ACT 1.0
彼女の事情

原画

古川尚哉 鷲田敏弥 石崎寿夫 井上 鋭
小野修次 児山昌弘 宮崎なぎさ 芳垣祐介
佐伯昭志 加瀬政宏 吉田 徹 しげたわかな
田村勝之 日野貴史 平松禎史
   スタジオ・ライブ
井上優子 工藤誉寿治 谷藤朋子 菊池 愛

98年10月2日放送

脚  本:庵野秀明 作画監督:平松禎史

絵コンテ:今石洋之 演  出:安藤健
     佐伯昭志

四字熟語のコーナー

ゆだんたいてき
油断大敵

灯油も油が切れては火が消えてしまう。油断は大きな失敗を引き起こすもとになるから、どんな相手よりも恐ろしい敵として気をつけなければならないということ。

 

逆上がりができるようになれば……

 全編を主人公の宮沢雪野の喋りで押し通し、加えて彼女のいきおいと、それのコントラストにあたるなごやかな家族の団らんを見せるという構造になっていた。

 1話を見てまず感心したのは音楽である。クラシックとコミカルなものを軽く使い、70年代ロックとポップがメインなのは『ナディア』を彷彿とさせ、ファンだった私にはたまらないものがある。後半の花野の漫画紹介の時にかかる女性ボイスの曲はまるでエレクトラさんの歌でありお気に入りだ。かと思えば心が揺れるような少女漫画シーンでは常に同じピアノ曲が流れるが、それは『エヴァ』に近い。音楽の鷺巣さんが『ナディア』『エヴァ』『カレカノ』のラインは一直線につながりますと語っていたが、まさにそうであった。

 始まった直後からビデオによるテロップを多用している。人物名や状況、ツッコミなどを説明していて通常であれば卑怯なのだが、人物の説明を省き、少ない時間で多くの情報を伝える役に立っている。うまくやれば逆にいさぎよいものである。

 学校を舞台にしたアニメは数あれど、ここまで「学校内」の感覚が伝わってくる作品はないのではないだろうか。それほど学校の描写には力が入っている。学校自体に加え、そこにいる生徒にしても、いわゆる「アニメ的」な感覚ではなく、現実に即した見せ方を心がけている。それはギャグシーンでも同様である。もともと「高校生の学園物」というのも初めてだろう。それには当然現実的な描写が必要であるし、その辺が「中高校生の学園物」がまずない原因ではないか。

 基本的にほとんどのシーン、セリフ、書き文字は原作そのままであり、使っていない部分はまずない。逆にアニメで追加されたカットやセリフはあり、特にテストで1番をとってからの「スゴイ」の連発から有馬登場までのくだりはアニメ版オリジナルでありながら面白い。完全な追加ながら前後の違和感はなく、キャラのセリフの違和感もないのは、脚本の庵野監督がカレカノワールドを理解していると思える。

 また、二人で帰宅中に有馬が雪野をみつめるところは原作では1コマ程度であるが、アニメでは時間をかけて見せることによって有馬の恋心がより理解しやすいようになっている。この「追加部分が不自然でなく面白い」ということと、「よりわかりやすくした表現」はアニメ版の特徴であり、この回以降でも同様である。

 見栄のために全てをかける雪野を描くため、かなり現実離れしたオーバーアクションのギャグが続くが、有馬のほのかな恋心や、見栄ばかりの自分を疑う雪野のところなど、感情面を重視するシーンではピアノ曲とともに丹念に描く。特にテストで一位をとった後に自分の見栄を返り見て、幼い頃からの自分のこだわりを淡々と喋るシーンは原作でも大事なこの話の核であり、それをしっかりと映像化している。最後の有馬が雪野に告白するシーンでもそうだが、エヴァでの手法、経験がいかされ、なおかつ少女漫画としての描写になっているのである。

 とにかく全編通してオープンエンターテイメントであり、ティーンエイジヤーに向けて作られている感じのがするのは好感が持てる。1話として十分、視聴者の気を引く完成度であろう。

僕は宮沢さんを好きだから

 

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