Reading 2001



1月(7冊) 2月(6冊) 3月(7冊)


 2001年 1月 
 聖書の大地 加賀乙彦 NHK出版
 カトリックである加賀乙彦氏が、聖書に刻まれた土地を旅したエッセイ。
 神の啓示がモーゼに行われた、シナイ山など感動的です。
 この作品に書かれた全部を観るのは無理だが、どこかには行きたいものです。
 ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂に行って、ペテロの右足に触れてみたいのです。

 聖書の常識 聖書の真実 山本七平 講談社文庫
 「聖書は1冊の本ではない」あたりは、簡単だと思っていましたが、読み進めるにつれて難しくなりま
 した。
 やっぱり聖書は難しい。

 太宰治と聖書 野原一夫 新潮社
 太宰治と聖書。切っても切れないものがあります。
 傑作『駈込み訴え』は、イエスの弟子、ユダが独白するスタイルをとっていますが、こういう作品を書 
 けた太宰は、相当聖書を読んでいたのです。
 信仰はしなかったようですが、最後に太宰は神を信じたのではないでしょうか。

 夢にも思わない 宮部みゆき 中公文庫
 作品に登場する中学生は、何か超越した感じがします。そう思いながらも面白かったのですが、最後の
 方が宮部みゆきさんらしくないと思いました。
 というわけで、これまで読んだ宮部みゆきさんの作品の中では、一番後味の悪い作品でした。

 鳥人計画 東野圭吾 新潮文庫
 東野圭吾氏の作品を初めて読みました。
 普通の推理小説だなぁ、と思っていたのですが、、、何ともすごいラストが用意されていました。

 女文士 林真理子 新潮文庫
 武者小路実篤の愛人であったり、中村地平の恋人であったりと、スキャンダラスな女流作家眞杉静枝の
 半生を書いた作品です。
 中村地平の紹介で、太宰治と会う場面があるのが面白い。一度切りなのが残念ですが。
 この作品を読み、失礼だが、林真理子さんはこんなにも文学的なものを書けるのかと感心した。

 盗 賊 三島由紀夫 新潮文庫
 いやはや難しい作品です。何が「盗賊」なのかよくわかりませんでした。
 ハッピーエンドになるのだと思いこんでいたら違いました。
 ストーリーは複雑ではないのに、一つの事柄に「ここまで言葉を尽くすのか」というくらいたくさん言
 葉を使って表現しているのがすご過ぎる。
 生と死のとらえ方は、三島由紀夫のものなのでしょう。


 2001年 2月 
 みずうみ 川端康成 新潮文庫
 読後、何とも不思議な感じが残る作品。現代風に言えば「ストーカー」である男が主人公。


 複雑な彼 三島由紀夫 集英社文庫
 私は三島由紀夫氏の作品多くを読んだわけではありませんが、今まで読んだ作品の中では、一番面白か 
 った。 難しい表現のない平易な文章で、とても読みやすかった。
 1月に『盗賊』を読んだのですが、『複雑な彼』と『盗賊』では、同じ作家が書いたものとは思われな
 い感じがします。様々な文体で、こうまで違った作品を書けた三島由紀夫は天才だと思う。

 黒の回廊 松本清張 文春文庫
 女性ばかりの海外旅行ツアーで殺人事件が起こった。
 あまりにも偶然が重なっているような気がするが、事件の解決の決定的な瞬間が最後の1ページという
 のがすごい。
 殺人事件の解決だけではなく、ヨーロッパ各地の描写が上手いと思います。

 流転の海 宮本 輝 新潮文庫
 いやぁ、実に面白い作品で一気に読んでしまいました。続編の『地の星』もいあるのですが、もったい
 ないので、すぐに読まないでおこうと思います。

 検屍官 パトリシア・コーンウェル 講談社文庫
 MWA処女作大賞受賞の傑作長編。
 連続殺人事件を女性である検屍官のケイが捜査していきます。緻密なストーリーと迫力のあるラストシ
 ーンが非常に印象的な作品です。
 この作品で作家としてデビューしたとは思われないです。日本語訳もいいです。

 津軽殺人事件 内田康夫 中公文庫
 読む価値の全くないふざけた作品。時間損した。
 この作家の作品が何故売れているのか、私には全く理解できません。


 2001年 3月 
 地の星 宮本 輝 新潮文庫
 1月に読んだ『流転の海』の第二部。大阪から郷里である愛媛県南宇和へ引きこもった松坂熊吾の身の 
 回りに様々な事が起こります。
 松坂熊吾の心境の変化の描写が、何とも言えず上手いと思います。

 魚の見た夢 柳 美里 新潮社
 柳美里さんの愛、過去、家族を明かす感動のエッセイ集。
 8年間に書いた短い文章を集めたもので、非常に読みやすい作品です。
 柳美里さんは『桜桃忌』に行ったことがあることがわかりました。
 「私は独りではない。私の中にはしっかりと太宰が棲みついていた。」という文章が印象的。

 血脈の火 宮本 輝 新潮文庫
 『流転の海』の第三部。郷里である愛媛県から大阪へ戻った松坂熊吾は、次々と事業を興していきます。
 第四部が早く読みたいです。

 ノックの音が 星 新一 新潮文庫
 精神的に大ダメージを受けたため、普通の小説が読めなくなりました。でも何もしていないと気が狂いそ
 うになるので、星新一氏の作品を読み始めることにしました。
 すべての作品が「ノックの音がした。」から始まる15のショートショートからなる作品集。
 『夢の大金』『しなやかな手』『人形』が良いです。

 盗賊会社 星 新一 新潮文庫
 36のショートショートからなる作品集。

 夜のかくれんぼ 星 新一 新潮文庫
 28のショートショートからなる作品集。『金の粉』が印象に残りました。

 これからの出来事 星 新一 新潮文庫
 21のショートショートからなる作品集。



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