宮古、八重山への候補地探しの旅は3回に及んだ。

時期はいずれも晩秋から冬。
いずれも夏には行ったことがある場所だったがゆえに、
オフシーズンの「素顔」とも言える姿を確認しておきたかった。

というのも、夏場は沖縄中どこだってそれなりに華やかに賑わい
良い景色に見えるからだ。

とくに八重山は、古典民謡を習っていた関係もあり
地図なしで移動できるほど馴染みのある土地だった。

期待はいやがうえにも高まっていった。


   

石垣島への調査
[02年11月〜12月] 
 


何度も訪れていた石垣島は、沖縄でも指折りに好きな島だ。知りあいもいるし、島の大まかな地形や道も大体だが分かっている。そこで石垣では気に入っているエリアを限定して、島の不動産屋さんと共に実際に「売地」を巡ることに決めた。

不動産屋のリストは、電話帳「タウンページ」を手に入れればわかる。幸い日本中どこにいても、知りたいエリアのタウンページを取り寄せることは出来る。ぼくは本島で、八重山エリアのタウンページを入手していた。

不動産屋に電話をし、来店予約を入れた上で、ぼくは以下のような「メモ」を手に石垣島の不動産屋さんを訪れていった。





 

不動産屋様「土地の7つの条件」

なかなか難しいとは思いますが、こんな土地を探しています。
よろしくお願いします。

▼求めている土地の7つの条件

1)海の近く。または、海が見える。
2)歩いて海まで行ける。
 (プライベートビーチ同然の海=ビーチがあれば最高です)
3)夕陽を望むことができる。
 (他の島も見えれば、なお素晴らしいと思います)
4)眺めが良い。人工物(漁港、波消しブロックなど)が見えない。
5)周囲に家がほとんどない。
6)基盤の安定した土地で、建築制限などが一切ない。
7)空港から遠すぎない。できれば35分以内。


   

このメモを手にぼくは不動産屋さんの案内で石垣島をまわった。3〜4日ほどの滞在で一日平均四周島をまわったから、一度の調査行でのべ石垣島を十周以上はしたと思う。いやはや。

候補地としては…

・空港周辺
・観音堂周辺
・川平山原とその周辺
・米原
・平久保
・崎枝

など、だが結果的には島をくまなく見てまわることになった。

石垣島は美しかった。
しかし結果は…。




   

石垣島では
見当たらなかった…
 

結論から言うとこの時、石垣島に上記の条件に合う土地は無かった。

特に「土地の7つの条件」のうち、2)、3)、4)という条件を満たす物件は無く、それよりも僕自身は条件の1)や5)に夢中になっていた。

実際に見て周った後で、ようやく気付いたのだが、沖縄でこの7つの条件を完璧に満たす土地を見つけるのは、ほぼ不可能に近いと思う。仮にあったとしても自分の手に入るかどうかは、極めて疑わしい(その理由はSTEP04でお話ししよう)。

もちろん、この時点でぼくにそれがわかるはずもなく、言ってみれば内地から来た世間知らずが「ないものねだり」に訪れたのを優しい不動産屋さん達は、知らん顔して相手をしてくれていた、ということだ。なんとまぁ、恥ずかしくもあるが、有り難くもある、か。

こんなハードルの高さでは、なかなか理想の土地に出会えるはずもないのだが、もしも万一の「デモノ」でも見つかれば、あわよくば紹介してもらおうと、不動産屋にフォローの手紙も書いた。

今思うと涙ぐましいが、例えば、こんな風にして。





 

〇〇不動産 ●●様

過日は、物件をご案内いただき有り難うございました。

ご紹介いただいた「***の物件」ですが、時間を追うごとに気持の中で膨らみ、あれこれと思案している最中です。

・静かな環境にあり
・海が目の前、さらに
・景観の素晴らしさが想像できること

以上、気に入っているポイントです。

そこで、ひとつお聞きしたいことがあります。あの物件に建物を建てた場合の2階の高さからの眺めは、いったいどんな風になるのか。なにか写真がありましたらお手数でもお送りください。

いずれにしても、御社物件の「**原」「**ビーチ」の動きに注目しています。昨日の●●さんのお話にもありましたが、12月に入れば、また、少しはっきりした様子がわかるとのこと。

今後「動き」がありましたら、ぜひぜひお知らせいただきたく、心待ちにしております。

以上、よろしくお願い申し上げます。

02年11月27日


   


…こうしてまた02年の年末にぼくは石垣島に第二回目の調査に出かけて行った。




   

宮古島への調査
[02年11月]
 

宮古島の海が美しいことは前々から承知していた。だが、ぼくが前回宮古を訪れたのはこの調査から1年ほど前のこと。それも仕事でだった。となれば、様子は多少変わっているかもしれないし、自分の記憶違いもあるかもしれない。

そこで宮古への旅では、とにかくもう一度「よく見る」ことを優先した。土地についてはインターネットで調べた物件1件のみを実地で見せてもらうことにした。

以下、その当時のリポートをほぼそのまま転載する。





 

宮古島への調査メモ

●来間島
 ・南側:土地確保は不可能
 (長浜ビーチ付近は茨城の学校法人が用地取得済)
 ・北側:可能性はあるが、ビーチアクセスがNG
 ・橋を渡ってすぐ右折する小道:NTT通信施設のみ/農地/NG

●宮古本島
 ・与那覇湾付近の一角:可能性あり、だだしビーチアクセスなし
 ・前浜ビーチの漁港近く:本島の不動産屋が取得/来週接触予定
 ・期待の与那覇前浜:農地/ビーチアクセス不可能/NG
 ・入江湾東側:農地/ビーチアクセス不可能/NG
 ・シギラエリア:U不動産保有地を確認/NG
 ・ムイギャー付近:高台に用地ありか?
 ・狩俣近くのP分譲地:坪15万(宮古一高価?)/完全に別荘用地/NG

●池間島
 ・ペンションRから北の分譲地:
  R同様の優良環境/小さな入り江が素晴らしい
 ・漁港近く:住宅街/NG
 ・東側:ほぼすべて農地/NG

■宮古島調査の総括

 ●島の海…素晴らしいが候補地探しは困難を極めるはず
      海はどこも美しい
 ●池間島…ペンションRの存在が大きい
      土地もあり、自然も素晴らしい
      池間に行く理由はRという人が多かろう
 ●来間島…結論NG
      西側は農地であり、すべての土地で建築は不可能と判別
      東側/港側の風景は素晴らしいが、ビーチはない
      東側NTTの電波塔/農地でありNG
      この島には、いまのところ建設可能な場所はないと思える



   


というわけで結論から言うと、この時点では宮古にも求めていたような土地に出会うことは出来なかった。

いや、正直に言えば、気になる場所はあることはあった。だが、間違いなく、それは「農地」だった。農地に手を出すと、どうなるか? とんでもない羽目になるのだ。(詳しくはSTEP04 へ)