第2話

放課後の出来事

原画

中村圭三 吉田朱美 渡辺純子 愛根須風神

ジェック・イー

99年4月11日放送 (TV埼玉、千葉TV)

脚  本:山口 宏 作画監督:小林勝利

絵コンテ:横田 和 演  出:大町 繁

(アイキャッチBGM)

Aパート直後 

 Bパート直前

志保

あかり

 

 どう言ったって気まずいじゃないのよー

・アバンタイトル

 下校中の4人組から始まる。のっけから浩之と志保のかけあいがあり、彼らの間柄と残り二人の仲間内での役割のようなものもうかがえる。
 4人は店頭で「チャイルディッシュアンアワー」というグループのポスターを眺め、皆でこのライブに行けたらいいねと話す。今回はこれにまつわるお話である。

・Aパート

 冒頭、始まってすぐに雅史がチケットが入手できたと浩之に伝える。ただし券は2枚であり、2人はどうするかを悩む。入手した雅史は確定として、もう一人はあかり達と相談すると浩之は申し出た。
続けて志保も同様に2枚のチケットを入手したとあかりに伝える。
お互いに相手に相談しよようとした浩之と志保は学校内で擦れ違いを続け、ようやく出会えたところでAパート終了。

・Bパート

 なんとかチケットのことを切り出そうとする二人は、お互いのいつものノリが邪魔をするのかなかなか言い出せない。結局話はできずに、擦れ違いのまま二組は学校をあとにする。

 ラスト付近。会場の目の前、土壇場で浩之は「やっぱり遠慮しとくわ」と切り出した。やはり、相談もせずに自分だけ見るのが気がひけるのであった。それを聞いた雅史も「それだったら僕も…」と身を引く。結局、ライブ見たさよりも、皆で見れない残念さの方が勝るからだろう。
 気落ちしている二人の前に、先程会場の中で並んでいたあかりと志保が姿を見せた。明らかにこちらの二人も、先の浩之達と同じような会話をして、見るのを断念したのだろう。これは学校を出てからそうなのだが、二組の行動が交互に描かれてきたが、片方の組の描写がそのままもう片方の組でも行われていると受けとめられるし、またそれを明確にするための演出なのだろう。

 お互いに「なぜここにいるんだ?」と驚く二組。4人とも、「しまった。チケットを入手してライブを見ようとしてたことが残り2人にバレてしまう」とあせったことだろう。
 その重い空気のさなか、志保は浩之の胸ポケットに入っているチケットに気がついた。それを奪って眺める彼女は数瞬後「あはははは」と笑いだす。そう、彼女は気付いたのだ。昼間の浩之の不審な態度は、実は自分とまったく同じ心境によるものだということを。
あぜんとする男子二人をよそに(この二人はこの時点で志保がチケットを持っていることを知らないから当然である)、志保と同じく状況を察したあかりは「早く行こう。チケットは人数分あるんだから」と二人に笑いかける。この嬉しそうな笑顔をもってこの回は終わりを告げるのだが、これでラストにするセンスが非常にいいと思うし多いに評価したい。
 普通ならば、チケットが人数分あることで全員が喜ぶ姿や、その後のライブ鑑賞の情景があるものだろう。しかし、あかりのあのセリフで最後になることによって、「人数分ある」ということが強調され、それに関する喜びや安堵感といったものを視聴者に投げかけてそこで終了し、それを余韻にしているのである。
 つまりこの回で伝えたいことは、「ライブが見れてよかったね」ではなく、「皆で一緒に見れることになってよかったね」であり、そここそを訴えたいのだ。
 またその訴えの裏には、同時に「4人の仲間意識」もあるわけであり、最後のあかりのセリフはそのニュアンスも含んでいる。そういった点で評価しているのである。

・総評

 二枚のチケットを入手した二組。そのすれ違いを描いた回といえる。二組の代表といえる浩之と志保のかけあいが見所であるが、こうした「お互いに隠し事をしているためのギクシャクした感じのあるシーン」は場を盛り上げるためにコメディーや喜劇といった体裁になることが多い。また、こうしたすれ違い劇というのは、得てしてじれったいものになりがちである。しかしこの回ではそれをじれったくもなく、変にギャグにすることもなく、なおかつたったそれだけのことをあきさせずに見せてくれるものになっていた。

 1話が浩之の人物像、彼へのあかりの想いといったこの二人を印象づける回であったなら、この2話は志保、雅史を含めた4人の関係を描いた回であった。チケットがせっかく入手できながらも人数分ないと思っている4人は、皆で行けないことを残念に思い、自分らだけが見ることをよしとはしなかった。そうした仲間意識が端々から感じられるものであり、同時にこの4人組の仲間内の空気といったものも作品に確立されたといっていいだろう。この先、この仲間内のフィルターを通して学園生活を見ていくことになり、そうした描き方というのも、具体的な主役を用意しないこの作品らしさといえる。

 

 

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