882 キャンバスバッグが移動した際の処置 |
草審判の久間です。 走者の触塁による衝撃のためにキャンバスバ ッグが移動してしまったときは,プレイが一 段落した時点で審判員はタイムを宣告して, 移動したキャンバスバッグを定位置へ戻す処 置を必ずしなければなりません。 ご質問の例では,塁審は一塁走者に対する セーフの判定の後,走者が引き続いて三塁を うかがうといったようなプレイが発生しない ことを確認してから,試合を停止させる必要 がありました。そして,約1mほど移動して しまったキャンバスバッグを元の正しい位置 へ戻して,それから球審へプレイ再開可能の 合図を送るのです。 キャンバスバッグが移動してしまった後は, 野手は当該走者(今回の場合は一塁走者)に対 していかなるプレイもできない,ということ が野球規則で定められています。そういう意 味においては「自動的にタイムとなる」という 今回の攻撃側からの抗議内容はまったく間違 いとも言い切れません。 がしかし,厳密に言えば,自動的にタイムと なるというわけではないのです。 キャンバスバッグを移動させてしまった走者 は続いて次塁を狙って走塁して構わないから です。 ご質問の場面で,審判員はタイムを宣告する ことなくキャンバスバッグを元の位置へ戻し て試合を再開させたのでしょうか。もしそう だとするのなら,プレイは進行中です。二盗 に成功した一塁走者は二塁走者となって,走 者二塁,打者何某という新たなプレイが開始 されていると考えられます。よって,隠し球 でアウトを宣告した審判員に誤りはありませ ん。 とは言うものの,今回のケースで審判員がタ イムを宣告しないでキャンバスバッグを元の 位置へ戻したならば,それは審判員の失敗と 言えます。キャンバスバッグを元の位置へ戻 す作業中は審判員は野手や走者から目を離し ます。このときに試合を停止させておかない と,審判員の視界の外で発生したプレイをめ ぐってトラブルを引き起こす原因となるわけ です。こういったトラブルを防ぐためにも, キャンバスバッグ移動の後のタイムの宣告は 重要です。 今回のご質問の答えとしましては, 「ベースが移動した場合でも,自動的にタイ ムとはならない」 ということになります。 失礼致しました。
〔ツリー構成〕
※ 『クリックポイント』とは一覧上から読み始めた地点を指し、ツリー上の記事を巡回しても、その位置に戻ることができます.