1886年
1887年3月2日,ミュンヒェン,シュトラウス指揮,ミュンヒェン宮廷管弦楽団
ピッコロ,フルート2,オーボエ2 (2番イングリッシュ・ホルン持ち替え) ,クラリネット2,ファゴット2,コントラファゴット,ホルン4,トランペット2,トロンボーン3,ティンパニ,小太鼓,タンブリン,シンバル,トライアングル,ハープ,弦5部
シュトラウスが22歳の時休暇で訪れたイタリアで、現地の印象を綴った曲。全体は伝統的な交響曲の形式にのっとって4つの部分に分かれているものの、それぞれに標題が付けられている。本格的に交響詩などの標題音楽の作曲に着手する直前の、移行期に属する作品と見なされている。1曲目はシュトラウスがローマ郊外のカンパーニャ平原を訪れた際に得た印象から構成されている、ゆったりとした楽章。2曲目は速いテンポの大規模な楽章で、現代の廃虚に身を置きつつ過去の栄光に思いを馳せるシュトラウスの気持ちを表現しているともいう。3曲目は自然豊かなソレントの海岸でたたずむ作曲者の気持ちを表した静かな楽章。4曲目はナポリ人の陽気な生活スタイルを描写した快活な楽章。有名な民謡「フニクリ・フニクラ」の旋律が若干形を変えて引用されている。
1曲目に緩徐楽章が配置されている独特の構成はマーラーの第1交響曲とも共通していますが、 (しかも両者は作曲時期も近接しています...) 2曲目以降の楽章構成と曲の情趣は全く異なり、こちらは全体を通して明るく快活な曲調が支配しています。4曲目が注目を集めがちですが、むしろ全曲の要となるのは2曲目であり、これは規模、内容ともに充実した全曲の頂点をなす楽章です。1曲目と3曲目も静かで落ち着いた曲調ではありますが決して地味ではなく、むしろ情感豊かな旋律と心地よい和声がとても魅力的な楽章です。4曲目については特に説明する必要もないでしょう、ある意味お祭り騒ぎの、しかしとても堂々とした音楽です。技巧的な側面が前面に出ていますが決して嫌味でなく、むしろその分聴きごたえ十分な内容になっています。
第4楽章のナポリ歌謡を除くとイタリア音楽の明らかな引用と思われる旋律があまりないような気がするのもこの曲の特徴の一つではないでしょうか。具体的な自然描写もあまりありません。客観描写でなく、作曲者の主体的な感情の移ろいをメインに据えた曲作りがなされていることと関係があるのでしょう。個人的には第1、第3の緩徐楽章、特に第3楽章がもっとも聴いていてイタリアという土地を連想させる要素に富んでいるような気がします。