「忘れられない歌が・・・」 時として人は、「懐かしい」という言葉を曲に対して使うが、私はそれは感覚的に麻痺し、間違った表現ではないかと思う。曲が懐かしいなどと言うことはありえない。音楽というモノは、「懐かしい」という感情のために存在するモノではないと確信している。 しかし、昔流行った曲や好きだった曲を聴くと、確実に「懐かしい」という感情がこみ上げてくるのは間違っていない。「なんだ、おまえ、矛盾しているではないか」と言われそうだが、そうではない。その辺に間違いがある。
多くの、「懐かしさ」はその曲と過ごした時間に対しての記憶であり、曲自体はその時間を過ごし、記憶された思い出を呼び戻すきっかけでしかない。また、具体的な思い出が無くても漠然とした記憶が曲によって呼び戻されてくるのである。まちがっても、曲が懐かしいのではなく、自分がその空間にいたその時間が懐かしいのだ。
人は弱いから、すぐにモノに託す。形あるモノならいざ知らず、音楽という感性の固まりにまで、自分を託してしまう。哀れで悲しく、かわいい生き物なのであろう。記憶というモノを呼び起こすときに、楽しかったことをたくさん思い出させてくれる「きっかけ」が多い人は幸せである。 忘れられない、忘れたい、忘れかけている、やっと忘れた、もう一度流行ってもらっては困る曲もあるに違いない。
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