第5話

青い空の下で

原画

沢田正人 伊藤岳史 吉岡 勝  佐藤昌文

月岡英明 杉本光司 伊藤美奈子 松田 寛

斉藤英子 苫 政三 田口広一

99年5月2日放送 (TV埼玉、千葉TV)

脚  本:山口 宏 作画監督:斉藤英子

絵コンテ:村田和也 演  出:村田和也

(アイキャッチBGM)

Aパート直後 

 Bパート直前

志保

あかり

 

 そりゃあ浩之だからね

・アバンタイトル

 今回は体育祭という初の学校行事をメインにした話である。何かの競技で雅史が1位になったことをアピールするあかりだが、浩之は対照的にいかにもやる気がないといった風情である。

・Aパート

 「飲み物を買ってくる」といって席を離れた浩之は、芹香、智子、葵、レミィの順に彼女らに会う。智子以外ではいかにも知り合い同士という会話がなされ、彼女達は400m走に浩之が出場するのを聞き、応援することを約束した。浩之との親しい会話は以前の出来事が確実にあったことを示し、彼女らが実在感ある人間だと感じさせてくれるものであった。

・Bパート

 400m走に出場し、浩之は1位をとる。しかし芹香、葵、レミィの三人は都合でその様子を見ることができなかった。

 最後のクラス対抗リレーの2−Bのアンカーがケガで出場できなくなる。あかりと志保は浩之に代わりを頼むが、「疲れてるから」と一度はそれを断わる。直後、浩之は葵と会い、彼女が400m走を見れなかったことを知る。そしてその場で「中学の時みたいに、二人がバトンリレーするとこ…」「せっかくみんな頑張って…」とあかりのセリフが脳裏によぎるが、結局はあかりに見せてやりたくて浩之はリレーに出る決意をしたようだ。ただ葵のセリフが出てきたわけではないが、彼女が見れなかったことで見せてやることを意識し、それがきっかけではあったかもしれない。

 雅史がバトンタッチする直前、「まさしー!」という叫び声とともに浩之がアンカーを代わってやったことが判明する。ここで歓声の声も止まり突然音楽が流れ出すと同時に、芹香、葵、レミィの三人がハッとする様が映る。本来浩之が出るはずもない競技に彼が出場しているという驚き。その突然さを音楽で表現した見事な演出である。その曲は流れ続け、懸命に走る浩之も、ここぞとばかりに応援する彼女達、あかり達を引き立たせてくれるものであった。最後にゴールシーンを見せずに曲と一緒に画面もフェードアウトするのも、結果ではなく浩之の頑張りを強調したかったからだろう。

 場面は変わって競技終了後のフォークダンスのシーンに。結局浩之は2位止まりであった。ここでは浩之は応援してくれた三人とダンスを踊り、彼女らから賛えられる。(志保のみ浩之とのダンスがない)

 偶然彼女らと踊った浩之だが、あかりには自ら割り込んでその手をとる。「かっこよかっただろ」のセリフに、先程のリレーの時のように突然曲が流れだし、あかりのモノローグでこの回は終了を迎える。この曲も「浩之ちゃんが帰ってきた」というあかりの突然の喜びを表現したものかもしれない。

・総評

 体育祭という学校行事のため、今までに登場したキャラが総登場となる。当然浩之とはもう知り合いであり、以前登場したことを踏まえてその間柄が親密になったことをうかがわせるものであった。1話完結的な形式のこの作品だが、こうした人物関係は引き継ぎ、流れとしてはシリーズの続き物であることをはっきりと示した回である。

 この回では浩之が芹香、葵、レミィ、智子といった女の子と会う際に、その場にあかりがいない。あくまで浩之個人の一シーンであり、彼のプライベートにその女の子が関わったわけである。その子達は浩之に親近感を持ち、彼の活躍をぜひ見たいと思った。最後のリレーで浩之が参加しようと決めたのは、あかりにその姿を見せたかったからかもしれない。それでも他の女の子達は浩之を応援し、彼に向かってそれぞれに健闘の意を述べた。けれど最後に浩之は自らあかりの元に行き、一緒に健闘を喜びあったわけである。

それでいい。

 全体的には、浩之個人のプライベートな行動である女の子達とのコミュニケーションを描きつつ、大事な箇所と最後ではあかりとの精神的な結び付きを描いた。女の子達とのシーンがプライベートといっても、それは学校という公(おおやけ)の空間でのプライベートである。対してあかりとのそれは、浩之のごく個人的な精神的なプライベートといえるのではないだろうか。言ってみれば今回は学校行事という公の場での浩之を追うものである。しかし、その彼自身はあかりという個人的なプライベートを持つ人間であり、最後のあかりのシーンとモノローグが唐突に感じられるのは、あそこで公の場からあかりという個人的な場所に帰ってきたという感覚だからではないだろうか。その時にこそ「浩之ちゃん、昔から少しも変わってないと思うよ」というあかりの言葉が意味をもつのである。

 

 

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