1495 打球処理直後の内野手による悪送球の場合 |
草審判の久間です。 野手の悪送球がボールデッド区域に入ってしまった場合, 各走者には二個の安全進塁権が与えられます。 この際,どの塁を基準として二個与えるかにつきまして は,悪送球の種類によって二通りに分けられています。 (公認野球規則 7.05g) 問1 走者一塁。打者三ゴロ。三塁手は一塁走者がすでに二塁 に到達していることを確認してから一塁へ送球した。こ の送球が一塁手の頭上をはるかに越え,スタンドに入っ てしまった。 打者走者はこの直後に一塁へ到達した。 一塁走者と打者走者はどこまで進塁できるか? 答1 三塁手の一塁悪送球は「打球処理直後の内野手による悪 送球」です。この場合は「投球当時走者が占有していた 塁」を基準として二個走者を進めることになります。 一塁走者は悪送球がなされたとき,すでに二塁に到達し ていましたが,二塁を基準とするわけではありません。 あくまで投手の投球当時にいた塁が基準です。 よって,一塁走者は一塁を基準として二個進塁すること になるわけですから,三塁まで。 打者走者は本塁から数えて二個ですから,二塁までとな ります。 >「野手が悪送球した時点」がどうも違うのかなあと思 うのですが,ピッチャーが投球した時じゃないのかなあ とか。 貴方のご主張どおり,その通達は公認野球規則に合致し ないところがありますね。 ただですね…。上記の答には例外があります。 問2 走者一塁。打者三ゴロ。三塁手は打球を胸に当てて落球。 球は前方へ転がった。三塁手は転がる球を拾い上げて二 塁へ送球しようとしたが,走者はすでに二塁へ到達して いた。そこで三塁手は一塁へ送球したが,これがスタン ドへ飛び込んでしまった。打者走者も三塁手が球を手放 す前に一塁へ到達していた。 打者走者と一塁走者はどこまで進塁できるか? 答2 打球処理直後の内野手による悪送球でありましても,そ の悪送球が内野手の手を放れるより早く「打者走者を含 むすべての走者」が一個以上の進塁に成功していた場合 は,投手の投球当時にいた塁を基準として二個進塁する という規則は適用されないのです。 その場合は,悪送球が内野手の手を放れたときに走者が いた塁を基準として二個の進塁を許すのです。 したがって,問2の答えは, 「一塁走者は二塁から数えて二個(本塁),打者走者は一 塁から数えて二個(三塁)の進塁が許される」 となります。 ですので,走者なしのときの内野手の悪送球であれば, 通達に書いてある, 「打球処理した野手が悪送球した時点での打者走者のい た位置によって2個の塁を与える」という内容は100% 誤りとも言えないところがあります。 でも,その通達が「悪送球した時点とは球がボールデッ ド区域に入ったときのこと」として書かれてあるのであ れば,それは規則の解釈が間違っています。 失礼致しました。
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