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ソフト、歓喜の初V

16年目の大願成就

2000日本リーグ/決勝/11月26日(日)/京都府京都市・西京極球場

日立ソフトウェア 2−1 日立高崎

 
日立ソフトウェア
日立高崎

出場メンバー
日立ソフトウェア 日立高崎
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[D]
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川崎千明
一居理恵
田村由香
斎藤春香
亀田悦子
来條美穂
新海直子
黒田多江子
馬渕智子
藤本あさ子
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[7]
[5]
[D]

[3]
[6]
[9]
[4]
[8]
山田美葉
小関しおり
宇津木麗華
小林良美
柳川直子
伊藤良恵
三科真澄
松本智恵
松本直美
岩渕有美
[1] 石川多映子 [1]
前田樹里
藤井由宮子

 1点差に詰め寄られたものの、8回二死無走者。夢に見たリーグ制覇まであと一人に漕ぎ着けた。マウンドにはここまで1本の安打も許していないエース石川。今年最後の大舞台で、豪打の日立高崎を寄せ付けない気迫の投球を見せる。
 その石川をここまでリードし続けた藤本は、8回には自らのバットで貴重な先制点をもたらした。
 リーグ終盤に復調なった川崎は、決勝トーナメントでも4安打の活躍。大徳戦での川崎のサヨナラ打がなければ、ソフトは決勝の舞台に立てていなかった。
 一居はこの決勝でも数々の好守を披露。石川の無安打ピッチングは一居の美技による援護あってのものだ。
 投の入山と並ぶ今年最大の成長株は来條。首位打者レースに名を連ねるまでになり、準決勝の織機戦でもスミスから先制適時打を放つ。
 新海は第7節から遊撃手のポジションを獲得。その後ずっとスタメンを張り続け、大型遊撃手としての成長が期待される。
 決勝トーナメントこそ見せ場は少なかったものの、田村のバットには今年何度も救われた。
 負傷の田本に代わって準決勝では途中出場、決勝では先発出場した馬渕。シーズン後半に失ったポジションを来年は奪回できるか。
 今年から5番に座った亀田は、斎藤、川崎に次ぐ長距離砲として台頭。他チームにとって新たな脅威となった。
 そして斎藤は、五輪のみならずリーグでも幾度となく勝負強さを発揮。誰よりも優勝を強く望んでいたのは、3部時代からチームと共に歩んで来た斎藤に違いない。
 最後の打者・松本智の内野ゴロを、一居が落ち着いてさばいて一塁送球。この瞬間、3度目の決勝進出にして初めての優勝がソフトにもたらされた。すでに盛り上がりは最高潮に達していた応援席は一気に爆発。紙テープが乱れ飛び、「優勝おめでとう やったねV1」の文字が躍る。
 選手達も互いに抱き合い、あるいは満面の笑みを浮かべ、あるいは目頭を押さえ、様々な形であふれる喜びを表現していた。そして国体に続き、磯野監督の身体が再び宙に舞った。

■ 石川、代表勢を手玉に

 織機との準決勝から1時間足らずで、休息を取る暇もなく決勝に臨むソフト。逆に日立高崎は前日の織機戦から「中22時間」での試合。さらに田本を負傷で欠くソフトは苦戦が予想された。
 高崎の先発投手は意外にも左腕の前田。エース藤井を外したのは前日に8回を投げていたからか、対ソフト戦では相性が良くないためか。しかしソフトは、直前の試合で同じ左腕のスミスを打ち崩したばかり。右の技巧派の藤井よりも、続けて左腕と対戦するほうがソフトにはむしろやりやすかったのではないか。
 ソフトは満を持して石川が登場。入山の成長で、石川に連投を強いる必要がなくなったのは大きい。石川は3回まで1人の走者も出さないパーフェクトピッチング。打順が一巡した4回には、山田らに痛打される場面もあったが一居のダイビングキャッチ等で救われ、宇津木に与えた四球以外に出塁を許さない。
 逆にソフトは亀田、川崎、田村が安打を放つものの、いずれも散発で得点に結び付かず、両チームともゼロ行進が続く。6回表には四球や野選などでソフトが二死二、三塁の好機を作るが、斎藤が二ゴロに倒れ、0−0のまま延長に突入する。石川は7回をノーヒットノーランの力投。
 タイブレークに入った8回表、代走の黒田を先頭の馬渕がバントで送る。ここで高崎の内野手がこの打球をこぼし、馬渕も一塁に生きてオールセーフ。さらに馬渕の二盗で無死二、三塁と願ってもない大量得点の好機が訪れる。ここで藤本が、流し打ちで右前にポトリと落とす技ありのバッティングを見せて、三塁から馬渕が生還。ソフトがついに均衡を破った。場面はなおも無死一、三塁で、打順はトップに帰る。
 2失点だけは避けたい高崎はここで前田に代えて藤井を投入。代わりばなに藤本が二盗を決めて無死二、三塁とし、藤井に更なるプレッシャーをかける。川崎の三振、一居の投ゴロ本塁封殺などで、二死二、三塁までチャンスを縮められたが、続く田村の打席で藤井がまさかのワンバウンドの暴投。藤本が三塁から帰って貴重な追加点を手にする。タイブレークで致命的な2点目に、がっくりと肩を落とす藤井。
 必死の粘りを見せる高崎に対し石川は、三科の犠牲飛で1点を返されるものの結局1本の安打も許さず、決勝の大舞台でノーヒッターの偉業を成し遂げた。しかも相手は五輪代表を7人も並べた日立高崎打線だ。

■ 共に闘った背番号1

 磯野監督に続き、藤本ら主力選手が胴上げされる中、黒田に背負われて田本が歓喜の輪に入ってきた。ギプスで固められた左膝が痛々しい。しかし表情は、五輪でも見せた田本らしい泣き笑いになっている。
 豊田自動織機戦で負傷退場。歩行はもちろん脚を曲げることもままならず、車椅子姿で参加した閉会式でも、左脚を別の椅子で支える必要があった。
 田本自身は決勝の舞台に立つことはできなかったが、背番号1はチームメイトと共に闘っていた。ソフトの選手達は田本の背番号「1」をヘルメットに付けて試合に臨んでいた。ムードメーカーを失ったことが逆にチームの結束を生んだか、織機戦、高崎戦と快勝してタイトルを獲得。残された全員の力で、田本の首にも優勝メダルをかけることができた。

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