パス乳を飲もう

雪印牛乳の事件があってから、自分が飲んでいる牛乳について関心が出てきた。今まで牛乳といえば、乳脂肪を取りすぎたらまずいということで、低脂肪乳か無脂肪乳がいいと思っていた。それで例えばそれにカルシュウムが補強された雪印の毎日骨太や一般に売られている低脂肪乳などを飲んでいたが、一つ気になることがあった。それは低脂肪乳の値段というのが一般の牛乳よりも安いということであった。どうしてだろう。普通牛乳よりも手が込んでいるハズなのに安いというのはどうもガテンがいかない。そこでここ最近の一連の事件でその背景に関する記事を目にするようになり事実を知ったのだった。実は低脂肪乳というのは牛乳ではなかったのだ。脱脂粉乳と水とクリームを混ぜて作る工業製品だったのだ。そもそも牛乳というのは牛の乳を絞ってそれを殺菌した直後に出荷するものなのだが、この低脂肪乳というのはまとめて脱脂粉乳を造り、保存して需要にあわせて加工して出荷する。だから生産調整が出来るのでコストを下げることができるのだ。ここでの問題点は2点ある。それは脱脂粉乳を作る際に大量の牛から採取された乳を混ぜ合わせるので仮に一頭の牛の乳が汚染されているとずべての脱脂粉乳が汚染される。これはまるで薬害エイズのミドリ十字が作っていた血清と同じではないか。それともう一点はコストを追求するあまり、その殺菌方法が高温殺菌になっていることだ。牛乳の殺菌方法には2種類あって一つは高温殺菌、もう一つは低音殺菌だ。違いは高温殺菌が130度の熱で2秒間の処理をするのに対して、低音殺菌は約60度の熱で30分の処理をする。高温殺菌は牛乳のすべての菌を死滅させるのに対して、低音殺菌の方は善良菌の乳酸菌は生かしておいて、悪い菌だけ殺菌する。この低音殺菌はかの有名なパスツールが発明した方法なので、この方法で処理した牛乳は通称「パス乳」と呼ばれているのだ。問題はなにかというと、高温殺菌した牛乳は本来無菌状態なのだが、パック詰めされた直後から細菌が紙パックを通じて入り込んでくることだ。無菌状態であるために一度入り込んできた菌は一気に増殖するという。その点パス乳は最初から無菌ではなくて善良菌が入り込んでいるから、パック詰めされた後から入り込もうという菌をブロックするという。だからパス乳はおいしいし、安全でもあるわけだ。オレは以上の内容の記事(文芸春秋の今月号)を呼んで自分の飲む牛乳は以後パス乳とすることにしたのだ。低脂肪乳と比べれば値段は倍近くするが、それでも良いものを飲むのが実は得策であるということに気づいた。また付け加えれば、さっきミドリ十字の血清と比べたが、ではどのような牛乳が比較的安全かといえば、限定生産の牛乳の方が安全だといえるようで、とすれば雪印やら明治やら森永などの有名ブランドよりも、聞いたことのないナンタラ牧場で生産される牛乳のほうが良いようだ。結論は限定生産されるパス乳を飲む。値段は高くても買う。雪印の一連の事件で発覚したこの事実はそれでもあまり一般には浸透していなくて、消費者は今後とも安い加工乳を飲みつづけるのだろう。とはいうもののあまり何事にも神経質になりすぎることなく生きていくのがハッピーってヤツなのかもしれないね。 ***

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