徒然過去日記・2005年3月

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03/01 回復の兆し?

2005/03/01 22:59
 日曜日と月曜日はどうしても休めないからと言い張ってヘロヘロ状態で出勤して行った家人だったが、一山越えた今日になってとうとう限界が来たのか、朝の支度中に椅子にヘバり込んでしまった。無理そうならば思い切って休んだ方がいいとわたしも思った。今日休んでしまうと、その分の積み残しを土曜日あたりに振替えなければやり繰りできなくなるそうなのだが、半死半生で無理矢理会社に行っても能率が上がる訳がない。結局、休日出勤を覚悟で今日は休むことにしたらしい。
 仕事も詰まっているようだが、今週はそれ以外でも予定がみっしりしているので、家人の風邪引きは本当に最悪のタイミングだったことになる。どうしても外せない大物だけでも、新型ヴィッツの納車とご町内の年次総会の2件。今のパールピンク・ヴィッツ君に新たなキズをこしらえる前にお引渡しせねばと気が気ではないし、年次総会では来年度、持ち回り当番でウチに何かの役員が当たることが決定済みである。当日欠席しようものなら、誰もやりたがらない一番面倒臭い係を押し付けられるのは必定なのだ。
 折角の日曜日だというのに、こんな会議自体が鬱陶しくて仕方ないし、正直町内会というか自治会に加入しているメリットを何も感じない。できたら今年度で脱会してしまいたいくらいなのだが、さすがにそのタイミングはあまりにトゲがあるだろう。抜けるなら去年以前に逃げ出すべきだったのだ。臍を噛んだがもう遅過ぎる。

 実家が加入していた町内会では、支部の「こども会」というのにずいぶんお世話になった。町内会の子供たち対象に行なわれた、アイス・スケート・リンクやフィールド・アスレチック場でのレクリエーション・イヴェントが結構面白かったのだ。もちろん当時は連れて行ってもらう立場の子供だった訳だが、こども会のおかげで曲りなりにもアイス・スケートを覚えることができた。こども会のさらに下部組織だった鼓笛隊で中太鼓を担当したのも、今では懐かしい思い出のひとつになっている。
 ウチにも子供がいれば、こういう町内会の催しにも参加するチャンスや動機ができたのかもしれない。最近は特に夏祭りの企画に力が入れられているらしく、季節ともなれば子供たちの手描きのポスターがご町内のあちこちに楽しそうに花咲くのである。行き着けのカットハウスの担当ヘアデザイナーさんなども、この辺りの夏祭りとしてはだいぶ有名になっているらしいですよ、と話していたことがある。

 残念ながら夏祭りを楽しみに待つ子供も居ないし、むしろ夏休みの土日になると漏れ聞こえてくる祭太鼓の練習で、リズムの甘さにいらいらさせられるのが鬱陶しいくらいである。盆踊りも浴衣も好きではない。今さら夜店を冷やかす年齢でもないだろう。やりたい人はどうぞ盛大に楽しんで下さいなと思うが、わたしには関係のない話にしておいて欲しい。来年度、何かの役員を担当させられたら、こういう意見は単なる我が侭になってしまうのだろうが(タメイキ)。
 そんな訳で次の週末は実質1日しか休みがないのに、納車と年次総会とその他諸々がてんこ盛りになってしまっている。しかも週間天気予報によるとまたもや雪が降るかもしれないらしい。予定通りちゃんと新型ヴィッツ君はウチへ辿り着くことができるのか。年次総会の会場にはマトモな暖房が入るのか。病み上がりの家人を、あまり寒い部屋に長時間座らせたくない。さりとて独りで出席するのももちろんイヤだ。

 思い切って休みを取って日がな一日眠っていたら、さすがにそろそろ回復して来た様子である。熱はやっと7度台をキープするまでに下がったし、酷い咽喉の痛みもだいぶ軽くなって、流動食以外のご飯を食べてももうかなり平気だと言う。もう一晩じっくり休息したら、明日は何とか出勤できそうである。もちろんまだ本調子ではなさそうだし、無理は厳禁なのだが、ともあれ良かった良かった。
 良く考えたら今日から3月、春だと言うのに、外は真冬のような寒さの続く慌しい1日となってしまった。ただでさえ3日少ない2月はドサクサに紛れて終わってしまった訳で、2月中にやっておくハズだったこともちらほら残っていてちょっと焦るのである。風邪引き家人もしんどかったろうが、看病する立場のわたしもだいぶくたびれた。家人が完全に復調したら、ひとつ肩でも揉んでもらわなくてはいけない。疲れを引きずったままだらだら過ごしたら、3月もあっという間に去ってしまうだろう。それだけはカンベンして欲しい事態だったりする。それでなくても最近、時の経つのが早くて困っているのだ。これはひょっとすると年寄りの証拠だろうか。




03/02 大チョンボ

2005/03/02 18:22
 家人の風邪騒動も一段落して、今日はいつも通りの時間に出勤して行った。まだしんどいからと言ってクルマで駅まで送らされたのだが、名残の咳が酷そうなのでもうちょっとだけ甘やかすことにした。積み残しの仕事を片付けなければとボヤいているので、復帰後にいきなり無理をしないといいのだがと少し心配である。無理してぶり返したら元も子もない。
 看病係のわたしとしても、正直なところそろそろ限界なので、できたらぶり返すことなくこのまま順調に回復して欲しい。この5日間、感染る危険を避けるため&やかましい病人である家人の隣では碌に眠れないために居間でゴロ寝していたのだが、やはりそれでは疲れが抜け切らない。体中ダルいしストレスでお肌もボロボロになってしまった。スポーツクラブもサボった上にストレス喰いの気配が出ているので、何だか体重も増えてしまったような気がする。この5日間を取り戻すのに、きっと1ヶ月やそこらはかかるのだろうなあと思うと、心底げんなりするのである。まったく高価く付いた風邪だった。

 一息付いて、やらなければならなかったことを片付けることにした。本当なら2月中にやっておくべきだったのだが、家人の風邪騒動ですっかり忘れていたのである(言い訳)。いろいろあるのだが、大物ではクレジットカードの解約と、『MONSTER』サウンドトラック2枚の特典携帯ストラップの申し込みの2つがある。
 以前はNIFTYの課金引き落としなどで大活躍していた某会社のクレジットカード1枚しか持っていなかった。今では枚数もずいぶん増えて、なんだかんだと4、5枚はあるのではないかと思う。それぞれお買い物特典やらキャッシュバックやら、スポーツクラブの会費引き落としで指定されているものやら、加入しなくてはならない理由があるのだった。大体は年会費が無料なのでそのまま持っていても構わないような気がするが、セキュリティや管理の問題上、できたらカードの枚数は可能な限り少なく抑えたい。
 そんな訳で、まず一番の古株であるカードを解約することにしたのだった。特に愛着がある訳でもないし、このカードは提携カードではないので年会費3000円かそこらを取られるのも気に入らない。ここ数ヶ月ずっと気に掛けていたのだが、ついつい先延ばしにして今に至ってしまった。早いところ手続きしないと、来年分の会費を引き落とされてしまう。

 カード会社のサイトから手続きできるのかと思ったらそういう訳にも行かないらしい。あちこちクリックしてFAQコーナーも覗き、結局じかに電話しなくてはならないと判明する。そうならそうとサイトの目立つところにでも書いておけよとちょっとムッとする。カードの裏面に書かれている番号に電話すると音声ガイダンスが流れてきた。ガイダンス特有のスローテンポにイライラしつつ退会手続きを進めていくと、カード番号に続けて暗証番号を入力して下さいと案内係さんがおっしゃるので困ってしまった。カード番号はともかく、このカードの暗証番号って何だったっけ?
 カード会員になったのはかれこれ10年以上前である。その当時に暗証番号として使っていた4桁の数字にはいろいろ心当たりがあるのだが、どの数字を入力しても「暗証番号が違います。もう一度入力して下さい」と突っぱねられてしまった。おっかしーなー、それほど奇天烈な番号を設定した覚えもないのだが、なぜ当たらないのだろう。つくづく考えてみたらそもそもこのカード、暗証番号なんて設定したかどうかもアヤフヤになって来る。

 どうしても思い出せないので、オペレータさんを呼び出して直接退会手続きをするしか選択肢がなくなってしまった。同じような人が多いのか、延々と電話口で待たされた挙句、やっと繋がって退会手続きを完了することができた。やれやれ一安心である。電話を切ってからふと思いついたのだが、結局このカードの暗証番号は何だったのだろう。どうせならオペレータさんに訊いておけば良かったと思ったが後の祭である。ううむ気になる…。
 そういえば今朝のニュースで、どこかの銀行がセキュリティ向上のために、ATMで認証に使う暗証番号を2つに増やす予定だということを報じていた。4桁の数字の他、10文字までのカタカナの単語を本人確認のために使えるようになるのだそうだ。盗まれたキャッシュカードで預金を引き出される事件が続出しているから、当然認証手続きも厳重にしなくてはならない。そういう点でカタカナ10文字のパスワード設定は有効だろうが、持ち主本人が忘れてしまうケースも増えるだろうなあとも思う。

 誕生日に自分の名前とかのマヌケな設定では役に立たないし、複数のカードはできたら全部暗証番号を変えることが望ましいと聞くが、例えば誕生日や住所や電話番号や車のナンバーとも関係のない4桁の数字プラス10文字以内のカタカナ単語の組み合わせ、覚えていられる確証はない。どのカードもまんべんなく使っているのなら忘れないで済むかもしれないけれど、たまにしか使わないのもあるだろうし、そういうのに限って変な番号を設定していたりするものなのだ。そうでなくても最近はネットバンキングや何やかんやで暗証番号とパスワードがぞろぞろして、しかも桁数も4桁とは限らなくなっている。覚え切れないよう(涙)。
 早いところ指や掌の静脈パターンとか、目の網膜とかの生体情報による認証が一般的にならないかなあと思う。システム変更や新ATMの導入等、初期投資が大きいのが難だけれど、ユーザとしては暗証番号やパスワードを忘れる危険性やハッキングの危険性をできるだけ減らして、安心して利用したいものである。

 そしてもう1つの懸案事項であった『MONSTER』のサウンドトラック特典携帯ストラップだが、手続きしようと思って封入ハガキを見てみたら、タッチの差で締め切りをぶっちぎってしまったことが判明した。2枚のサウンドトラック初回限定版に付いている応募券と応募ハガキに送料を添えて送れば、どういうのかは知らないが特典携帯ストラップがもらえる、という仕組みだったのだ。2枚目のサウンドトラックの発売が昨年の12月末だったので、そろそろヤバいかなとは思っていたのだが。
 2月中にやろうやろうと思っていて、土壇場で家人の風邪騒動にぶつかってしまった。別に風邪騒動の所為にするつもりもないが、応募要項にあった締め切りは「平成17年2月28日消印有効」。本当に本当にタッチの差である。2枚目を買った時からずーっと気に掛けていたのに、どーしてとっとと手続きしておかなかったのだろう。悔やんでもまさに後の祭、後悔先に立たず、チャンスの女神には前髪しかありませんよ状態なのだ。自分にそう言い聞かせつつ、やっぱりどうしてもタメイキが収まらないのだった(とほほほほ)。




03/03 秒読みっぽい(汗)

2005/03/03 14:56
 やっと今朝から普段通り、車のお見送りなしで家人が出勤できるようになった。多少咳が残ってはいるもののようやく本復した模様である。仕事が爆忙の今週、何とか乗り切れそうな見通しで、やれやれとホッとして胸を撫で下ろしたのだった。
 万事異常なしと言いたいところなのだが、今度はわたしの体調がちょっとアヤシイ感じがする。5日間熟睡できなかったので疲労が溜まっているのか、いよいよ花粉症が本領を発揮し始めたのか、家人に風邪を感染されたのかは不明。ただ昨日あたりからどうも鼻が止まらないし、ダルいし、何よりもしんどいのは激しい頭痛がすることだったりする。家人の風邪の初期症状は何だったっけなあと思いつつ、感染されたのではありませんようにと天に祈っているのだった。

 昨夜は「大丈夫大丈夫、ただちょっと疲れているだけだよ」と自分に言い聞かせていたのだが、今朝になっても頭痛は治まらない。熱はないので、風邪じゃないのかもと一縷の望みを抱いているのだが、もしも今後発熱しちゃったらどーしよう。本当なら今日は、週に1回メチャクチャ楽しみにしているバレエ体操のクラスがある日だったのだが、あまりにしんどくて已む無く欠席してしまったのだった。くそう。通い始めてから2ヶ月半皆勤賞を守っていたのに、ストレス喰いで多少デブった上に身体もなまってしまう。
 明日の夜には、最近やっとステップに付いて行けるようになってきた「ローインパクトエアロビクス」のクラスがあるし、土曜日は友人の弓選びを見せていただきに出掛ける予定がある。日曜日は新型ヴィッツ君がやっとウチにやって来る納車の日で、かつご町内の年次総会も開催される。年次総会だけは嬉しくもない予定だが、ともかくそんな訳でこの先3日間は大忙しなのだ。悠長に寝込んでいるヒマはない。

 スポーツクラブに通い始めて3ヶ月、食事習慣を改善してからそろそろ1年半。以前とは比べ物にならない程わたしの体力は向上しているハズなのだが、いよいよその成果を問われる時なのだろうか。最悪の場合でも土日の予定だけは死守したいので、とりあえず今日は暖かくして眠っていることにしよう。お休みなさい。インフルエンザだけでなく、普通の風邪も大流行しているらしい今日この頃、どなたさまもどうか御身御大切に(ぺこり)。




03/4 週末ごとの積雪

2005/03/04 16:29
 先週の今日も雪が降ったような気がする。そして今週も、ハズレてくれたらどれだけ良いかという願いも虚しく、朝起きたら雪が積もっていた。この冬は例年になく東京地方の積雪が多いような気がする。TVのお天気コーナーによれば、3月に入ってからの積雪は7年ぶりなのだそうだ。シーズン初めの暖冬予想はどうなったのだろう。もっとも、東京近辺で雪が降る冬の天気図はいわゆる「冬型」が崩れた時に限る。とすると基本的な予想はそう外した訳でもなく、暖冬予想が多少ズレて雪の多い東京の冬と相成ったのかもしれない。
 ともあれゴミを出しに行きながら、やれやれまた雪かきをしなくてはなるまいなとげっそりしていた。予想によれば昼前まで本格的に降り続き、多摩地方南部では多いところで5〜10cmの積雪だという。金曜日だから家人は会社、さすがに義父に雪かきをお願いする訳にも行かない。相変わらず体調があまり良くないのだが、雪が止んだらひと踏ん張りするしかないと覚悟を決めた。

 幸いなことに、昼過ぎに外を覗いてみたら、道路や玄関先に積もった雪は既に融けかけている。思ったよりも気温が高いせいなのか、それともやはり3月に入って地面の温度が上がってきているためなのか、雪が降っても長持ちしないらしい。そういえば地面が温まって冬眠中の虫たちが出て来る啓蟄がそろそろではなかったか。なるほど季節は確実に春に向かって驀進していると見える。
 春と言えば花粉症、今日は雪の後とあって湿度が高く、それほど酷い症状は出ていない。ただし来週以降、本格的に気温が上がって来たらどうなることやら恐ろしい。先日ネットで注文した花粉症用レシピのエッセンシャルオイル「花粉シーズン」が今朝届いたので、早速アロマポットを持ち出して焚いてみているのだった。ペパーミントとローマンカモミール、ユーカリ、パイン、ミルラのブレンドオイルらしく、多少スースーする穏やかな香りである。マスクの中綿にも垂らしてみたが、なるほど先日ペパーミントだけを垂らした時よりも数段具合がいい。
 一緒に届いたジャーマンカモミールを使って、半自家製洗顔フォームをまた調合してみる予定だったりする。アロマ遊びは結構楽しいので好きなのだ。

 そして春と言うと結婚式シーズンでもあるのだろうか。大学時代の古い友人から今年の年賀状で結婚報告を受けていたのだが、4月の末に披露宴をするので出席して欲しいというご案内をいただいた。心密かに彼女のことは『攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL』の草薙に似ていると前々から思っていて、実はこっそり憧れていたクラスメイトだった。合気道部に所属し、キリリとした容貌でやや背が高く、性格はものすごく真面目、学業も優秀。テストのたびにノートのお世話になったものだ。そんな彼女をとうとう射止める男性が現れたらしい。
 もちろん喜んで出席いたします、と返事を出したのだが、さてここでハタと困ってしまった。披露宴会場は都内の某レストランである。仲間内のウェディングオフのように普段着という訳には行かない。着るものとか化粧とか、どーしたらいいのだろう。そもそもまともな化粧をしたのなんて、一昨年(!)の11月に出席した友人の披露宴以来とんとないことである。その前というと年単位で遡らねばならない、化粧とはわたしにとって、これほど稀有なイヴェントなのだった。

 前回着て行ったクリーム色のスーツは、傷んでこそいないのだがかれこれ10年近くは昔の服なので、スタイル(特に肩パッド部分)があまりに流行遅れになっている。自分としては気にしないつもりだったのだが、某ホテルの披露宴会場に行ってみたらさすがに我ながら「これはちょっとどうだろうか」という居心地の悪さを感じてしまったのだった。
 4月の末なので、コートが要るほどの寒さはないだろうが、念のための防寒用にパシュミナのショールを巻こうと予定している。肩パッドがあまりに分厚く入っていると、ショールを巻いたら様にならない。イメージとしたら、ノースリーヴの膝丈ワンピースにパシュミナのショール、ちょっとだけゴージャスっぽいネックレスとイヤリングというところだろう。

 披露宴用のワンピース、久々に新調した方がいいのだろうか。しかし次に着る機会がいつかと考えると買ってしまうのもどうかと思われる。レンタルするにしても、うっかりするとその辺のレンタルドレスより、ネット通販のパーティドレスの方がリーズナブルだったりもする。1回こっきりと割り切ればそっちでもいいだろうか。
 そして普段まるっきり手入れをしていなくて乱れ放題の髪の毛をどうするか。それから1年半前の化粧品を今頃使っても大丈夫なものなのか。ご祝儀は幾らくらい包むものなのか。何せクラスメイトのうちで最も尊敬していた彼女の結婚披露宴だけに、せめて多少はマトモな格好も出来るようになりましたよという姿くらいは見せたいのである。スタイリストさんもしくはファッションアドヴァイザーさんが欲しいとセツジツに思っているのだが、家人はてんで当てにならないし、母も義母もセンスが合わない。あと1ヶ月半でどうにかせねばならないのだが…(とほほほほ)。




03/05 新しい弓選び

2005/03/06 02:46
 2週間ほど前、友人から非常にショッキングな話を聞いた。ヴァイオリンの練習中に(彼女は大層上手な弾き手なので、“ばよりん”ではない)、愛用の弓が折れてしまったのだという。20年もずっと使い続けていた、文字通り片腕とも言える弓である。精神的衝撃は計り知れない。キャリアも腕も比べ物にならないが、わたしでさえ、今愛用している弓が折れてしまったらしばらく立ち直れないに違いない。修理すればいいとか、買い換えればいいとか、そういう問題ではないのだ。
 しかも詳しく話を聞けば、折れたのは弓の中でも一番細い箇所らしい。以前師事していた先生が口を酸っぱくして「他の場所なら何とかして接げる。けれど一番細いここだけは修理不可能だから、絶っ対に折らないように」と注意していたところである。もしかしたらこのままお亡くなりになってしまう可能性が高い。友人の心中を察するに余りあった。

 家人がさっそくお見舞いメールを出したのだが、心配しながら待てど暮らせどレスポンスがない。それで、おそらく折れたのは問題の場所だったのだろう、と確信した。もしわたしが彼女の立場だったら、お見舞いメールが何通来ようが返事を書いている余裕なぞ持てる訳がない。かろうじて仕事にだけは出掛けるかもしれないが、あとは食事も摂れず眠ることもできず、折れた弓の前で膝を抱えてしくしく泣き続ける以外のことはできないに決まっている。そして実際それに近い状況だったらしい。気の毒過ぎる。
 ともあれしばらくして家人のメールへ返信が来た。どうやらほんのちょっとだけは落ち着いたらしい。しかし状況は予想した通りで、問題の弓は再起不可能と宣告されてしまったのだそうだ。少しだけ立ち直って新しい弓を購入する決意は固めたものの、良い楽器店の心当たりもあまりないので、お勧めの店はありませんか、とのことだった。

 家人が今の愛器を買い、わたしが今の愛用の弓を買ったお店が六本木にある。ここは仲間内ではかなり有名で、以前の師匠に連れて行ってもらったところだった。かなり判りにくい場所にあるのだが、品揃えも客の対応も気に入っている店で、ご自身もヴィオラ奏者である担当さんがおしゃべり好きで面白い方なのだ。もし彼女がここを知らないのであれば、一度覗いてみたらどうかとメールを送った。
 ひとが楽器や弓を選ぶシーンは、拝見すると大変勉強になることが多い。それで、良かったら弓選びに同行させていただけないかともついでに書き添えた。友人は快く受け容れてくれ、今日(もう昨日だ)、この友人Yさんと彼女のお師匠のD先生、それに家人とわたしの4人で弓選びのクエストに出たのだった。

 とは言え先週、YさんとD先生が試奏の下見に行っていた。六本木のお店ともう1軒御茶ノ水のお店で試しも試したり70本近くは弾いたのだというから驚いてしまう。吟味に吟味を重ねたその後で候補に残ったのが2店合わせて4本ほど。今回は最終選考になるかもしれない大事な試奏である。家人は休日出勤なので前半戦しか同行できないのが残念そうだった。
 まず御茶ノ水のお店で改めて候補の弓たちを試し弾きする。リザーヴしておいた2本の他、新しく15本ほどを出してもらって弾き続けただろうか。わたしの耳で聴いた感じでは、どれもそれほどの優劣はない。もちろん音質的に問題外のものとか、音は悪くなくてもYさんが弾きにくいものとかはガンガンはねられるのだが、それでも決定的に惚れ込む弓は出て来なかった。中で1本、音質もレスポンスも一番いいかな? という弓が残されたのだが、残念ながらこの弓、右手で持つあたりがちょっと変わっている。普通の弓なら銀線で巻いてある部分が、黒と飴色の何か(樹脂だろうか?)で巻いてある。これがかなり太いので、Yさんの細い手に当たるとかなり痛いらしい。

 黒と飴色の縞々部分を銀線で巻き直すことは可能だろうが、そうすると弓全体のバランスが変わってしまう。弾いた時のテイストが良くなるか悪くなるかはバクチだが、幾ら何でも買う前にそんなことは頼めないし、バクチを承知で買ってしまって巻き直すのも恐ろしい。とりあえずもう1週間だけこの弓をリザーヴしてもらうことにし、六本木のお店へ移動する。ここで決まらなければさらに1週間、どうするか悩んだり弓を借り出して弾いてみるというお願いをしたりすることになる。
 おおよそ8年ぶりに足を踏み入れた懐かしいこの店で試した2本の弓のうち、1本の音色に衝撃を受けてしまった。今日聴いたどの弓よりも素晴らしい品物なのである。音色は深くて広がりがあって、薄絹を何枚も何枚も重ねたように渋くて複雑で年輪を感じさせる上に伸びがあって艶やか。レスポンスもメチャクチャいい。何より弾いているYさんがもう何とも言えない楽しそうな風情である。ただし問題があった。ちょっとばかり予算オーヴァーなのである。

 他人の弓ではあるけれど、わたしとしてはこの素晴らしい音色を聴いてしまった以上、この弓以外はちょっと考えられない心境だった。D先生もお勧めはこの弓だと思っていらっしゃる様子だったし、Yさんも内心はそう思っているらしい。ここはせめて少しでも予算に近づけるように交渉するしかない。
 幸い、先週の試奏以来の師弟漫才を、店長さんが非常に面白がっていらっしゃるようだった。Yさんの奏でる音に感心してもいらしたらしい。他にもこの弓にリーチをかけているお客さんがおいでなんですよね、と口ごもりつつ、交渉の余地はない訳でもなさそうである。ここが正念場と、度胸を決めた女3人で必死のお願い攻撃に打って出る。
 最終的にYさんが提示したお値段で、この弓はYさんのものになることになった。ちょっとえげつない割合の値引きなので、店長さんのご好意に感謝感謝である。YさんもD先生もわたしも、楽器や弓のメンテナンスはこのお店に決めようねと言い交わして店を後にした。トラブルのないのをいいことに、買ったっきりメンテナンスをしていない家人の楽器も、今後はちょくちょく見てもらわねば申し訳ないような気もする。

 その後は言うまでもなく3人とも浮かれ気分で、六本木駅近くにあるジョナサンズに転がり込んでお祝いのおしゃべり大会に突入したのだった。18時半くらいに腰を据え、20時半頃にD先生がお帰りになった後もなお延々と話し続け、ハッと気が付いたら23時を回っている。い、いつの間に? 楽器の話や音楽の話、レッスンの話、他にも話題はいろいろあちらへ行ったりこちらへ行ったりしていたが、まさかこんなに遅くなっているとは(呆然)。
 大慌てで帰宅し、放置してあった通常業務を慌しく片付ける。家人が夜勤から帰宅したので夜食を作ったりもし、おかげで日記を書くのがこんな時間になってしまった。とは言え、非常に充実した日で大満足である。Yさんはきっと今夜久しぶりに熟睡できるだろうし、明けて日曜日には新しい弓で思いっ切りストレス解消のヴァイオリン練習ができるに違いない。いい弓に変えると弾き手の腕もポーンと上達するものなので、わたしとしても、Yさんがますます素敵な演奏者になってくれて、いろいろな曲を聴かせてもらえる時を待ち遠しく思う。

 D先生やYさんに相談に乗っていただいたので、わたしの悩み事も多少は突破口が見えてきた、かもしれない。とりあえず楽器の練習方法を今までと少し変えてみることにしよう。萎え萎えだったやる気も戻って来るかもしれないし、ひょっとするとブレイクスルーの可能性だってある。
 それにしてもどこかにばよりんを教えて下さる方がいらっしゃらないだろうか、と思う。ウチの近所で、お月謝がリーズナブルで、わたしの事情を判って下さる先生がいらしたらなあ。…無理だろうなあ、と、少し哀しく思うのではあるけれど。




03/06 新型ヴィッツがやって来た

2005/03/06 22:16
 ハッピーな気分のまま、とんでもない時間まで話し込んでしまったため、昨晩床に就いたのはなんと4時を回っていた。おかげで今朝目が覚めたのは9時半。持ち回りで役員が当たると決まっている、ご町内の年次総会(正確には年次総会の前哨戦だったらしい)の開会時間は9時、場所はウチから徒歩5分の町内会館。起きた時点ですでにアウトである。
 一応昨晩のうちに、家人から連絡が入ってはいた。寄り合いには義父が代表で出席してくれるので、ウチの2人は焦って早起きしなくていいよ、ということだった。とは言え、本当に義父に任せっ放しでいいのだろうか。いい若いモン(というほど若くもないが)が2人して朝寝を決め込んでいる中、義父に早起きさせるというのもマズいような気がする。よし、ここはひとつ、義父が出掛ける時間にちゃんと起きてせめて挨拶だけはしよう。いってらっしゃい、お世話になります…そう言えたら少しは気が楽になるに違いない。眠る前は確かにそんなふうに決心していた。例の通り、豆腐のような決心だった訳だが。

 ともあれ寝過ごしてしまったものは仕方がない。昨日、新しい弓をGETして輝くばかりの笑顔を見せていた友人Yさんを思い出して幸せな気分と、寝過ごしてとほほな気分と、ない混ざったフクザツな心境で朝御飯を黙々と食べていたところへ電話が鳴った。今日納車予定の新型ヴィッツのお届け時間をご相談したいのですが、という、ウチ担当の営業さんだった。途端にウキウキ気分へぐぐーっと傾いたあたり、我ながら現金だなあと思う。
 契約者本人たる家人はまだ白河夜船だが、いくらなんでも午前中のうちには起きるだろうと踏んで、営業さんの都合の良いそうな午後1時に納車をお願いする。正午少し前に夜勤明けでドロドロの家人が起きてきたところへ本日のスケジュールを伝達する。起きた早々気の毒だが、良く考えると割とタイトな時間割だった。今のパールピンク・ヴィッツに積んである私物を全部下ろし、ついでに車内を掃除しなければならない。営業さんと打ち合わせをしなくてはならないことも考えられるし、そうするとウチの中も多少は整頓しないとあまりにあんまりかもしれない。いきなり余裕がなくなってちょっと慌て、当初の心積もり通り午後3時にしてくれと言うんだったと臍を噛んだが遅すぎるのだった。

 新しくウチの子となった新型ヴィッツ君のボディカラーはシルヴァー。スポーツタイプ限定の濃いシルヴァーではなく、ちょっと青みがかった微妙な色合いの銀である。ちょっと地味だろうかと思っていたのだが、実際に動いているところを見るとそれほどオジサンっぽくはない。営業さんによると一番人気もこの色だそうで、パールピンク・ヴィッツの時と同じく、よそに駐車したら自分ちのクルマを探すのに苦労することになるかもしれない。
 個人的シュミとしては、パールがかった水色とか、パールベージュとかのボディカラーもいいな、と思っていた。真っ赤でも真っ黒でも悪くない。マットな紺色もキライではない。ただしパールオレンジとかパールパープルとかのぶっ飛んだ色はちょっとカンベンだった。家人の感想によると今回のラインナップにはこれぞという特徴的でなおかつ無難な色がないそうである。言われてみればそういう雰囲気もあっただろうか。一番気に入ったパールベージュがメーカーオプションでプラス3万円、というのが何より残念ではあった。塗料の単価がパールベージュだけ恐ろしく高価なため、そういう価格設定になったのだと説明されれば諦めるしかない。

 ともあれ荷物の積み替えも旧型君の引渡しも無事終了し、新型ヴィッツ君は晴れてウチの車庫に納まることになった。前のヴィッツを買ったディーラーさんでオマケにもらったぬいぐるみ型キーホルダー「こするカモ」君も、ちゃんと助手席ウィンドウ上の手すりに引っ越した。この「こするカモ」君、わたしよりも背の高い人物が助手席に座る時(ということはほぼ8割以上のケース)、クルマの震動に合わせて乗員のアタマをぼっこんぼっこんヒットする位置にぶら下がっているためにすこぶる評判の悪いアクセサリなのだが、わたしには大のお気に入りなので、今後も外す予定はない。
 車幅30mm増というのが、実地の運転感覚にどのくらい影響を及ぼすものなのか、まだわたしはきちんと運転していないので良く判らない。しかしまあ、自宅の車庫入れは無難にこなせたし、考えていたほどの威圧感もなかったのでおいおい慣れることだろう。とは言うものの、CVTのミッションレヴァーのぎざぎざな溝に家人が戸惑っている様子を見て少々ビビっているのと、とりあえず必要に迫られていないこともあり、単独できちんと運転して買い物に出掛けたりという冒険行はもうちょっと先に延ばそうかな、と思っている。相変わらずヘタレだとは思うが、運転しなければ事故に遭う確率が激減するのは確かなのだし、君子危うきに近寄らずと言うではないか(半分負け惜しみ)。




03/07 突発的修羅場

2005/03/07 19:18
 3時間ずつ2回ほど沈没していた時間帯はあるのだが、昨日の夕方から突貫工事に入ってしまったために、寝ずの作業をしているのだった。自分としてはそう大した手間隙のかかることではなく、割にすんなり終了するだろうと思っていたのだが、どうしてどうしてとんでもない難産になってしまった。自分の英語能力の衰えに大ショックである。
 とある英語のインタヴューの聞き取り&下訳の下訳、といった立ち位置の作業だったので、かいつまんで内容を説明できればいいや、くらいに思っていた。聞いてみた感じではそれほど癖のある英語でもないし、音質もクリアに録れている。トータル時間もそれほど長くない。まあ全部で3〜4時間も見れば楽勝で上がるだろう。ところがこれが大きな見込み違いだった。

 通しで録音を聞く。全体的な内容はだいたい理解できる。話題、登場人物、状況なども問題ない。しかしこれを例えば紙の上に書き下そうとすると、途端に手が止まってしまうのである。粗筋だけなら書けるけど、ちょっとディテールに踏み込んだ説明になるとしどろもどろ。聞いただけで完璧な内容説明ができてしまったら、それは英語の同時通訳さん並みのスキルの持ち主ということになるから、まさかそこまではできるハズもないのだが、それにしたって以前はもーちょっとマシだったような気がしないでもない。
 もともとそれほど得意でもないにしろ、英語能力というものが、こういう形での衰え方をするのかと思い知らされて大ショックだった。使わなければサビるとは聞いていたけれど、やってみて初めて判る「あれ、そんな馬鹿な」な感覚である。

 仕方がないので路線を変更し、全文を聞き取ってから対語訳する、という作業に切り替える。こっちの方が楽は楽なのだが、予定所用時間の少なくとも4倍はかかってしまうことになる。しまったと思いはするが、一端引き受けた作業だし、何より「やっぱりわたしにはできません」と匙を投げるのはあまりに悔しいことなので、とてもそんなことは言えたものではない。何が何でも仕上げてやる、と意気込みだけはいいのだが、今度は生憎カラダが気力に付いて来ない。
 神経集中して聞いているつもりなのに、気が付くとアルファベットが脳みそを素通りして行く。眠気覚ましにコーヒーをがぶ飲みし、口寂しいから眠くなるのかとクッキーなどつまみつつ作業続行する。こんな夜中にクッキーなんか食べたらまた肥える、とは思うのだが、夜更かしするとお腹が減るのは万人に共通する生理現象だろう。亀の歩みのように遅々とした進行ではあるが、この調子で突貫できれば明日の朝、いや昼前には何とか上がるか? と目論んだところで意識が途切れた、らしい。

 気が付いたら石油ファンヒーターの前で丸くなって転がっている。ファンヒーターは2時間経つと自動的に切れてしまう仕組みなので、当然アラームを点灯させたまま沈黙し、あたりはシンシンと冷えている。最後に見た時から3時間後を、無情な時計は示している。作業机から眠ったまま石油ファンヒーター前に移動して、そこで眠りこけていたという訳だ。おーまいがっ。
 慌てて中断した作業に戻るのだが、まだ半分アタマが眠っているものだから、ただでさえトロくさい進行がますます遅くなる。予定の1/3も終了しないうちに夜が明けてしまった。「お手伝いしましょうか」どころかとんだボトルネックである。

 とは言え途中で投げ出すのはやっぱりイヤなので、家人を送り出して必要最低限の日常業務を片付けてから作業続行する。相変わらず亀の方がなんぼかマシなトロくさい進行具合で、ちゃんと眠れていないものだからまたまた途轍もなく眠くなってくる。もうダメだ、と、とりあえず1時間だけ仮眠するつもりでソファに横になったら、次に気が付いたらまたもや3時間後である。こんなことならちゃんと目覚ましをかけてベッドで眠るんだったと悔やんでみるが、今さら消えた3時間は戻って来ない。心底トホホな気分に陥るのだった。
 結局、予定していた分量の2/3くらいをこなしたところで必要量に足りたらしく、比較的楽そうだった残り1/3には手を付けなくてもいいことになった。全部完了できなかったのがちょっと悔しいし、もしかしてトロくさくて却って足を引っ張っていたのではと思うと居ても立ってもいられない気分になる。とは言えやはり、何よりも先に「これで眠れるんだ、わーいわーい」と思ってしまったあたりがヘタレである。

 オノレの英語力が思ったよりもずいぶん衰えていることと、たかだか一晩の完全徹夜もできなくなっているということで、なんだかしみじみと寂しくなってしまった修羅場であった。悔しいから鍛え直したいと思うけれど、こういう種類の英語スキルはペーパーバックを読んだり字幕なしの映画を観たりということでは磨けないような気もする。しかしペーパーバックにしろ字幕なし映画にしろ、いちいち内容を書き下して他人が読めるようにするなどという作業、面倒くさくてとてもやってられないしなあ。
 さらにこの歳になって今さら、完全徹夜に耐えられるように我が身を鍛えるなんてこと、どう考えても無理である。身体にもいかにも悪そうだし、本来なら「徹夜などしなくてもちゃんと作業終了できるよう、計画をきちんと立てる」ことの方がより重要かつ賢い方針だろう。そうは言ってもついついケツカッチンになってしまうのがサガなので、どーすりゃいいかなあ、とじっと手を見る修羅場明けなのであった。




03/08 人騒がせなPC

2005/03/08 23:03
 朝、家人を送り出した後のことだった。昨晩は多少早目に床に就いたとは言え、まだ超絶に眠いことに変わりはない。とりあえず日常業務を終えてからまた寝てしまおうと、大急ぎで掃除と洗濯をすることにした。洗濯機を回しながらざっと掃除機をかけ、上がった洗濯物を「干し姫さま」で干すグループと乾燥機にかけるグループに仕分けする。乾燥機を動かしつつ干すものは干し、乾燥終了まで一息入れようとメールチェックを始める。乾燥が終わるまでだいたい1時間ほどなので、いくつかあるメールアドレスを一通りチェックするのにちょうど良い。
 2つ目か3つ目のメルアドチェックをしている時だった。何にもしていないのに、PCが勝手にシャットダウンしてしまった。いつも電源を落とす時のようなシューン・カチンというような音がして、突然落ちてしまったのである。

 どうしたんだろうと思いはしたものの、特に異常事態だとは思わずに再立ち上げしようとした。ところが電源スイッチをいくら押してもウンともスンとも言わない。単に電源が落ちただけではないのだろうか? 昨日から今朝にかけて、いつもと違う作業を何かやらなかったかと脳内検索する。そういえば、例のインタヴューの聞き取りは家人のノートPCを借りてやったんだったっけ。ノートPCから外付けフロッピードライヴを使ってデスクトップにファイルを引越しさせたけれど、使ったフロッピーは新品ではなくて、いろいろ他に入っているものを使い回した。もしかしてあのフロッピー、ウイルスに汚染されていたりしたのか? 背筋をじわりと冷や汗が伝った。
 冷静になって考え直せば、もしも問題のフロッピーがウイルスを持っていたとしたら、まず最初にノートPCがおかしくなるハズである。感染からウイルスが悪さを始めるまでに時間差があることも考えられるが、ノートPCだけ無事というのもおかしいので、ウイルス説はどうやらハズレだろうと思い直した。

 念のために家人に携帯メールを送って、心当たりがあるかどうかを訊いてみる。半ば以上予想したことだが、やっぱり家人も思い当たることは何もない、と返事を寄越した。ウイルス感染でないならひとまず安心である。気を取り直して周囲のコード類を確かめ直すことにする。同じコンセントから電源を取っている電話機やルータ、プリンタ類はちゃんと動いているし、PCとコンセントの間には無停電電源をかませてあるのだが、それにも特に問題はない。2階の仕事部屋においてある古い方のPCは普通に起動するしネットにも繋がる。ということは、純粋にPCだけの問題ということだ。
 どこのコードも緩んでいないのに、なぜ電源が入らないのだろう。ふと先日のHDDの不調を思い出す。もしかしたらPCの冷却ファンがイカレたか何かで、過熱防止のために安全装置とかが働いているのだろうか。買ってからまだ1年経っていないのに、故障だとしたらずいぶんヤワである。ソニータイマーという揶揄は聞いたことがあっても、富士通にまでタイマーが付いているなどという話は知らなかったのに。もしかしたらハズレを引いたのかもしれない。

 修理に出すとしても保証期間中だから金銭的負担はないが、中身のデータはどうしよう。ファンだけの故障であれば、先日のHDDのようにデータは無事で済むかもしれないけれど、PC本体だともうちょっとややこしい話になるかもしれない。もしデータが救えなかったら、メーラに入っている友人・知人のアドレスも消えてしまうことになる。たまたまこのメーラのデータのバックアップは古い日付のものしかない。バックアップファイルの更新後にもらったメールのうちで、返事を出さなければいけないものも3、4通はあったような気がする。うわ、この辺り、もしダメになってしまったらマジで厳しいではないか。
 悪い癖で、「そうだったらイヤだな」という懸念は妄想の中でどんどん増幅して「そうに違いない」に育ってしまう。バックアップをし損ねていたところをピンポイントで狙われるなんて、まったくマーフィーの法則そのままである。どうしようどうしようと独りパニックに陥りかけていたら、対処方法をネットでざっと調べたらしい家人から携帯メールが届いた。

 PC本体に繋がっているコード類を一端全部抜き、しばらくしてから挿し直してスイッチを入れれば復活する、こともあるらしい。富士通のサイトの「どうしても電源が入らない場合」FAQにそういうことが書いてあるのだそうだ。「単なる誤動作」ということだが、そんな人騒がせなエラー、起こらないようにはできないのだろうか。
 それでダメなら本格的な故障ということになる。チェックしておけと言わんばかりの携帯メッセージだが、ちらりと覗いたPC裏はあまりに見事なごちゃごちゃ配線。これを1本1本全部抜いて挿し直して…などという面倒臭いことはやりたくない。配線を間違う危険性があるし、PCデスクは重いので、本体裏を自由にいじれるだけのスペースを明けるのは大変そうだ。だいたいわたしはとっとと昼寝をしようと思っていたくらい、眠くてアタマが働いていないんだし。
 ヘタレは重々承知の上で、「そんな面倒くさいことはイヤだ」と返信を打つ。とは言うものの、形だけでも多少の努力をしたというポーズはしておくべきだろうか。ちょっと考えた末、PC本体の電源コードだけ抜いて、しばらくしたらまた挿し直して様子を見ることにする。どうせダメだろうと思ってやったのだが、あら不思議、PCは何事もなかったかのようにちゃんと起動したのだった。ラッキー♪

 なぜそんなことになるのかさっぱり判らないが、まあ復活したからいいことにしよう。修理に出さなくて良いということは、中身のデータも無事ということでメデタシメデタシである。これを教訓に、さらにマメにバックアップを取るようにしなくては。
 データはみんな無事で助かったのだが、1つだけ困ったことがあった。PCの電源コードを引き抜くということは、一端通電を完全に遮断することである。そのせいかどうか詳細は不明だが、ブラウザが覚えていてくれたハズのクッキーがみんな消えてしまったのだった。
 おかげで友人のサイトや登録してあったポイントシステムで、自分のデータを全部打ち込み直さないと入れてもらえない場所が出てきてしまった。ううむ面倒臭い。しかもちょくちょく立ち寄るあちこちのハーボックスでは、せっかく覚えてもらった名前をみんな忘れられてしまっている。ううむ残念。3回話しかけるまでは名前を覚えなおしてくれないので、またまたせっせと通わなくてはならない。困ったものである。




03/09 浦島太郎な気分

2005/03/09 16:35
 観たいな、と思ってチェックはしていたのだが、家人の風邪引きやら自分の体調不良やら、突発的修羅場などなどのせいで行きそびれていた『セルラー』鑑賞に、週に1度のレディスデイ、頑張って時間を空けて出掛けることにした。お気に入り映画館の各サイトを見てみたら、今週の金曜日までで大半が上映を終了するというから、取るものもとりあえずと慌てたのである。
 ところが普段行き着けにしている徒歩圏のシネコンでは『セルラー』の上映は夕方からの1回こっきり。残念だがわたしの都合としては、昼間は何とか時間を作れるけれど、晩御飯に絡んで来る夕方以降はどうしても空けられない。他に近場でやっている映画館はというと、川崎のチネチッタやTOHOシネマズ、渋谷シネフロント辺り。川崎も渋谷も、そこでしか上映していないという作品ならば出掛けて行かないでもないが、往復にかかる時間を考えるとちょっとばかり気が重い。特に川崎だと乗り換えが面倒くさいしなあ。

 他にあるだろうかと探してみたら、海老名のTOHOシネマズでも上映しているらしい、と判った。都合良く11時からの上映だし、インターネット予約をしてしまえば席取りも楽である。ネット予約の手数料もかからない。ウチからだと時間的にもそれほど遠くない。各々2駅程度の乗り継ぎを2回もしなければならないのが超面倒ではあるが、ネット路線情報サイトを参照したところ、行きは電車の乗り換えもそれほどタイミング悪くなさそうである(帰りはともかくとして)。
 尻込みするポイントは海老名というロケーションだった。実家が沿線にあった関係で、過去に何度か海老名駅に降り立ったことがあるのだが、もう本当になーんにもない寂しい駅だったという印象がメチャクチャに強いのである。何の用事だったか、真冬の夕方に海老名駅に着いて、駅舎を出たら見渡す限りのっぺらぼうとした灰色の風景が広がっていた時の寂寥感は忘れがたい印象を残している。吹きっ晒しの北風が身体もココロも急速冷却してくれたものだ。

 あんなところに映画館なんてあったっけ? といぶかしみつつ行ってみたら、海老名はかつての海老名ならず。わたしがかつて300m(体感距離)四方何にもないのっぺらぼうな風景だ、と思った駅前は、ペデストリアン・デッキが縦横に張り巡らされた大規模なショッピング・モールに変貌を遂げている。ファッション関係のお店や新星堂、書店が充実し、スタバもあればLUSHもある。ウチの近所のショッピング・モールにあるPET PARADISEまである。金券ショップも大きめのステーショナリー・ショップもある。こりゃまた便利になっちゃって、と瞠目したのであった。
 あまり時間がなかったので細かいお店チェックはできなかったのだが、ご当地ラーメンショップを6店ばかり集めた「ラーメン横丁」的一画もあるらしく(各店のスープの匂いが入り混じってすごいことになっているのがやや閉口だったが)、家族連れで休日、ショッピングを楽しみながらのんびりと過ごすにはなかなか素敵な空間になっているようだった。

 ウチからだと、ひょっとすると車で行く方が距離的にも時間的にも近いのかもしれない。このショッピング・モールから少し離れた場所には大規模スーパーがあって、良く良く思い出せば、1月に家人と『スーパーサイズ・ミー』を観に行ったワーナーマイカルシネマはその隣だったような気もする。例によって、車でポンと連れて行かれたのでは自分がどこに居るのか実感が持てなくて、かつての「広くて寒かった海老名駅」とイメージが結びつかなかったらしい。
 このショッピング・モールがいつ頃出来たのかは知らないが、ウチの最寄駅もそういえば5年前までは寒々しく寂れ切った駅だったことを思えば、開発計画次第であっという間に様変わりするものなのだろう。電車で行くには乗り換え2回が面倒だし、自力でクルマを出すのは滅相もないことなので、おそらくそう度々は出掛けないと思う。ただし川崎や渋谷よりは近いので、行き着け徒歩圏の映画館の次に御贔屓にするのはここになるかな、という気もする。そうしたらついでにいろいろ見て回れるだろう。結構楽しみである。

 今年の末にはウチの最寄のショッピング・モールにもささやかなシネコンができるそうだし、映画鑑賞の環境はますます充実しつつあるのが大層嬉しい。願わくばこれがずっと長続きしますように。競合した上にみんな共倒れしてしまったらメチャクチャ哀しい。それでなくても最近、近所の某外資系スーパーの日本撤退がいよいよ決定したとかで、あのお店はどうなるのだろうと気にかかっているところなのである。




03/10 花粉来襲

2005/03/10 17:41
 昨日あたりから暖かくなって、花粉の飛散量も格段に増えて来ているらしい。朝の天気予報など見ていても、東京近郊は「非常に多い」の真っ赤っかである。あんな状態を見るだけで鼻がムズムズしてくるので、できればもうちょっと穏やかというか大人しいというか、神経を逆撫でしない色使いだったらいいのに、と思う。「東京の真夏日連続10日目ですっ!」と煽情的にアナウンスされる時の不愉快さと似ているかもしれない。
 2月の下旬頃から抗アレルギー剤を呑み始めているので、現段階の症状としてはまだそれほど酷いことにはなっていない。花粉の量が少なかった去年がどういう状態だったかすっかり忘れているために比較することはできないのだが、自分自身では「まだこのくらいなら耐えられる。御の字」という印象である。

 とは言うものの、やはり無事では済んでいない。最近その気配が見えていて、特に昨日や今日の朝など顕著だったのだが、眠っている間に鼻が詰まるために口呼吸をしているらしく、目が覚めると口の中がカラカラに乾いている。口の中にパリパリの革が押し込まれているような気がして大層不愉快なのだが、実はそのパリパリの革は自分の舌なのだ。参ってしまう。微妙に熟睡し切れていないためか日中も眠気が取れない。そもそも抗アレルギー剤のせいで眠いということもある。何をやるにしても能率ガタ落ち、春は受難の季節なのである。
 昨日『セルラー』を観るために、この季節にも関わらず意を決して映画館へ出掛けた時も、電車の中などで同類の受難者たちを多数お見かけした。マスクにサングラスをしていてもくしゃみ連発している人など本当に気の毒に思う。わたしもマスクをかけ、中には先日買った「花粉シーズン」のエッセンシャルオイルを垂らしたガーゼを仕込んでおいた。ペパーミントが配合されているのでちょっとスースーして、鼻が通ってなかなか具合が良い。

 最近の傾向としては、比較的年齢が若くてオシャレっぽい方々は不織布でできたストラップ一体型の使い捨てマスクを、中年以降の方々はいわゆるフツーのガーゼマスクをしていらっしゃるように思えた。わたしが着けていたのはガーゼマスクである。「花粉シーズン」オイルを仕込む関係で不織布マスクを選べないのが最大の理由なのだが、こういう点でも「おばさん宣言」をしてしまっているように感じてちょっとだけ口惜しかった。鼻がスースーする「花粉シーズン」オイルを諦めるのもイヤだし、どうしようかなあとちょっと悩んでいる(阿呆)。
 ガーゼにしろ不織布にしろ、マスクを着けてサングラスをかけて(わたしの場合は視力矯正用の眼鏡で代用だが)という出で立ちは、どう頑張ってもあまりファッショナブルなものではない。判っていても花粉症には勝てないし、痩せ我慢をするのはやはりあまり賢い選択肢ではないと思う。昨日電車の中で、メチャクチャ可愛い格好をした大学生くらいの女性が、目を真っ赤にしてハンカチで鼻を押さえ、ひっきりなしにくしゃみをしていたのを目撃してしまった。ドレスアップしたからマスクはイヤだったのだろうな、と思うのだが、そこまで花粉症の症状が出てしまったらせっかくのオシャレもだいぶ割り引かれてしまう。移動中だけでもゴーグルとマスク、着けておけば良かったのに…と、他人事ながらしみじみ感じたのである。

 今日などは、車庫に駐めてあるクルマのリアウィンドウに、うっすらと花粉が積もっているのが見えてしまった。うう〜ぶるぶる。今年は杉と檜の2本立てで、花粉の飛散量が多いだけでなく、飛散期間も大層長いと予想されるのだという。イヤだなあ。4月の末までに、少しはマシになってくれるだろうか。
 4月の末というのは先日の日記で触れた通り、大学時代の友人の結婚披露宴が予定されている。ちょっと疎かにできない友人なので気張ってマトモな格好をする予定なのだが、決死の覚悟で精一杯気取った服を着たとしても、もしかして花粉症の症状が出ていたりしたらとんだコメディである。雨が降ったら花粉は洗い流されるだろうが、選りによって結婚披露宴で雨降りというのも避けたいシチュエーションだし…。

 あれこれ考えた末、自分で顔塗りや髪の毛いじりを何とかできる訳もないと結論に達したので、ええいままよとばかり行き着けのカットハウスに予約を入れてしまった。服だけ着替えてスッピンで行けば、カットとヘアセットとメイクを全部やってくれちゃうらしい。10時開店では若干間に合わないかと思っていたのだが、そういう時のためにちゃんと早朝開店サーヴィスというのも用意しているのだそうだ。30分につき500円のタイムチャージがあるにはあるが、遅刻するよりはずっとずっといい。
 やれやれ。たぶんこれで見てくれは何とか一応の格好を付けられるだろう。思い切って選んだベアトップのワンピースさまに、わたくしごときのキャラクターが太刀打ちできるかどうかは微妙だが、馬子にも衣装という古くからの言葉もある。同じく招待された大学時代のクラスメイトと相談したのだが、レストラン・ウェディングではあるものの着席設定だし、花嫁はウェディングドレス着用だし、花婿さんのご親戚もご列席予定ということらしい。限りなくフォーマルに近いカジュアル・ウェディングと考えるのが無難だろう、という結論に達したのだった。友人の晴れ姿を見るのは楽しみだけれど、華やかな集まりは慣れなくて、やっぱりちょっと気が重いのである。




03/11 パーティードレス到着

2005/03/11 15:43
 大事な友人の結婚披露宴なので滅多な格好はできない。しかしそーゆー「ちゃんとしたドレス」など1着も持ってないしどうしよう…ということで先日とあるお店のネット通販を申し込んだのだが、その品物が今日届いた。早っ。ベビーブルーのベアトップAラインワンピースである。生地はもっとペナペナかと思っていたら案外としっかりしているし、胸元のラインがきれいに出るように縫い目には芯が入れてあったりと縫製もなかなかちゃんとしたものだった。この作りであの値段、どうしてだろうと思ったのだが、どうやらアメリカからの直輸入で、その分リーズナブルに買えるらしい。日本とかの国では、おそらくパーティ文化の浸透具合がぜんぜん違うのだろう。
 さっそく着てみたのだが、アメリカサイズだからなのか、ビミョーに大きいような気がする。ただしウエストや脇の緩さ加減は本当に気持ち緩いかどうかという程度である。もう1サイズ下の方が良かっただろうかとは思うものの、交換してもらって今度はキツかったら阿呆みたいだし、お店の方々にもご迷惑をおかけしてしまう。買う時に試着ができないネット通販はこういう時に困るのだが、リアル店舗は横須賀らしい。そこまでわざわざ試着に行くのも面倒である。

 とりあえず脇や尻回りの余り具合はスルーできるのだが、どうにも看過できないのがムネであった。アメリカ女性のヴォリューム満点なバストならばしっかりとホールドできるのだろうが、わたしのバストだと役者不足らしい。有体に言えばズって来るのである。下までストンと落ちたり下着のカップが見えたりはしないが、何となーく落ちてますね、というこれまた微妙な按配。
 さらにわたしは身長が低いので、着丈が思っていたよりも長めな印象である。裏地の端にはチュールレースがあしらってあり、裾から覗くその部分の長さは特に気にならないのだが、本体部分はもうあと10cm、いや5cm短かったら良かったのにと思う長さだった。しかも胸元がズレるとますます裾の長いのが気になって来る。裾があと5cm短かったら、生地の重みもその分減るハズで、そうしたら胸元ズレ具合も多少改善されるだろうか。お直しも頼めるそうなので、まだ時間もあることだし、裾切ってもらおうかなあ。

 などとつらつら考えていたら、タグと一緒にくっついていた小さなビニール袋に気が付いた。中に何やら黒いものが入っている。出してみたら胸元の黒パイピングと同じ生地のひもが2本。はてこれは何に使うものなのだろう。状況的に見れば「胸元がズって来る人は、このひもを自分で縫い付けて、ストラップ付きドレスにしちゃって下さいね」ということ以外に考えられない。しかしそこまで先手回しがいいというか、気が利くものなのだろうか。もしかしたらアメリカ女性でも、胸元のズレ具合に悩む人々は案外多いものなのかもしれないが。
 ともあれこれならズレは改善されそうである。「デザインは本当に気に入っていたのに、しまったなあ、これで肩ひもさえ付いていたらなあ」と試着しながら思った悩みも解消。それにしても買った後、ストラップを自分で縫い付けるなんて、外国製のバレエシューズやトウシューズのようである。

 ただしこれで問題はすべてクリアかというとそういう訳には行かないのだった。裾上げを頼むか止めるかは、お直し期間と行って帰っての宅配便所用時間を見なくてはならず、そうそうのんびり悩んでもいられない。さらに上に羽織るものを何にするかも決めなくてはならない。ドレスビギナーたるわたし、肩や首筋がこんなにベロンと出る服を着たことなどほとんどなく、それゆえこんなに着心地が心細いものだとは知らなかったのだ。湯上りにバスタオルを巻いている時の気分そっくりである。
 袖や裾にちょっとフリルがついているベージュのボレロにするか、ドレスに付属してきた共布のショールにするか、薄手のシルク混パシュミナショールにするか、自力で考え付いた選択肢は3つ。昼間のパーティであることその他を考慮すればボレロが一番無難だろうかと思われた。共布のショールとパシュミナショールでは頼りない感じがする上に、わたしはいかり肩なので、どうにも印象がもっさりしてしまうのである。

 さらにアクセサリーや靴、バッグも再考の余地がありそうである。ファッション音痴のわたしに親切なアドヴァイスを下さった友人たちの意見によれば、昼間のパーティでもあることだし、アクセサリー等を黒に統一する必要はないのではないかということだった。シンプルなパールのネックレスの方がいいかもしれない、と。なるほど。パールのネックレスとイヤリングならば義母にいただいたものがあるし、そっちの方がいいのであればわたしとしても願ったり叶ったりである。パールの指輪があったかどうかは覚えていないのだが(呆れ)、何なら指輪はしなくていいかもしれないし。
 あとはバッグと靴である。やはり友人のアドヴァイスによれば、バッグはできるだけ小さいものを選ぶべし、そして靴はオープントウのサンダルにするべし、という。靴は最初から黒(かもしくは銀)のサンダルにしようと思っていたので問題ないのだが、バッグはどうしよう。祝儀・不祝儀共通で使っていた黒のバッグにしようと思っていたのだが、「そういう大き目のバッグは厳禁ですよ」と言われてしまったので大慌てなのだ。

 よく映画に出て来るような、舞踏会の手帖のようなちいちゃなバッグがいいらしいが、そんなもの当然持っていない。買うのも悔しいし、義母か母がちょうど良いのを持っていたら貸していただこう(ちゃっかり)。バッグと靴の色を合わせるといいらしいので、選択肢としては黒か銀。オーソドックスな色なのが救いと言えば救いではある。とはいえ、やはりそう上手く行くものだろうか。悩みは尽きないのだった。




03/12 チーズの誘惑

2005/03/12 14:57
 1月に家人と観に行った『スーパーサイズ・ミー』の中で、「おいおいそりゃちょっとどうよ」と突っ込みを入れたくなってしまうコメントがあった。この映画、全体としては非常に興味深くためになる作品だったのだが、ディテールに少々パラノイア的なところも見られ、ネタとしてもなかなかオモロかったのである。いわく「チーズには習慣性のある成分が多く含まれている(そしてファストフードのメニューにはチーズがいっぱい使われている)」。
 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いではあるまいし、何もそこまであげつらわなくてもいいじゃん、と思う。何というか「コ○・コーラのレシピはアメリカの本社以外には絶対に漏らさないトップ・シークレットである。ほんの微量だが中毒性のある良からぬ物質が含まれているためらしい。真偽不明だが、名前の由来となったコカの葉からはコカインが取れることを考えれば信憑性がないとは言えない」というデマに通じる、やや悪意めいた意図を感じる。

 チーズに限らず、美味しいものに習慣性とか中毒性があるのなんて当ったり前だろう。わたしにとってのスイーツのように、後を引いちゃって困り果てた経験は、誰にだってなんぼだってあると思う。
 ともあれ、チーズは大好物のひとつである。子供の頃はプロセスチーズ一辺倒だったのだが、大人になってナチュラルチーズを口にするようになり、千変万化な独特の風味の食べ比べが病み付きになってしまった。特にお気に入りなのがカマンベールとパルミジャーノ・レッジャーノである。クリームチーズも捨てがたい。以前日記で触れたことがあったと思うが、「ブルサン」のクリームチーズ(アイユ)などまさに麻薬のような魅力を持っている。

 最寄駅の近所にある行き着けスーパーには、小さいながらも充実したチーズコーナーがあって、わたしはちょくちょく素通りできずに立ち止まってしまう。べらぼうに美味いがカロリーも超高く、ついでにお値段もなかなかゴージャスな「ブルサン」のアイユ・6ポーション入りなどを手にしては、うーんうーんとしばらく悩むのである。普段は600円くらいするのだが、たまに398円などという値段が付いていたりすると誘惑に負けてしまう。わくわくしながら買って帰り、1切れだけね、と思いながらちびちび舐め始め、つい止まらなくて3切れも食べてしまったこともある。オノレの意思の弱さを呪う瞬間である。
 カロリーはともかくコストをもうちょっと削減できないかと、似たような6ポーション入りの「キリ」のガーリックハーブ味とかいうのを買ってみたことがあるのだが、個人的好みとしてやはり「ブルサン」の方が美味しいと感じた。香味野菜のシャリッとした歯触りがたまらない。「キリ」にはそれが入っていないので、味は似ているのだが、食感が全然違うのである。「ブルサン」アイユを心行くまで食べたいなあと思うのだが、150g入りのは900円もする。ついでに100g当たり400kcal以上ある。値段もカロリーもあれ1個でほとんど1食分、なかなかトライできるものではない。丸ごと食べたらたぶん胸焼けするだろうし。

 行き着けスーパーにはプライヴェート・ブランドのチーズ・シリーズもあって、パルミジャーノ・レッジャーノの小さい塊が簡易真空パックされて売り場に並んでいる。2年ものが100gあたり900円弱、3年ものが1200円ほどだったように記憶している。ごくごくたまに、このパルミジャーノが半額シールを貼られていることがあって、そういうのを見てしまった時はしばしば誘惑に負けて買ってしまうのである。半額シールの理由は「賞味期限が迫っています、お早くお召し上がり下さい」なのだが、パルミジャーノに賞味期限、馬鹿馬鹿しい設定である。半額になっていたら買わない理由がありましょうか(いやない)。
 もちろん小さく切って売られているものだから、丸のままのパルミジャーノのように「熟成させるほど美味しくなる」ということはない。しかしラップやホイルでぴっちり包んで冷蔵保存すれば、例え賞味期限を1ヶ月やそこら過ぎたところで悪くなるハズもない。わたしはこういうのをたまに買って来ては、サイコロ大に砕いたものをちびちび摘みながらネットサーフィンをするのが大好きなのだ。もちろん料理にも大活躍してくれる。牡蠣のガーリックグリルなど、こういうパルミジャーノをすりおろして焼くと味も香りも素晴らしい。粉末になって売られているパルメザンチーズとは一味も二味も違う、本格的な一皿になる。

 チーズとりんごのコンビネーションも大好きである。大昔、関西在住の友人に連れて行ってもらったイギリス風パブ「キングスアーム」で食べたチーズアップルというおつまみがあって、この時初めて「チーズ&りんご」のベストカップルに気付いた。このパブが今もあるのかは知らないのだが、自宅でちょっと真似をしても同じ味が出せないという、魔法のような一品だったものだ。
 「キングスアーム」のレシピは不明なままだが、自己流で時々りんご&チーズのおやつを作って食べるのが好きである。りんごの種類はお好み次第、チーズの種類も以下同文で、その組み合わせの妙があの「チーズアップル」にはあったのだろう。
 わたしのお気に入りは「王林」のスライスに「キリ」のプレーンを薄く切って乗せたものである。好みにもよるけれど、りんごはあまり酸味の強いものではなく、チーズは多少とろりとしたものを選ぶと良いと思う。マスカルポーネでもいい。ただしプロセスチーズはNGである。

 そういえば先日たまたま足を踏み入れたパン屋さん「ヴィ・ド・フランス」で、りんご入りチーズクリームを詰めたパンを見つけてしまった。またもや誘惑に勝てずに買って帰って食べたらメチャクチャ美味しかった。ハマりそうでヤバいのである。悪い癖で、一端ハマると飽きるまで同じものを延々と食べ続ける習性があるのだが、あのりんご入りチーズクリームパン、まず間違いなく相当な高カロリー食品だと思われる。毎日お昼ごはんに2個、などという食べ方をしていたらどうなることやら。
 傍に近寄るとついふらふらと中へ入ってしまうので、最近は駅前スーパーにできるだけ立ち寄らないようにしている。もちろん、その駅前スーパーの入り口付近に「ヴィ・ド・フランス」があるからなのである。辛い…(とほほほほ)。




03/13 しばらくぶりに削られた

2005/03/13 17:14
 半年に1度の歯科定期検診が昨日だったのである。会社員でなくなってから10年ほど経つその間、他の科についてはサボりまくりだが歯科検診だけは欠かしたことがない。理由は簡単で、わたしは歯医者さんが一番コワイからである。ただでも怖いのだから、必要以上に怖い事態になど死んでも陥りたくない。とすると逆説的だが、半年に1度くらい定期的に診てもらって悪いところを可及的速やかに発見し、傷が浅いうちに手当てするのが一番だ、と思う。
 以前はそういう考えではなく、多少痛い歯があっても自分を騙し騙し歯医者行きを先延ばしにする、ということをやっていた。それが高校生の時だったか、星崎真紀さんの『Dr.クージョ危機一髪!』シリーズ(だったと思う)を読んで宗旨替えしたのだ。記憶は定かではないのだが、冒頭で「もうこの歯は神経が死んでます、抜きましょう”と言われてしまったら…?」などなどの恐ろしいシチュエーションが並べられ、「そうならないうちに歯医者へレッツゴー」というメッセージが出て来るシーンだったと思う。小心者のわたしは心底震え上がった。そうか、先延ばししてても虫歯は自然治癒はしないんだ、と、当然のことを改めて思い知ったのである。

 今の在所に越して来てからもずっと歯科検診は続けている。成り行き上わたしと一緒に家人も、半年に1度の定期検診を欠かしたことはない。主治医の歯医者さんではすっかりお馴染みになり、予約の電話を入れると「あらもう半年経っちゃったんですね」と世間話をすることもある。自分で言うのも何だが、おそらくその歯医者さんでは「理想的な歯のメンテナンス」をしている人たちだ、くらいには思われいるのではないかと思う。
 毎日必死に歯磨きし、歯肉炎&歯周病が怖いからデンタルフロスも欠かさず、検診に行くたびに「キレーにお掃除なさってますねえ」とお褒めのお言葉をいただくその理由が「歯医者に足を踏み入れるのは半年に1度でたくさん」と思っているからだとはやはり言えない。なぜ歯医者さんだけがこれほど怖いのか自分でも判らないのだが、あの診察椅子に座ることを考えただけで気分が滅入るくらいどーしよーもなく嫌いなもの、それが歯医者さんなのだ。

 そんな訳で大抵の場合、診察椅子に座って探針でちょいちょいと口の中を診察し、歯石を取って歯の表面を少々磨いて終わり、というスピード診療を実現している。1秒でも早くあの椅子から降りたい一心で、これでもかとばかりに歯磨きしているのだからそれも当たり前、元々チェックすべき箇所はあまりないハズなのである。昨日もそうなる予定だった。
 ところがである。探針と反射鏡で口の中を覗いていた先生の手が止まった。「うん?」といういぶかしげな声。こっちはだんだん不安になって来る。単に歯石が溜まってるとかでありますように…と内心必死でお祈りするのだがそれは無駄に終わった。「この右上の奥歯のところ、ほんの少しだけ色が変わってますね。ちょっとレントゲン撮りましょうか」。レレレレントゲン。これで異常が見つかったらドリルだろうか。頼むから虫歯じゃありませんように。だって普段あんなに一所懸命磨いてるのに、何故虫歯になったりするんだよ(顰蹙)。

 恐らくは家人が風邪を引いていた間にストレス解消のため、真夜中にお菓子を食べてしまったのがマズかったのだろう。もしくは先日の突発的修羅場時の眠気覚まし夜食がいけなかったのかもしれない。晩御飯後にお菓子を食べて歯磨きを怠った報いと言えば報いである。ちょっとした隙でも虫歯菌は見逃してくれなかったのだ。もともとわたしの歯は根性ナシなので、子供の頃から非常に虫歯が出来易かった。油断大敵火がぼうぼう、注意一秒怪我一生(涙)。
 レントゲン・フィルムを現像した先生は案の定「やはりここ、ちょっとだけ虫歯になってますね。削りましょう」とおっしゃった。ごくごく軽いものなので、ちょっと削って詰め物をすればそれでオシマイ、治療は1日だけで済むらしい。しかしわたしに取ってはその「ちょっと削って」が大問題なのである。あのドリルのキュイ〜ンという音を聞くだけで泣きそうになる。

 歯科医用前掛けをひっぱずして診察台を飛び降り、脱兎のごとく逃げ出したい気持ちを必死で抑える。削られなければならない事態に遭遇したのなど年単位で昔の話だし、今回もまったく予感がなかったのでココロの準備が全然出来ていない。みっともないので取り乱したりはしたくなかったが、例のキュイ〜ンが聞こえた途端、やっぱり無言でパニックに陥ったのだった(阿呆)。
 歯に歯科用ドリルが当たるあの感触、何度やられても本っ当に嫌なものである。あ、今はまだエナメル質を削ってるな、もう少し掘り進んだら象牙質に当たってしまう。そーしたら痛いじゃないか。カンベンしてくれえええええ…などなど、しょーもないことをずっと考えながら削られていた時間の長いこと長いこと。結局ちょっぴりだけ象牙質を削られたらしく(先生に訊いた訳ではないので飽くまでも体感的印象)、削り工程の最後の方は例の神経に障る痛みにお見舞いされてしまったのだった(滂沱の涙)。
 穴掘り用の細いドリルもイヤだが、穴周りを滑らかに磨くための(恐らくそういう用途だろうと推測)太いドリルも我慢ならない。あれを口に突っ込まれてがりがりやられると、顎が外れそうな気分になる。震動が神経に響いて不愉快な痛みがずんずんするのが大嫌いである。

 不覚ながら今回は虫歯を作ってしまったが、しばらくぶりの恐怖体験のおかげで、自分がいかに歯医者嫌いだったかを深く深く認識し直した。当分懲り懲りなので、今後は以前にも増して念入りに細心の注意を込めて歯磨きに勤しむことにしようと決意したのだった。




03/14 漫画のような失敗

2005/03/14 17:10
 昨晩、母のマンションへ立ち寄ったのだが、そのついでにお土産に「ベビーキウイ」なるものをもらった。親心かはたまた単なる不要物整理か(たぶんその両方だろう)、母はわたしが行くたびに何かしら持たせてくれようとする。大抵はいただきもののお菓子など、母一人では食べ切れない甘いもの関係である。わたしも有り難くいただいてウキウキと食べる。今月アタマからの連続ストレス喰い&スポーツクラブ通いおサボりで弛んでしまったので、4月末までにシェイプアップし直さなくてはならないのに、やっぱりとことん誘惑には弱いのだった。
 ともあれ、缶入り野菜ジュースやら群馬県は沼田市名産の一口塩羊羹(超美味)やら半完成品最中やらをもらう。この半完成品最中は、父の弟(つまり叔父。母の妹と結婚している)がどこぞで見つけてきたものである。寒天でまとめてあるあんこを最中の皮で自分でサンドして食べる仕組みで、味は普通なのだが、とある理由で母には特別な思い入れのある最中だったりする。読み方は違うのだが、漢字表記が亡父の名前と同じなのだ。叔父夫婦が偶然発見し、先日東京出張の折、感慨深かったらしく手土産に持って来てくれたのだという。本当に心優しい叔父夫婦である。

 それだけなら良かったのだが、もう1つあった余計なものが冒頭の「ベビーキウイ」。わたしも最寄駅近くの行き着けスーパーで売られているのを見かけたことがある。チェリー〜梅干大の深緑色の果実が20個あまり入っているプラスティックパックで、記憶が正しければ1パック400円近くする。高価いし、どうやって食べたらいいのか判らないし、そもそもあまり美味しそうに思えなかったので、棚の前をいつも素通りしていた。同じ場所を通りかかった母は販促員さんにとっ捕まり、あろうことか1パック買うハメに陥ったのだという。
 「普通のキウイを間引いたものじゃなくて、こういう小さい品種らしいよ。ヨーグルトと一緒に食べると美味しいんだって。普通のキウイより栄養もずっとあるって言ってた」と母は語り、一所懸命わたしにそのパックを押し付けようとする。しぶしぶ開けてみて1つ試食する。皮にキウイ独特のケバケバがある訳でもなし、歯触りも悪くない。キウイ独特の香りも仄かにするような気がするのだが、最大の問題点は味がないことだった。飛び切り甘くも酸っぱくもない。断面はナマイキにキウイ模様をしているが、一番適切に思える形容は「ほぼ無味無臭の水っぽいマスカット」だった。

 試食した手前買ってしまったものの、母も内心は「美味しくない」と思ったらしく、1粒食べた切り食指が動かないのだという。どうすればいいと思う? と訊くから、砂糖とワインで煮詰めてコンポートにしたら美味しいのではないか、と答えた。すると母が嬉しそうに「じゃあアンタ持って帰ってそうしなよ。ヨーグルトと一緒に朝御飯でちょうどいいじゃない」。自分でアレコレやってみる気はさらさらないらしい。
 無碍に断って萎びさせるのも可哀想だし、母は確かにもともとあまり甘いものを好きではない。例え美味しいコンポートが出来たとしても、独り暮らしの食生活では消費し切れないのだろう。厄介払いを押し付けられて多少フクザツな気分はするが、その他の品々と一緒に「ベビーキウイ」も有り難くいただいて帰宅したのだった。

 今朝、家人を送り出して日常業務を一通りこなしてから「ベビーキウイ」のことを思い出した。晩御飯までにコンポートとして完成させようと思ったら、冷やして味を馴染ませる時間をじゅうぶん取った方がいい。早速自分なりに配合を工夫して煮てみることにした。原材料にほとんど味がないので、濃い目の味付けが良いだろう。風味もあまりないからちょっとキツめのフレーヴァーが似合いそうである。考えた末、砂糖、グレープフルーツジュース少々、レモン汁少々、白ワインを混ぜることにした。風味付けには乾燥みかんの皮と粒黒コショウ3粒。甘い中にピリッと来るコショウ風味がアクセントになる予定だった。
 ひたひたの水加減で煮始める。アクが結構出て来るので掬い取り、弱火に落として煮ること5分。そろそろ味見をして、足りないものがあったら足さなければならない。ハチミツをちょっとだけ垂らしても面白いだろうか、クセが強いから他の材料と喧嘩してしまうだろうか、そんなことを考えつつどれどれと煮汁にスプーンを突っ込む。そして仰天した。

 ぐわあああ、しょっぱい! なんということだろう、わたしは砂糖と塩を間違えて投入していたのだ。いつも使う砂糖入れの中身が心許なかったので、食料ストック棚にあった「トロワグロ」の袋に入った粉末を砂糖と思い込んで計量したのだが、どっこい内容物は塩だったらしい。この袋、結婚前から家人の台所に眠っていたシロモノで、袋から想像するに義母が家人に持たせた調味料セットの1つだったのだろう。発掘してからずーっとグラニュー糖だと思っていたのに。ウチの砂糖の消費量はあまりに少ないので、間違いに気付くチャンスがなかったのだ。塩だと知っていればとっくのとうに使い切っていただろうに(とほほほほ)。
 とりあえずこのままでは食べられない。しばし考えた末、鍋の内容物をザルに空けて水洗いしてみる。できるだけそーっと扱ったのだが非常に柔らかい皮なので衝撃に耐え切れず、ベビーキウイたちは半壊状態になってしまった。ううむこれは仮に万が一救出できたとしてもコンポートはもう無理だ。ジャムにするしかない。

 しばらく水に浸して塩抜きをする。既に塩味が染み込んでいるような気がするが、ダメ元で(今度は間違いなく)砂糖を入れ直し、再び煮てみる。塩と一緒にアクも抜けてしまったので思い切り良く全体をかき混ぜてジャム状態にする。待つこと数分、恐る恐る味見。世にも珍妙かつ強烈な甘辛味。「ぬまた」の塩羊羹も真っ青だが、妙なる美味の塩羊羹と異なり、キウイジャム(もどき)は「愛のエプロン」の恐怖料理並みの破壊力を誇っていた。
 さすがに諦めて廃棄処分決定。なんとまあもったいないことをしてしまったのだろう(涙)。砂糖入れの中身が満タンだったならば、今頃は一応コンポートが出来上がっていたハズなのに。「トロワグロ」の袋だったから、何となくイメージで砂糖だと思い込んでいたわたしが阿呆だったのだ。せめて計量する前にほんの一舐めしてみるべきだった…。

 後日母が「あのベビーキウイどうだった?」と訊いてくるかもしれない。その時のために、自腹で新しいパックを買ってきて、改めてコンポートを作り直すべきだろうか。しらばっくれて「うん、美味しかったよ♪」と答えておくのも気が引ける。しかしもともとは母の不要物を引き取ったのだし、最終目的はコンポートではなかったのだ、と強弁することは可能だろうか。一番いいのはノーコメントを貫き通すことかもしれない。
 どの道、よほどのことがない限り砂糖と塩を間違えるなどというミスはやらかさないだろう。あまりに漫画チックというか阿呆らし過ぎて、今日はとことん落ち込んでいるのだった。だいたい今時漫画の中でもそんなドジを踏むキャラは居ないだろう。ダメダメ過ぎる。どよ〜ん。




03/15 初単独走行

2005/13/15 17:51
 月に1度の避け得ない外出先として皮膚科通いがある。本当は同じくらいの頻度で眼科にも行かなくてはならないのだが、こちらは特に常用するクスリが出ないのをいいことにサボり倒すのが習い性となっている。良く考えると前回行ってからすでに半年近く経過しているのだろうか。さすがにそろそろ顔を出さないと主治医の先生にお目玉を喰らいそうである。
 皮膚科については半年もサボる訳には行かない。痒み止めの抗アレルギー剤を呑んでいることもあるし、塗り薬も定期的にもらいに行かなくてはならない。最近は比較的アトピーの調子がいいのだが、ちょっと油断するとあっという間に全身かいかいになるのは今までにイヤというほど経験済み。地道でたゆみないメンテナンスと、適切な食事・休息・紫外線避けが欠かせない。大雑把なわたしの性格からするとなかなかの試練なのである。花粉の時期はそうでなくても症状が出やすいし。

 問題は通っている先の皮膚科の立地である。ウチからはどう頑張ってもクルマでないと通い切れない場所にあるのだ。車ならば10分の距離だが、電車&バスでは2度(運が悪ければ3度)の乗り換えが必要で片道40分はかかってしまう。これなら自転車で行った方がよっぽどマシだろうが、残念ながらわたしの自転車は家の裏手に仕舞い込まれているため、独りでは持ち出すことができない。持ち出せないものだから、もうかれこれ4〜5年は仕舞いっぱなしである。何のための自転車だか(やれやれ)。
 そういう訳で、恐怖のクルマの運転を、皮膚科に通う時だけはやらざるを得ないのだった。幸いなことに、以前は大混雑する街道を走らなければならなかったのが、最近裏道が整備されて通い易くはなっている。死ぬほど混み合う待合室も、最近「電話予約システム」ができたために多少混雑が緩和されたらしい。電話をかけてガイダンスに従って予約をすれば、診療の順番が何番目かが判るようになっているのである。後はその順番を見計らって、程好い時間に病院に出掛ければ良いという仕組みである。

 先月行った直後にこのシステムが稼動を始めたので、今月が電話予約の初体験だった。朝7時から予約受付だというので、起床後さっそく電話をかけてみる。無事予約完了、6番目らしい。今までよりも家を出る時間が少し遅くても大丈夫そうで、診療の順番が判っているというのは便利でいいなあ、と思った。
 さてビクビクブルブルとクルマに乗り込む。新型ヴィッツに独りだけで乗るのは、納車以来10日目にして初めてである。新しくもらったキイには施錠・開錠のボタンがついていて、開錠ボタンを押すと鍵穴にキイを差し込まなくてもロックが解除されるのである。面白〜い。本当ならこういうハイテクなキイは、メインドライヴァーである家人に持たせる予定だったのだが、キイホルダーをズボンの尻ポケットに仕舞う都合でわたしに回って来た。シンプルなキイよりもだいぶ嵩張るからである。

 前方の見切り(というか見えなさ具合)は以前のピンクヴィッツとそう変化はない。左側の感覚がやはり以前よりも広くなっているが、これはおいおい慣れるだろう。ミッションだったのがCVTに変わったせいでクラッチがなくなったのが一番違和感がある。コーナリングの時など、思わずクラッチを踏み込んでシフトチェンジしそうになってしまう。左足と左手が所在無いのだった。
 走行感覚は非常に良い。低速度での立ち上がりが良くてスタートダッシュが速いので気分がいいのだ。交通量の少ない直線道路などでは、ふっと気付くと思わぬスピードが出ているのが驚きだった。車体の安定性が良いので、スピードを出しても今までのようにブレないのである。以前と同じにスピードを感じていると出し過ぎになってしまう。慣れるまではきちんとスピードメータを確認しながら走らなくてはならない。

 一番の課題だった車庫入れ時の取り回しも、車幅3cm増の割には苦労しなかった。皮膚科の駐車場に駐めた時も、帰り際に行き着けスーパーに寄った時も、それほど苦労せずに駐車することができて一安心である。ただし、ギアをバックに入れると今度からは警告音がピーピー鳴るようになってしまって、それが余計に焦る気分を増幅させるので、できれば黙ってて欲しかった。駐車するためにハザードを点けようとしたらワイパーに触ってしまい、それがまたまた焦りを煽る。
 確か家人もハザードを点灯しようとしてワイパーを動かしてしまっていたので、これはハザードスイッチとワイパーの位置関係に問題があるということかもしれない。それともこんな阿呆なことをやっているのはウチの住民だけだろうか。

 ともかく懸案だった単独走行、思ったよりも快適だったので嬉しかった。新型ヴィッツの足回りの改善にはびっくり&感動で、以前のピンクヴィッツよりもだいぶ「高級」な感じがする。あのチープでお手軽な乗り味は、とすると姉妹車のパッソに引き継がれているのだろうか。パッソも試乗してみたいなあ。
 オンナコドモにしか判らない感覚かもしれないけれど、個人的に一番感激したのが助手席の「お買い物ストッパー」だった。シートの端っこにあるストッパーをスライドして上に出すと、ちょっとやそっとブレーキを踏んでも、助手席に置いた荷物が下へ転げ落ちないようになっているのである。独りで買い物に出て助手席に荷物を置くと、どんなに慎重に運転していてもコーナーの減速や信号停止時に荷物が落っこちてアタマに来たものだった。それが見事に解消されている。こういうのを標準装備にしてくれる辺り、TOYOTAのデザイナーは本当に気が利いていると思う。
 両手にいっぱい荷物を抱えてクルマから降りた時も、例のハイテクキイでボタン一発ドアロック、というのは非常に楽だった。荷物プラス小さな子供を抱いているお母さんだったらなおさらだろう。この辺の装備もオプションではないのが気前がいい感じ。最近はどのクルマも皆そうなっているのだろうか。何でも進化するものだなあ(感心)。




03/16 打てば響くような

2005/03/16 18:15
 愛用している洗い物手袋がある。ダン□ップ(伏字になってない)で出している「ママサヤン」というシリーズのゴム手袋で、丈夫で長持ちする上に内部も比較的蒸れにくく、結果として手荒れが起こりにくいのである。サイズ展開も女性向きというか、どのお店のどの売り場へ行ってもちゃんとSサイズが手に入る。ごく当たり前のことに思えるけれど、時々Mサイズからしか作っていないように見えるほど小さいサイズを置いていないブランドもある。メインユーザが主婦ということを考えれば、小さめサイズを切らさない生産&流通体制というのは結構ポイントになると思う。
 わたしも以前は別のブランドのMサイズを使っていたのだが、ある時ひょんなきっかけでこのブランドのSサイズを買ってみたら、これが非常に良かったのだった。洗い物用手袋がどうもフィットしなくて使いにくいという場合は、試しに1サイズ下のものをはめてみると良いかもしれないという体験談である。

 以前は違うブランド名だった「ママサヤン」を使い始めてかなりになる。わたしのお気に入りは中厚手のSサイズというもので、内側がちょっとケバケバ加工されている。この加工のおかげで、ジャストフィットサイズでも着脱がらくちんなのである。裾がちょっと長いのと、手袋を伝って水が滴るのを防止するために、袖口のところを5cmほど折り返してホチキスで止めてしまう。ずっと昔、佐々木倫子さんの『林檎でダイエット』だったと思うが、こういう状態のゴム手袋をして洗い物をしているシーンを見て以来そうやって使っている。
 袖が短くなる分さらに着脱もし易くなるし、ゴム手袋を嵌めた手を頭上にやる時にも「おっとっと、水が伝わって来ちゃった」という不愉快な思いをしなくて済む。なかなかお勧めの一工夫である。

 先日、それまで使っていたものがだいぶ古くなって水漏れするようになったので、新しい「ママサヤン」を下ろした。いつものように袖口を5cm折り返してホチキスで止め、さてと嵌めてみて違和感に気付いた。あれ? 左手の中指の内側に何か入っている。手袋を外し、指先に入っている何かを出そうと振ってみたけれど出て来る気配がない。なんだろうと裏返したら、珍しいことに、左手中指の先に当たる部分にゴムのポリープのようなものがくっついているのだった。
 かなり大きなものなので、そのままでは中指がつっかえてしまう。裏返してハサミで切り取ったらちゃんと嵌められたのだが、切り株に当たる部分が邪魔で邪魔で、到底きちんとした使い方はできないことが判った。ううむこれはいわゆる不良品というやつに当たってしまったようである。買ったお店に持っていけば交換してもらえるだろうが、生憎ストックしてあったものなので、いつどこで買ったものやら既に忘却の彼方。諦めて捨てて、新しいのを買ってくるしかない。

 ちょっとだけ悔しかったので、製造元のダン□ップの公式サイトがないか包装袋を眺めてみた。おお、どうやらあるらしい。早速サイトへ行ってみると、商品についての問い合わせ用アドレスも載っていた。ただし問い合わせをするには、やはり問題の商品を「どこで」「いつ」買ったか書き込まなくてはならないらしい。
 購入日等を忘れたらこういう場合に困るのだな、と思いつつ、交換してもらうのは諦めてただ「こういう不良品がありました」という報告メールだけ出すことにした。同じロットに似たようなものが多発しているような場合には、もしかして状況改善と原因究明に役に立つかもしれない。

 メールを書いたのは土曜日。土日はカスタマー・サポートもお休みだろうと思っていたら、翌日曜日の昼には返事が届いた。不都合品についてのお詫びと、購入日や購入元が不明でも構わないのでどうか会社へ送って欲しい、という内容だった。もちろん送料は会社持ちで構わないらしい。現物を調べれば今後の対策も取れますのでぜひ、と付け加えてある。
 それならお言葉に甘えようと、少々図々しく着払いの宅配便でポリープ付き手袋を発送したのが月曜日。宅配便業者さんの言葉では「翌日、つまり15日の火曜日に先様にお届けできます」ということだった。とすると水曜日(つまり今日)あたりには、カスタマーサポートさんから連絡をもらえるだろうか。「発送しました」というメールを出した方が親切だろうと思いながらすっかり忘れていたのは、わたしのズボラさのいい証拠である。

 カスタマーサポートさんから「受け取りました」の連絡が来るどころではなかった。今日にはもう既に新しい「ママサヤン」手袋が届いてしまった。昨日ポリープ付き手袋を受け取ったらすぐにその場で折り返しの荷物を出してくれたということである。なんという素早い処置だろう。
 しかも届いた手袋を良く見てみたら2ペア入っているのだった。お詫びの印というか、1ペアおまけしてくれたらしい。今までこういう不良品に当たったことがないので知らなかったのだが、各メーカーさんの「不都合品は代替品とお取替えします」というのはデフォルトでおまけ付きということなのだろうか。しかも昨日の今日という対応の早さ、お客さん商売の気苦労も大変である。使用不可能という訳ではなかったのに、ちょっと申し訳ないような気分になってしまった。

 ともあれ今回のことで、メーカーとしてのダン□ップにも「ママサヤン」にもますます愛着が沸いたのだった。たかだか300円足らずの台所用ゴム手袋1ペアでこういう対応が徹底しているのであれば、きっと他の場面でも万全のサポート体制ができているだろう。何かゴム製品を買う時は、ダン□ップのを優先しちゃおうかなーと思ったりしている。我ながら単純かもしれないけれど、打てば響くような素早い対応、やっぱり気持ち良いものである。




03/17 栄養相談

2005/03/17 17:24
 睡眠時無呼吸症候群の治療のために、家人は月に1度病院通いをしなくてはならない。そうしないとCPAPのレンタルが健康保険適用にならないのだそうだ。「医療器具なんです」という証明がお医者通いだということになる。セコい感想だが、その分の医療費が無駄に使われているような気がする。CPAPなんて治療以外に誰が使うというのだろう。月1で病院に行ったとしても、呑まなければならないクスリが出る訳でもなし、器械の使用に習熟したと判断した後はせめて3ヶ月に1度くらいにマケてくれればいいのに、と思う。
 今日がその病院行きの日だったのだが、イレギュラーでわたしも同行させられることになった。睡眠時無呼吸症候群の根本的治療である「減量」について講義があるから、食事製作担当も連れておいで、ということらしい。管理栄養士さんと日頃のメニュー等について問題点や不明点などを話し合う良いチャンスである。

 わたしとしては、普段から「できるだけ太らない、栄養のバランスが取れたメニュー」を組むように努力している。家人の食事では、朝はパン2枚とハム2、3枚にオレンジジュース、昼は外食と固定されているので、工夫するとすると晩御飯である。平均的なウチの晩御飯メニューはどういうものかというと、
 ・雑穀入りご飯(家人の分は200g計量して盛りつける)
 ・肉または魚料理。野菜の付け合わせ
 ・温野菜中心のサラダ
 ・味噌汁(具はほとんど野菜かきのこ)
 ・豆腐or納豆、季節によっては根野菜と厚揚げ等の煮物
 ・らっきょう
 こんな感じである。豆料理を刺身こんにゃくに替え、その分味噌汁に里芋を奮発したり、メインディッシュを豪勢にして副菜をカットしたりというマイナーチェンジをすることもある。友人などに基本方針を説明すると「そういう晩御飯を食べててどうして家人さん(仮名)が痩せないのか判らない」と異口同音に不思議がられる。実はわたしも「これ以上どーすりゃいいの」と不思議で仕方がない。家人はなぜもっと痩せないのだろう。

 思い当たる点がない訳ではない。メインディッシュのタンパク質がやや多過ぎる点がひとつ。さらに時々ご飯が200gよりも多くなることがある。そもそも昼食で食べ過ぎてしまっている可能性も高いのだが、これはわたしには関知しようがない。これらについては、家人本人が「これは食べ過ぎだ」と気付いてくれないと減らせない。今までにもご飯をよそう量を漸減させる試みをしたことがあるのだが、途中でクレームが付いてしまった。この栄養相談で認識を新たにしてくれれば勿怪の幸いなのだ。
 腹持ちが良いが低カロリーに抑えるべく、ありとあらゆる知識と工夫を凝らしている。やれる限りのことはやっているつもりなのだが、プロから見るとまだまだ問題点があるかもしれない。食事製作担当としてはそういう指摘を受けられたら早速改善しようと思った。家人が自分の適正食事量をきちんと認識してくれて、わたしが献立の問題点を改善すれば、もっと楽に減量できるだろう。

 管理栄養士さんの示した計算方法は、糖尿病のカロリー制限で良く使われるポイント制献立だった。ダイエットしたことのある女性なら誰もが知っている、1点=80kcalのカロリー計算方法である。少女時代に買った『カロリーのことが判る本』とか、『五訂 日本食品標準成分表』を基にした食品成分データベースサイトなどを駆使して普段のメニューのカロリー概算を出しているのだが、その方針はだいたい正しいようである。
 食事のメニューについて説明したところ、やはりほぼ問題のない内容だというお墨付きをいただいた。ただし、油断してちょっと間食を摂り過ぎたり、昼食のナントカ定食でどんぶり飯を完食してしまったりするとあっという間にカロリーオーヴァーである。さらに蝋でできた食品見本により、小ぶりの茶碗に軽く1杯のご飯が100gもあると知らされ、家人はちょっとしたショックを受けていたらしい。夕食のご飯は本当に200gもあるのかといつも不審がっていたのだが、やっと納得してもらえたようである。

 スポーツクラブで運動したらもうちょっと食べてもいいんじゃないかなあ、と未練を残しているようだが、経験上、運動だけで体重を落とすのはほぼ無理である。よっぽど激しい運動を毎日毎日やるのならば別だが、わたしたちのスポーツクラブ通い程度では、減量よりもむしろ筋肉量を増やして基礎代謝を上げることを目的とすべきなのだ。最初はちょっと辛くても、そのうち食事制限にカラダが慣れて来る。すこんと何kgか落ちれば達成感も出るし、その頃には基礎代謝が上がってリバウンドしづらくなっているハズである。そうなったらシメタものだ。
 ある程度減量したら、もうそれ以上減らないように食事量を多少増やすこともできるだろう。運動は続けなくてはならないが、週に2、3日のペースならばそれほど負担にもならずに続くと思う。風邪引き期間を除けば昨年末から3ヶ月、守り続けることができたペースなのだし。

 以前言っていた「3年で18kg」は欲張り過ぎとしても、短期目標で5kg、中長期目標で10kg減あたりが妥当な線だろう。管理栄養士さんのお勧めに従い、家人の食事内容や体重・体脂肪の記録表も作ることにした。わたしにしても、ストレス喰いで弛んだカラダを来月下旬までに絞り直すという目標がある。協力して励めばしんどいシェイプアップも少しは楽しくなるのではないだろうか。お互いのめり込む性質なので、競争がヒートアップすると大変なことになるかもしれないが、こと食欲に関してはその心配はないだろうし。
 さて来月、わたしと家人の目標は達成されているだろうか。楽しみでもあり不安でもあるのだった。




03/18 花粉症なのか風邪なのか

2005/03/18 16:38
 先日来、ずっと微熱と咽喉の痛みとくしゃみ鼻水鼻づまりが続いている。どうせ花粉症だろうと思うのだが、周囲で友人・知人がバタバタと風邪に倒れているという話を耳にして、もしかしたら風邪なのだろうかと少々いぶかしんだりもする。生温い症状がこれだけ続くということは少なくともインフルエンザではないハズで、それだけが救いと言えば救いなのだ。この上インフルエンザに罹ってしまったらもう目も当てられない。
 先日の日記でも書いたような気がするけれど、これでも去年の花粉症時期より症状は軽いのである。去年は鼻の穴に丸めたティッシュを詰めておかないと水っ鼻が垂れて来る程で、どうにもこうにも堪らなかった(汚い話で申し訳ありません)。目も痒くて真っ赤になってしまったものだし、アタマのぼんやり具合も今どころの騒ぎではなかった。つまりは例年通り、使い物にならない状態である。

 家人の花粉症の症状も、今年は去年に比べて少し軽いらしい。去年までは出なかった喘息っぽい症状と、多少の目・鼻の違和感があるそうなのだが、傍目に見ても去年より余裕があるような気がする。平年の10倍という花粉の飛散量にも関わらず、ウチの2人ともが「去年よりもマシ」と思っているのには何か理由があるのだろうか。確かにいろいろと対策は採っているのだけれど。
 1つ目は「シジュウム茶」である。何年か前の『ためしてガッテン』(だったと思う)で知ったのだが、シジュウム茶を飲み続けると体内の免疫T細胞のバランスを整えてくれるらしい。花粉症にも効くし、アトピーの症状を緩和するのにも効果的だというので、じゃあちょっと飲んでみるかと試すことにした。
 2年ほどはほとんど何の変化もなかったけれど、もしかしたら今年になってやっと効果が現れてきた、ということかもしれない。家人はこのお茶について「激しくマズい」と文句を言い続けているのだが、継続は力なりと言うし、問答無用で供し続けているのだった。今後も当分は飲むつもりである。

 もう1つは「雑穀ご飯」。最近流行りの、白米に粟や麦やアマランサス等を混ぜるというアレである。ウチでは「や○や」の「十六雑穀」というものを使っている。麦や小豆や玄米を少々発芽させて食べやすくしてある、というのが売り文句。研いで水加減した米に混ぜて炊くだけなので手軽だし、食べてみるとこれがなかなか美味なのだ。もちもちした部分と歯応えのある部分が程好く入り混じり、噛めば噛むほど甘味が出て美味しい。冷めても美味しい。昔の麦ご飯などはぼそぼそして食べられなかったのだが、こういうのなら大歓迎である。
 いろいろなメーカーからさまざまなブランドの雑穀が出ているが、ウチの場合は「日本蕎麦」が入っているものをうっかり選ばないように気を付けなければならない。わたしが蕎麦アレルギーを持っているからで、間違って食べたらエライ目に遭う危険性があるのである。最近は全然蕎麦アレルギーを起こしていないので、もしかしたら気が付かないうちに完治しているのではないか…と希望的観測を抱くこともあるのだが、過去の失敗例の苦しみを思い出すと、ちょっとやそっとでは試してみようという気になれない。ヘタレである。

 他に「甜茶」と「ヨーグルト」の効果も考えられるのだが、この2つはウチの住人の共通要因ではない。わたしは甜茶の甘さがあまり好きではないのでほとんど口にしないし、家人にはヨーグルトを毎日毎日欠かさず食べる習慣がない。免疫系の体質改善をしようと思ったら、何はともあれずーっと続けることというのが大切だそうなので、やはり思い当たるとしたらシジュウム茶と十六雑穀しかないのだ。
 他にも気が付かない改善要因があるのかもしれないし、ひょっとするとこのシーズンの花粉症はこの先爆発的な症状を示すのかもしれない。ウチの住人に関するシジュウム茶と十六雑穀の効果についてははっきりと断言はできないが、シジュウム茶の成分とか雑穀のミネラル分が免疫系に良いらしいという話はしばしば聞くし、あながち出鱈目とは言えないような実感なのである。

 その他の花粉症対策では相変わらずアロマポットが大活躍している。例の「花粉シーズン」配合オイルとペパーミントオイルをブレンドして炊いているのだが、これが結構具合がいい。難点と言えば、アロマポット用のキャンドルをばかすか消費してしまうことで、こんなことなら電気で温める方式のポットを買えば良かっただろうか。キャンドルの炎がゆらゆらしている様子を眺めているのもなかなか趣があって良いのだが。
 ともあれ、シジュウム茶と雑穀ご飯とペパーミントの入ったエッセンシャルオイル、花粉症でひどい目に遭っている方にはお勧めかもしれない。宜しかったら1度ぜひお試しあれ。




03/19 追悼オフ

2005/03/19 14:39
 昨年秋に亡くなった友人Mさんの、今日は追悼オフなのである。彼女が中心になってシリーズで開いていたオフの最終回という名目だが、もともと気軽に気楽に好きな曲を仕上げましょうというオフだったので、追悼オフとは言えかなりリラックスしたものになるだろうと予想される。まあどのみちオフだし。とは言え演奏する曲目がブラームスの「ドイツ・レクイエム」とフォーレの「レクイエム」抜粋、ベートーヴェンの交響曲弟9番「合唱付き」。
 選曲係さんの意向を聞いた訳ではないが、きっとレクイエムばっかりだと気持ちが沈んでしまう。それはMさんの心に添うものではないから、第9で厳粛に景気づけしようとか、哀しみを昇華しようとか、そういう狙いがあるのではないかなと思う。歌が大好きだったMさんが主催した一連のオフは、歌付きオケ曲を取り扱うことが多かったので、彼女を偲ぶとしたらやっぱり第9が一番かもしれない。

 相変わらず咳が出るし咽喉は痛いし、鼻の調子もよろしくない。「ドイツ・レクイエム」はあんまり聴き込んだ曲ではないからきっと楽器を持ってても弾けないだろうし、今日は聴衆に徹しようかなーと思っていた。しかしまあ、第9のファースト・ヴァイオリンなら弾いてみたい気持ちはヤマヤマである。わたしのような初心者の場合、楽譜に書いてある情報が眼を通して脳みそで処理され、弓や弦を扱う右手左手に伝わるまでには結構なタイムラグがある。音符をたどたどしく読んでいる間に曲がどんどん進んでしまう。そこで曲を丸覚えするくらいに練習する必要がある。
 一方第9のような有名曲の場合、譜面がどれだけ難しかろうとも、耳が曲を覚え込んでしまっているので脳みその処理能力にかかる負荷が少ない。例え指がちゃんと回らなくても、傍目に「それっぽく」弾いているように見える…というくらいまでなら、何とかならないでもないのだ。初心者としてはお手軽にオーケストラ気分を味わえて大層楽しい。もちろんホンモノのオーケストラでこういうお遊びを許していただける訳もないので、演奏仲間内のオフに限るのであるが。

 第9ならノリたいなーと思うのだが、条件として「ファースト・ヴァイオリン限定」ということがある。縁の下の力持ちという役回りであるセカンド・ヴァイオリンのパートだと、演奏会やCDで実際の曲を聴いた場合、メロディ・パートにかき消されてほとんど耳に残らない。しかも第9のセカンド・ヴァイオリンは実は結構難しい。セカンドに座っても、恐らくなーんにもできないだろうなと予想されるのである(情けない)。
 ファーストを気持ち良く弾きたいと思うのは何も初心者たちに限ったことではないので、一般的にはやっぱりファースト・ヴァイオリンをやりたがる人の方が多い。あんまり偏るとファースト・セカンドのバランスが悪くなってしまうが、優先されるとしたらどうしても「弾ける人たち」になるだろう。そうするとわたしごときがファーストに混ざる余地があるかどうか。一番後ろでならちまっと弾いていても構わないよ、と言ってもらえればいいのだが…。

 ともあれ、Mさんの思い出に浸りつつ、久し振りに遠方からやって来る友人たちと半日楽しく過ごそうと思う。Mさんの人徳で100人規模のオフになってしまったのでちょっと混雑しているかもしれないが、かつての全盛期っぽい雰囲気も味わえて懐かしいかもしれない。




03/20 オール早稲田 vs オール慶應

2005/03/20 22:12
 公式戦ではないのだが、やはり2004-2005シーズンの余韻をもう一度味わいたくて、オール早慶明の試合を観に行ってしまった。文字通り早稲田大学・慶應大学・明治大学ラグビー部現役および出身者が選抜チームを作り、総当り戦を行なう恒例行事である。先週はオール慶應 vs オール明治、今日はオール早稲田 vs オール慶應、来週はオール早稲田 vs オール明治というカードである。一昨日辺りからの猛烈な花粉飛散量にもメゲてはいられない魅力的なイヴェントである。
 秩父宮で待ち合わせして一緒に試合観戦するのは、例によってRさん。ミーハー仲間とでも言うべき「同志」なのだが、14日に発表された後藤翔太選手(超御贔屓選手)の電撃結婚ニュースに、2人ともただならぬショックを受けたのだった。ここはやはり他の御贔屓選手の活躍を眺め、元気を取り戻さねばならない。いや、良く良く考えると後藤翔太選手が最愛の伴侶・うららさんと神戸製鋼の宿舎で充実した新生活を始めてくれた方が、コベルコスティーラーズでの活躍も一際輝くだろう。ファンとしてはそっちの方がもちろん喜ばしい。

 わたしにしてみれば、後藤選手の結婚そのものがショックと言うよりは、もう少し早く発表してくれればいいのに、水臭いなあ…という気持ちかもしれない。入籍したのが大学選手権で優勝した1月9日、祝勝会を2人で抜け出して役所に婚姻届を出しに行ったというロマンティックな演出である。後藤選手に何ともお似合いのほのぼの・微笑ましさなのだ。
 せめて2月のアタマくらいに発表していてくれたら、諸岡組の追い出し試合で上井草に出掛けた時にでも、ひとこと「おめでとうございます♪」って言えたのになあ。やっぱり照れ臭かったのだろうか。そうだとすると、ますます後藤選手らしくて微笑ましいのではあるが。

 ともあれ陣取る予定はいつもの学生席直下。前座の試合は早稲田と慶應のそれぞれ中等部対決である。前座の試合途中に秩父宮へ到着するくらいのつもりで家を出たら、中学生ルールで20分ハーフ(通常の半分)だったために試合開始前に着いてしまった。それどころかまだ開場もしていない。30分ばかり空いた時間でコーヒーでも飲もうかと、近所のコーヒーショップでカフェオレを啜っていると、家人がふと「今通り過ぎたのって月田選手じゃないか?」と言いだした。
 わたしは全然気が付かなかったのだが、言われて振り向いてみると確かにリコーブラックラムズの月田伸一選手である。何を隠そう、ワセダラグビーに転んでしばらく後、ルールや各ポジションの役割を飲み込んで御贔屓選手が出てきた時期、速水直樹選手と月田伸一選手がわたしにとっての双璧だったのだ。7年くらい前のことだったと思う。SO・速水選手とSH・月田選手のコンビネーションは本当に素晴らしく、今思い出してもわくわくする。

 TVでは何度もプレイを観たことはあるが、至近距離の実物月田選手と遭遇したのはもちろん初めて。しかし何と言う痛恨事、ワセダの旗は持っているのにマジックペンがない。例えマジックを持っていたとしても、こんなコーヒーショップの中でプライヴェートど真ん中の月田選手に話しかけるのもどうかという気がする。そうは思うのだがやはりミーハー根性が疼く疼く。数軒隣のコンビニへ走って大急ぎでマジックを買って来ようかと半ば本気で考えた。もちろん家人に止められたのだが。
 ちょうどわたしが店を出る時に月田選手も秩父宮ラグビー場へ向かって歩き出したので、ついついふらふらとくっついて行った。相変わらず小柄で、フード付きの黒いコートがメチャクチャ可愛い♪ 今年確か30歳になるハズだがとてもそうは見えない。成人男性を捕まえて失礼かもしれないけれど、やはり月田選手の形容詞は「可愛い」以外にないのである。

 結局、ふらふら歩いているうちに秩父宮へ着いてしまった。もちろん声をかけることなんかできなかった。マジックを持ってさえいれば、としみじみ後悔した瞬間である。ただ良く考えてみると、現在の月田選手はリコー所属である。いくらワセダOBとは言え、ワセダの応援旗にサイン下さいというのも変かもしれない。とは言えリコーブラックラムズの応援旗なんて持っていないし。
 トップリーグの各チームに歴代のお気に入り選手たちが散らばってしまっているのでこういう時に困る(阿呆)。ともあれ今度からは必ずマジックを持ち歩くことにしよう。先月、Rさんにマジックをお借りして曽我部選手のサインをもらった時に、そう決心したはずだったのになあ。本当に鶏アタマである。

 ちなみに現在ただいまの御贔屓筆頭・首藤甲子郎選手を学生席で見かけたのだが、右肩のギプスも外れて右手を普通に使っていた様子だった。もちろん日常生活での動きとスポーツでの動きは比べ物にならないハードさなので、ひょっとしたらまだ完調ではないのかもしれないが、とりあえず一安心である。足を傷めている今村雄太選手も、故障箇所は不明なのだがやはり傷んでいる青木佑輔選手も、元気そうな顔で観戦していたのでホッとした。
 新キャプテンの佐々木隆道選手もトヨタ戦で足を怪我していたが、現在ラグビーの短期留学をしているくらいだから大したことはなかったのだろう。2004-2005シーズンは思いがけなく故障者が続出してしまったが、新シーズンが始まるまでに全員回復してくれるといいなと思う。全員ベスト・コンディションで連覇に挑んでもらいたいものである。
 ミーハーな話題ばかり思い出していたら、肝心の試合内容を書く余裕がなくなってしまった。…まあいいか。無計画だなあ。




03/21 とうとうダウン

2005/03/21 21:36
 風が強いと花粉症の症状がバッチリ出るぞ、と脅されていたにも関わらず、昨日秩父宮ラグビー場へオール早慶戦を観に行ったのだが、今日はその報いがきっちり巡って来てしまった。花粉症のひどいのか風邪なのか不明だが、胃に来てエライ目に遭ってしまったのだ。
 秩父宮に居る時や、その後新宿へ出て新型ロマンスカーに乗り(家人の熱心な希望による)、いつもよりちょっとだけ遠回りをして帰宅した直後はどうということはなかったのだが、晩御飯を食べた後から猛烈に気分が悪くなった。何か悪いものを食べたのだろうかと一瞬思ったのだが、同じものを食べた家人は例によってケロリンパとしている。食中りではないらしい。恐らく観戦中にかなり寒い思いをしたために、弱り気味だった胃袋がついにダウンしてしまったようである。

 時々こういう「胃袋のダウンする時」があるのだが、大抵はリヴァースしてしまうと多少楽になる(尾篭な話で申し訳ない)。しんどいのはリヴァースに至るまでの道のりで、猛烈に気分が悪いのになぜか咳しか出ないのだ。トイレに籠もりつつ、いにしえのローマ貴族が飽食後、孔雀の尾羽で咽喉を刺激して胃を空にし、再び御馳走を食べ始めたというエピソードに思いを馳せていた。そういう奥の手を使えたら、さっさと楽になるだろうか…と。
 とは言うものの、そんなことを敢えて実行する勇気はさらさらないので、気分の悪さがピークを迎えるたびにトイレの中とホットカーペットの上を往復しつつ耐えていた。大学時代の満員電車の中と同じ感じなので、ひょっとすると脳貧血ではないかと思うのだが、不思議なのはホットカーペットの上に転がっていてもなかなか治まらない点である。アタマを下げれば治ってくれるような気がするのだが。

 血の巡りがあまりにも悪い、ということだろうか。困ったものである。一晩寝たらどうにか復調したのだが、今日もほとんど使い物にならない状態であった。家人は「そら見たことか、言わんこっちゃない」と呆れ顔で、来週のオール早明戦はどうやら禁足を喰らいそうである。しょんぼり。
 ともあれそんな訳で、今晩も少し早めに床に就くことにする。3連休でお疲れの皆さまも、どうか今夜はお早めにお休みなさいませ。




03/22 そして発熱

2005/03/22 15:46
 今回の体調不良、どうやら花粉症のひどいのではなくて風邪らしい。例年この時期に具合が悪いのは当たり前なので特に気にもしていなかったのだが、体調がアヤシイのに張り切って演奏オフに出たり、三寒四温の「三寒」な日に秩父宮へ行ったりしたのが悪かった。ううむ、相変わらず学習能力皆無である。自分としては、例年の10倍の花粉のおかげでしんどいのだと思いたかったのだが。
 昨日の昼間はまだマシだったのだが、昨晩あたりから体調不良が本格化してきた。おかげで今朝も寝坊し、出勤する家人のワイシャツのアイロン掛けをぶっちぎってしまった(申し訳ない)。とりあえず見送りだけはして、食欲はないが朝食を取り、明後日以降の分のヨーグルトを仕込んだところで動けなくなる。掃除機をかけたかったのだがとてもそんな元気はない。

 仕方ないのでホットカーペットの上に転がり、一昨日録画したラグビースーパー12の「ブルーズ vs クルセイダーズ」の試合を編集することにした。オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの南半球に散らばる12チームが構成するリーグが「スーパー12」で、個人的な最愛のラガーマン、キング・カーロスことカーロス・スペンサー選手が所属するのがニュージーランドは北島オークランドのブルーズなのである。
 このシーズンは既にハイランダーズ、レッズ、チーフスと対戦し、2勝1敗と辛くも勝ち星先行。ただし最も格好良く勝ったらしい対ハイランダーズの試合は見逃してしまった。痛恨である。対レッズの試合はギリギリで勝ったものの、チーフスには負けてしまった。ブルーズ全体の調子としては下降中で、ただいま絶好調のクルセイダーズと当たったらどうなることやら。連敗はイヤだなあ。

 青いジャージよりはオールブラックスの漆黒のジャージの方がスペンサー選手には似合うと思いつつ、ブルーズの試合もスペンサー選手の映像だけを編集して「寄り抜きスペンサー」に付け加えている。去年よりも髪の毛が伸びてワイルドっぽい雰囲気になっているが、個人的なシュミとしては軍人めいた短髪の方が王様っぽくて格好いいような気がする。でもやっぱり好きだけど♪(←阿呆)
 対クルセイダーズ戦は案の定負けてしまったのだが、オークランドはイーデン・パークのホーム・ゲームだったことも手伝ってか、スペンサー選手がアップで映る回数が多かったような気がする。1試合につきだいたい5分くらいの「寄り抜きスペンサー」映像をピックアップできる。国対抗のテストマッチだと、ウォー・クライのシーンがあってもっと長く楽しめるのだが、まあこれは仕方がない。スペンサー選手が一番格好いいのはやはりウォー・クライのリーダーをしているシーンだが、パスを受けた後、阿修羅のような表情でステップを踏みつつランする時も萌え萌えである。もっと走って〜♪(←つくづく阿呆)

 今回分の映像を付け足して、「寄り抜きスペンサー」は1時間17分の尺に漕ぎ着けた。2時間分溜まったらDVDに焼こうと思っているのだが、まだまだ先は長そうである。編集終了後にふと思いついて、一番最初から観直してみたのだが、やっぱり身震いするほど格好いい。そしてしみじみと「また黒いジャージ姿のスペンサー選手を観たい」と願ってしまった。昨シーズンのラスト・ゲーム、トライ・ネイションズの対南アフリカ戦で、後半途中でアンドリュー・マーテンズ選手に交代してしまったのが気掛かりなのだ。このシーズン、オールブラックスのメンバーから漏れてしまったらどうしよう。
 某巨大匿名掲示板のソース不詳な情報によると、カーロス・スペンサー選手が日本のトップ・リーグでプレイするかもしれないという。もしもそうなったらどれだけ嬉しいか。家人の顰蹙を省みず、絶対追っかけをしてしまうのではないかと我ながら不安になる。しかし本当のところ、スペンサー選手のスキルを活かし切れる実力があるチームはまだ日本にはないような気がするので、できたらオールブラックスとブルーズで活躍し続けてくれるといい。

 「寄り抜きスペンサー」を観終わった後、なんだかやけにドキドキするしアタマがボーッとするなあと思って熱を計ってみたら、案の定発熱していたのだった。久し振りの38度5分。節々も痛むし咽喉もガラガラだが、症状の出方からしてインフルエンザではなさそうだ。その点だけは助かった。インフルエンザだと長期化は必至だし、家人に感染してしまう恐れもある。とっとと治して明日はぜひ『いぬのえいが』を観に行きたいので、今日はクスリ呑んで眠ることにしよう。
 ということで皆さまお休みなさい。どちらさまもどうか御身御大切に(ぺこり)。




03/23 脈絡のないことが思い浮かぶ

2005/03/23 17:28
 今日よりも昨日の方が熱は高かったのだが、妙に元気だったのもやっぱり、今日よりは昨日なのである。今日はなんだかどんよりとしてアタマやカラダが重く、クスリのせいか床に入って文庫本などを開いても、数ページ進まないうちにトロトロと眠ってしまう。明日までには何とか、バレエ体操のレッスンに出られるくらいに回復してくれるといいな、と思う。来月末の友人の結婚披露宴に向けてシェイプアップのし直しを…と計画しているのに、とんだハプニングである。困ったものだ。

 つらつらと思い返してみると、熱があっても元気一杯なのは昔からだったような気がする。というよりも、本人極めて鈍いので、熱があっても気が付かないことが多いのだ。小・中・高校時代、普通に(本人のつもりでは)廊下を歩いていて担任の先生に顔色を見咎められ、有無を言わさず保健室へ連行〜自宅へ強制送還、ということを何度もやっていた。自覚のない発熱を指摘してもらえるのは迷惑でもなかったが、強制送還と言っても結局は自分の足で帰宅せねばならない。先生のどなたかがクルマで送って下さる、なんていうことは決してない。動けないほどの発熱ならば話はまた別だろうが。
 気が付かなければ結構元気にしていられても、一端「自分は発熱している」と自覚してしまうと途端にヘロヘロになる。その状態で自力で帰宅というのはかなりしんどかったので、できたら熱冷ましでも呑ませて保健室で寝かしといてくれた方が余程嬉しいのにな、と思ったものだった。先生側からしてみれば、様子を見ているうちに動けなくなってしまったら大変だから、多少元気なうちに帰宅させる、ということらしい。保護者に連絡してクルマで迎えに来てもらえるようならそうしていたらしいが、残念ながら母は免許を持っていないのだ。

 今回も最初は気が付いていなかった。昨日の日記で書いた通り、「寄り抜きスペンサー」を編集していて自覚症状が誤魔化されてしまったのだ。胸はドキドキ目はクラクラ、ガーッと火照るかと思うと急に寒気が来る。言われてみれば確かに発熱のせいなのだが、自分ではてっきり、キング・カーロスの魅力にアテられているのだろうと思っていた。ヴィデオを観てフィーヴァー状態でホットカーペットの上を転がっていたので、きっとそのせいでクラクラ目が回るのだろう、と。つくづく阿呆である。

 予定では今日は『いぬのえいが』を観に行くつもりだったのだが、やはりとてもそんな元気はないので、大人しくベッドに入ってうつらうつらしていた。熱は下がったのだが、体調が悪い時にはいつもヘンな夢を見る。先ほど目が覚める前までは、夢の中で、長良川の鵜と会話していたのだった。有名な鵜飼いの鵜が、自分たちの能力は過小評価されているのではないかと、切々と訴えかけてくるのである。なんのこっちゃ(呆れ)。
 鵜たちの言うには、慣用句の「鵜の目鷹の目」にある通り、自分たちの視力は非常に素晴らしいものなのに、どうも世間ではそうは思ってくれていないのではないか、だそうである。日本語のリズムとして座りの良い7文字にするために、「たかのめ」の前に「うのめ」を適当にくっつけただけかもしれない、と。鵜が「その証拠にアナタ、英語で鵜って言えますカ? 言えないでショ?」と詰め寄って来たところで目が覚めた。

 あまりに阿呆臭かったので、ついつい起き出して辞書を調べてしまった。英語で鵜は「a cormorant」だそうである。なるほど確かにこんな単語は知らない。「cormorant fishing」という熟語があるので、英語圏にも鵜を使った漁が存在するようではあるが、「鵜の目鷹の目」的な慣用句は見当たらない。しかし「hawk-eyed」で「目の鋭い」という表現があるので、「鷹の目」だけなら英語的にもアリな訳だ。
 とは言え英語的に鷹というと「欲張りな人、他人を食い物にする人、詐欺師、強硬論者、タカ派」らしいので、日本で連想するようなスマートで格好いい鳥というイメージはあまりないようだ。一方鵜も「どん欲[大食]な、大食家」という比喩表現に使われるらしい。鵜にしろ鷹にしろ、人を擬えるにはあまり良い言葉ではないと見える。

 なぜこんな夢を見たのかは判らない。何か引き金となるものを見聞きして忘れてしまっているのかもしれない。「ワタシタチは日本の誇る伝統文化を背負って立っているんですヨ!」と力説していた鵜たちが、微妙に英語かぶれ・アメリカ文化コンプレックスを抱えている辺りに笑ってしまった。
 辞書を引いているうちに判明したところによれば、アイオワ州のニックネームが「Hawkeye State」なのだそうだ。先住民の酋長さんのニックネーム「Blackhawk」から来ているらしい。州のニックネームは他にも面白いものがいろいろあって、「ビフテキ州(テキサス)」とか「田舎者の州(インディアナ)」にはちょっとニヤリとする。他州の人に付けられた仇名だろうけれど、地元民たちはあまり嬉しくないのではないだろうか。そしてさらに「証拠を見せろの州(ミズーリ)」、「早い者勝ちの州(オクラホマ)」、「タールの付いた踵の州(ノースカロライナ)」あたりになるともう訳が判らない。ミズーリ人は疑い深いとされていること、オクラホマでは土地取り合戦が激しかったことから来ているらしいのだが、タールの付いた踵とは何なのだろう。
 ちなみに「ペリカンの州(ルイジアナ)」はあっても「鵜の州」はなかった。やっぱり鵜たちは僻むのだろうか。




03/24 だいぶ浮上してはきたけれど

2005/03/24 15:37
 まだ動き回るとしんどいのである。今朝起きたらどういう訳か声がまったく出ず、バレエ体操に出かける時間になっても全然復活しないので、結局今週は欠席せざるを得なくなってしまった。くそう。大人しく寝ていれば良いのだろうが、もういい加減退屈なのと、溢れそうな洗濯物が気になっておちおち寝ていられない。部屋の掃除機かけの延期もそろそろ我慢限界に達しつつある。ちょっと動くとぐったりしてしまうのだが、そこら辺をだましだまし、掃除と洗濯だけはなんとかやり遂げたのだった。
 ほっと一息ついたらまた熱がぶり返して来たので、どうやら今日はスポーツクラブ行きを取り止めて正解だったようである。来週こそはきっちりいつも通りのスケジュールで運動しよう。せっかく付いてきた筋肉と運動習慣がもったいないし、なにより例のパーティドレス様に相応しい体型を維持しなくてはならない。このところサボり気味なので、二の腕と太もも周りがアヤシイのである。

 遅い昼食を用意しながらふとTVを点けると、今日開幕だという「愛・地球博」の開会式を放送していた。個人的には各メーカーの開発したロボット君など、ちょっと見てみたいなと思う展示がない訳ではない。しかし「ロボット」とテーマであるハズの「自然の叡智」がどう関わってくるのかイマイチ良く判らないのと、海上の森だとかオオタカ営巣地だとかに与える影響のアセスがどうなったのか全然聞こえて来なくて気持ち悪いこと、何よりべらぼうに混雑しそう&高価く付きそうなことで、積極的に見物に出掛ける気分はあまり起こらないのだった。
 どのみち主たる目的は経済的な起爆剤としての働きにあるのだろうし、それにしたって地域限定でしかない。そもそも本当に起爆剤として対費用的に見合う効果があるのかどうか判ったものでもない。だいたい日本で今さら万博を開く理由ってあるのだろうか。いろいろ理屈はコネるが単に出不精なだけかもしれない。

 そんなことを思いつつTVを眺めていたら、テーマソングだとかいう曲が演奏されていて、その指揮がめっぽう面白かった。なんだか「指揮者のパロディ」みたいなオーヴァーアクションで、オケの人たちがちゃんと演奏できるのか不思議になる。誰だろうと思ったら元X・JAPANのYOSHIKIさんだということで、ついうっかり「なるほどなー」と納得してしまったのだった。歌謡番組はあまり頻繁に観たことはないのだが、時々ピアノの演奏をしているシーンを拝見するに、面白い弾き方だなあと感心していたからである。
 話題作りは大切かもしれないけど、こういう時はもーちょっと地道&堅実な人選をしてもいいのではないかと思う。なんというか、「自然の叡智」をテーマに掲げつつ訳の判らないことをやっているこの万博と、相通じる愚かさがあるように感じてしまった。開会式を観ていたらなんだかアタマが痛み、熱が上がって来たので、TVを消してまた眠ることにしよう。やっぱりココロが穢れているのかしらん。




03/25 『亡国のイージス』読了

2005/03/25 19:26
 実は先日の弓GET作戦の延々おしゃべり大会でYさんに勧められて観に行った『ローレライ』が思いがけなく感動物だったので、彼女が「読むならこっちの方がイイんだよ」と貸してくれた福井晴敏氏の『亡国のイージス』を、今日読了したのだった。文庫本上下合わせて1000ページを超える大作だが、一端読み始めると止まらない。本当なら徹夜してでも読破したい気分になるのだが、あいにく現在ただいまは風邪っぴきの身の上。徹夜などしようものなら家人のカミナリが炸裂する。
 体力的にも一気読みする余裕はなかったので、中断して眠りに入るたびに「ああこの先どうなるんだろう…!」というドキドキに胸を焦がしながら栞を挟んでいた。とは言えやはり最後の数百ページはどうにもならずに読み通し、とうとうラストまで辿り着いて身体中の空気が抜けるようなカタルシスを味わい、一気に熱が上がるやらタマシイが飛ぶやらでプッツンと眠ってしまった。目が覚めたのはほんの1時間かそこら前である。我ながら何をやってるのかと呆れる。家人もおそらく「そんなことしてるから熱が下がらないんだろう!」と怒るだろうが、でもおかげでわたしはずいぶん元気になったので、いいではないか(わはは)。

 刊行されたのはもうずいぶん前だし、その頃には一大ベストセラーにもなっていたので、ご存知の方々には「何を今さら」な感想かもしれない。けれどわたしとしては、こんな面白い小説を今まで知らずに居たなんてという仄かな悔しさと読後の満足感が入り混じった、なんとも気持ちの良い境地を漂っているのである。読めて良かった。推薦してくれたYさんに感謝感激。
 先の読めないハラハラドキドキのストーリーと骨太な構成、魅力的なキャラクターたちと、面白い小説の条件をすべて兼ね備えた作品だった。タイトル通り滅法硬派な世界の設定なのだが、それにもかかわらずというかそれだからこそ、こちらの涙腺を直撃するような情け容赦のない波状攻撃がやって来るのである。他愛のない話だが、わたしは下巻の第4章の途中から滂沱の涙が止められず、ページの文字がぼやけて読み進むことすらできないという異常事態に陥ってしまった。

 何のために生きるのかとか、自分の存在意義は何なのかとか、そういう問いを自分自身に投げかけるキャラクターが出て来る物語に、心底弱いのである。わたしのお気に入りはもちろん大活躍の如月行二曹であった(ベタだけど)。もちろん仙石先任伍長も大好きだし、宮津艦長にも涙をそそられる。他のさまざまなキャラクターもみんな活き活きとしていた。未読な方は何を措いてもぜひ読むべしな作品である。『亡国のイージス』読後の感動をこれから味わえる人々が羨ましい。叶うことならわたしも、記憶をリセットしてもう1度最初から読みたいものである。

 非常に映像的な作品だからなのか、『ローレライ』を観たから下地ができているのか、シーンシーンが映画のように目の前に彷彿としてしまって困った。確かこの作品も映画化の企画があったと思うのだが、こうなるともう観ない訳には行かないではないか。とは言え気になるのはキャスティングである。わたしの脳内では、如月二曹=塚本高史さん、仙石先任伍長=角田信朗さん、宮津艦長=名前を失念してしまったのだが、刑事物等で良く名脇役を務めていらっしゃる、細面で目の細い、ちょっと腰の低い感じの俳優さん、なのであった。
 もちろん単なる個人的イメージなのだが、これが定着してしまうと映画化した時に違和感があるかもしれない。Yさんあたりと意見交換して、イメージの固着を防ぐべきだろうか。彼女の脳内キャスティングがもしあるとしたらぜひ聞いてみたい。
 どこまでも発展先がミーハー方面なので我ながら呆れるが、果たしてYさんは乗ってくれるだろうか。わくわく。




03/26 映画版『亡国のイージス』

2005/03/26 16:18
 相変わらず『亡国のイージス』の余韻に浸っているのであった。映画化の企画があったっけなーと思っていたのだが、公開はなんと今年の夏休みなのである。なんという遅耳だろう(汗)。ともあれ原作がこれだけ面白かったならば、映画もなかなか期待できるのではないかと思う。ただしまあキャストにもよるのだろうが。
 昨日わたしが脳内で設定したキャスティングでは、主役級の3人は
 ・宮津艦長=橋爪功さん(←やっとお名前を思い出した)
 ・仙石先任伍長=角田信朗さん
 ・如月二曹=塚本高史さん
 なのであった。ジャニーズ系アイドルだそうな塚本さんのことは、N○K朝ドラの『わかば』で拝見するまで全然知らなかったのだが(相変わらず芸能情報に疎い)、この『わかば』で演じていた純情一途な九州男児君の姿が非常に印象的だった。イケメンながらもシャープさを保ったあの姿と演技ならば、辛い生い立ちを背負い、誰も信じないと孤独の殻に閉じ籠もりつつも優しい感情に揺れ動く如月二曹にピッタリではないかと思ったのだった。

 叩き上げのミサイル専門家で不器用で大柄で逞しい、どこからどう見ても「海の男!」という仙石先任伍長には、格闘家の角田さんしか居ないだろう、とイメージが固定してしまった。仙石先任伍長は見た目いかにも無骨なのだが、一面繊細な心配りをできるという設定のキャラである。絵を描くのが好き、という意外な素顔も持っている。その辺のミスマッチも角田さんに合っているような気がして、考えれば考えるほど脳内では「仙石先任伍長=角田さん」が定着。
 推薦してくれたYさんにも角田仙石先任伍長はメチャクチャ合っていると同意していただいたのだが、気を取り直してキャスティングを調べてみるとそれどころではないということが判明した。というか、Yさんに実際のキャストのさわりを教わった時点でビックリ仰天してはいたのだが…。
 実際のキャスティング例はこんな感じ。

 ・宮津艦長=寺尾聰さん
 ・如月二曹=勝地涼さん
 ・渥美DAIS内事本部長=佐藤浩市さん

 などなど。勝地涼さんのことはまったく知らないのだが、『バトル・ロワイアルII』などに出演経験のある若手俳優さんだそうである。写真を拝見したところでは、孤独で繊細な魂の持ち主・如月行(はあと)はなるほど確かにこんな感じかしらん、という鋭さのある俳優さんなので、なかなか期待できるのではないだろうか。
 その他重要なキャラクターに中井貴一さん、F-15イーグルファイターに真木蔵人さんほか錚々たるメンバーが名前を連ねている。Yさんによると日本アカデミー賞俳優4人が揃い踏みというのが売り文句の1つなのだそうで、超話題作の映画化、制作サイドも相当力が入っているのだと思われた。

 とは言うものの、肝心の仙石先任伍長の実際のキャスティングはなんと、真田広之さんなのであった…。
 わたしは俳優としての真田広之さん、大好きである。ちょっと昔の作品になるが『僕らはみんな生きている』で山崎努さんと共演した時なんかメチャ格好良かったし、『リング』の高山竜二役も意外なハマり役だった。『たそがれ清兵衛』は本当に素晴らしかった。出演作を全部観ている訳もないが、チョイ役でも存在感のある、いわゆる「華のある」役者さんだと思う。JAC出身だけあってアクションも本格的だし。
 でも、なのである。仙石先任伍長にはミスキャスト、なのではないだろうかと思わざるを得ない。真田広之さんはどちらかというと、見た目も中身も繊細でナイーヴな役が合うのではなかろうか。鍛え抜かれた肉体の持ち主でも、どこか危うい何かをはらみ、それが魅力のひとつとなるような、そんなキャラクター。「護衛艦に乗船して以来、どんなに揺れても船酔いしたことはありません!」という叩き上げの先任伍長、見るからに大らかでアバウト、豪放磊落という言葉がピッタリなバリバリの海の男・仙石恒史にはどうもなあ…。

 脳内キャストながら仙石先任伍長=角田信朗さん案には未練が募るのだが、ともかく、この夏はぜひぜひ『亡国のイージス』を観に映画館へ行かねばなるまい。真田広之さんの仙石先任伍長はどうだろう。そしてそして、わたしの最萌えキャラ・如月二曹が生きて動いている映像はどれほど魅力的だろう。楽しみなのである。




03/27 オール早明戦

2005/03/27 15:38
 今頃秩父宮ラグビー場では、全早明戦もそろそろノーサイドを迎えているだろう。観に行けなくて本当に口惜しいのである。風邪っぴきということで先週早々に家人から今日の禁足令を出されてしまったのだが、あわよくば体調を整えて観戦に出掛けてやるという密かな計画を立てていた。昨夜もそのために22時には床に就き、休養をたっぷり取って完全復活する予定だったのだ。
 だがしかし何をどう間違ったのか、風邪がまたもやぶり返したようである。夜中の2時頃、妙に具合が悪くて目が覚めた。お手洗いに行って、それから水でも飲めばマシになるかと思ってこっそり階下に降りて行ったら、家人に顔色を見咎められてしまった。ペチペチ叩いて血の気を呼び戻してから起きたのだが、どうもそれでは間に合わなかったらしい。結局朝になっても気分の悪さは治まらず、泣きの涙で本日の全早明戦観戦を断念したのであった。

 どーしても今日行きたいと思ったのには理由がある。わたしがワセダラグビーにハマった後、初めて個体識別ができるようになった(つまりはファンになった)選手が当時SO(スタンドオフ)だった速水直樹選手で、その速水選手がリザーヴ(控え)の名簿に入っているからである。速水選手がワセダで現役だったのは7、8年前のことだと思うが、比較的小柄な選手が多いワセダSOの中では割に体格が良くて、その割に身のこなしも軽やかでシャープな、クレヴァーな司令塔だったと記憶している。
 SH(スクラムハーフ)の月田伸一選手とのコンビネーションも抜群で、この調子で行けばこのチームは強くなるのではないか、と期待された。当時ワセダラグビーはちょっとした雌伏の時期にあり、対抗戦の優勝からも遠ざかって幾年めか、という時だったのだ。それなのに、肝心要の速水選手は、宿命のライヴァル・メイジとの対戦中に故障してしまった。

 記憶アヤフヤなので、それが早明戦だったのかもっと前の対戦だったのか(もしかすると練習試合ということも考えられる)定かではない。速水選手が激しいコンタクトの末に膝を傷めるシーンを目撃したと思っているのだが、それももしかしたらショックのあまり自分で勝手に脳裏に描いた妄想かもしれない。怪我は重く、選手生命さえも脅かすものだった。せっかく前途有望な選手だったのに、結局速水選手はその後、ワセダラグビーのレギュラーに復帰することはできなかったのである。
 卒業後は東京ガスに入社し、そこでラグビーを続けてくれていたようだったが、トップリーグが出来る前のことでもあるし、速水選手の消息は全然聞こえて来なかった。御贔屓選手の輝かしい未来がたった一瞬の怪我のためにみるみる曇らされて行く様子を目の当たりにしたことはかなりのショックだった。わたしにとっては速水選手の怪我は一種トラウマ的記憶なのである。何はどうあれ誰も怪我だけはしませんように、と祈りながら観戦する癖が付いたのはこの時期以降だったりする。

 東京ガスラグビー部にも公式サイトがあるにはあるのだが、どうも熱心な更新がされているとは到底言い難く、どの試合に誰が出場し、どういう内容で展開したか等々、わたしが知りたい情報がほとんど掲載されていない。速水選手が最近試合に出ているのかさえ良く判らないので、なかなかストレスが溜まるのである。ちゃんと元気に活躍してくれているのだろうか。
 そんな訳で、久々に御贔屓選手の消息が聞ける、運が良ければフィールド上でプレイする姿を観ることもできるかもしれない、今日はそういうチャンスだったのだ。来年どうなるか判らないし、千載一遇の機会を逃してしまったのかもしれない。悔しいったらないのである。
 速水選手が交代出場するシーンはあったのだろうか。某巨大匿名掲示板に行けば誰か書き込みしてくれているだろうか。自分のこの目で観に行きたかったなあ。




03/28 瑞々しい思い出

2005/03/28 16:33
 スーパー等で売られている葉物野菜はどんな高価いものであっても、どーも半分萎びているような気がして仕方がない。火を通す時は特に気にせず使うのだが、サラダにする時はもっとパリパリしていて欲しいといつも思う。仕方がないのでサラダ用の葉っぱモノは通常、晩御飯用のコメを研ぐ時ついでに使う分だけむしり、冷水に漬けて2時間ほど放置することにしている。夏ならばボウルごと冷蔵庫で冷やす。
 萎びかけの葉っぱはたらふく水を吸って生き返り、CMに出て来るような「パリッ」という音を立ててくれるようになる。キャベツなぞ千切りにする時、包丁に当たってキューキュー鳴るのである。大層気持ちが良い。歯触りも抜群になってメチャクチャ美味しいのだが、気になるのはヴィタミン類の流出である。1時間以上も水に漬けたらなくなってしまわないだろうか。カット状態ではなくて一応大きな葉っぱのままだから、損失といっても気にするほどのこともないのだろうか。

 以前TVで観た老舗日本料理店の下拵え風景では、菜の花について同じようなことをやっていた。買って来た菜の花は、やっぱりそのままでは少々萎びているので使えないのだそうだ。御亭主は「菜の花を“蘇生”させなきゃいけません」とコメントしていて、ちょっと聞きには大仰な言葉使いにニヤリとしたものだ。しかし「蘇生」と言いたくなる気持ちは非常に良く理解できる。
 その下処理というのが、冷水に数時間浸した後で水気を切ってタッパーに入れ、クラッシュアイスで埋めて冷蔵庫で一晩保存、とかいうメチャクチャ手間暇のかかるものだった。ウチでやっている「2時間水浸し攻撃」どころの騒ぎではない。こういうことをやっても大丈夫なのであれば、ヴィタミンCはわたしが思うほどに軟弱でもないのかと少し安心した。しかしこういうレストランでは、見た目と味の良さのためならば栄養価は二の次にされそうな気もする。実際のところどうなのだろう。レタスの葉っぱを株から切り取って水に漬ける行為は、ヴィタミンCを損なうのかどうか。まあもともとレタスなんて中身はほとんど水ばっかりかもしれないが。

 今朝、例によって点けっぱなしのTVのとあるコーナーで、レタス農家の取り入れ風景を取材したシーンがあった。詳細は覚えていないのだがチラリと小耳に挟んだところによると、レタスというもの、収穫してすぐには包装・出荷しないのだそうだ。刈り取って一晩置いておき、ちょっとだけ水分を飛ばしてから初めてフィルムでラップして箱詰めにかかるのだという。少し水気を飛ばした方が、出荷した後のもちが良いからだそうだ。驚いた。
 では店頭に並んでいるレタスたちは、そもそもの最初からちょっとだけぐったりしているという訳か。いつも「何となく萎びているような気がする」と思ったのは気のせいではなかったのだろうか。保存性の有無は農家さんにとっては重大事かもしれないけれど、わたし個人の願いとしては、わざわざ一晩置いたりしないで「朝採りレタス」みたいに売り出してくれればいいのに、と思う。野菜や果物は採れたてが一番美味しいような気がするからである。

 保存技術が向上して、レタスにしろ何にしろ、採れたての瑞々しさそのままの瞬間に時間を止めることができればいいのにな、と思う。料理済みのものなら冷凍すればある程度は時間を止めることができなくもないが、生野菜はやっぱりちょっとどうも、なのである。子供の頃、母に隠れて食べ残しのキャベツの千切りを冷凍室に放り込み(お腹がいっぱいで入り切らなかったのである)、翌日こっそり取り出して解凍した時のショックは忘れられない。べちゃべちゃでしなしなの緑のシロモノ、とても食べる気にはなれなかった。罪悪感でいっぱいになりつつ廃棄したっけと思い出す。
 人間も「瑞々しい頃」で時間を止められれば…と痛切に願う人々がたくさん居そうである。わたしだって内心どこかで「40代になったら外見の衰えはきっと早いんだろうな。今くらいで止められたらいいのにな」と思わないでもない。外見だけは時間を止めて、中身は地道でも確実に成長したいなどと考えているのだから図々しいことこの上ないのである。無駄な努力かもしれないと思いつつマルチヴィタミンのサプリメントを呑み、最近流行りのコエンザイムQ10も呑んでいる。同類項な人々のおかげで、今やサプリメント関係は巨大マーケットだそうである。

 本人を完璧にそのまま保存する技術は今のところまだないが、映像だけなら残せないこともない。先日CATVで『スタンド・バイ・ミー』を放映したので久し振りに観たのだが、主演の1人、リヴァー・フェニックスのぴちぴち元気な姿に、無性に哀しくなってしまった。原作者のスティーヴン・キング氏が何と言おうと、個人的にはこの作品、原作『ザ・ボディ』よりも素晴らしい物語に仕上がっていると思う。それだけに、若き日のリヴァー・フェニックスの姿と、役柄のクリスの行く末、リヴァー・フェニックス本人の衝撃的最期などがオーヴァー・ラップして切なくなる。
 ファンの誰もが思うことだけれど、リヴァー・フェニックス主演の『BANANA FISH』をぜひ観てみたかった。熱狂的なリヴァー・フェニックスのファンとは到底名乗れないわたしでさえ、『スタンド・バイ・ミー』や『モスキート・コースト』を観返すといつも、もったいない…と悔やむ気持ちで一杯になる。カーペンターズの「A SONG FOR YOU」を聴く時も同じ気分になる。「瑞々しい頃の記憶」があまりにはっきりくっきりと呼び戻せるというのも、残された人々にとっては辛いことなのかもしれない。
 「思い出はセピア色にぼやけているくらいでちょうどいい」という言葉を聞いたことがあるが、確かにそれは言えるだろう。辛い記憶も楽しい記憶も、時と共に輪郭がアヤフヤになるからこそ気軽に反芻できるのだ。いつまでも生々しいままでは哀し過ぎる。

 とは言えやっぱり食べるものは新鮮過ぎるくらいでちょうどいい。しかし真にパリパリの葉物野菜など、スーパーで買おうという方が間違っているのだろう。キューキョクの解決法としては「じゃあ自分で作るか」ということになるのだが、ぐーたらなわたしにはとてもとてもそんなことはできない。結局今日も、ヴィタミンの流出を気にしつつ、レタスを水浸しにしているのだった。




03/29 久し振りに激怒

2005/03/29 16:58
 しかも電話越しとはいえ、見知らぬ人に向かって声を荒げてしまった。ええ格好しいで小心者で、さらにニブいので怒りのスイッチが入るまでに少々時間のかかるわたしとしては大変珍しい事態である。しかし今回はどうにも我慢ならなかった。
 ことの起こりは午前中に到着するハズの宅配便だった。配送業者さんの名前は武士の情けで特に伏せるが、会社名を言えば誰もが1度や2度は利用したことがあるだろう大手企業である。わたしの本日の予定としては、午前中に掃除と洗濯を済ませ、その間に荷物を受け取り、それらがすべて完了次第母のマンションへ出向くことになっていた。何やら訳の判らない手紙が届いたので見てくれと言われたのと、キッチンの浄水器カートリッジ交換を頼まれたのである。

 母には宅配便を受け取ったらそっちへ行くよ、と伝えてあった。本当ならカートリッジ交換くらい自力でトライしてみて欲しいのだが、説明書きの文字が細かくて良く見えないのだと言われれば少々気の毒にもなる。お世辞にもいい目をしているとは言えないわたし自身、時々出くわす微小文字サイトには困らされているからである。大ファンのカーロス・スペンサー選手の公式サイト掲示板なども、文字が粟粒のようで大変読みにくい。ノートPCならば画面と目の位置が近くて気にならないのかもしれないが、残念ながらウチはデスクトップマシンである。しかもディスプレイに目を近づけたとしても、わたしの右目はピント調節機能がないので、余計にガチャガチャになって読みづらい。
 ユニヴァーサル・デザイン大流行の昨今、公式サイトならもーちょっと気を使ってくれても…と甘えたことを考えてしまう。それともカーロス・スペンサー選手のファンには若い人々しか居ないのだろうか(哀しい)。ただでさえ英文を読むのはしんどいのに、あんなに細かい字でどばっと書かれていると読む気が失せる。せっかくのファンサイトなのに、そういう理由で最近は足が遠のいているのだった。

 閑話休題、脱線してしまった。
 ともかく掃除と洗濯をしながら宅配便の到着を待っていた。ところがいつまで経ってもやって来ない。この会社、今までも配達が正午数分前でギリギリセーフという際どいシチュエーションが何度かあった。正午までは午前中だからな、とイライラする気持ちを抑えていたのだが、ついにお昼のニュースが始まってしまった。掃除も洗濯もとっくの昔に終わっている。母はきっと今頃「遅いなあ」と思っているだろう。
 わたしの感覚では、「午前中着希望」と言ったら11時までには届けて欲しいのだが、幾らなんでもそれは短気過ぎるだろう。そして12時を回ったからと直ちに問い合わせするのも余裕がないような気がするが、「昼どき日本列島(今は違う名前らしいが失念してしまった)」が始まっても一向に宅配便屋さんが来る気配もないので、痺れを切らして営業所へ電話を入れてみた。

 電話に出た男性は配達時間を守れなかったことを詫びてくれ、「担当ドライヴァーに連絡を取って、折り返しご連絡いたします」とおっしゃった。お願いしますと電話を切ったのが12時25分。ところが10分経っても15分経っても折り返しが来ない。どうしたのだろう。「出掛ける予定があるので困っているのです」と伝えてあるのに、何かよほどのトラブルがあったのだろうか。朝ドラ再放送が始まった45分、耐えかねてこちらから再度電話を掛けた。
 今度出たのは女性だった。簡単に用件を伝えると、事務所内の誰かに向かって事情を説明している様子が聞こえる。保留ボタンを押してもいないので、少し離れたところで先ほどの男性が「しまった」というような声を発しているのが筒抜けである。もー何やってんのよ、とまずここでバッチリと心証を害してしまった。

 電話を代わった先ほどの男性は、一体どうなっているのかとのこちらの問いにアッケラカンと「お届け、1時半頃になってしまうんですが」と答えた。1時半? まだあと30分以上もあるではないか。しかもその連絡を受けてから今までコイツは一体何をやっとったんだ。折り返しご連絡しますというのはどうなったんだ。
 申し訳ありません、という言葉を口にしてはいるが、ただ上っ面でそう発声しているのが見え見えの口調についにブチ切れてしまった。この人は、他人を待たせるということを何だと思っているのだろう。配達ドライヴァーさんが「たった今その住所へ向かっているところ」と答えたのならともかく、まだ1時間近くは現着できないという返事だったのならば、わたしなら即座に電話を掛け直して詫びるけどなあ。相手が何度も「出掛ける予定なので困っている」と言っていたなら余計に。

 母を待たせていると言っても徒歩5分のマンションである。1時半まで待ってから出掛けても悪い訳ではなかったが、こちらも堪忍袋の緒が切れてしまった。もう今日の配達はいいから明日にしてくれ、ただし今度は間違いなく午前中に届けろ、今から外出するので1時半に来たって不在である、と強い口調で伝えて電話を切った。電話口の男性は最後まで、いかにもマニュアル通りでーす風の「申し訳ありません」を繰り返すばかりだった。
 わたしは何も遅配に腹を立てたのではない。時間指定をしていても、年度末で小雨模様の今日など、荷物大混乱でてんやわんやだろうから遅れても仕方ないと思う。配達が遅れたことそのものより、その対応が余りにも悪いし不誠実なのが我慢できなかったのである。本当はこういう時の対応マニュアルだってあるのではないだろうか。もしあるとしたら、今日の男性はマニュアルさえ守れない阿呆ということになる。客商売なんざ辞めちまえ、と思う。

 もしわたしがこういう事態に遭遇したら、「午前中配送」の荷物を配り終えるのが不可能だと判断した時点、おそらく11時45分くらいで、残りの配達先に電話を掛ける。連絡が付かない家もあるかもしれないがともかく、諸般の事情で午前中には配達できないために午後になるがそれでも構わないか、後日改めて届ける方がいいか、お客の意見を訊くだろう。待っている方にしても、何も判らずにただ待たされるより、どのくらい遅れるか知らされた方が苛立ちも少なくて済む。
 実際はこういうことをやっている暇もないかもしれないし、ドライヴァーさんもいろいろ大変だろう。ただし遅配の電話を受けた事務所メンバーならば、折り返しの電話を掛ける時に「午後の配達を待ってもらえるか、後日にするか」のお伺いをするのが当たり前である。そういうフォローをするのが後方支援部隊の役割のひとつだと思う。コールバックを忘れるなんてのはもちろん問題外。

 仕事でちょくちょくお世話になっている業界最大手のヤマト運輸さんでも、今まで何度か遅配のトラブルがあることはあった。しかしその都度ちゃんと連絡があり、改めて配達希望時間を訊いてくれている。おかげでこちらは余計な苛立ちを抱えることもなく、荷物を待ったり当初の予定をこなしたりすることができる。ヤマト運輸にできることを、他の会社ができない訳はない。
 みみっちいようだが、わたしはもう2度と今日の宅配便会社に荷物を託すことはしないと思う。こちらが出す荷物のお届け先に不愉快な思いをさせられたら堪らない。宅配便業界もいろいろ厳しいのだろうし、トラブルだって撲滅する訳にも行かないだろうが、基礎中の基礎たる「ホウレンソウ」もきっちりできないのでは話にならない。報告・連絡・相談、わたしが会社員だった頃は耳タコの言葉だが、もしや最近は廃れているのだろうか。そんでもってわたしが飛び切り短気で狭量なのかなあ。




03/30 窮すれば通ず

2005/03/30 17:25
 とは良く言ったもので、「わたしのショボい目では読むのが辛いサイト」について家人に愚痴ったら、文字を大きくすればいいじゃないかとの指摘を受けた。いやその試みは既に実行したのだが、どういう訳かIEの文字サイズ変更オプションが無効なのだと反論すると、3秒考え込んだ家人は「ネスケなら大丈夫だ」と自分のブラウザを立ち上げたのだった。ウチでは「お気に入りリスト」や各種cookieの住み分けをするために、家人はネスケ、わたしはIEを使っているのである。わたしの方がネットショッピングを頻繁にするために、お買い物サイトで時々不具合の出るネスケは敬遠しているのがその理由。
 半信半疑で同じサイトをネスケで訪れてみると、おお、見事にテキストサイズをでっかくすることができるではないか。IEではどう頑張っても見た目9ポイント程度の文字が、ネスケの拡大オプションで設定すれば12ポイントくらいにも14ポイントくらいにも拡大できる。これならば読むのはそれほど辛くない。良かった良かった。

 普段家人が読むのに不都合を感じないサイトでも一様にデカ文字にされてしまうので、わたしが一時使用をした後は設定を戻しておかなければならないのがちと面倒臭いが、とりあえずこれで問題は解決である。IEとネスケでできることが違うというのは知っていたが、こういう点でも差があるのにはちょっと驚いた。各サイトの何が、IEの文字サイズ変更は無効だがネスケの文字サイズ変更は有効、という制御の違いを生んでいるのかは知らないが、どうせなら統一しておいて欲しいものである。
 正直なところを言えば、いちいち文字サイズ変更をするのは面倒だから、ユーザが「わたしは常に12ポイントくらいで読みたいの」という設定をしたらそれが全部生きるような仕様にしてもらえれば嬉しい。とはいえサイト・オーナーさんにしてみれば、できるだけ小さな文字でないとデザイン的に美しくないと感じるのかもしれず、その意図を踏みにじるようなユーザで申し訳ないなあとも思ったりする。

 住み分けと言えば最近は掲示板巡回ソフトの選択でアタマを悩ませている。掲示板巡回というよりは、最近webフォーラムに移行したniftyのフォーラム巡回をしたいのだ。パソコン通信時代はAutoComという巡回ソフトを使っていたのだが、当然それはwebフォーラムには対応していない。音楽関係の仲間たちが試しているNIF-Xというソフトをダウンロード&設定してみたのだが、これは@nifty内の掲示板以外はフォローしてくれないということが判明した。どうせならいろいろ読んでいる掲示板を一括管理したいわたしからすると、これではあまり使えるソフトとは呼べない。
 CMNとかairWebとかがいいらしい、という話もあるので、2つのうちでは比較的使いやすいCMNを試してみようかと思ったのだが、良く良く考えるとこれは家人が既に使っているのだった。当然のことながらわたしと家人では巡回するフォーラムや掲示板が全然違うので、CMNを選ぶとすればまたまた住み分けに苦労することになる。AutoComの時はデータフォルダを分けて読み出す設定を変えるというオプションがあったのだが、果たしてCMNでもそういう小細工ができるのだろうか。ソフトごとディレクトリを違えなければいけないのだろうか。面倒だなあ…。

 全然違う話だが「窮すれば通ず」で思い出した。昨夜、何チャンネルだったか忘れたがTVのニュースのとあるコーナーで、最近はいろいろ細やかなサーヴィスをする診療科が増えている、という話題を取り上げていた。話には聞いたことがある女性専用外来などの他、なんと「歯科恐怖症専門外来」というのもあるのだそうだ。読んで字の如く、歯医者さんが怖くて行けない人のための歯医者さんである。
 ドリルのキュイーンという音を聞くだけで気分が悪くなる人とか、診察台の椅子に上がるだけで震えてしまう人とか、世の中にはそういう恐怖に囚われている人も大勢いらっしゃるらしい。そういう方々はたとえ虫歯になってギリギリ痛んでも、歯肉炎になって歯が浮いてしまっても、どうしても歯医者さんの門を潜ることができないのだそうだ。歯医者さんが怖い→できるだけ訪問せずに済むよう半年に1度必ず定期検診を受ける、という程度のわたしの歯医者嫌いなど序の口だと判明して俄かに安堵する。

 自力で歯医者に行って診察台に座ることもできない人のために、歯科恐怖症専門外来ではどうするかというと、診察前に患者さんに精神安定剤を投与するのだという。ココロ穏やかになったところでおもむろに診察台に座らせて適宜治療を行なうらしい。
 ものすごく羨ましいなあと思ったのは、どういうクスリかはしらないがこの精神安定剤を投与された患者さんは、歯科用診察台に座ったことも治療を受けたことも記憶からなくなってしまう点である。もちろん痛みもほとんど感じないらしい。治療を受けた患者さんのインタヴューによれば、「なんとなくぼんやりと痛かったような気はするが、夢の中の出来事のように朧気にしか覚えていない」ということだった。治療後、安定剤の影響を抜くために1〜2時間休息しなければならないのだが、これなら確かに恐怖症の方でもOKだろう。

 羨ましいとは思うが、個人的にはここまで無防備な姿を他人に晒さねばならない状況というのも実はイヤかもしれない。全身麻酔を掛けられて手術を受けると思えば仕方ないのだろうが、普通の人にそんな機会がそうそうちょくちょくある訳でもない。今の行き着け歯医者さんで以前治療を受けた時、笑気ガス(だったと思う)を吸わされてドリル攻撃されたのだが、あれなら意識もはっきりしていたし痛みも全然なかったので、選ぶとしたらやはりそちらだろうか。ヘタレなので、口の中に麻酔注射を打つのもダメなのである。




03/31 メタ少女

2005/03/31 17:17
 一昨日、母のマンションへ立ち寄っていろいろ用事を済ませ、ついでに2人でコーヒー・タイムも楽しんでダベって来た。メイン・イヴェントが「キッチンの浄水器カートリッジ交換」だったのが実にショボいのだが、わたしが密かに危惧していたように、カートリッジの買出しからやらねばならないという泥縄シチュエーションは回避できて一安心。買出し込みだとすると時間的にかなり余裕がなくなり、最悪の場合はわたしが決死の覚悟でクルマを出さねばならないことも考えられ、その焦りもあって某宅配便会社の事務所員君はワリを喰ったとも言える(汗)。
 ちなみにコールバック失念されて思わず激怒してしまった問題の荷物は、昨日きっちり午前中、無事にウチに到着した。いつもウチに届けて下さる方で、楽天(元ヤクルト)の飯田選手にそっくりな担当さんが恐縮しきった様子でいらしたのである。こちらとしては配達員さんに怒ったのではなく、事務所のフォロー(というかフォローできてない様子)にガッカリしたのだと説明したのだが、当然のことながら一蓮托生と捉えているらしい。あまりの悄気っぷりに俄かに罪悪感が圧し掛かる。内心で「2度とこの宅配業者は使わん」と決心したのを撤回し、「今後もどうかよろしくお願いしますね」とお引取りいただいたのだった。飯田選手そっくりの朴訥な風貌の配達員さん相手に怒りのエネルギーを持続させるのは不可能である。

 おしゃべりの合間も母は裁縫道具を手に何やらやっている。見せてもらったものは赤と金の2色の長い紐で、端っこを5cmほどほぐしてある。これをアタマに巻いて、可愛らしい櫛と造花付きの簪を髪に飾り、ひらひらの衣装を身に纏ってダンスを披露する発表会が来月あるのだという。母が近所に引っ越して来た2年前、いろいろなことに積極的にチャレンジしなくてはということで始めたレク・ダンスが面白いらしい。週に2度は必ず練習で汗を流し、数ヶ月に1度発表会の舞台に立つ。合間にはレク・ダンス仲間で泊りがけの温泉旅行なども楽しんでいるようだ。
 もともとの性格が社交的なこともあるが、わたしなどよりもよっぽどアクティヴで、お友達もたくさん居る。ホームヘルパーの仕事も続けているし、フラワーアレンジメントの教室やパソコン教室などにも積極的に出向いているし、なかなか多忙な母である。何かしていないとやっぱり寂しいのかもしれない。

 先日はドキドキ恥ずかしい思いをしながら、ステージ用の付けまつげを買ってきたのよ、などと話していた。ダンス仲間とステージ衣装を決める時、最初は誰もが「そんな派手な格好は恥ずかしい」と尻込みするのだが、結局は互いに励まし合って(煽り合って?)かなり派手派手ファッションに落ち着くらしい。メイクも遠目から映えるよう、思い切って濃い目に統一するのだという。きゃあきゃあ言いながら付けまつげをどうするか相談している様子を浮かべたら、去年観たイギリス映画『カレンダー・ガールズ』を思い出した。
 不惑まであと数年に迫ったわたしでも、ココロの中はまだまだティーンな少女である部分が多いよなあ、と鑑賞後は痛感したものだった。ひょっとして20年後、還暦を迎えようという頃でも、もしかしたら中身はそうそう変わらないものかもしれない。母やそのダンス仲間たちの楽しそうな様子からすると、そういう趣味の時間はみんな立派に少女なのかなーと思ったので訊いてみると、確かにそういう部分はあると母は断言した。

 女性はやっぱり死ぬまで少女なんだなあとちょっと嬉しくなった。20年経とうが30年経とうが、わたしも別におばさん化したりしなくていいらしい。聞くところによると、精神科医の香山リカさんもそういう類の学説を唱えていらっしゃるそうである。「女は更年期を過ぎた老女になっても、心は乙女のままである」ということだが、わたしもこの説には全面的に賛成だったりする。
 母の意見によれば、それは何も女性には限らないだろう、だそうだ。幾つになっても女性の内部には少女が、男性の内部には少年が潜んでいるのではないか、と。ホンモノの少年少女ではないから「メタ少年・メタ少女」とでも呼ぶべきものかもしれないが、敢えて定義するとしたら「夢見がちなココロ」といったところだろうか。精神活動全部が「メタ少年・メタ少女」に侵されてしまうと単なる非常識なおじさんおばさんになってしまうのがバランス取りの難しさと言えよう。

 そう考えるとヨン様フィーヴァーなども可愛らしく見えてくる。演奏仲間だとか「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」のおじさま達などもきっと少年のココロで遊んでいらっしゃるのだろう。いつまでも若々しく居ようと思ったら、メタ少年・メタ少女を大切にするのがコツかもしれない。
 などということを考えていてふと思いついたのが、家人の中に果たしてメタ少年は居るのだろうか、ということである。楽器演奏している時とか新型電車に乗っている時などは確かに大層楽しそうだが、それが「夢見がちなココロ」と結びついているかというとなんだか疑問が沸く。家人は何をやっていても常に「現実を2本足でどっしりと踏み締めている」という印象がある。スーパー・リアリストというか、雰囲気的には『エロイカより愛をこめて』のエーベルバッハ少佐なみの堅物なのだ。

 話に聞いたところでは、幼い時から相当なおマセさんだったらしい。言葉を喋り始めたと思ったら立派にデスマス調で、幼稚園で気に入らないお遊戯やおやつを勧められたら「いえ、ボクは結構です」と断った、というエピソードもある。率先して楽しく踊っていた(わたしのような)ちゃらけたクラスメイトを冷ややかな目で見ていたというから可愛くない。幼稚園と言えばお遊戯ではないか!
 家人の中のメタ少年をどーしても想起できなかったので、母に訊いてみたところ、さしもの家人贔屓の母にもやっぱり思いつかなかった。あと数年で不惑なムスメと還暦オーヴァーの母は2人で、「こういう風にいつまでもきゃわきゃわ騒いでいるから、ことあるごとに“キミたち母子ときたらまったくもう…”と呆れられるのかもしれないよねえ」としみじみ嘆息したのである。