ミケの思い出


目次



ミケの思い出

 メス猫でまさに三毛猫。純和風の顔立ちの野良猫であったが、人懐っこさか
ら考えて元々は誰かに飼われていたのだと思う。


猫の来た日

 ミケは私のうちに居着いた最初の猫だった。ミケが二匹の子猫を連れてうち
に来たことが、現在の猫屋敷を作り上げた最初の一撃だったのだ。
 ミケは体格も良く(私の知るメス猫では一番大きかったと思う)、子育てにも
熟練した様子で、しかも人間に対して適度な警戒心と甘えを持った猫だった。
 私の母は子猫二匹(ロンとケンと名付けられた)の世話はしたものの、母猫は
ほうきや水で追い払うという、いまから考えると非常に残酷なことをしていた。
しかしミケは妨害にも負けずに子供をかまいに戻ってき続けた。いま思い出す
と、それ以降のどのメス猫よりも母性の強い猫だったと思う。
 親としても優秀だったのか、愛情を注ぎつづけられたせいか、息子のロンも
ケンも素直で優秀な猫にそだっていた。


別れ

 ミケはある日突然居なくなり、交通事故にあったのではないかと捜しまわっ
たものの死体は発見できなかった。
 死体を残さず去るというあたり、最後まで猫らしい猫だったといえるのかも
しれない。



連絡先 / sfの猫日記に戻る / sfこと古谷俊一のホームページ