センタースタッフによる研究業績一覧(1999年度)

 以下に、スタッフの1999年度の業績を紹介する。掲載順は、@発表年月、A「論文名あるいは発表題目」あるいは『書名』、B(種別)、C所収 (発行者)あるいは発表会名(会場)の順である。他の者との連名のもののみAの後ろに論文掲載順あるいは発表時掲載順に名前をあげた。


西端幸雄

1999.06 「万葉集を中心にした上代文学データベースの構想とその現状」

       (鈴木榮一・西端幸雄<万葉情報システム調査会>)(口頭発表)

       14回西日本国語国文学データベース研究会(大阪樟蔭女子大学)

 

2000.02 『公宴続歌 本文編・索引編』(監修 井上宗雄、代表 三村晃功)(共著)

       和泉書院(本文編629頁、索引編1091頁、文部省助成出版)

 

 本書は、室町末期から江戸初期に宮中で行われた歌会で詠われた和歌28000首余を収める『公宴続歌』の翻刻本文と各句索引・人名索引・歌題索引からなっている。『公宴続歌』は、その所収和歌の多さから『新編国歌大観』にも収められていない資料であるが、中世末期から近世初期の和歌の研究には、避けて通れない資料である。本書を成すにあたり、西端は、本文編の点検と成形、及び索引編の作成を担当した。

 

2000.03 「万葉集を中心にした上代文学データベースの構想とその現状」

           (西端幸雄・鈴木榮一)(論文)『大阪樟蔭女子大学日本語研究センター報告』

 


田原広史

1999.06 「『CD-ROM版全国方言資料全12巻』(NHK編)の紹介」(デモンストレーション)

       14回西日本国語国文学データベース研究会(大阪樟蔭女子大学)

 

1999.06 「邦画の題名における字種の移り変わり -日本映画データベースを用いて-」

       (田原広史・渡邊陽子)(口頭発表)

       14回西日本国語国文学データベース研究会(大阪樟蔭女子大学)

 

1999.07 「大阪(河内)編」(記事)月刊『言語』【リレー連載】日本の方言探訪F(大修館)

 

1999.12 「方言録音調査に基づく音声データベース作成の試み −CD-ROM『道教え文字化・

           音声資料』−」(口頭発表)

       15回西日本国語国文学データベース研究会(大阪樟蔭女子大学)

 

2000.03 「方言録音調査に基づく音声データベース作成の試み −CD-ROM『道教え文字化・

           音声資料』−」(論文)『大阪樟蔭女子大学日本語研究センター報告』第8

       (大阪樟蔭女子大学日本語研究センター)

 

2000.03 「西日本国語国文学データベース研究会(DB-West)について

            −研究発表会のタイトル一覧(第1回〜第15回)−」(報告)

       『大阪樟蔭女子大学日本語研究センター報告』第8

       (大阪樟蔭女子大学日本語研究センター)

 

2000.03 [授業報告]演習U・演習V・演習W −音声言語学ゼミナール−」(報告)

       『大阪樟蔭女子大学日本語研究センター報告』第8

       (大阪樟蔭女子大学日本語研究センター)

 


特別研究助成費研究概要報告(1999年度)

 

 特別研究助成費とは、大阪樟蔭女子大学が研究費補助の一環としておこなっている制度である。申請額は、上限30万円、下限5万円で、予算総額は600万円、助成対象は助手以上の選任教員である。研究目的には、(1)海外研修規程の「2号研修」「3号研修」(短期海外研修)を希望するもの、(2)特別の研究のため、定額研究費では不足するもの、の二つがある。申請は毎年5月におこない、交付を受けた者は本学紀要である『大阪樟蔭女子大学論集』の特別研究助成費研究概要に報告を載せる義務がある。以下に、センターのスタッフの研究概要(上記論集に掲載したもの)を転載する。

 

 

 

「新撰字鏡」のデータベース化(西端幸雄)

 

 平安時代に作られた、現存最古の漢和辞典「天治本新撰字鏡」の総合索引を作成することを目的に、その見出し漢字と注文中に記されている和訓のデータベース化を行っている。計画では、平成11年度から平成13年度までの3ヶ年を予定している。

 「天治本新撰字鏡」には、見出し漢字として、約21,000字、和訓としては、約3,700語が掲載されている。これまで、後者の和訓については、索引が刊行されているが、見出し漢字については、データベース化も索引としての刊行も行われていない。そうした「天治本新撰字鏡」を取り巻く資料整備の遅れが、その研究を遅滞させていると言えよう。その意味で、今回のこの作業は、意義あるものと思われる。

 平成11年度の作業としては、まず、既に10年がかりで作成した見出し漢字索引・和訓索引の手書き原稿の見直しを行った。その後、特に見出し漢字データベースの体裁を検討するために、データベースソフト「ファイルメーカープロ」上で索引原稿の先頭から500字を対象にデータベースを試作した。来年度以降は、本格的なデータベース化と、「天治本新撰字鏡」の抄録本「群書類従本」と「享和本」のデータベース化も行うことにより、文字通り「新撰字鏡」の総合データベース・索引を作成していきたい。(交付金額233,700円)

 


 

河内地域におけるアクセントの世代差に関する研究(田原広史)

 

 19971998年度に東大阪市地域研究助成金を受けておこなった研究を継続しておこなった。この研究では、現在大きな変化がおこりつつある2拍名詞45類について、19973月に、60代から20代にかけての50数名を調査し、変化の境目が30代にあることを明らかにした。この結果については、1998年秋の国語学会(九州大学)で口頭発表をおこない、調査資料については、19993月に研究成果報告書として刊行した。

 今年度は、変化の境目である世代を中心に40代から20代にかけて30人の追加調査をおこない、さらに次世代のアクセントの担い手となる高校生、中学生について20名の調査を実施した。このデータについては、現在、聞き取りをおこなっている最中である。口頭発表した内容は、「大阪アクセントにおける2拍名詞4類・5類の統合の実態について」という題名で、徳川宗賢先生追悼論文集(変異理論研究会編)に掲載予定である。

 今年度中、さらに来年度にかけて資料の整理、分析をおこない、前回の結果とあわせて、当地におけるこのアクセントの実態を明確にするとともに、変化のメカニズムを解明する予定である。(交付金額233,700円)

 

 


センター関連の科学研究費補助金等の課題と内容 (1999年度)

 

         Japanese Linguistics Lexical Database

研究課題 国語学論文所収語彙データベース

  西端幸雄      大阪樟蔭女子大学・学芸学部・教授(国語学)

   別 文部省科学研究費補助金「研究成果公開促進費」(データベース)

年  次 1997,1998,1999年度(5年計画の3年目)

申請番号 1997年度551998年度651999年度501026

名 JALDA作成委員会

副委員長  江川 清     国立国語研究所・情報資料研究部・部長(国語学)

委     ダニエル・ロング  東京都立大学・人文学部・助教授(国語学)

        伊藤鉄也     国文学研究資料館・助教授(国文学)

交付金額 1997年度6,190,000円、1998年度6,800,000円、1999年度6,120,000

研究概要

 本データベースは、『日本語学論説資料』(旧称 国語学論説資料・論説資料保存会編:1963年〜1993年・31巻延べ133分冊、1996年10月現在、以下同じ)や雑誌『国語学』(186冊)『訓点語と訓点資料』(98冊)『日本語学』(174冊)などに所収の論文内において論述されている語句(単に用例として掲出している語、また語彙索引、用例集や英文論文などは除外:以下、論述語句と略す)をデータベース化し、その検索の便を図り、主として国語学・日本語学における語彙研究に資するものである。

試作段階での1分冊あたりの所収論述語句は、5,000語ほどであることから、他の雑誌論文も加えると最終的には、延べ約900,000語を越える論述語句のデータベースとなる。

 


 

         Database of Discourse in Japanese Dialect

研究課題 全国方言談話資料データベース

  佐藤亮一      東京女子大学・現代文化学部・教授(社会言語学)

   別 文部省科学研究費補助金「研究成果公開促進費」(データベース)

年  次 1997,1998,1999年度(5年計画の3年目)

名 DDJD作成委員会

副委員長  江川 清 国立国語研究所・情報資料研究部・部長(社会言語学)

委     井上文子 国立国語研究所・情報資料研究部・主任研究官(社会言語学・方言学) 

        田原広史 大阪樟蔭女子大学・学芸学部・助教授(言語情報処理)

交付金額 1997年度1,800,000円、1998年度1,800,000円、1999年度1,800,000

研究概要

 本データベースは、日本全国の47都道府県について各5地点ずつ、合計235地点における、約2000人の話者の、のべ4000時間にも及ぶ方言談話の音声・文字化データベースである。

 伝統的方言を残している、1977〜1985年当時の高年層話者同士の自然談話を中心に、高年層と若年層の対話、同性間・異性間の会話、場面設定による挨拶など、話者の年齢・性・社会的地位を考慮した、さまざまな組み合わせによる談話で構成する。また、民話などの独話も採録している。

 談話データは、方言音声とその文字化(カタカナ表記)、標準語訳(漢字かなまじり表記)から成る。さらに、調査の概要と、収録した談話内容、地点、話者についての情報なども付加する。