草審判の久間です。

たいへん難しいご質問ですね。また油汗がでてきます。
私は球場でプレイの判定を行うだけの審判員ですので，
記録に関しては素人そのものです。
ですが，わかる範囲で説明させていただきたいと思います。

走塁妨害が宣告されましたら，記録上はその妨害を行った
野手の失策(エラー)となります。
走塁妨害そのものが記録として残るというわけでは
ないのです。
例えば，安打した打者が一塁をまわって二塁をうかがった
ところで，球を持たない一塁手と衝突したとします。
このとき審判員が走塁妨害を宣告して打者走者に二塁を
与えた際には，単打と一塁手の失策が記録されるのです。
記録上，打者走者の二塁進塁は一塁手の失策が原因と
みなされるわけです。
しかし，打者が放った安打が二塁打相当であると記録員が
判断した場合は事情が異なります。
走塁妨害がなくても打者走者は二塁へ進塁できたと記録員が
考えたときには，審判員の走塁妨害の宣告は記録上無視され
ます。通常の二塁打と記録されて，妨害を行った野手の失策
は記録されません。

走塁妨害がなくても進塁できたであろうと記録員が考える塁と
審判員が走塁妨害を宣告して与えた塁が一致するときは，
記録上野手の失策とはならない(走塁妨害にはならない)のです。

この件をご質問の例にあてはめますと，
二塁走者は走塁妨害がなければ三塁に達していたと
思われます。(妨害がなくても二塁走者はタッグアウト
になったかもしれないというような事情は考慮しません)
そして審判員が走塁妨害を宣告して与えた塁も三塁です。
よって，この場合は走塁妨害を行った遊撃手の失策は
記録されず，盗塁だけが公式記録となるわけです。
もし審判員が走塁妨害で二塁走者に本塁を与えていたと
しましたら，盗塁と遊撃手の失策の両方が記録されることに
なります。

公認野球規則をお持ちでしたらご覧ください。
失策の項，10・13の(ｆ)とその【付記】及び【注】に
今回のご質問に対する回答となる条文が記載されています。

失礼致しました。

〔ツリー構成〕

【25】 走塁妨害で進塁時の記録は？ 2001/12/5(水)13:31 野球人

┣【26】 盗塁が記録されます 2001/12/5(水)16:53 久間(くま) ≪