1940〜41年
1942年10月28日,ミュンヒェン, Clemens Krauss 指揮, Staatsoper
オペラ『カプリッチョ』で最終場の直前に演奏される間奏曲。 (オペラそのものの製作過程については六重奏曲のページを参照。)
ちなみにこの後の最終場では、新作オペラのエンディングを決めるよう託された伯爵未亡人が、詩と音楽のどちらを最終的に選ぶべきか思い悩む。その悩みは詩人オリヴィエ Olivier と音楽家フラマン Flamand のどちらの求婚を受けるべきかの悩みへと次第にオーバーラップしていき、彼女は鏡に映る自分の姿に向かって問いかける。詩と音楽は不可分であり、引き離すべきでないと感じている伯爵未亡人は、どうしてもどちらかに心を決めることができない。結局彼女がどちらを選んだのかは結末でも明らかにされず、疑問符の形「?」を型どった音形を2回繰り返して静かにこのオペラは結ばれる。
この間奏曲は次の最終場を準備するもので、それまでのにぎやかで騒々しい雰囲気を払いのけるかのように清澄で幸福感に満ちたものになっています。ホルンのやわらかい音色が耳にとても心地よい曲です。短い曲ではありますが、シュトラウスの書いた最も美しい音楽の一つです。曲名は、この曲が演奏されるあいだ舞台上のテラスに注がれる月の光にちなんで名付けられています。
なお、この間奏曲の主題はオペラ本編中にも何度か出てきます。まず第9場で2人がその他の人物をも交えて議論している場面、それから La Roche の長口上の直後、伯爵未亡人が、すべての芸術には美を渇望する自分たちの心という共通の源があるのだから、と言って2人に和解するよう諭す場面と、別れのあいさつをした後伯爵未亡人に続いて詩人と音楽家が共に退場する場面です。どれもこの3人が密接にかかわった場面である点が共通しています。
この曲にはいい演奏がたくさんあるのですが、その中の一つにアンドレ・プレヴィン指揮ウィーンフィルによるディスクがあります。このディスクには導入部の六重奏曲も入っており、ともにすばらしい内容でおすすめなのですが、ただひとつだけ残念なのは、この曲の直後に収録されているのが何と『サロメの踊り』だったりすることです...サロメの踊りをご存知の方ならわかると思いますが、実際この順序でこれら2曲を聴くと結構スサマじいものがあります。できることならもう少し曲順を考えて欲しかったような気がします。場合によっては『月光の音楽』を CD のラストに持ってきても良かったんではないでしょうか。まあ曲順をあらかじめプログラムしてから聴けば問題はないんですけど...