ハートウェーブは、ハートランドがお届けする読み物メールマガジンです  %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%             ハ ー ト ウ ェ ー ブ  %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%% ハニー号 98.10.07 %%%%  ◎ハートウェーブ・ハニー号では、毎回、テーマに沿ったささやきをお贈りし   てゆきます。今日のテーマは、『点心』です。   どうぞ、ささやかな贈り物をお楽しみください。  φ本日のメニューφ   1.きんぎょ 上代桃世   2.好!   花山ゆりえ   3.桂花   上代桃世  ″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″  @きんぎょ@   点心っていったら、きんぎょだよねえ!   飲茶には、欠かせないね。勢いあまって、二回も頼んじゃう時があるくらい。   おいしー☆ すきすき☆☆   いや、なにもね。金魚の料理じゃ、ないんだよ? 見た感じがね、きんぎょ  みたいだなあって……それだけなんだけどさ。   正しい名前は、これだ。   海老餃子   誰でも知ってるメニューでしょ。でも、これが。うまいんだなあ。米の粉で  つくった皮につつまれた、ぷりっぷりの海老くん。蒸しあがったばかりの、湯  気のたつ蒸籠(せいろ……こんな字だったのか)にみっつ、ちんまりと置かれ  ている姿は、ほんとうに愛らしくて欲望をそそる。   もにっ、と握ってつくられた形。海老くんのピンクをうつす透きとおった皮。  そのお姿は、いつも『きんぎょ』を連想させる。   外見だけがイイんじゃないぞ。     食感がまた、いい。海老くんのぷりぷり、もちっとした皮。   すてきだ。たいへん、魅力的だ。セクシー……だとは思わないが。   ぜひ! 機会があったら、なんて言わない。機会をつくって、ゲットしてね。  (お店によって味ちがうんだよね。いろんなとこで食べてみてね。あたし?  もっちろん、行きつけがあるさ☆)   @好(ハオ)!@   ランチタイムを目前に控えたコンビニは、既に嵐のような混み具合を見せ始  めていた。   季節柄、レジ脇の中華まんコーナーは大人気で品切れとなっている。  「あ〜あ、また売り切れですよぉ、先輩」   気抜けしたようなルミの声を、真澄は鼻で笑った。  「ふん、こんな所の中華まんなんて食べたらお腹壊しちゃうわよ」   堂々と言い放った真澄の声に、思わず店員の顔を窺ってしまったのはルミの  方だった。  「もう、先輩はホント、中華まんにはうるさいんだから」  「中華まんだけじゃないわよ。私はね・・・」  「はいはい、わかってます! 点心でしょ? 飲茶でしょ? もう耳タコで  すよ」   真澄の言葉をぴしゃりと遮って、ルミはけろっとしている。真澄ももう慣れ  っこなのか、ルミの言葉に反論する気はないようで、そのままサンドイッチコ  ーナーへと人波をかきわけながら進み始めていた。  「ねえねえ、先輩」   追いついたルミが、猫なで声で真澄を呼んだ。その声に潜む怪しげな気配を  察してか、真澄はちらりと一瞥をくれただけで、再びサンドイッチの選別に戻  る。  「先輩ってばぁ」  「なに?」   振り返りもしない真澄の声の厳しさに、しかし、ルミは怯む様子も見せない。  どうあってもこれだけは言おうと、そう決めているらしい。  「そんなに先輩飲茶に詳しいなら、今度のお休みに中華街連れていってくれ  ませんか?」   瞬間、ハムカツサンドを掴みかけていた真澄の動きがフリーズした。  「・・・ルミ」  「はい?」   ゆっくりと振り向いた真澄は、何を思ったのか、いきなりルミの目の前で、  にっこりと笑って見せた。奥歯まで見せるその笑顔に、さすがのルミも言葉を  詰まらせた。  「せ、せんぱい・・・」   それまでに見たこともないような真澄の笑顔に、ルミは思わず一歩後ずさっ  ていた。内心では完璧に怯えていた。すでに自分の言葉を後悔し始めていたル  ミは、そのまま逃げ出そうとするかのように更に一歩後ずったところで、真澄  にしっかり肩を掴まれた。  「いやぁ〜ん、ごめんなさい!」  「あんた、何が好きなの?」   ルミの謝罪の言葉と、真澄の問いかけはほとんど同時だった。   すぐさま真澄の言葉の意味するところを理解したルミは、それまで怯えてい  たのもどこへやら、混み合うコンビニの中でも一番人々が苛ついている場所、  つまり、レジ待ちの列のすぐ横で、他人の迷惑も顧みずに小躍りしていた。   いきなり跳ね出したルミに、レジに並ぶ人達はおろか、周り中の人達があぜ  んとして見つめている。しかし、そんなルミにも慣れっこなのか、真澄はいっ  こうに気にしていない様子だ。  「やーん、嬉しい。ホントですか?」  「だーかーら、何が好きなの?」  「見てから決めますぅ。あ、お任せしちゃおっかな」   実は飲茶の種類など良く知らないルミなのであった。  「あ、そ」   ルミが何を答えようとおそらくは関係なかったのであろう真澄は、そのまま  掴んだハムカツサンドの代金を支払うべく、レジに並ぶ列の後ろへと向かった。  その真澄にじゃれつくように、ルミが続く。  「先輩、先輩、ありがとうございます」  「ええい、まとわりつくな、うっとうしい」  「だってルミ、嬉しいんだもん」  「なら、良かったじゃない」   嫌そうに顔をしかめているわりには、まんざらでもなさそうな真澄であった。    @桂花@   お茶、というとウーロン、ジャスミン、プーアールあたりが有名だけれど、  あたしのお薦めは、ちょっと違う。   桂花の入ったやつ。   そう、金木犀の花の入ったウーロン茶だ。あまい香りが、おいしいの。ちょ  っぴり、高いんだけどね。あんまり安いのは、花はたくさん入っててもお茶の  味がよくないから、100g400〜500円くらいのものをお薦めするね。   お茶うけには、甘く煮たナツメなんてどうだろう。   湿った季節の、愛らしい贅沢だよね。   ″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″  ☆こんにちは、上代桃世です。イベント用にせっかく丹精した爪なのに、つい   さっき、折ってしまって悲しんでます。あした、ウソ爪、買ってこなくちゃ。   くすん……   一本だけ短い爪でつくられたハートウェーブ・ハニー号、お楽しみいただけ   ましたでしょうか。   それではまた、7のつく日にお会いしましょう。                                 ☆10月17日は花山ゆりえの花号、27日は上代桃世の桃号、   そして11月7日にハニー号(テーマ……は、来週決めよう)を発行の予定  です。  ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ☆ 発  行  ハートランド  ☆本日の担当者  上代桃世(kaidou@fb3.so-net.ne.jp)  ☆このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して   発行しています。( http://www.mag2.com/ )  ☆バックナンバーはhttp://www.age.ne.jp/x/sf/NOVEL/HW/ でご覧いただけま   す。掲示板もありますので、ふるってご参加ください。よろしくね。 メールでのおとりとせもできますので、お気軽にどうぞ。  ☆みなさまからのご感想、リクエストなどを心から、お待ちしています♪  ☆お 願 い  掲載された内容は許可なく、転載しないでくださいね。  ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞