ハートウェーブは、ハートランドがお届けする読み物メールマガジンです  %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%             ハ ー ト ウ ェ ー ブ  %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% ハニー号 98.02.07 %%%%  ◎ハートウェーブ・ハニー号では、毎回、テーマに沿ったささやきをお贈りし   てゆきます。今日のテーマは、『スワン・レイク』です。   どうぞ、ささやかな贈り物をお楽しみください。  φ本日のメニューφ   1.想い出 上代桃世   2.スワン・レイク 花山ゆりえ   3.プリンセス・オデット 上代桃世  ″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″  @想い出@   濃紺の湖水は凍てつく冬を感じさせる。おおきく羽をひろげ、いままさに飛  び立とうとするその姿は、誰もがもつ優美でやさしい印象をくつがえす生命の  力に満ちあふれている。   その写真は、ずいぶん前に知り合いから譲りうけたもので、福島の湖で撮影  したということだった。  「電池を使うカメラはやっぱり駄目だな。凍って動かなくなっちまう」   そういいながら、照れたように差しだしたのがこの写真だった。   いま、どうしているのだろう。   もう会うこともない彼は、すべるように湖面を行き来する白鳥の姿に、なに  を思っていたのだろう。   冬。   ニュースが白鳥の来訪を知らせる頃になると、きまって、彼のことを思い出  す。声を聴くことも、もうないというのに。   ……あのころ語った貴方の夢が、いつか本当に叶うといい。   わたしは、待っているのかもしれない。最初の写真集を手に、彼が訪ねてき  てくれるのを。   宝石箱の奥には、指輪がいまも眠っている。ピンク・トルマリンの細い指輪。  捨てることなんて、きっとできない。 Presented by Momoyo.Kamishiro  @スワン・レイク@  しん、と静まり返った湖の上に、静かに雪が降り続けていた。  ほんの少しためらった後、はあっと息を吐いてみる。  目の前で、一瞬流れの変わった空気に、舞い散る雪の動きがわずかに乱れた。  そんなことを、もうどのくらいここで繰り返しただろうか。  時間はただ、過ぎていく。  何も生み出さないまま。  何も変わらないまま。  そうして、時間がただ過ぎていくのを、私は黙って感じていた。  感じながら、それでも何かが変わるのを待っているのだと、  私にはわかっていた。  何を求めているのかもわからないまま、ここへ来たけれど。  今は何だか、それがわかりかけてきたような気がしている。   手に提げた小さなバッグの中に、たった一つだけ入れてきた、  真っ白な、トウ・シューズ。  踊り始めた時からずっと、胸の中で思い描き、夢見ていた白鳥の王女。  彼女は一体、どんな気持ちで湖を漂っていたのだろう。  白鳥の姿をして。  白鳥の気持ち。それがどうしてもわからなかった。  けれど、それがわからなければ踊れない。  切なさと諦めに支配されながら、それでも、わずかばかりの望みを託して、  彼女はいつも、湖を漂っていたのだろうか。  降りしきる雪が、湖の水面に触れてとけていく。  そんなささやかな目の前のシーンを、私は黙って見つめながら、  白鳥の気持ちを思っていた。  いつか取り戻せるだろう本当の自分を信じて、  彼女は決して、投げやりになったりはしなかったのだろうと、  そんな風に思っていた。  夢を手に入れるためには、手に入れられる自分を信じること。  諦めずに思い続け、追い続けること。  わずかな躓きに、すぐに投げやりになっていた自分ではなく、  その躓きを、更に強いパワーに変えられるような自分なら、  きっと夢もかなうの?  そんな自分になったとき、きっと私にも、彼女の気持ちがわかるだろうか。  信じる気持ちを、パワーに変えて。  いつか手に入れられる夢のために。  そして。  もっと自分を、信じてあげよう。  きっと頑張れると、信じてあげよう。    静かに雪が降り続ける湖には、白鳥の姿はなかったけれど、  私には、何かが見えたような気がしていた。  きっともう、大丈夫。  明日から、また頑張れるから。 Presented by Yurie.Hanayama    @プリンセス・オデット@   なんの巡り合わせか、悪魔ロットバルトに白鳥に変えられたオデット姫は、  恋人となった王子を悪魔とその娘オディールに奪われてしまいます。   でも、姫はけっして周囲を恨んだりしないんですね。   悲嘆にくれながらも、静かに運命を受け入れるオデット姫の心情を察するの  は、現代女性にとっては難しいことなのかもしれません。そのせいでしょうか。   古典バレエ「白鳥の湖」を観ると、つい、別のことを考えてしまいます。   こんなふうに。   悪魔ロットバルトとオデット姫は、相思相愛であるけれども、悪魔と人間と  いう種族の違いが、それぞれが正直になることを阻んでいる。そして、じつは  オディールは(本人は知らないんだけれども)ふたりの子供である……   なんてね。   ゆりえちゃんの「スワン・レイク」、白鳥のいない湖を眺めていたプリマは  どんなオデット姫をみせてくれるんでしょうか。   なよやかで、しなやかな――そして、したたかな姫を踊ってくれるのかもし  れませんね。 Presented by Momoyo.Kamishiro  ″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″  ☆こんにちは、上代桃世です。   ハートウェーブ・ハニー号、お楽しみいただけましたでしょうか。   それにしても今回のテーマ『スワン・レイク』は難しかったです……あ、い  え、訂正! 今回も、難しかったです。   とってもたくさん、頑張ったんですが――(次回また苦しいんだろうなあ)。   ゆりえちゃんも、大変だったみたいです。メッセージを預かってます。  「読者の皆様に、私からの抱えきれないほどの愛情をお贈りします」   つぎの花号がんばるよぉ、と言ってますので、期待しちゃってください☆   それではまた、7のつく日にお会いしましょう。                                 ☆2月17日は花山ゆりえの花号、27日は上代桃世の桃号、   そして3月7日にハニー号(テーマ『ヨーロピアンコレクション』)を発行  の予定です。 +----------------------------------------------------------------------+ | ◇◆◇無料◆◇◆ 忙しいあなたに「ちょっとニュース」 ◆◇◆無料◇◆◇ | +----------------------------------------------------------------------+ | 新聞記事には隅々まで目を通したい。でも、時間が足りず全てを読んでいる | | 暇が無い。そんな、あなたの為に、無料にて一つの記事を3行以内でお届け | | します。配信希望は、のURLの | | 内容に従って登録するか、 宛てに登録 | | アドレスを添えてメール願います。配信中止も同様です。         | +----------------------------------------------------------------------+  ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ☆ 発  行  ハートランド  ☆本日の担当者  上代桃世(kaidou@fb3.so-net.or.jp)  ☆このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して   発行しています。( http://www.mag2.com/ )  ☆バックナンバーはhttp://www.age.ne.jp/x/sf/NOVEL/HW/ でご覧いただけま   す。掲示板もありますので、ふるってご参加ください。よろしくね。 メールでのおとりとせもできますので、お気軽にどうぞ。  ☆みなさまからのご感想、リクエストなどを心から、お待ちしています♪  ☆お 願 い  掲載された内容は許可なく、転載しないでくださいね。  ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞