ニセローマ字を退治しよう

Tatuoka Hirosi


いまいちばん問題なのは,漢字かな文ワープロの入力の仕方の一つとして,ニセローマ字つづりを使う方法が広まってきていることである。

いま,漢字かな文のワープロでは,現代かなづかいでかなつづりを入力して,それを変換辞書で目的の表記に変換するいわゆる「かな漢字変換方式」が広く使われている。しかし,このかなつづりを入力するために使われているJISカナ配列は,タイプライター用のカナモジカイ式の配列をさらに改悪したもので,大変に使いにくいので,若い人たちの間では,むしろカナではなくてローマ字で入力するほうがはやっているようである。ニセローマ字つづりと言ったのは,この場合,現代かなづかいをそのままローマ字つづりに置き換えているからである。たとえば,「方向」は「h6k6」ではなくて「houkou」とつづり,助詞の「は,を,ヘ」は「wa,o,e」ではなくて「ha,wo,he」とつづる。漢字かな文のワープロソフトに含まれている「ローマ字カナ変換規則」というのがそのローマ字つづりを現代かなづかいに変換しているのである。

もう一つ,プロ野球の選手のユニフォームでは日本語の引き音をHで表記している。「OHI」は「おひ」ではなくて「大井」なのである。これもニセローマ字の仲間だと言っていいだろう。

最近,こういったニセローマ字が世の中にはびこり始めている。これはまともなローマ字つづりに対する大きなワザワイになる。いまのうちに,国際的に通用するまともなローマ字つづりで漢字かな文も作れるワープロのシステムを広める努力をする必要があると思う。私の「R6maziワープロ」がその一つのきっかけになれば幸いである。1993/8/25


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