PS版とTV版のOPの違い


3月25日に発売されたPS版(プレイステーション版)と4月頭から始まったアニメ版To HeartのOPは主題歌が共通であり、映像もほぼ同じであり、まず同じものだといっていい。なぜならアニメ版のスタッフが作ったOPをPS版でも使用しているからである。この辺はPS版とアニメをほぼ同時に世に出したいという戦略により、両者のスタッフ間の交流が盛んであったためだろう。
PS版においては本編のPC版(パソコン版)に近い絵柄と、OPのアニメ版の絵柄に明らかな差があるという状態になっているが、それほど違和感はないし、逆にOPの特別ムービーとしてありがたいものになっているかもしれない。今にして思えば、PSでもアニメでもどちらにも通用するOPを作ろうという意図で、あのようなものになったとも考えられる。

とはいえ、やはり両者のOPにはいくつかの違いがある。
そこでその違いを見ていくことで、アニメ版について探ってみることとしよう。

           (相違点)
  1)アニメ版は歌詞が一部削られていて、若干短い

  2)PS版では上下が切れているのに対し、アニメ版ではそこに同映像のエフェクトが入っている

  3)「どんな時にでも」の時の3枚の絵が、アニメでは引き(ズームアウト)の処理が加わった

  4)PS版の桜(春)のモチーフが全てカットされ、アニメ版では秋、冬(雪)のカットに入れ替わっている


上記のようになっているが、一つ一つ詳しく説明していく。

 

1)アニメ版は歌詞が一部削られていて、若干短い

PS版は1番の歌がフルに使われているが、アニメ版は最初の「偶然がいくつも〜恋に落ちた」の部分がカットされており、その分短い。尺合わせのためとも思ったが、PS版は130秒、アニメ版は115秒であり、通常のTVアニメのOPは90秒(1分30秒)なのでこれでも長いのである。 (どちらも長いのは、最後の歌の後の演奏が長いためであろう)
やはり尺の問題か、それとも「偶然がいくつも〜恋に落ちた」部分の秋のあかりのカットが足りないからだろうか。

 

2)PS版では上下が切れているのに対し、アニメ版ではそこに同映像のエフェクトが入っている

このゲームに限らず、PSではOPムービーが上下切れているというのはよくあることである。これは、そうすることで映像部分が小さくなってデータも少なくなり、ムービーの質があがるからだろう。
しかしアニメ版で同じものを流したら、さすがに「ゲームのようだ」と思われてしまうため、このようなエフェクト処理をしたのだと思われる。(ただし、イントロを除く)
(余談だがアニメ版を見てからPS版を見ると、やはり動きのカクカクが気になってしまう。アニメ版ではなめらかなキャラの動きがより堪能できるのは言うまでもない)

 

3)「どんな時にでも」の時の3枚の絵が、アニメでは引き(ズームアウト)の処理が加わった

「階段」「音楽室」「蛇口」の3カットの絵は、PS版では単なる一枚の静止画だが、アニメ版では引き(ズームアウト)の処理がなされている。
個人的にはこの処理のおかげでこのOPの評価をかなり上げており、この引きは「動き」として前後の流れを繋ぐ役割をはたしていると思うのである。特にこのOPはFIX(カメラ固定)のシーンだらけなので、これだけでもちょうどいいアクセントになっているのである。
また、PSのムービーでは「引き」の動きは汚くなってしまうだろうが、アニメになった際に自由にできるというのもあるだろう。

 

4)PS版の桜(春)のモチーフが全てカットされ、アニメ版では秋、冬(雪)のカットに入れ替わっている

このカットの変更こそがアニメ版を意識した時に一番重要であろう。
PS版、つまりゲームでは3月〜5月の出来事を描いているので、桜のカットが多いのは当然である。その時、桜のカットはあかりがいるか、単独で桜が映るかのどちらかかしかない。桜の木に背もたれしているあかりが最初と最後にあり、それが全体を包むという構成である。
対してアニメ版ではあかりが木に背もたれは同じだが、その木は紅葉の木であり、明らかに季節は秋である。また、最後のあかりの目の前に桜の花びらが落ちるカットが、雪が落ちてくるカット、つまり冬をあらわすものになっている。
これは実際本編を見ると、二学期の始業式、つまり秋からスタートしているのがわかるし、参考記事に載せたアニメディア5月号の「9月1日から12月24日までが全体の流れですから」という部分を読めばまったく納得のいくものである。つまり、秋から冬(クリスマス)というアニメ版独自の扱う季節を示すものであるわけだ。

また、PS版アニメ版問わずそういった季節を示すシーンは必ずあかりのいるカットであるが、彼女が主人公であり、彼女の視点が全体を包むという意味では、よりアニメ版にそくしたOPといえる。

これは、あえて項目をもうけなかったが、サビ直前の「信じたい」の部分がPS版では「あかりの手のひらからこぼれる桜のはなびら」なのに対し、アニメ版は彼女にとって大事なクマのぬいぐるみのカットになっている。よりあかりを、彼女の想いを重視した変更といえよう。

 


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