―――魚が泳ぐのは水の中―――

吸い終った煙草の吸殻が、灰皿に溢れかえっていた。
パソコンの液晶画面には、ある地区の地図が映し出されている。
少しだけ仮眠をとってから、ずっと瑛里はパソコン画面に向かっている。
カーテンの隙間から日の光が差し込み始めてから、数時間が経過しようとしていた。
「ゆきぃ…?」
静かに開かれたドアから、眠そうに目をこすりながら愁一が入ってくる。
「…起きたのか」
「うん…。由貴、もしかして寝ないで仕事してたの…?」
まだ少し寝惚けながら瑛里の横から画面を覗き込む。2年以上一緒に仕事をしていれば、画面を見る
だけで何をしてるのか大体の察しがつくようになっていた。
「少しだけさっき眠った」
「少しじゃダメだよぅ、身体に悪いじゃんかっ。身体壊したら元も子もねーじゃん?」
「調べ物してるだけだ。大してきつい仕事でもないんだからどうってことねーんだよ」
愁一の言うことに耳を貸す気はないらしい。画面に向かう姿勢が変わることはない。
「んもー…どうせあんたがオレの言うことなんて聞くわけないもんなっ」
「分かってるなら口を出すんじゃねぇよ」
心配してるのに…と、拗ねたように呟きながら愁一は側にある自分用の椅子に腰を下ろす。
だが、なんだかんだ言っても、この椅子で瑛里の仕事をする横顔を眺めるのは好きだった。
仕事の邪魔をすればもちろん容赦なく鉄拳をお見舞いされるのだが、大人しくしていれば意外と
黙って側にいさせてくれる。
そういうさりげない優しさが、愁一は好きだった。
とは言え、その横顔はこの世のものとは思えないほどに見目麗しく、つい衝動に負けてしまう愁一は
幾度も部屋を叩き出されているのだけれど。
再び、画面上ではカーソルが泳ぎ始めている。そして、泳いでは止まる。
いつもは結構早いテンポで画面が動いていくものだが、今日はあるポイントからほとんど画面は
移動していない。何度も動いては、迷ったように止まる手を、愁一は横で見つめていた。
「今回のは難しーんだな。探してる場所見付かんないの?」
「…大体の見当はついてるんだがな…」
先ほどから、マウスをトントンと叩く音がする。考え事をする時、瑛里が無意識でしてしまうクセである。
左手でマウスを握ったまま、中指でトントンと鳴らすのだ。
もちろん、それを愁一も知っているのだが、その音が今回はやけに多い。
かなりの難題のようだった。邪魔をしないようにと部屋を出ていこうとそっと席を立った愁一だったが
不意に声をかけられて動きを止めた。
「…魚が泳ぐのはどこだ」
振り返ってみたが、瑛里は画面を見つめている。
「え? えっと…海とか水族館とか…かな?」
「淡水魚だろうから海水が必要なわけじゃない…目立つ場所も避けてる筈だ…」
返答かとも思ったが、どちらかと言うと独り言に近い。ブツブツと何か呟いている。
(…もしかしてオレ、既にアウトオブ眼中か?)
文句の1つも言ってやりたくなったが、それだけ集中しているのだろう。とにかく邪魔にはなりたくない。
「近くの筈なんだ…そしてそれなりの施設のある場所…」
「……ん? さかな…?」
何かが引っ掛かって、愁一は記憶の糸を手繰り寄せてみる。そう昔のことじゃない。最近見たもので
何か関係のありそうなものがあったような…。
「あっ! 魚って言えば昨日仕事で行ったとこ、水槽がいっぱいあったんだ。何も入ってなかったけど」
「…どこだっ」
急にこちらに顔を向けられて、一瞬愁一はたじろいだ。眼光の鋭い目がこちらを見つめている。
「え? えーっと、廃屋みたいなとこ…。依頼人との待ち合わせ場所だったんだ。瀬口さんに言われて。
 でも何もなかったぞ? 引っ越したすぐ後の家みたいな感じで…」
「場所は」
「事務所から30分くらい南に行った所。近くは大きな公園みたいにはなってたけどあまり建物とかは
 なかったと思う。あ…十字架みたいなんが見えてたの、あれって教会かな」
「やはり…」
迷っていた考えが、後押しされて確信へと変わっていく。
瑛里は、再び画面へと視線を移した。
冬馬の言っていた”水がなければ息が出来ない”という言葉。
本物の水のことではなく、”魚にとっての水みたいなもの”のことを指しているのではと考えた。
依頼人にとってのそれはなんだろうかと。
それは…きっと空なのではないだろうか。
研究の最大目的は空との約束を果たす為だからだ。それくらい依頼人にとっては大事な要素である。
だったら父親は教会の近くにいるのではないか…という仮説を瑛里は立てていた。空が見える場所。
灯台下暗し、という言葉が正にぴったりな場所だ。
だが、場所の特定が出来ずに行き詰ってたところだった。
だけど、愁一が見たと言う場所。絶対とは言えなくても、調べてみる価値くらいはあるだろう。
もちろん愁一の話から言って、今は既に別の場所に移っていると思われるが、何か手がかりぐらいは
残されているかもしれない。
「…案内してくれ。その場所に」
「え?」
「今から行く。仕度をしろ」
「待ってって由貴!」
何の遠慮もなく開けた扉から、瑛里はどんどんと奥へと進んでいく。
もちろん廃屋だというのは分かっているので、誰かに咎められる心配はないのだけど。
しかし、誰もいないと言っても誰かの所有地であるなら不法侵入にはかわりないのではと、愁一は
思う。だが、今の瑛里は聞く耳など持ってはいないだろう。
そんな愁一の気持ちに気付く様子もなく、瑛里は辺りを見回すと近くにあった階段を上り始めた。
「ちょっと待てって! 由貴っ!」
愁一の呼び止めなど気にもせず、ずんずんと段を上っていく。
やっと足を止めたのは6階――最上階フロアに辿り着いた頃だった。フロアにはいくつかの部屋が
並んでいる。
瑛里は一番奥にある部屋の扉を開ける。そして部屋の片隅にある一つの窓に向かい歩き始めた。
窓からは柔らかい陽光が射していた。鍵を外し、窓を全開にする。冷たい風が流れ込んでくる。
「…やはりな」
「なにがっ。全然わかんねーんだけどオレ」
やっとのことで追いついた愁一が、瑛里の横から窓の外を見やる。だけど、何のことなのかさっぱり
分からない。窓からの景色は、ほとんど緑の葉で埋め尽くされていた。
「下見てみろ、教会があるだろーが」
当たり前のように窓から少し離れた所にある、十字架の付いた屋根を指差す。
ほとんどが周囲の木々に隠されて、見えるのは赤茶色の屋根と入り口付近の3段ほどの階段しか
なかったが。
だけど、いきなり”教会だ”と言われても愁一には意味が分からない。教会が見えるから何だ?
その意味不明な瑛里の言葉と、一気に階段を上って息切れしてることも手伝って、愁一は軽い
半ギレ状態で問い返した。
「だから?!」
「頭悪いヤツだな。本当にミソ入ってんのか? だから、ここに空の…………………ああ、」
瑛里が何か思い出したように言葉を止める。
「そう言えばお前は今回の依頼とは無関係だったか」
ぷちん。
何かが切れる音がした。
「ここまで何の説明も無いままで連れてきといて無関係なんてことあるかー!!! ざけんなーっ!!!!」
今回の瑛里の依頼について、愁一には何も説明はされていなかった。起きてからここに来るまで。
なのに、この言われ様はなんだろう。さすがの愁一も糸が切れる。
だが、瑛里は愁一に構う様子もなく辺りの散策を始めている。既に愁一の声は届いていなかった。
部屋の内部は、機能重視という感じのデスクや椅子がいくつか残されていた。
そして、愁一の言っていた”何も入っていない水槽”が数個。
引越をした、というよりかは、必要なものだけを持ち去ったという感じだった。
その付近には、この部屋まで水を通す為だと思われる管と蛇口がいくつもある。
その中の一つを瑛里は捻ってみる。
(まだ水は出るか…)
水槽の中を覗いてみると、まだ底の方が少しだけ濡れていた。
…依頼人がここを出たのは、つい最近だというのは確かだ。多分、一週間も経過していない。
かなり急いで立ち去ったのだろうと思われる。
瑛里は、他のフロアにある部屋もしらみ潰しに覗いていく。どの部屋も上の部屋と同じような状況か
もしくは、何もない部屋ばかりだった。生活感のあとすら、かけらも感じられない。
しかし、いくつかの部屋に点在している水槽。それらのほとんどがまだ濡れていた。
相当な数の魚を、ここで飼育していたのだろう。その中に、あの魚もいたのか。
だが、そんなことが分かったところで、肝心の依頼人の消息は知れない。
初めに入った6階フロアの部屋に戻ってきた瑛里は、何気なく窓の外を眺める。綺麗な青空だった。
「空……?」
何かが引っ掛かった。手を伸ばせば届きそうな、青空がどこまでも続いている。
「…っ!」
瑛里は勢いに任せて窓から身を乗り出した。
そして、顔をあらゆる方向に向ける。何かを探しているようだった。
「ちょっ、危ないって由貴!」
「有った…」
視線が止まったのは、顔を右に向けた時だった。窓のサッシに手をかけて、横を見つめている。
そしてそのままそちらに向けて手を伸ばし、足を掛けて窓から出ようとした。
「ゆきっ! 落ちちゃうよ! 6階なんだよここ!」
止める間も与えないくらいの早さで、瑛里が視界から消える。驚いた愁一は、急いで窓の外を見た。
「!」
地球の当たり前の重力を考えて下に顔を向けた愁一だったが、その視線の先に人の姿は無かった。
―――が、右側の耳に微かに聞こえた金属音。そのまま顔を上げてみると、黒いコートがなびく姿が
視界に入った。
建物の壁面と同じ、白いペンキを塗られた細い梯子を瑛里が上っている。
「び、ビックリするじゃんかよ由貴〜!!!! って、いや今も十分危ないんだけど!!!」
そうこうしてるうちに、再び瑛里の姿が視界から消える。待っていてもいつ降りてくるか分からないので
愁一も恐る恐るその梯子を上っていった。
そう長くない梯子を上り切ると、その先は何もなかった。瑛里の姿のみしか。
屋上と言えるほど何かが有るわけじゃなく、ただだだっ広いコンクリートの地面が広がっている。
「由貴? どうしたの?」
瑛里がある一点で立ち止まってるのに気付き、愁一は瑛里の元へと歩を進めていった。
すると、手に何か銀色に光るものを持っているのが目に入る。四角い板のようなもの。
「…それノートパソコンだよね。 ここにあったの?」
「ああ…」
起動音が聞こえる。既に瑛里が立ち上げようとしてるところだった。
「誰のなんだ? こんなとこに置いとくなんておかしいよな」
「……」
立ち上がったパソコンのデスクトップ画面には、ただ一つだけアイコンが置かれていた。
アイコンの下には”BlueSky”という文字がある。
瑛里は迷わずそのアイコンをクリックしてみる。
開きかけたファイルの前に、警告音と共に現れた小さなウィンドウ。

―――パスワードを入力して下さい―――

「パスワード…?」
「パスが無きゃ開かないってことだよね。パス…って何か由貴、思い当たることとかあるの?」
瑛里は無言で画面を見つめながら、考え込んでいる。
パスワードを入れなければファイルは開かない設定になっているらしい。
適当なものを入れてもし正解に行き当たったならラッキーではあるが、間違ったものを入れた途端、
自己破壊システムなどが作動すると考えられなくもない。嫌でも慎重になってしまう。
手がかりを手に入れたと思った。だが、もちろんそんな簡単にことが運ぶわけもない。
しかし、置かれていた状況を考えてみると隠してあるような置き方ではなかった。それこそ、この場所の
存在に気付いた者なら誰でも見つけられるように置かれたパソコン。
見付かるように置いてあったと言っても過言ではない。わざと放置された手がかり。
間違いなく、この中に依頼人――空の父親に関した情報が入ってる筈だ。
―――救いを…求めているのかもしれない。
そうなると、どこかにもう一つの鍵がある筈だ。これを開ける為のキーが。
十中八九、空と関連のある場所に。
ゆっくりと立ち上がり、建物の淵まで来た瑛里は、ふと教会の方を見遣る。小さな人影が見えた。
顔が判るほどの距離ではなかったけれど、でも間違いない。子供だ。
「空…」


「空!」
教会の入り口にある小さな階段に座り込んでいたのは、やはり空だった。
昨日自分がここまで届けた、瓶に入った魚を眺めている。
「あっ、サンタのおにいちゃんだぁ!」
「…サンタ…?」
意味も分からないままで、とりあえず瑛里の後をついてきた愁一は、あまりにも違和感のある言葉に
しばし動きが止まる。誰が…? 何?
「由貴が…サンタさん?」
まじまじと顔を見つめてくる愁一の顔面を瑛里は片手で退かし、空の正面にしゃがむ。
何か後方でわめく声が聞こえるが、今はそんなものに構ってはいられない。
「あまり魚を外に出しちゃいけないって言われなかったか?」
「でもねっ、おさかなお日様にあてるときれいなの! きらきらってするの!」
空が瓶を両手で持ち上げて光に透かす。日の光に晒されたそれは室内で見るよりも数倍綺麗だった。
鱗の一枚一枚が、光を反射する。
「本当だな…」
辺りを見回してみたが、特に人影は見えなかった。平日ということもあって、ほとんど通行人はいない。
特にこれといった心配はなさそうだったが。
「空っつーのか? この子。魚キレイだなっ」
相手にされないと分かって、黙って様子を見ていた愁一が、階段の上に上って空の横に座り込む。
空は、じっと愁一の顔を見つめた後、思いついたように口を開いた。
「おねえちゃん、おにいちゃんのこいびと?」
「っ!! おおおおねえちゃん(じゃないけど)お兄ちゃんの恋人に見える?!子供って正直だなぁ由貴!
 やっぱオレ達って黙っててもそういうオーラが出てるのかなっ! なぁ由貴?!」
顔全部、体全部で喜びを表現する愁一が瑛里に同意を求める。だが、瑛里はあらぬ方向を向いている。
どうやら、聞かなかったフリを決め込むらしい。
だが、極限を越えた愁一はそんな事に気付く様子もなく、空の方を向き口を開く。
「でもな空っ、お兄ちゃんたち恋人同士だけどー、お兄ちゃん実はおと…」
ガッッ。
言い掛けた言葉は、途中で声にならなくなっていた。…後頭部を激痛が襲った為に。
愁一が頭を抱えてその場にうずくまっている。
「な、あにすんだよー由貴!!」
涙目でキッと瑛里の方を睨み付ける。すると、蔑んだ瞳がこちらを見下ろしていた。
「…余計なことを言うな」
「余計なことってなんだよ! 別に男だって言うくらい問題ないだろー?」
「空が妙な認識持っちまったらどうすんだ。お前、責任取るのか?」
「妙な…ってオレ達のコトっすか…」
揉め合う――もちろん空には聞こえないように小声で――二人は、ふと足元でじっと見つめる大きな
目に気付いた。見透かされるような大きな瞳は逸らされることなくこちらを見つめている。
「…おにいちゃんたち、らぶらぶ?」
『………』
―――黙り込んだ二人の隙間を、寒風が吹き抜けていった。
そしてしばらく経った後、正気を取り戻した瑛里が力無げに口を開く。
「中に…入るか…」

教会の中は、誰もいなかった。
昨日は目に沁みるように感じた光も、今日は優しさを含んだ色に見える。
それでもやはり、この場に足を踏み入れるのは少し躊躇してしまう。
清らかで、優しくて、全てを包み込んでくれそうなこの光をずっと浴びてることは、いけないことのような
気がした。そう簡単に赦されるほど、自分の罪は軽くはないのだから…。
「あら? 夜だとお聞きしていたのに。こんにちは、由貴さん」
前方から唐突に声がした。一番奥の小さな扉から、綾加が顔を出した。
「ああ。すまないな、急で」
「いいえ、きっと空くんも喜んでるでしょうから」
そう言ってにっこりと笑う。シスターという、その職業が天職なのではと思われるほど優しく。
「そちらの方は由貴さんのお知り合いの方ですか?」
綾加が、瑛里より少し後方にいた愁一の方に視線を移す。
「あ、オレ新堂愁一って言います。由貴の…仕事仲間っつーか、なんつーか……」
「おねえちゃんねー、おにいちゃんのこいび…もがっ」
空が言い掛けた言葉を瑛里の大きな手が止めた。急に口を塞がれて、空が何やらもがもが言っている。
「…なんでもない」
極力、平静を装って瑛里が言う。とてつもなく不自然だと、愁一は思うのだが口には出さない。
心から無邪気な顔でそれを言う、空には何の罪もないのは分かってはいるのだけれど。
「それより、訊きたいことがある。空の父親…あんたに何か言葉を残していかなかったか?」
「言葉…ですか? どのような…」
「なんと言うか、パスワードのようなものなんだが…」
瑛里の言葉に、綾加が考えてる顔をする。記憶をたどっているのだろう。
だが、しばらくの思考時間をかけても答えが出てきそうな気配はなかった。
「これと言って思い当たることは…。お役に立てなくて申し訳ありません」
「あんたが悪いんじゃない。だが、そうなると本当に分からなくなってきたな」
これで、再びふりだしに戻った。手元に宝箱があっても、開けられないのでは何の価値もない。
ここ以外は無いと思ったのだが。空が知ってるという可能性もあるが…。
「空は…何かパパから大事な言葉を聞いていないか?」
子供の目線に合わせて腰をかがめて訊いてみた瑛里だったが、きょとんとして空は瑛里を見ていた。
瑛里の言葉の意味自体を理解していないようだ。
「って由貴、そんな聞き方じゃ小さい子には分からないよ」
苦笑したように愁一が横から言葉を挟む。拗ねたように、瑛里はそっぽを向いている。
「しょうがねーだろ、子供の扱い方なんて分かるか」
こういうとこ、妙に子供だなと愁一は思う。拗ね方が子供そのものだ。
誰にでもというわけでなく、相手が愁一だからこそというところに、愁一が気付く筈もないけれど。
「おにいちゃん、こまってるの? こまってる時はね! おまじない言うといいんだよ!」
じっと二人の様子を伺うように見ていた空が、思い出したように急に大声で叫んだ。
「おまじない…?」
「パパがおしえてくれたの。”うみのかみさまと、そらのかみさまが出会う約束のばしょでおさかなが
 笑う”っていうの。それを言うとかみさまがおねがい叶えてくれるの!」
嬉しそうな顔をして、空が笑う。
子供向けに作られた言葉なのだろうが、それが余計に謎めいた言葉になる。
空と海が出会う場所…?
それは…。

「……」
唐突に、瑛里が床にパソコンを置いて画面を開く。
「えっ。由貴、どうしたの?」
「…パスが分かった」
「ホントに?!」

―――そして、瑛里は再び”BlueSky”と書かれたアイコンをクリックした。
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