第7話

揺れるまなざし

原画

玉井公子 八木元喜 高橋千代子 鶴田雅也

鈴木晃子 中沢勇一 倉嶋丈康  高井浩一

佐藤元郎 日野貴史 桜井ヨオコ HEE・WON

99年5月16日放送 (TV埼玉、千葉TV)

脚  本:藤田伸三 作画監督:平石素子

絵コンテ:深沢幸司 演  出:木宮しげる

(アイキャッチBGM)

Aパート直後 

 Bパート直前

あかり

琴音

 

 この子は、大丈夫だと思ったのに…

・アバンタイトル

 雅史と一緒に帰っていたあかりは、最近いつも同じ場所で猫の相手ばかりしている女の子がいるという。その子は今日も猫にエサをやっていたが、彼女が帰宅しようとした矢先に何かを感じ、直後に猫が車にひかれてしまった。しかしその子は猫にかけよるでもなく、あかり達の前から姿を消すのだった。

・Aパート

 その子が姫川琴音という名前であること、そして予知能力があり、決まって不幸を予知し、周りから煙たがられているといった情報が、志保からじょじょに伝わってくるという展開である。あかりは琴音にアプローチしようとするが、「これ以上私に関わらないで下さい」と心を閉ざしているのだった。
 そんな琴音自身は、雅史が気になるようである。

・Bパート

 退院した猫を連れてあかりが琴音の家を訪れる。それに気付きながらも琴音は訪問を無視する。しかし猫が窓から入ろうとし、琴音は若干ためらった後に窓を開け、本当に嬉しそうに猫を抱きしめる。なぜなら、今まで自分が予知した通りに事故にあった人間は琴音から離れていったが、事故に会いながらも以前と変わらずに接してきたのはこの猫が初めてだからである。

 サッカー部の試合当日、琴音は自室のベッドで横たわっていた。応援に行きたいが、また誰かを、ひょっとすると雅史に不幸を及ぼすことになっては…悩んでいる。ここでも猫が窓から外に出たがって、それをきっかけにもしくは口実に琴音は出かけることができたようだ。

 最後、雅史のピンチを救ったことで、琴音は雅史らと会話をすることとなる。この回では序盤から琴音が雅史に対して好意を持っているように描かれているが、それは恋愛感情というよりも「気になる先輩」といった憧れ的なものではないだろうか。最後に握手を交すシーンを見る限りそんな感じではある。

・総評

 この回では、今まで浩之の役目だったゲストキャラの面倒を見るということを、彼の代わりにあかりが務めている。(そのため浩之は琴音と一度も会話を交していない) これはおそらく、琴音の他人と関わるのを嫌う性格上、異性の浩之よりも同性のあかりの方が、琴音との交流が自然に見えるからであろう。
 余談だが、あかりは同級であるレミィや先輩である芹香とはほとんど会話を交さないが、年下である葵もこの琴音も自ら話かけて面倒を見てやっている。浩之との関係からか、お姉さんタイプなのかもしれない。

 やはり琴音の能力や境遇というものがイマイチわかりづらいかもしれない。ゲームでの予備知識がない場合は特に。一応本編中で語られてはいるが全て志保からの伝聞であり、情報として提示されただけで、琴音が露骨に避けられているといった具体的な描写がないのがその一因だろう。
 その能力にしても予知能力ということだが、本編を見る限りでは「カンがいい程度」といったふうに見えてしまうかもしれない。少なくとも猫にしても雅史にしても彼女が不幸を呼んだとはとても思えるものではない。あれでは別に琴音が何かを予知しても、それを公言しなければ彼女が気味悪がられることはないのである。今まではそれが裏目に出たと推測するしかないが、そういった彼女の能力と、それがどんなふうに発揮され、そしてそのことでどのように琴音が奇異の目で見られるようになったか、その点がどうも明確でないのはマイナスである。

 最後、雅史をピンチから救い、初めて予知能力で他人の危機を回避させたことで一応のハッピーエンドの体裁をとってはいるが、今までの境遇がわからないので今回はたまたまよかったというふうにも見えてしまう。

 まぁ、この回を見る限りそれほど琴音の能力が強力で何か問題を起こすとは思えないので、要は彼女自身の気の持ち方であろう。自分の能力に抵抗を示さずに接してくれる人が現れて、そのおかげで心のわだかまりが溶けたと見れば、それなりの回ではある。もちろん、それが雅史だというのも大事な要因だろう。

 一見「猫の恩返し」のようにも見える話であったが、そこまで猫の役割が重要だったかというとそうは思えない。猫はあくまで「きっかけ」を作ったにすぎないのではないだろうか。

 

 

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