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―黎明期の仙台藩に花開くシェイクスピア喜劇の最高傑作―
仙台藩の十二夜公演場所
有備館の森公園 (宮城県岩出山町)'98.8.23(日) えずこホール (宮城県大河原町)'98.8.29(土) エルパーク仙台スタジオホール(宮城県仙台市)'98.9.11〜13(金〜日)
| 私たちの『十二夜』は、シェイクスピア世界と仙台藩の結合である。その発想の出 発点は、この作品が書かれた年代もウィリアム・アダムスが九州の豊後に漂着したこ とによって日本とイギリスの交流が始まった時も共に一六○○年頃であり、まさにこ の時がわが仙台藩の黎明期であったという事実である。 日本もイギリスも時代の転換期にあったこの頃に生まれた二つの世界、一つは天才 劇作家の想像上の『十二夜』、そして歴史の中の仙台藩である。 九州と仙台を結ぶ線がキリシタンと決まった時、劇を構成する細かな条件が明らか になった。イリリアは、仙台藩領内、時は、一六○三(慶長八)年の一二月二六日か ら翌年の一月六日(ちなみに『十二夜』の原義は、キリスト誕生から一二日目、つま り一月六日のことで、顕現日のことを示す)となる。双子の兄妹の航海目的を奥州は 大籠のキリシタン集落にセミナリオを建築するということで、難破の後漂着するのは 亘理の荒浜湊である。折しも、仙台は築城で賑わっている。 そして、伊達家をめぐる六人の歴史的人物を、イリリアの世界のモデルに選んだ。 オリヴィア キリシタンであったと言う伝説もある政宗公の長女五郎八(いろは)姫。 信州上田から白石の片倉重長に嫁いだ、真田幸村の娘阿梅(おうめ)。 オーシーノー 伊達政宗の弟小次郎。亘理の有徳の武将伊達成実(しげざね)。 船長 支倉常長。政宗から一度追放され、ついには遣欧使節団を率いてローマ に渡るまでに重要されるに至るまでの彼の歩みは知られていない。 劇の冒頭で九州の民謡「刈り干し切り唄」を歌うのは、 彼の遍歴を示唆している。 神父 キリシタン迫害で殉教した政宗の通訳・後藤寿庵。 双子の兄妹を宗麟の甥と姪にしたのは、私の想像である。最後に阿国について触れ ておこう。『十二夜』には、阿国に相当する人物はいないが、道化のフェステの持つ 歌の要素を、私たちの阿国は持っている。フェステの名が「笛捨」であるのは、必ず しも当て字の偶然ではなく、笛つまり歌を捨てた道化という意味を込めている。(実 際、原作の歌は大きく減らした) 阿国を仙台藩の『十二夜』に加えたのは、ダテで新しいものにはめざとかったはず の政宗公が、当時京で評判の阿国を仙台に呼び寄せたとしても少しも不思議はないと 思えたからである。阿国の踊りと京ことばは、京の文化に通じていた政宗の世界の優 雅を伝える役どころである。 |
シェイクスピアの世界は海のように大きく深い。それに較べれば、私たちが上演するシェイクスピアは水道の蛇口からこぼれる水滴にすぎない。
(シェイクスピア・カンパニー)