それはTV版「新世紀エヴァンゲリオン」が終了した96年3月27日の3日後ぐらいでしょうか。
知り合いが「エヴァのLDの予約を取り消した」らしいという話を聞いてビックリしました。
確かに最終回が賛否両論になるのは予想できましたが、それで予約を取り消すとはとても思えなかったのです。
一体なにが「裏切られた」のだろうと。
そこで私は4月に行われたコミックレヴォリューションにいきました。 が、そこは予想を上回る否定的な本の山だったのです。
加えてそういった本の感情的で、デタラメで、説得力のないこと。24話の時点では「最高傑作なのは間違いない」と言ってたにも
かかわらず「大失敗の作品だ」というサークルや、奥づけに住所を書かない本、ガイナックスの内部事情をひたすら暴露し
非難する本、「予算がなかったから」「監督が逃げたから」と、確かめもしないのに憶測だけで勝手に決めつける本など、
否定的な本があることよりも、評論本を出している人間の多くが「無責任」であることが大ショックでした。
「このままではいけない」と、5月のイベントに「(株)イカスー分室 26話を絶賛する会」という
あからさまに否定派を逆なでするサークル名で参加し、そこで
「予算がないのでも時間の都合でもなく、あれが監督のやりたかったことだ」
「この後、作り直しされようがされまいが、放送されたものが現実であり、それを見て感じてほしい」
という趣旨の貼紙をし、コピー誌を配布しました。
それがこのサークル名と誕生の由来です。
ですから「いいかげんなことはいわずに、事実関係はきちっとする」ということは今でもたえず徹底しています。
加えて、自分の言うことに少なからず責任を負うということも意識しているつもりです。
こうして一時のイベント的につけられたサークル名ですが、今ではかなり気に入っています。
エヴァの26話をほめるということは、エヴァという作品をほめることにもなると思います。
そうでありたいし、また、これ以後全26話の作品がふえつつあり、
例えば『サミー』、『ハーメルン』(全25話ですが)、『ブレンパワード』といった作品の最終回、
並びにその作品自体を賛える(たたえる)という意味にもなるのではないでしょうか。
そして「絶賛する」という言葉も、私の今の活動の方向性を決めたと思います。
私は『ナディア』で初めてTVアニメの素晴しさを知り、セラムンから同人に入った人間ですから、
それ以前のアニメについてはまったく知りませんでした。
ですから乱暴ないい方かもしれませんが、そういった「秀作」と思えるものでなければ、
アニメは見なくても全然かまわないという人間です。
でも、そのかわり、良質な作品に出会えた時の感動や嬉しさは、他では味わえないことを知ってしまったのです。
ですから、
そういった作品に感謝したいですし、
そういった作品に出会えた自分の気持ちを表現したいのです。
そのために「秀作」と思える作品を「絶賛」すること。自分の責任で言い切ることが大事なのではないかと思います。
とっぴょうしもないことを言うつもりはありません。
「当り前のことを当り前に書く」
いつも心がけているのはそれなのです。
もちろん、批判すべき作品についてはちゃんと批判します。ただそれをメインにして活動したくはないので、
「面白くない」「興味がない」ぐらいの作品では特に何もいいません。
はっきりと批判するのは、問題があるのに世間では評判が高い作品、子供に害があるだろうに人気のある作品。
つまり、不相応の作品の場合です。
そういった作品に何か言う場合には、それこそ好きな人よりもその作品を熟知し、
「私はこの作品をこんなに知っているが、それでも批判するよ」と、肯定している人に納得してもらうのを目標にして書きます。
その辺は、去年の冬コミのカットの際に思いついたこのサークルのキャッチコピー
「たまにはアニメに真剣になってみませんか?」
が全てを語っていると思います。
別にアニメ専門家になることも、アニメバカになることもないんです。
普段は何気なくつきあっていればそれで。
ただ、アニメファンがアニメに真剣にならずに誰がなるのでしょうか。
ここぞという時、大事な時、時々でいいんです。
アニメに正面から向き合える器量を持つこと。
それが理想のアニメファンだと思います。
今現在は、コミケ、レヴォ、クリエイション(サンシャイン)に参加して同人誌を提供していますので、
今後ともよろしくお願いします。