おっ、お兄さん…もう…始まっちゃってる―――ひうっ!
「もう一寸だから、そんなに急かさないで…はあっ!」

―暫くお待ち下さい―

(えーと、…)お兄さぁん、手持ちのリプレイが読み終わっちゃって読む本がなくなっちゃったよぅ、どうしよー!
(んっ、んん!)「そんなときは、即売会さ。即売会はいいねぇ。リリンの(以下略)」
そんなこと言ったって即売会はそうそうやってないよう。だいたいTRPG関係なんてーのはほとんど無いじゃないか。
「無いよ。そんなことはムギタンに言われなくったって知ってるよ。でもね、もうすぐ年に二回のビッグイベントがあるじゃないか!」
あぁ、夏コミね。お兄さんはいくの?
「社会人にそんな暇はないんだよムギタン。でも、休暇とって行こうと思ってる。なんだかんだ言っても年に二回のビッグイベントだからね」
でも、それまで待ってられないよう!!僕は今すぐ欲しいの!!
「そんなときには中古同人ショップさんだ!」
ふーん、お兄さん詳しそうだからねぇ。
「いや…そー言われると、とてもアレな感じで嫌なんだけど…」
そうじゃん。
「ということで、ここはそういう所のメッカ、秋葉原!!」
…あれ?ホントだ。あの辺にアニメ絵の描いてある紙袋をもった小太りのお兄さんがいるよ。見てくれで既にオタクだね。
「ほらほらムギタン、指さしちゃ駄目だよ。この地区はそういう人とのエンカウント率がテイルズ・オブ・ファンタジアのダンジョン内で敵に遭うよりかもでかいんだから」
ふーん、それで、この辺にそういうお店はどれくらいあるのかなぁ?
「お兄さんはこの辺にあまり生息していないから知らないけど、噂によると1桁じゃきかないらしいよ。ほとんどがチェーン店なんだけどね」
へー、そうなんだ。それにしたってこの辺は小太りしたのか痩せ細ったのが多いなぁ。
「ガタイのいいアニキしかいないのも嫌でしょ」
それは嫌だね。お兄さんは好きそうだけど。そんなのはほっといて、同人ショップに行ってみようよ!

お兄さん、この本は美少女革命家に良く似た人がすっぽんぽんで大勢の男の人とくんずほぐれつだよ。ほら、これはアイヌのドス持ちムツゴロウとその妹が怪しい国の秘密組織に捕まって、その組織に属している両目の色が違う女戦闘員にやられたい放題だ。こっちは一世を風靡した無機質包帯0号機乗りが司令官とかクラスメイトとか2号機乗りとかに言いようにされちゃってるし、これなんか多メディア展開されている性悪美少女魔導師とその付き添いのないすばでいバカ魔導師が王女様や司祭様の娘と親交を深めあってるよ。いまさら女子高水兵天体部隊が嬲られているのを見ても面白くはないけど。すごいね!
「こらこらムギタン、そういう風なことはあんまり店の中で大きな声で言うものじゃないよ。買おうとしている小太りでいかにも女性にモテなそうな人が引いちゃってるじゃないか」
こっそりお兄さんも非道いことを言ってるね。お客が帰っていくのが目に見えてわかるよ。ねぇ、お兄…
「えー、これ下さい」
お兄さん、どうして僕が今言った本を全部買っているの?
「ははは、えーと、シナリオのネタにするためさ。別に個人的にどうこうって言うものじゃなくてね。いやホントホント、もーマジで。」
嘘つきやがれこのドブ野郎め、これだから二次元フェチは嫌なんだよ。

―1時間経過―

お兄さん、何処を廻ってみても男性向け創作か女性向け創作かちょっと普通の本しか置いてないよ。どういうこと?
「そう言うことだよムギタン、このジャンルってこういう所だとあんまり売ってないんだ。ってゆうか、ほとんどの同人ショップでは売ってないね。ちなみに同人ショップのメインって男性向け創作だから、RPGのような需要の少ないものが売ってるはずないんだよ。売ってるとしてもせいぜいソードワールドとかのメジャー系かな」
やっぱりそういうものなんだね同人ショップって。腐りきった下衆野郎の集まりみたいな街だなぁ、秋葉原。植え込みの下に落ちてる石の裏にはオタクがいっぱいくっついてるしね。
「はっはっはムギタン、秋葉原はそういう街じゃないよ。どっちかというと電化製品の街なんだから。パソコンとかCDロムとかそういうものを買いにきている人の方が遙かに多いんだからね。別にオタクの集合地点になっているわけじゃないさ」
そういう人ってオタクが多いし。お兄さんは?
「お兄さんはパソコン持ってないけどオタクだよ。秋葉原にはほとんど来ないけど」
なるほど、秋葉原にはオタクが集まるけどオタクのメッカではないということだね。でも獣のようなお兄さん並みのオタクだったらここにはゴロゴロしてるんだ。怖いなぁ。

で、結局秋葉原の同人ショップにはTRPG関係の本なんか無いって事しか分からなかったよ。
「まぁ、秋葉原ってそういうところだしね。っていうか、同人ショップってそういう所だよ」
つまり、鞄の中にはち切れんばかりの本が入っているお兄さんは、TRPG関係の本なんか無いってわかってて連れてきたって事なのかな?
「ム、ムギタン、珍しく目が銀色に光っているのはどういうことなのかな?アレ、お空から円盤が…」(しゅおおーん)
みんな、バイバ〜イ!!(しゅおおーん)


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