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−−−  2日目(6/16)  −−−
積算距離:383.91km
最高速度:51.9km/h
走行距離:109.85km/day
 夕べは結局寝袋を使いました。やっぱり必要なようです。
 そして本日は…無茶苦茶しんどい箱根越えです。神奈川からずっと1号線で箱根越えを敢行しました。
 「前にそびえ、後方に誘う」とはよく言ったもので、途中何度もやめて引き返そうかと考えては、ここまで来たら他にルートはないと言い聞かせて登り続けました。

 大平台駅付近で話し掛けてきた空き缶拾いをする老夫婦。
「この坂は大変だよ」
「昨日もね、自転車でこの近辺を走っている人がいたんですよ」
「どこから来たの?大宮?じゃあまだ1泊なんだ。どこまで行くの?福岡?大変だねぇ。頑張りなさい」
「この坂は三島まで行かないと楽にはなりませんよ。頑張ってくださいね」
 元気付けられつつも、三島まで行かないと登りは終わらないと脅かされてしまいました(苦笑)。
 しかし本当にきつい。老夫婦と別れてからも数百メートルも走らないうちに休憩。
 500mlの水はすぐに無くなり、とうとう自転車を押して上がる始末。
 休憩がてら三島までの距離を見ると、どう考えても2時間どころでは済まない距離。
 まじめに一瞬気が遠くなりかけました、延々漕ぎ続けるのかと思った途端に。

 が、上二子山を越えた辺りから急に下りのみ。そこから芦ノ湖までは下り1本なんですね。
 なんと後続車両もなく、それまでの苦労がすべて一気に報われました。
 今まで進行を妨害していた筈の坂が味方に回り、絞れるほどになっていた汗までが気持ち良さに荷担してくれます。
 マンガで自転車に乗れなかったスクルドという少女が自転車に乗れるようになった時のワンシーンとオーバーラップして涙が出るほどに感動。
 ああ、やっぱり自転車で来て正解でした。苦労して辛い上り坂を登った分、優しい下り坂のありがたさは言葉では言い表せません。
 芦ノ湖で少し休憩し、さほど苦にならなくなった上り坂をまた少し登り、箱根峠へ。
 残念ながら芦ノ湖は霧で箱根峠からは何も見えませんでした。
 そのとき、脇にいたオバサン連中の一言。
「霧の芦ノ湖って良く言うわよね」
 …言わない、言わない。
 そして箱根峠からの下り坂も、後続車が殆どなく、信号すらなく。右に見えるは箱根の山。左に見えるは大海原。前に見えるは1本の道…。本当に気持ちよかったです。
 最高速度、52キロはこの時に検出されました。自転車ごときでもこれだけ出せるんですね。
 …ちょっと恐かったけど。

 その後、柿田川谷園にて一休み&写真撮り。
 そのまま道の駅「富士」へ。ここで軽く食事をして、この先自転車で行けるものか確認しようとしたのですが…
「どこから来たの?」
 カギを掛け終えた直後、なれなれしく話し掛けて来た男が一人。アイスモナカを美味そうに食べてます。
 彼の名は長谷川。彼もまた自転車であちこち行ったことのある人間なのだそうです。
 だからこそ、同じようにしている私を見て気になって仕方なかったのだとか。
 そして彼は私が欲していた情報を、地元民ならではの詳しさで事細かに教えてくれました。
 新富士川橋を走りきることは出来るけど、大変だ。その先は真っ直ぐは行けないから、このまま橋を渡るなら、渡り終えてすぐに旧国1号に行くために曲らなければならない。しかし迷うだろう…、などなど。
 そして彼の方から「何だったら帰り道だし、トラックに自転車積めるから乗せていってあげようか」
 そもそも、全てを自転車で踏破するつもりだった私は迷いつつも、彼の親切に甘んじました。
 ああ、やっぱり車はいい。
 そしていろいろな雑談。おまけで旧国1号ぞいの久保田利伸の実家を教えてもらったり、家の向きについて教えてもらったり。
 東海道沿いの宿場町の家って大名行列対策で道からすこし曲げているんですね、知りませんでした。
 新しく立て直す時も基礎があるからそれに合わせて建てているんだとか。
 そして本来は旧国1号までと言う話だったのに、静岡駅の少し手前まで乗せていってもらいました。実質6〜70キロ程度でしょうか。
 さらに、静岡駅前で食事するなら魚がし寿司がいいと教えられ、長谷川氏には重々お礼を言って別れました。

 そして私は静岡駅へ。駅前の自転車置き場に100円払って駐輪し、銭湯を見つけるべく派出所を探すことに。これがまた見つからない。
 ぐるぐる駅前を回ってやっと見つかりました、駅前というにはちょっと離れたところに。
 で、聞いたところ…
「この道をダーッといって、モスバーガーが左手にあるので右に曲ってずーっと行くと角に派出所があるのでその向かいです」
 …だって。もうちょい道の説明の仕方を勉強しなさいよ、新人らしい婦警さん。やっぱり静岡の警察官は不出来な輩が多いようです。
 で、どうにか銭湯に入ってから寿司屋を探したら何と休みでした。がーん。口の中は寿司一色になっていたのに。
 それでもいろいろな情報をくれ、送ってくれた長谷川氏に多謝!
 夜は静岡大橋の下で就寝。が、ここは蚊が多い。はやり虫除けを持ってこれなかったのは痛い。
....つづく
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