草審判の久間です。

数年前のことです。
私はとある県の軟式野球連盟へ研修を
兼ねた審判員の助っ人に出かけていました。
そこでの出来事です。
私は本部席のテントの下で観戦していました。

投手が球速の遅い山なりの投球を行いました。
それが打者めがけて飛んできたために，打者は
その場にしゃがみこんで投球から逃げました。
「いてっ！」
投球はそのしゃがみこんだ打者の背中に
ドスンと当たったのでした。

「ボール！」

球審が両手を上げてタイムのジェスチュアで
宣告しました。
とたんに攻撃側から「ええ〜」の声。
「当たりましたよ。デッドボールでしょう？」
打者がその場で球審に抗議します。
「いいえ。避けていないからボールです」
「避けてないって，わたしはしゃがんで避けたじゃ
ないですか」
「今の山なりの球でしたら，しゃがむのではなく，
左右のどちらかに避ければ投球に当たらずに
済みました。それをあえてしゃがみこんだと
いうことは，投球に当たっても構わないという
ことです。これは投球を避けようとしたとは
言えません。だからボールです」

タイトルは，その説明を球審から聞いたときの
打者の悲痛な叫び声です。
打者はこの説明に納得いかない様子でしたが，
そのまま打撃を続けました。

全試合終了後の反省会の席上で，私はこのときの
判定について質問しました。
実は私もあの投球に対しボールの宣告は，打者に
とってあまりにも酷であると思っていたのです。
そのときの審判部長の話です。

「打者が投球を避けたつもりでも，その投球の性質
上避けたとはみなすことのできない場合は死球
とはしないよ。先ほどのように球速の遅い山なり
の投球なら，左右のどちらかに移動すれば
じゅうぶん当たらずに済んだはずだ。しかも移動する
時間はたっぷりあったはずだ。避ける間もなかった
とは絶対に思えない。だから私はさきほどのボールの
判定を絶対的に支持するよ」

なるほど…とは思いました。
けれども，打者に投球を避ける方法まで要求して
構わないものだろうか。
私だったら死球の判定を行っただろうな。
私はそう考えました。

ご質問のケースもまさに私が経験したのと同じ
と思います。
打者が投球を避けようとしたか否かは，すべて
審判員の判断に任されます。
ですので，審判員が避けていないと考えたら
それはどうすることもできません。
ノイズ・オフさまも納得いかないご様子ですが，
私自身が経験した出来事であったことを
話させていただきました。

失礼致しました。

〔ツリー構成〕

【559】 死球の判定について 2002/9/12(木)03:09 ムッチー

┣【560】 避ける動作がなければ死球は宣告されません 2002/9/12(木)08:34 久間(くま)

┣【561】 re(1):避ける動作がなければ死球は宣告されません 2002/9/13(金)00:33 KABA

┣【562】 プロの暗黙の了解ではないかと… 2002/9/13(金)02:24 久間(くま)

┣【563】 なるほど 2002/9/13(金)13:37 KABA

┣【565】 清原への死球 2002/9/13(金)16:35 白鮫捕手

┣【564】 教えてください 2002/9/13(金)15:41 ノイズ・オフ

┣【566】 それはあんまりだよ，審判さん 2002/9/14(土)04:52 久間(くま) ≪

┣【572】 本来は・・・。 2002/9/16(月)15:44 minako

┣【573】 あの打者，避け方下手ですよぉ〜 2002/9/16(月)16:56 久間(くま)

┣【574】 re(1):それはあんまりだよ，審判さん 2002/9/16(月)18:02 老審判員です