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−−−  45日目(7/29)  −−−
積算距離:5074.6km
最高速度:48.4km/h
走行距離:35.49km/day

 ホームレスのお宅はちょっと蚊が多かったです。虫除けを大量に付けて何とかなりましたが、それでもだいぶ食われてしまいました。
 橋の外を見ると朝からしっかり雨。いや、朝からではなく夕べからですね。
 と言うことは阿蘇山はとりあえず保留で市街観光に切替えた方が得策か。
 マメに動くホームレスの方としばらく談話。
「今日はどうするの?雨降ってるから阿蘇山は取り止め?」
「ええ、これじゃ登っても何も見えないでしょうしねぇ。とりあえず今日は市街地観光をしてみます」
「その方がいいだろうね。明日晴れるかは分からないけど」
「はは、それが辛いんですよ。明日も諦めるようだったら今夜また厄介になりに来るかもしれません。来なかったら阿蘇山に行ったなと思ってくださいな」
 と言うことでホームレスの方々とはお別れ。私は雨の中をまずは神宮へ向けて出発しました。
 それから熊本城へ。雨なので天守閣に昇っても仕方ないと分かっていながら登ってしまう律義さはいったい誰に似てしまったんでしょう(苦笑)。
 登ってみるとやっぱり雨で何も見えませんでした。
 降りて移動。熊本城からホンの数百メートルのところにアーケード街があります。が、その直前に良い自転車置き場と吉野屋を発見。ここの吉野屋はなかなか良い味を出してました。
 そしてアーケード街に突入。
 名物だと言うゲンコツ饅頭を5〜6個買って食べながら散策。ついでに宿のチェックも始めました。
 明日阿蘇山に行くなら今日中に阿蘇のYHに行っておいた方が無難だろうと言うことで阿蘇YHに半決まり(本決まりでないのは電話予約をまだしていないから)。
 名物だと言うゲンコツは今一つ…買いすぎたぁ。などということを後悔しながら自転車に乗って水前寺公園に向いました。
 実はここにもYHがあります。夕べ、そのYHを使っていたら…雨に悩まされることなくホームレスに招待されることもなかった…。どっちがいいんでしょうね。自分的には貴重な体験だと思っているんですが。
 話す人によってはヒンシュク買うかな。

 ま、それはいいとして水前寺公園。ペットボトルを持っていけば名水が汲めるそうです。私は自転車に付けたまま忘れてしまいました。が、そんなに騒ぐほどの名水なんでしょうか。私の舌が変?
 公園内の風景もさして騒ぐほどか?と感じてしまいました。雨のせい?
 一応園内はぐるりと一周できるようになっていますが、まともに見られる角度はほぼ決まっています。
 そのまともに見られる正面からの視野も、感性の違いか素晴らしいとまでは感じませんでした。
 と言うことで600円は無駄だったと少々後悔の念を抱きながらも出発。いよいよ阿蘇山です。
 その前にYHへ予約の電話。電話したら夕食は出せないけど止まりは大丈夫とのこと。これでやっと本決まりです。よかったよかった。

「阿蘇は自転車で登るのは無理だよ」
 何人に言われたでしょう、このセリフ。あ、3〜4人か。
 いずれにしろ無茶だと言われていたし、等高線付きの地図を見て無理だと感じていたので途中からは電車を使う予定です。
 問題はどこから使うか。無理だと分かっていてもぎりぎりまでは自転車を使いたい。だって自転車旅行だから。
 時刻表と、駅と駅の間の距離と時間、今の時間に予約の時間。それらを比較検討しながら線路沿いの国道を阿蘇に向ってひた走り…。結局大津と言う駅で妥協し、ホームに入りました。
 すると、しばらくしてやって来たのは阿蘇BOY。遊ぼうに掛けた洒落で付けたネーミングのようですが、要は機関車です。脇にはなぜか銀河鉄道999の絵が入ってます。
 JR九州のこの夏の目玉らしく、それなりに人気があるようです。僕もいろいろな意味で余裕があったら乗っていたかもしれないですしね。

 続いてやってきた電車を見たら…なんでディーゼルなの!?訳は後から分かりましたが、最初は驚きました。
 訳と言うのは知っている人は知っているでしょうが、阿蘇山が急すぎて、普通の電車では馬力が足らないからなんだそうです。
 ということで馬力のあるディーゼルの登場。しかしそれでもスイッチバックを2回。やっぱり自転車で登らなくて正解でした。
 さてさて、阿蘇駅に付くとやっぱり雨。もっとも、今日の目的のYHは駅から近いらしいから…。
 自転車を組みながら道の対面にある地図を確認していたら、駅前の宿から出て来たおばちゃんが客引きにやってきましたが、YHを予約してあると言った途端に、
「なら真っ直ぐ行けば着くから」
 とだけ言って去ってしまいました。熊本は客引きの多い町なんでしょうか。あ、客引きと言ってはいけないんだっけか。
 YHに無事到着、入ってみると、ちゃんとした鉄筋なんですが、山小屋と言う雰囲気の漂う建物。受付をしてくれたオジサンもいかにも的な山男。
 オジサンは余りに気さくすぎて、そういう人なんだと分かっていないと最初は驚いてしまいます。
 受付を済ますとすぐに夕食の話。食べてないなら、まとまって食べに行く予定があるとのこと。
 悩んだ末にその場は遠慮し、部屋にコンセントがないのでとりあえずは談話でも、と談話室へ。
 と、話に花が咲き乱れ、受付の時には遠慮した夕食をやっぱり食べることにしました。みんなが行くなら私も行かないとつまらないと言う単純な理由で。
 ワンボックスで2回に分乗して食堂へ。人数が多いので一人ずつメニューを選んでいたら大変だと言うことでみんな同じメニューにしたのですが、なかなかのボリュームです。
 私は軽く夕食を食べていた程度だったので綺麗に食べられましたが、やはり残した人が数名。残すなら残すって先に言ってくれれば貰ってあげたのに、などとは流石に言いませんでしたが、美味しかっただけに残ったそれを見て私は何となく残念に思いました。
 人はそれを貧乏性と言うそうです(嘘)。
 YHに戻ってからも咲いた花が散ることはなく話は続きます。そんな話の中でホステラーの1人がジープで阿蘇山に登ると言う話を聞き、私と自転車を載せてもらうことになりました。
 あ、文章をずっと読んでると変に感じるかもしれませんが、阿蘇は2段構え的な構造です。私が電車に乗って到着したのは1段目を越えたところ。本当の阿蘇山はこの段階ではまだ目の前にそびえているわけです。
 余談ですが、私が大津で電車に切替えたのは大正解だったようです。大津を過ぎた辺りから上りがきつくなってくるんだとか。
 23時まで談話は続き、もう寝ないと明日が辛いよと言う言葉で解散。もっとも辛いと言うことはとうに分かっていて、もっと早くに寝る筈だったんですけどね。
「せっかくぐっすり寝るつもりだったのに、これだからYHは止められん!」とある氏の言葉でした。
....つづく
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