クロスカントリースキーの概要
 


クロスカントリースキーの歩み


誰もがスキーを始める時は、まずスキーを履き歩くことから始める、これがクロスカントリースキーの原点である。

クロスカントリースキーはスカンジナビア半島において古くから盛んで、ノルウェーが発祥の地とされ、文献によるとノルウェーの島に有る洞窟で、4000年以上前のクロスカントリースキーの壁画が発見されたと記載されている。北欧ではクロスカントリースキーが、古くから冬季の生活に欠かせない交通、狩猟及び戦争の手段として用いられてきた。

クロスカントリースキーが、生活に溶け込み、楽しみ、そしてスポーツ的になったのは、1867年(明治元年)ノルウェーのクリスチャニア地方で、始めてスキー大会が開催され、国王が国技と定めたとされている。また1879年(明治12年)に、競技大会で世界最古といわれる、第1回ホルメンコーレン大会が開催され現在に至っている。

日本にスキーが初めて渡来したのは、1908年(明治41年)現北海道大学(前札幌農学校)に講師として赴任した、スイス人のハンス・コーラ氏が両杖スキーを持参し、大学構内で滑ったと北海道大学スキー史に印されている。

正式な日本スキー発祥の地は、1911年(明治44年)現上越市(前高田市・金谷山)で、オーストリアのレルヒー少佐が来日し、一本杖スキーを高田連隊の将校10名にスキーを教えたのが、日本スキーの発祥地とされ、現に金谷山に「日本スキー発祥の地」の碑が建立されている。発祥地を決定するのに、札幌と高田と論争になつたとも記載されている。

当時陸軍省が軍隊にスキー技術を訓練させ、有事の際にスキーで行軍するために、レルヒ少佐を招聘して指導してもらったとされている。

レルヒ少佐は来日の翌年、1912年(明治45年)2月旭川第7師団で隊員にスキーの指導を行い、帰り小樽市花園公園で市民にもスキーの指導を行ったと記載されている。

競技会については、1912年(明治45年)1月レルヒ少佐が指導を行った高田市・金谷山で滑降競技が行われ、これが日本初のスキー競技会とか、大正初期は甲信越と北海道で地域的なスキー競技会が行われていたと記載されている。

日本の全国的規模な公式スキー競技大会は、1923年(大正12年)小樽市で、第1回全日本スキー選手権大会(種目クロスカントリー1Km4Km10Km8Km、リレー、テレマークスラローム、クリスチャニアスラローム、ジャンプ)が大日本体育協会主催で開催されたのが最古である。

次に現在も行われている古い大会は、第1回全日本学生スキー選手権大会(種目クロスカントリー30Km15Km28Km、リレー、ジャンプ、コンバインド)が1928年(昭和3年)青森県・大鰐町で開催され現在に至っている。

また、選手権でなくて誰でもが参加でき親しまれてきた、札幌市の宮様スキー大会(種目長距離想定18Km耐久同40Km、ジャンプ、コンバインド)は、1930年(昭和5年)から開催され、これら三大会は現在も続いていて、日本の歴史的スキー競技大会である。

これら競技大会を組織する連盟の創立は、全日本スキー連盟は1925年(大正14年)、全日本学生スキー連盟は1926年(大正15年)、札幌スキー連盟は1929年(昭和4年)及び北海道スキー連盟は1932年(昭和7年)それぞれ創立されている。

北海道の競技クロスカントリースキーは、1914年(大正3年)北海道大学スキー部が小樽市・銭函で2Kmのクロスカントリー大会を行い、翌年札幌市・円山で1.5Kmの競技会を行った記録が残っている。更に、北海道大学スキー部主催で、1920年(大正9年)小樽水産学校から北海道大学構内まで、31Kmを7人で中継する、第1回全道中学校スキー駅伝競走が行われて、これが全道的スキー競技会のはじめであると思われ、1924年(大正13年)まで5回続いたと記載されている。

全道中学校スキー大会(旧制)(種目クロスカントリー距離不明、ジャンプ、コンバインド、リレー)については、1930年(昭和5年)から開催され、1948年(昭和23年)まで続き、1949年(昭和24年)からは形式を変え全道高等学校スキー大会(新制)となり現在に至っている。

第1回北海道スキー選手権大会(種目10Km、ジャンプ、テレマーク及びクリスチャニアスラローム)については、1924年(大正13年)北海道山岳会主催で札幌市・三角山で開催され7回続き、昭和8年からは北海道スキー連盟主催で道内数箇所で全日本スキー選手権大会及び明治神宮スキー大会(国民体育大会の前身・昭和3年から20年まで)の予選を兼ねて1945年(昭和20年)まで続き、1946年(昭和21年)からは形式を変え現在の北海道スキー選手権大会となり現在に至っている。

クロスカントリースキーは大きく分類すると、一般大衆クロスカントリースキー(歩くスキー・スキーマラソン) と競技クロスカントリースキーに分けられる。


 


大衆クロスカントリースキー

大衆クロスカントリースキーは、大人から子供まで誰でもができ、雪の野山や森を歩いたり走ったりして、滑歩及び滑走を楽しむスキーで、滑歩及び滑走を終えた後のさわやかさと心地よい疲労感は何ものにも代えがたいものがあり、大自然に抱かれて自然と一体となりながら行う全身スポーツである。また、クロスカントリースキーは、自然を愛し野鳥や樹木の観察を行うのにも欠かせない道具でもある。

クロスカントリースキーは有酸素性運動で、それぞれのレベルに合わせて老若男女を問わず誰でも簡単にでき、心肺機能の向上と、動脈硬化の予防、肥満解消など健康面での効果は絶大であることが医学的にも立証され、近年は生涯スポーツとして見直されている。

大衆クロスカントリースキーで、徐々に技術を身につけ上達した人々は、物足りなくなり、大衆クロスカントリースキーマラソンに挑戦する者が生まれてくることとなる。

大衆クロスカントリースキーマラソンは、参加資格制限が無く誰でもが参加でき、走法も自由である。スタート方法もスタートしやすいように、距離別、年齢別、性別のグループごとに、マス(一斉)・スタートするので、一般市民が気軽に参加できるのも特徴で、年々参加者が増えてきている。歩いたり走ったりする距離は、一般的に短くて5Kmから世界的な長距離は、スウェーデンで行われている、バザーレースのように90kmまでさまざまである。


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大衆クロスカントリースキー
競技クロスカントリー種目