろうと思う。しかし、儂はディナリシュにこの事を問うた、す ると彼奴は彼女は精霊の祝福を得ることは無いだろう言いおった。

    ボクラはどう他のヒトタチを扱えばいいのかなぁ?
       我らは氏族の者であれば誰であっても信じてよい。もし、お前の群が病に冒されるか盗ま れるかしたら、もしくはお前が傷をおったなら、我らの氏族はお前を助けるだろう。お前が 何か氏族の者を助ける事がができるなら、常に申し出なくてはならない。
       他の草飼う民が助けを求めてきたならお前は丁重に助力を申し出なくてはならない。しかし、 その事によってお前はその者に貸しを作ることになる。もしお前がその者を助ける必要が無 いと思ったのなら、まずお前の母親の「陽の輪」の氏族へと行くのだ。そして、「 天の弓」の 食いしん坊には気をつけるがよい。

       ヴェンドレフは我らの奴隷である。厳しく、しかし公平に扱わなければならない。重要な 事は彼らは重労働をこなし誠実であること。しかし、彼らはサーターやターシュのい とこに誘惑されがちである。

       鉄の蹄は過去に於いて我らの助力をなした者だ。そして、彼の獣の谷の民は我らの友であ る。しかし、気をつけるがよい。ミノタウロスとは良き者を指す、しかしこいつらは酒が入 るとたやすく誰が連中の友であったかを忘れてしまう。

       ドラゴニュートの都市はグレイズランドの東と北に位置する。時に彼らは我らと他の土地 の者との仲介者となる。しかし、出来ることなら連中に関わり合うのは止した方がいい。 何故なら何者も連中の行いを予測する事は出来ないからだ。

       昔、サーターが羽馬の女王に求婚し、彼女の試練に挑戦することになった。そして、 最後には女王とサーターは結ばれる事となった。この婚姻は彼の王国が良く統治される間 続くものとされた。しかし終いにはオーランス人共は手に負えなくなり、我々を襲撃する ようになった。

       その他の余所者共は、お前がその者を信用するに足ると思う働きをその者が見せるまで 疑いを持って接するがいい。もしお前の提供するものが親愛を持って行われたのなら、そ れは太陽の様に確実なものになるだろう。

       我らの戦団はしばし余所者共の国の軍に於いて仕事を行う。羽馬の女王は我らの雇い主 の信用を強固なものし、また気っぷが良くなる様に働きかける。もし彼女が雇い主を見い だすことが出来なかったら我らの戦団は速やかに余所者の地の奥深く攻め入り、価値ある 財宝を手に入れ我らが女王とユ=カルグザントの御名に威光をもたらす事になろう。

    ボクラの敵って一体誰なの?
       プラックスの部族の者、得体の知れない獣の背に乗り、遠き過去の時代に於いて我ら純粋なる 民を奴隷にする方法を見いだした我らの敵だ。守護者の丘にて我らの祈祷師が祭壇を用意し獣の 乗り手をドラゴンパスの外部に止めておる。
       トロウル、こやつらは闇に蠢き我らの馬を喰らう。つねに我らの仇である。

    ボクラのカミサマってどんな人?
      ”皇帝”ユ=カルグザントが我らの神であり、我らの善き祖先でもある。我らは彼の法に 従う。男共はそれぞれ年齢ごとに彼の子である”狩人”ダスタル、”戦士”ジャルダン、” 導くもの”ヘニルド、”長老”ジョサドを崇める。ユ=カルグザントの系譜には含まれない 男はハイアロールを崇める。また、女共は”馬の母”アランダイラを崇める。我らの祈祷師 は明けの明星と宵の明星の様な光の精霊達に触れる。そして、忘れてはならない事は我らの 群は神聖であると言う事だ。
       ヴェンドレフは彼ら自身の神を崇める。”忠実なる奴隷” ケンカッチョ 。”ひとつ手の” ケインスタル、この神はトレーディングポストを走る者である。”大地の母”アーナールダ。 ”大麦の夫”バーンター。”剣士”ハイーア、この英雄は羽馬の女王に仕えた。”小麦の夫” ロウドリル。

    ココって何をするトコなの?
       冬に於いてはメアグレイズ渓谷に氏族全体のキャンプが集い、我らは祭りと踊りを続ける。 (騎馬競争、 兎追い、chadash 、弓勝負)「馬と禿鷹」のゲーム、結婚の取り決め、そして噺を 語り唄に耳を傾ける事だ。

    (10,May.'99-修正:25,july.'02)


 この文章はDavid Dunham氏のホームページに掲載されている”What My Father Told Me”を氏の 許可を得て翻訳したものです。 原文は コチラ
 よって、日本語化に際しての文責は tomoyuki hiroki にあります。
 文中の神名等は「グローランサ年代記(潟zビージャパン)」中のものに従っています。

 かなりアレな訳なんで誤訳とかココの語感があまりにもアレ過ぎますとかありましたご指摘下さいませ。

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