2008年以降のソフトボール界 やはりそうなったか、というのが、2012年ロンドン五輪での、野球とソフトボール除外決定に対する第一印象だ。五輪でソフトボールが見られるのは、(今のところは)2008年の北京大会が最後となった。別に予言者ぶるつもりはない。逆に、「存続濃厚」という大方の予想を、筆者自身、ある程度信じていたくらいだ。ただし、もし除外されたとしても、その覚悟はできていた、というだけのことである。 世界的な普及度の低さ、メジャーリーグの五輪野球への無関心などが、今回の決定の主な要因として挙げられている。しかし知名度の低い競技は他にもあるし、野球はアマチュアのみの大会として存続する手もあった。 野球・ソフトボール関係者はもちろん、一般の人からも、両競技の除外を惜しみ、残念に思うコメントを耳にする。「日本のメダルが2個減る」、「野球のナショナルチームが見られない」など。 しかし筆者は、今回の決定を、ソフトボールという競技が、五輪に頼らず自力で普及・発展していくための試練だと、前向きに受け止めている。 そのような問題点はあるものの、五輪が世界で最も脚光を浴びる総合競技大会なのは事実である。ゆえに、それに参加できることは、ソフトボール発展のために、非常に有意義なことではあった。 まずISF(国際ソフトボール連盟)は、4年ごとに開催している世界選手権を、2010年以降は隔年開催にするべきだ。大きな国際大会が4年に1回しか開かれないのでは、世界にアピールする機会が限られてしまう。特に選手寿命の短い女子選手には歓迎されるだろう。 ソフトボール未普及の地域への、指導者派遣・用具提供といった援助活動も、継続して行わなければならない。今回の存続活動の一環として行った、いわば泥縄的な活動で終わらせてはいけない。 世界選手権の充実と、草の根の普及活動。上と下からの改革が成功して、ソフトボールが国際的なメジャー競技の1つとなった暁に、(その気があれば)再びIOCに五輪復帰を訴えればいい。何年、何十年かかるかわからない、遠い道のりではあろうが。 では、一介のファンに過ぎない我々はどうすべきか。差し当たって心配なのは、北京五輪以降にキャリアのピークを迎えるであろう、若手選手のモチベーション低下だ。五輪出場の夢を事実上断たれた選手には、別の華やかな舞台を与える必要がある。 メジャーリーガーが五輪に無関心だったり、スペインやイタリアのサッカー選手がほとんど外国へ移籍しないのは、世界最高のリーグが国内に用意されているからだろう。 日本ソフトボール界も、日本リーグその他の大会が、五輪に匹敵するほどモチベーションを刺激する舞台となればいい。閑古鳥の鳴くアテネの会場より、はるかに多くの観客が集まり、割れんばかりの声援が(場合によってはブーイングも)湧き上がるようになれば、選手もさらに奮起してすばらしいプレーを見せてくれるだろう。五輪のことなど忘れたかのように。 という訳で、筆者自身も、成田市で行われるインターハイに、初めて足を運んでみようと思っていたのですが、あいにく8月2日から5日の平日開催(女子の場合)でした。無念。 (2005.07.18) |