JCMD報告書(1)


 以下に掲載した資料は、この一連の研究中に、発表した著書、論文、口頭発表、報告書等を一冊にまとめたものである。前ページの参考文献にあげたもののうち、内容が別の論文等に含まれるものは省略した。なお、最初の二つに関しては、新たに書き下ろしたものである。それぞれの内容は、誤植、変更になった電話番号、e-mailアドレス等を除き、原則として手を加えておらず、レイアウトのみを統一した。現在としては、古い内容になってしまったものも多いが、研究の経緯を記録したものと考えていただきたい。

1. 『JCMD天気予報T〜X』の内容(CDブックレットより)

JCMD「天気予報」T〜Xの内容

 この一連の研究中に作成した、CD音声データベースJCMD「天気予報」のブックレットに記載された「注意書き」「発話テキスト」「話者の出身地、生年」「話者名」「分担者名」(収録に関わった重点「日本語音声」の研究分担者名)を以下に掲載する。「注意書き」および「発話テキスト」はすべての地点に共通するので、一つにまとめた。

【注意書き】
 このCDは平成5〜7年度文部省科学研究費補助金「研究成果公開促進費」(データベース科研)により作成したものです。収録されている音声は、文部省科学研究費補助金重点領域研究「日本語音声における韻律的特徴の実態とその教育に関する総合的研究」(略称「日本語音声」)(研究代表者 杉藤美代子)(平成元年度〜4年度)において全国主要13都市で収集された方言音声の一部です。
 本CDの収録内容は富山市、大阪市、高知市、福岡市、名古屋市、仙台市、札幌市、弘前市、広島市、鹿児島市の計10地点の方言で、一地点につき5世代男女2名ずつ計20名の話者が簡単な「天気予報」を朗読しています。各CD(一枚に2地点を収録)の1〜40のトラック番号を指定することにより希望する話者の朗読を聞くことができます。
 話者の声はモノラルで録音されています。音声データの収録にはディジタルオーディオテープ(DAT)レコーダを使用していますが、編集過程でいったんアナログ変換し、録音チャンネル、録音レベルの不揃いを修正してあります。また、必ずしも満足のいく録音のみではありません。データによっては、環境雑音がかなりひどかったり、反響していたりするものもありますし、発話の途中にノイズが混入したり、言い直し、言い誤りをしているものも見受けられます。このような欠点はありますが、従来のオーディオカセットテープによる録音に比べれば、はるかに高品質ですし、CDという媒体であることにより、音質が劣化することもなく、頭出し、検索等の操作性も格段に向上しています。また、公開されているため多数の人が利用できるという利点があります。

【発話テキスト】
 天気概況です。
 西日本を覆っている移動性高気圧は次第に東へ移動し、五日は気圧の谷が通過する見込みです。このため、朝から雨の降るところが多く、日中は、各地とも時々雨になるでしょう。また、温暖前線の通過にともなって、夜は一時天気が回復するでしょう。海では、ところどころ濃い霧のため見通しが悪く、多少波があるでしょう。
 大阪府、今日、日中は、東の風、くもり時々雨。夜は南の風が一時強く、くもり時々晴れ。ところによっては、にわか雨が降るでしょう。海では多少波があるでしょう。明日は、全般にくもり一時晴れの見込みです。