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−−−  65日目(8/18)  −−−
積算距離:6738.4km
最高速度:38.0km/h
走行距離:75.56km/day

 夕べ、学生チャリダーと話し終えて就寝して小1時間後。変な3人組みが休憩所の中に昔書いた悪戯書きがどうとかと言いながら、私たちの寝る東屋に近づいてきました。
 どうやらその休憩所は私たちの寝ている東屋のことらしいです。私は東屋の外側、学生チャリダーは中で寝ていたのですが、まさか中に入る気か?と少々あせりました。
 ま、いくら変でも最低限の常識はあるようで人が寝ている、と騒いで去っていきました。
 で、私が起きたのは4時ごろ、蚊によって。虫除けを塗り直して2度寝して起きたのは6時。
 学生チャリダーは天橋立を諦めて大阪に向けて出発しました。実は夕べ話していたのですが、彼のとりあえずの目的地は大阪なのだそうです。で、今夜は雨が降るらしいということを聞いて、なんとしても今日中に大阪に入りたいということでした。  せっかく目の前に天橋立があるのに股のぞきをしないで去るのは余りにもったいない。私は、朝イチで行ったとしても大阪までは結構な距離があるから難しい、それだったらせっかく来た天橋立に行くべきではないのかと提言してみました。
 しかし、彼の意思は強く、結局6時過ぎに彼は走り去っていきました。

 彼が去ってから1時間ほどしたころでしょうか、犬を連れた初老の男性がやってきました。
「夕べ2人いなかったかね?」
「ええ、もう1人はもう出ました。私は天橋立を見るために笠松公園へ行くつもりなんですけど、まだ早いんですよ」
 その後、男性は私の自転車旅行についていろいろ聞いてきたので、会社を辞めて6月半ばから旅行している、と話しました。
 すると男性は…、
「会社を辞めてまでする旅なのか?この1回きりで全てを回るわけではないだろう。それだったら1週間なり会社を休んでその都度旅行すればいいじゃないか。君が何年勤めたかは知らないが、勤めた分だけ培われた人脈や、上司や同僚、部下とのせっかく出来あがった関係が無駄になるんだ。もったいない」
 と、人の夢を徹底的に否定するようなことを言い出してきました。
 人の夢を平気でケチつけるこの人は夢がないんだろうか。人の夢をケチつけることでないと話が出来ないんだとすれば、なんてかわいそうな人なんだろう。…と感じました。
「旅が出来るほどの長期休暇は取れない会社でしたし、そもそもそれじゃ意味がないんですよ。会社を辞めて旅をすることが夢だったんですから」
 よっぽど自分の意見に絶対の自信があって反対されるとは思わなかったのでしょうか、男性は急に言葉に詰まりました。
「こういうことが出来るのは今だけなんですよ。人脈とか付き合いなんて、1度作れてるんですからまた作れますよ」
 ここまで言ってしまうと、男性は本格的に黙り込み、何やら一言二言言って去っていきました。
 ホント、人の夢にケチつけるなんてデリカシーのない人でした。

 頃合になったので東屋を出てケーブルカーへ向かおうとしたときでした。すぐそこに「磯清水」なる名水の出る井戸がすぐそこにあることに気付きました。で、早速ペットボトルの中身を入れ替え。
 籠神社に自転車を置いて結局乗ったのは始発ではなく2発目。それでも当たり前のように貸し切り状態。
 展望台に行っても誰もいなくて一人でなんの気兼ねもなく股のぞきができました。私の場合、Gパンの尻に大きな穴が開いてるから周りに人がいるとちょっと股のぞきをするのに気が引けてしまうんですね。良かった良かった。
 景色は日本三景という言葉だけが先走ってないか?と言う感じがしなくもないですが、松の道(天橋立)は凄いと思う。

 天橋立の余りに有名になりすぎた角度からの景色に満足した私は、そこから宮津を抜けて舞鶴に入りました。
 「舞鶴港とれとれセンター」で昼食に、と丼ものを食べたのですが…正直ハズレ。
 そのまま直進して東舞鶴へ。ガイドによると途中に無料で見られるという自衛隊桟橋があるとなっているのですが…なんのことはない、壁などで隠しているわけではないから道から戦艦が見える、と言う意味で無料なんですね。
 桟橋を抜けると東舞鶴です。すぐに赤レンガ博物館に入りました。
「大人1枚お願いします」
「引揚記念館とのセットもございますが、よろしいですか?」
 知らなかったんですが、赤レンガ博物館と引揚記念館とのセットチケットがあって、それだと若干安くなります。
 引揚記念館は…一応チェックしてたんですね。戦争絡みのはぜひ見ておくべきだと思っているし。ただ、東舞鶴からちょっと距離があるんですね。
「うーん…見るだけの価値ありますか?」
「こういうものに興味のある方なら価値はあると思いますけど」
「う…。実は自転車なんですよ。そこに行くまで坂って結構あります?」
「えーと…記念館手前で少しありますけど、大丈夫だと思いますよ」
 で、結局セットチケットを買ってしまいました。300円+300円が400円。
 赤レンガ博物館方はけっこう面白いです。よくこんなかけらを持ってきたなって感心するものもあるし、製造過程についても紹介されていて勉強になるし。
 引揚記念館のほうは…ちょっと泣きが入りかけました。岸壁の母…「母は来ました。今日も来た」ってところだけは知っているのですが、その歌が実話からのもので、その場所がここだとは知りませんでした。
 東舞鶴から西舞鶴へ戻る途中に雨。このぐらいなら傘で行けるかと傘を広げ、目の前にマクドナルドがあったので入ったところ、途端に土砂降りになりました。数分で止んだので、スコールだったわけですが、どうも夜にも降る可能性が…。
 実は引揚記念公園になら結構いい場所があったのですが、戻りたくはない…。ということで西舞鶴運動広場にかけるつもりで、走行再開。
 西舞鶴周辺を散策し、マナイ通りなる商店街に銭湯発見。名水も発見。
 ショッピングプラザがいさぎよい値引きをしてくれてます。うれしい限りです。
 西舞鶴駅、ちょうど改装中だったようでプレハブの駅でした。
 などといろいろ散策していたら田辺城跡の舞鶴公園に手ごろな東屋を発見しました。ということでショッピングプラザで買い物をして、舞鶴公園で就寝としました。
 
....つづく
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