草審判の久間です。

貴方の心中，お察し致します。さぞかし憤慨
されたことだと思います。
貴方の申し出を門前払いにしたその審判さん
に私も唖然としています。
その事件が真実なのかも，私は一瞬疑ってし
まいました。

全日本軟式野球連盟では，走者の治療などに
時間を要する場合，その走者の前の打順の者
を特別代走者に任ずることが認められている
のです。
ご質問の三塁走者が仮に三番打者としますと，
その前の打順，すなわち二番打者が臨時の三
塁走者となることができるのです。

先日も私が球審をした試合で，三塁にスライ
ディングしてセーフになった走者が足首を捻
ってしまい，立ち上がることが困難になるア
クシデントがありました。
セーフの宣告を行った塁審が走者の異常に気
づき，即座にタイムをかけ，私と攻撃側の監
督を呼びました。
監督は女子マネージャーに痛み止めスプレー
を持たせて三塁までやってきました。
「久間さん，走者はこれ以上プレイを続ける
ことは難しいです」と塁審。
「そうだね。監督さん，彼を交代させるか，
もしくは特別代走を起てるか，どちらにしま
すか？」と私は質問しました。
「彼はチームの主力打者なので，交代させた
くありません。特別代走をお願いします」攻
撃側監督です。
「わかりました。では彼は何番打者でしたっ
け？」
「四番です」
「では三番打者を三塁走者にしてください。
でも，三死になっても負傷した彼が守備位置
につくことが不可能な場合は，強制的に交代
していただくことになります。それでよろし
いですね」
「構いません」
「はい。ではこの特別代走の制度はあくまで
相手チームの好意による処置ですので，相手
チームの監督さんに許可をもらってきます」
「え？　もし相手が特別代走を拒否したら，
どうなるんですか？」
「相手チームは特別代走の申し出を拒否しな
いでくれと，私たち審判員はお願いしている
ので，それはご安心ください。負傷はお互い
様ですからね。ただ，この規則はあくまでも
相手チームの好意により特別に許されること
なんだということは覚えておいてください」
私はこうして試合を再開させました。

話を元に戻しますが，その審判さん以外の審
判さんは貴チームに助け舟を出さなかったの
でしょうか。
「特別代走っていうルールがありますよ」っ
て。それも不思議に思います。その審判さん
はよほどの権力者で，誰も反論できなかった
のでしょうか。

生涯１捕手さま。貴方に落ち度はありません。
どうぞ，お怒りはお静めください。
このうっぷんは，次の試合でぶつけてくださ
るようお願いします。

失礼致しました。

追伸
でも，特別代走の申し出を門前払いにしたと
いう話は初めて聞きました。
年輩の方なんでしょうか。昔々はこんな規則
はありませんでしたから…。
その審判さん，反省会の席上で「しまった。
申し訳ないことをしてしまった」と話してお
られたことと，私は信じたいです。

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【1501】 主審の判断 2003/7/21(月)13:01 生涯１捕手

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