ハートウェーブは、ハートランドがお届けする読み物メールマガジンです ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷            ハ ー ト ウ ェ ー ブ ÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷ 花号 99.10.17 ÷÷÷÷ ☆こんにちは。花山ゆりえです。  今回はしゃれにならないくらい発行が遅くなってしまってごめんなさい。も うみなさまには忘れられちゃったかなー?などと思いつつの、花号の発行です。  少しでもみなさまに喜んでいただけることを祈りつつ。 φ本日のメニューφ  1.Smokey Night  2.今日 @Smokey Night@ 「ちょっと、また吸うの?」 「悪い?」 「悪くはないけど。あ、ほら、よそ見しないでちゃんと前向きなさいって。危 ないじゃないの」 「大丈夫だって。俺、A級ライセンス持ってんだよ。忘れたの?」 「忘れてないけど、ここはサーキットじゃないの。公道なのよ。対向車だって いるんだから気をつけてよね」 「こんな時間に対向車も何もねえって」 「視界だって悪いんだし。もう、ここのハイウェイ、なんだってこんなに街灯 と街灯の間が空いてるのかしら」 「まさか、俺が雨の夜中に高速でちらっと脇見運転するのが初めてだなんて、 思ってないよね?」 「そういうこと言ってるんじゃないでしょ? 心配して言ってるの」 「そうだよな。事故ったら困るなぁ、ってな。なんでこんな時間にこんな車に 乗ってたのか言い訳しなくちゃならなくなるもんな。そりゃあ困るよな」 「あのね。そういうこと言うなら、帰るわよ」 「そういうことだろ?」 「何よ、拗ねてるの?」 「拗ねてなんかいねえって。ただ、図星だろ?」 「あなたって、本当に子供ね」 「何だよ。図星さされて逆ギレか? 大人気ねえのはそっちじゃ……」 「あのね」 「……はい」 「普段嫌になるほどサーキットで飛ばしてるんでしょ? 私にしてみれば自殺 行為にしか思えないようなスピードで飽きもせずぐるぐるコースを回って、そ のタイムを競って……そんなことしてあなた、喜んでるんでしょ? だから、 いつだって死ぬほど心配してるのよ。せめて私と一緒にいるときくらい、私の こと、心配させないでよ」 「ごめん。俺、そんな風にあなたが思ってるなんて知らなくて」 「私だって、言うつもり、なかったのよ」 「ごめん。ホント、ごめん」 「もう良いわ、謝らなくて」 「うん、でも……」 「良いから。あなたがしゅんとしちゃうと、私もそれ以上何も言えなくなっち ゃうもの」 「え、そうなの? それって、愛されてる役得ってか?」 「あのね……一度、死になさい」 「さっき心配してるって言ったじゃんよぉー」 「このガキんちょ」 「あ、今なんて言った、なんて」 「何にも」 「嘘だよ。ガキんちょって言っただろう」 「あら、そう? 自分がそう思ってるからそう聞こえたんじゃない?」 「何だよ、可愛くねえの」 「ええ、ええ。結構よ。可愛げなんてものとはとっくにおさらばしてるんだか ら」 「だからダンナがキレるんだよ」 「殴られたいの?」 「殴られたいねぇ」 「バカ言ってんじゃないの。あ、ほら! 吸い殻が落ちたじゃない」 「おっとと。うっかりあなたに見とれちゃったよ」 「いい加減な誉め言葉なら結構よ」 「そうでもないんだけどなぁ」 「……ねぇ?」 「なに?」 「煙草、増えたんじゃない?」 「煙草吸う男、好きだって言ってたじゃない」 「言ったけどね。実際、君がそうやって煙草吸ってるとこ見てるのは、本当、 好きなんだけど、だからって、そうのべつまくなしぱかぱか吸ってるのを見る と、やっぱり心配になるじゃない?」 「あれ、これまた心配してくれてんの? 嬉しいねぇ。涙が出てくるよ」 「茶化さないでよ。結構真剣なのに」 「肺癌になるってか?」 「身体のことだけじゃなくて」 「何だよ」 「うん……」 「何だよ、気になることがあるんだったらはっきり言ってよ」 「うん……そうなんだけど……」 「どうしたの? 歯切れ悪いね。あなたらしくないじゃない。さっきまでこれ でもかってくらいマシンガンみたいにきつい言葉連射してたくせに」 「そういう言い方はないでしょー?」 「だって本当のことじゃん。違う?」 「まあ、それはね、認めるけど……でもさ、それが私の」 「良いところ。わかってるって。正直で誠実が売りなんだろ? 俺もあなたの そういうとこ好きだよ。だから、言ってみなって。今更俺も腹立たないって」 「うん……何か、嫌なことあるのかなって」 「嫌なこと?」 「とか、ストレスとか」 「んなもん、ねえよ」 「って言うと思ってたけど」 「なら良いじゃん」 「良ければ、言わない。心配もしないよ。でも、気になるの」 「何が心配なのかな? 俺、いたって健康だし、心配事もないし、悩みもない し」 「緩慢な、死」 「え? 何?」 「煙草を吸うことをね、そう言った人がいたの。緩慢な死に向かうだけの行為 だって」 「なんか良くわかんないけど」 「緩慢な死に向かう煙草の数が増えるのは、それを急ぎたいからだって。何の 根拠もない言葉だと思うけど、今、急に思い出しちゃった」 「俺がぱかぱか吸うから?」 「かな……。ねえ?」 「なに?」 「私で本当に良かったの?」 「当たり前じゃん。あれ、ひょっとして、そんなこと気にしちゃってたわけ?」 「気にしてたわけじゃないけどね」 「じゃあ、なにかな〜?」 「何でも良いじゃない。ねえ、ちょっと良い?」 「え? 何よ、あれ、煙草吸うの?」 「あら、知らなかった?」                                 <終> @今日@  寒いですねぇ。毎日、毎日、ほんっと寒い。いきなり寒くなったものだから 身体もびっくりしちゃいます。そんなわけで体調を崩されている方もいらっし ゃるのではないでしょうか?  花山の今日のチャレンジは「会話だけの文」によるお話。テーマはひたすら 停滞した空間だったんですけど、いかがでしたでしょうか? まだまだ表現力 も描写力もあまあまの私なので充分とは言い難いのですが、いつもとは違った 感じをお楽しみ頂ければ嬉しいです。  秋から冬への移り変わりの季節に向かうこれから、毎日を大切に実りあるも のにしたいな、などと改めて思うのは、自分のいたらなさと急に冷えてしまっ た空気のせいかもしれません。 ″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″ ☆今回の花号、お楽しみ頂けたでしょうか?  今回は、ちょっとマジでしゃれにならないくら遅れちゃって、本当にごめん なさいでした。次回こそは…と言いつつ、何ヶ月過ぎたんだろう(^^;)  これからも頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。呆れないで やってね〜(^^;)   ☆次回は27日に桃号を発行の予定です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆発    行  ハートランド ☆本日の担当者  花山ゆりえ(yn6y-iruc@asahi-net.or.jp) ☆このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して  発行しています。( http://www.mag2.com/ ) ☆バックナンバーはhttp://www.age.ne.jp/x/sf/NOVEL/HW/ でご覧いただけま  す。掲示板もありますので、ふるってご参加ください。よろしくね。  メールでのおとりよせもできますのでお気軽にどうぞ。 ☆みなさまからのご感想、リクエストなどを心から、お待ちしています♪ ☆お願い 掲載された内容を許可なく、転載しないでください ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞