抗アレルギー食品〜シソ(紫蘇)
シソ(紫蘇)は「オオバ」とも呼ばれ、日本人にはなじみの深い食品です。食材としてはもちろん、梅干しの着色、腐敗防止や解毒を目的とした刺身のつまにも利用されています。
シソは古くから漢方薬としても使用されていて、健胃薬、風邪薬、解毒剤などに利用されてきました。
しかし、有用な植物であることは古くから知られているのに、実は生体に対する作用は未解明な部分が多い食品なのです。
シソから抽出された有効成分は水溶性で、味覚や匂いに違和感が少なく、食品や医療、化粧品分野で、素材として幅広く応用されています。
そうした中、シソの新しい機能(薬理作用)として、抗アレルギー作用が注目されています。
シソに含まれる有効成分
シソは必須不飽和脂肪酸の一種であるα-リノレン酸を多く含んでいます。α-リノレン酸は、体内でEPAやDHAを合成します。また、ビタミンB2やカルシウム、脂質、糖質、鉄などの栄養分も多く含まれます。シソの葉特有の香りの主成分はペリルアルデヒドという精油成分です。
ワインやチョコレートなどに含まれるポリフェノールが話題にされますが、ポリフェノールを含むものの中でも特に効果が高いのが、シソなのです。
シソのアレルギー抑制作用
「国民の3人に1人がなんらかのアレルギー性疾患を有している」と、厚生省の実態調査で発表がありました。特にアトピー性皮膚炎の患者は年々増加していています。
アレルギー性疾患の増加は、食生活や住環境の変化がもたらしたとされていますが、改善についての満足できる方策は未だ見いだされていません。
その点、シソの葉は、非常に強い抗アレルギー作用を持っていることが確かめられています。
アトピーの場合、ステロイド剤を使うのが一般的ですが、ステロイド剤には副作用の危険があります。一方、シソの葉はかゆみに対して緩やかに優しく体に働きかけ、副作用の心配がありません。
花粉症は、春のスギ花粉などが原因で、花粉に対して体内で過剰な反応が起きるアレルギーの一種です。結果として、くしゃみ、かゆみなどの諸症状が現れます。花粉症に対してもシソの葉は体に優しく働き、体質改善にも役立ちます。
青じそと赤じそのエキスを、菌体を持ったマウスに投与する実験を行い、青じそ、赤じそ共に、炎症因子を半減させることが確認されています。また、アレルギーの人に摂取してもらい、全員4週間で症状が軽減されたという実験も報告されています。
1日6枚程度のシソを摂ると効果があるといわれています。
生体防御系(免疫系)を調節する食品
アレルギーは、生体防御機構(体内で異物を排除しようとする働き)が過度に高まりすぎている状態、つまり、生体防御系(免疫系)を支えている白血球が必要以上に働いている状態です。
生体防御機構は健康体を維持するために不可欠で、働きが弱いと様々な病気にかかりやすくなります。しかし、逆に過剰に高まると、炎症やアレルギーを引き起こします。
健康を保つためには、生体防御系のバランスが保たれている必要があります。
従来は、薬によってこれを調節することが考えられてきましたが、薬は副作用が問題になります。しかし、薬に相当する生体防御系の調節物質が食品にもあることが分かるにつれ、その物質の特定・抽出と製品化が進められています。
シソ抽出物の基礎研究
生体にはBRM(生物学的応答調節物質)という、生体防御機構の増強を図り腫瘍に対し抑制効果を発揮する働きの物質の存在が知られています。
BRMは生体内因子のサイトカインなどに代表されますが、近年、食品の中にも生体の防御機能を調節する物質があることがわかってきました。
そこで、過剰な免疫反応を抑制する食品を探し、シソ抽出物に顕著な免疫調節作用が認められました。
病的な炎症を抑える手段の一つとして、炎症反応の誘導に関わるサイトカイン(生体機能調節たんぱく質)の過剰な産生を抑制することが重要です。シソ抽出物には、TNF-α(腫瘍細胞壊死因子)というサイトカインの過剰な産生を抑制することが確認されています。
菌体をマウスに投与すると、血液中に多量のTNF-αが誘導されて激しい炎症がおきます。そのマウスにシソ抽出液を飲ませると、血液中のTNF-αが明らかに(70%程度)抑制されます。
ちなみに、薬のステロイド剤はTNT産生をほぼ完全に押さえ込みます。TNFは元来、生体防御機構には必須の物質ですから、ステロイド剤は過剰な抑制作用といえます。
シソ抽出物の臨床応用
シソ抽出物の臨床実験は、シソエキスの飲用やシソエキス入りのクリームの塗布による方法が、いくつかの病院、医院で行われています。
主に、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支ぜんそく患者を対象とした治療で、治験も報告されています。
シソ抽出物の臨床報告は多数あり、今後の臨床の評価と統計学的な解析の進展が期待されています。
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