アメリカ口臭治療・口臭市場最前線レポート(6)
Dr. Richter との対談(鼻臭への対応)



アメリカ口臭治療・口臭市場最前線レポート(6) Dr. Richter との対談(鼻臭への対応) 名前:HONDA 11/11(火)17:53

H:口臭治療展開を行うと、当然の帰結として患者の口臭に対する訴えと随伴する鼻臭への対応が大切になってくると思います。ほんだ歯科では、口臭専門治療を開始した1999年以来取り組んでいるのですが、日本では他に取り組んでいることろがないのが現実です。先生は古くからこの問題にも取り組まれていますが、そのあたりについてディスカッションしたいと思います。

R:私の鼻臭検査では、官能的な試験(自分たちの嗅覚で調べる方法)とハリメーターを使用した方法を用いている。
その方法についてプレゼンテーションしよう。


H:よろしくお願いします。私もほんだ歯科の方法についてプレゼンテーションします。

R:まず、鼻臭の官能検査だが、患者の口を封じて鼻息を出させ、術者はそれを口臭の官能検査に準じた方法でチェックする。こんな感じだ。

H:私の方法では、片方ずつ鼻息を出してもらって、正確に臭気を感じた距離の測定とその種類について記録しています。
測定する反対側の鼻は、術者の指によってふさぎます。そして左右の臭気レベルの違いについて記録します。


R:機械的な測定方法だが、まず、このようにガスを回収するためのパックを用意する。先にはストローがついてる。そして、患者の鼻を指で挟み、空気が漏れないようにして測定したい方の鼻腔に差込み指で押さえて鼻息が漏れないようにしながら、鼻からのガスをパックに集める。


そのパックに回収した、鼻の臭気ガスをハリメーターで測定する。

H:ほんだ歯科では、一定時間患者に口を閉じてもらい保持時間を設けます。その後に呼吸を停止させ、その間にハリメーターにストローを直結させて、それを鼻腔に直接差込み臭気を鼻から回収して測定しています。呼吸を停止させる理由は、鼻の臭気に呼気の臭気ガスが混じらないようにするためです。
ほんだ歯科の場合は、鼻臭ガス・呼気ガス・口腔内ガスをそれぞれ測定するようにしています。



この方式はガスの測定ロスを少なくするためと、測定方法を簡便にするために行っています。先生の方式では、パック内部に水蒸気の膜ができて、ガスが水蒸気に溶けるので測定濃度が低くならならないでしょうか?

R:それは、問題ない無視できる濃度だと思う。

H:また、私の方法では、純粋に鼻の臭気ガスのみを取り出すので鼻臭のみを測れると思うのですが、先生の方式では呼気臭気も含まれてしまいませんか?

R:現実的な鼻臭は鼻呼吸に伴って呼気と一緒に排出されているから問題ないと思う。また、後ほどプレゼンテーションするが、呼気ガスについてもこのパック方で測定している。

H:なるほど。口臭治療では鼻臭の問題は重要なテーマになるとおもいます。実際的に症状として訴えることが多いからです。先生は鼻臭の正体は何だと考えていますか?


R:鼻臭ガスの正体は、口臭ガスです。


H:私も同感です。ほんだ歯科の患者のケースでも鼻臭を訴えた人の中で、耳鼻科的な疾患から来る病的鼻臭は一度も経験していません。先生は実際に耳鼻科的要因で発生した鼻臭に遭遇された経験がありますか?

R:私は、一度だけ経験した。その症例について報告しよう。(次回に続く)

追加・・・歯科医師向け 名前:HONDA 11/11(火)19:50
歯科領域で、しかも口臭治療でどうして鼻臭が関係するのだろかと思う歯科医はたくさんいると思われます。

しかし、口臭治療を真剣に極めようとすると、鼻臭の訴えは避けて通れない問題です。

ほんだ歯科の口臭治療では、鼻臭への問題は、専門治療開始直後から取り組んできましたし、そのための治療プロトコールも完成していますが、日本では大学レベルの口臭の研究でも鼻臭の問題は真剣に議論されていません。

しかし、口臭治療ではすでに10年以上の歴史のあるアメリカの口臭臨床医たちは早くからこの問題に遭遇し対応してきています。

しばしば、精神不安を伴う鼻臭を訴えている人たちも、その原因が何であるかについて理解できないまま、耳鼻科医からも歯科医からも相手にされず、日本では単なる精神的幻覚や病気と考えられ放置され続けてきています。

ほんだ歯科の患者でも、歯科医で鼻臭に悩まされていたケースがあり、このケースでは診療ができない状態まで追い込まれていました。

これらの鼻臭を訴える人たちも適切な口臭治療法で問題は解決していきます。

歯科医が口臭治療に取り組もうとするとき、単に歯周的問題や一般歯科的な問題にとらわれず、患者の不安や訴えをよく聞き、広い視野で口腔生理機能や口腔内ガスの動向についても配慮していく必要があるし、口臭の問題は単に診療現場で確認できるかどうかといった、ドクターサイドから見た一方的な尺度で考えるのではなく、広い視野にたった考察が必要なのです。

後にレポートしますが、カリフォルニアの Dr.Katz 先生の場合は、もっと踏み込んだ積極的治療を展開しています。

これらの対応を行うときに、鼻臭は幻覚や単なる精神的問題として短絡的に処理するのではなく、少なくとも医学的な根拠を持って調査診断していき、その発生の要因や機序について考察していく努力や、治療姿勢が口臭治療の臨床医には要求されるのです。

すべての治療への努力をしても改善されないときは、初めて精神的幻覚を疑い精神科医と連携しながら慎重に問題解決に当たることが必要です。

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