太宰治ゆかりの場所 千代田区




日比谷公園 有名な西洋料理屋 日比谷公園 松本楼

 宴会の場所は、日比谷公園の中の、有名な西洋料理屋で   ある。午後五時半と指定されていたのであるが、途中バ  スの聯絡が悪くて、私は六時すぎに到着した。
                太宰治『善蔵を思う』
 日比谷公園はどうかしら。わたしはカメラマンを連れて  いきます。そうね、松本楼ってわかる?あの前で、明日  の二時にどうかしら。                  宮部みゆき『燔祭』
 

 その夜、二人は、帝国ホテルの部屋で、薬をのんだ。二
 人、きちんとソファに並んで坐ったまま、冷くなってい 
 た。深夜、中年の給仕人が、それを見つけた。察してい
 たのである。落ちついて、その部屋から忍び出て、そっ
 と支配人をゆり起こした。すべて、静粛に行われた。ホ
 テル全体は朝までひっそり眠っていた。須々木乙彦は、
 完全に、こと切れていた。
 女は生きた。
                  太宰治『火の鳥』

 美濃十郎は、実業家三村圭造の次女ひさと結婚した。  帝国ホテルで華燭の披露宴を行った。その時の新郎新婦  の写真が、二、三の新聞に出ていた。                   太宰治『古典風』
帝国ホテル

 晩秋の夜、音楽会もすみ、日比谷公会堂から、おびただ 
 しい数の烏が、さまざまの形をして、押し合い、もみ合
 いしながらぞろぞろ出て来て、やがておのおのの家路に
 向かって、むらむらぱっと飛び立つ。
                  太宰治『渡り鳥』

 昨年の晩秋、ヨオゼフ・シゲティというブタペスト生れ  のヴァイオリンの名手が日本へやって来て、日比谷の公  会堂で三度ほど演奏会をひらいたが、三度が三度ともた  いへんな不人気であった。               太宰治『ダス・ゲマイネ』
日比谷公会堂

 「近代音楽の堕落は、僕は、ベートーヴェンあたりから
 はじまっていると思うのです。音楽が人間の生活に向き
 合って対決を迫るとは、邪道だと思うんです。音楽の本
 質は、あくまでも生活の伴奏であるべきだと思うんです。
 僕は今夜、久し振りにモオツァルトを聞き、音楽とは、
 こんなものだとつくづく、‥‥‥」
 「僕は、ここから乗るがね。」
 有楽町駅である。
                  太宰治『渡り鳥』
有楽町駅

 私は立って食堂へ行き、叔父さまのお好きなキツネうど 
 んをこしらえて、先生と直治と叔母さまと四人分、支那
 間へ持って行き、それから叔父さまのお土産の丸の内ホ
 テルのサンドウィッチを、お母さまにお見せして、お母
 さまの枕元に置くと、
 「忙しいでしょう。」
 とお母さまは、小声でおっしゃった。

                   太宰治『斜陽』
丸の内ホテル


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