がんを予防する食事

 米国では、90年代初頭からがん死亡率が劇的に低下しています。
 ところが、世界でも最先端の医療技術を持つ日本では、罹患率・死亡者数とも増え続けています。
 日本では増え続け、米国では減少し続けている理由はどこにあるのでしょうか。
 米国政府は予防医学の観点から、禁煙の徹底、運動やバランスの取れた食事の奨励など、がん予防キャンペーンを学校教育や家庭などで行ってきました。1997年に米国がん研究財団などがまとめた「食品・栄養とがんの予防」というリポートで、がん予防指針14カ条(喫煙禁止を入れると15カ条)を定めています。ビタミンやミネラル、食物繊維の積極的な摂取、動物性脂肪や肉類(魚を除く)、塩分の摂取を減らし、アルコールはほどほどにすることなどです。

がん予防14カ条 (小林博 著「がんの予防」岩波新書より)
@食事・・・野菜、果物、豆類、精製度の低いでんぷん質を多く取る。
A体重・・・BMI(体重÷身長÷身長)を18.5〜25に維持する。
B運動・・・1日に1時間、速く歩く。1週間に合計1時間は強い運動を行う。
C野菜と果物・・・1日に400〜800グラムを食べる。
D植物性食品・・・1日に600〜800グラムの穀類、豆類、いも類、バナナなどを食べる。
E酒・・・飲酒は勧められない。飲むなら1日男性は2杯(日本酒2合)まで、女性は1杯以下。
F肉類・・・赤身の肉を1日80グラム以下に抑える。
G総脂肪量・・・動物性脂肪をひかえ植物油を使い、総エネルギーの15〜30%にする。
H塩分・・・減塩を工夫、1日に6グラム以下。
Iかびの防止・・・かびのはえた物は食べない。
J冷蔵庫での保管・・・腐敗しやすい食物の保存は冷蔵庫で冷凍か冷蔵する。
K食品添加物・・・添加物、汚染物質は適切な規制下なら特に心配はいらない。
L調理法・・・黒焦げの食物は避ける。塩干し・くん製食品は控える。
M栄養補助食品・・・以上の食生活を守れば、あえてサプリメントを摂る必要はない。



 日常の食生活で具体的に何を食べればよいかの指針を示した「デザイナーフーズ・プログラム(米国立がん研究所)」には、がんの予防に効果的な食品を科学的に調べて研究成果を紹介しています。左の図はこれまでの研究成果です。
 これらの食品は人の免疫調査や動物実験で、細胞のがん化を抑えたり免疫力を高めたりすることが分かったものです。上位にある野菜は研究論文が多く、がん予防にはより重要な食品といえます。
 日本人がよく食べるもので効果的な食品もあります。ゴマ、海藻類、キノコ類、モヤシ、ダイコン、ワサビ、ラッキョウなどは、ここには乗っていませんがリストに加えてよい食品といえます。






キャベツの効能

 野菜が、生活習慣やがんを防ぐ高い能力をもつことが、日米の最新研究でわかってきました。巻きのゆるい、若いキャベツほど体内の酸化を防ぐ効果が高いそうです。
 上記の、米国国立がん研究所による「デザイナーフーズ・プログラム」でも、キャベツは、ニンニクと並んでもっとも効果性の高い食品に位置づけられています。
 キャベツは、免疫力を高めます。「免疫力」とは“自己”と“自己でないもの”を見分けて、ウイルスやがんのような“自己でないもの”を排除する働きです。その働きのおかげで、病気を発症しにくい身体が保てます。免疫が活発であれば元気でいられるのです。

 血液中には、白血球が分泌するTNFという腫瘍を壊死させる物質があり、ウイルスやがんを殺す働きをします。マウスの実験では、キャベツはナスや大根と並んでTNFを大幅に増やすことが確認されています。
 キャベツは抗酸化力が強い野菜です。私たちの体内で、鉄が錆るのと同じように酸化が起こると、それが様々な病気の原因になります。血管が酸化されると動脈硬化が進み、やがて心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞に至ります。遺伝子が酸化されるとがんができます。キャベツは、その酸化を防ぐ力の強い野菜です。

 キャベツのこうした効果は、どんな成分によるものでしょうか。
 それは、イオウ化合物の一種の「イソチオシアナート」という成分なのだそうです。イオウ化合物を含む野菜には独特の香りや辛みがあり、例えばニンニクやワサビなど、古くから薬味として珍重されてきたものが不思議と多いのです。
 キャベツは、1日50〜60グラムを目標摂取量とされています。生で食べた方がいいのですが、サラダや千切りとして食べるにはやや量が多いので、いためもの、漬物、みそ汁の具にするといいでしょう。