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−−−  68日目(8/21)  −−−
積算距離:6952.2km
最高速度:34.1km/h
走行距離:32.51km/day

 実は今回の旅の中で最後の休息にする予定の京都。休息する以上、やることはただ1つ、日記の打ち込みです。日記と言うか、ホームページアップ用の文字列ですね。
 ということで、朝からずっと10時まで打ち込みをし続けてました。
 本来YHというものはその性質上、昼間は屋内にいられないはずなのですが、宇多野YHは少々特殊でベッドルームではなく談話室にいることで屋内にいることが許されます。それでも昼間ずっと屋内にいるのはちょっと…ということで10時にYHから京都観光の残りをすることにしました。
 まずはYHから一番近いと思われる仁和寺。そこから南下して気になる前輪を安く交換できないものかと9号沿いにある自転車屋に行って見たのですが、店頭にタイヤが置いてなくて諦めました。
 諦めて店外に出ると私の自転車を指差して、
「スラッガーだよ、あれ」
 と、羨望な眼差しで話してる人がいました。私のはスラッガーはスラッガーでも一番安いやつだからそんな大層なものではないんですが。

 タイヤの交換を諦めて向かったのは三条。向かう途中でなんとホームレスに絡まれそうになりました。
 駅前を抜けて五條烏丸を走っていたときでした。目の前をよたよたと走る1台の自転車。運転しているのはまだ働き盛りではないかと思われる明らかなホームレスのおじさん。
 よたよた走っているわけは、恐らく彼の生活費に化けるのであろう袋いっぱいの空き缶の山でした。後ろの荷台に1袋、前のカゴに1袋、左右のハンドルに1袋ずつ。
 ただでさえ重くて運転しづらいだろうにハンドルに下げられている袋がペダルを漕ぐ足に当っていて非常に走りづらそう。
 危ないなぁ…と思いつつも追い越すつもりで私は加速を掛けたところ、空き缶が1つ、袋から落下。彼はそのたった1つの空き缶を拾うべく、自転車に乗ったままの状態で身をかがめました。
 彼がかがんだ方の隙間を通るつもりだった私は慌てて反対方向へハンドルを切りました。
 慌てたものの対処が早かったのでこのままなら難なく通り抜けられる、と彼の脇に到達したときでした。彼は落とした空き缶を拾うことが出来ずにいきなりかがめていた身体を起こしたんです。無論向こうは私の存在には気付いていません。
 このままではぶつかる、そう思った私は更に加速して更にハンドルを切りました。道そのものは狭くはないので本来ならそんなにぎりぎりを走る事はないはずなのですが、車止めのポールが進路を阻んでいたんですね。
 で、結果として私の手が彼の背中にわずかにかするような感じで通り抜けるに至りました。
 危ない危ない、と思いつつ走り去ると、なんと後ろから声が聞こえてきました。
「まーてーっ、止まりやがれーっ、ばかやろーっ」
 直感的にホームレスが追ってきたんだと感じました。口調から想像するに、私が何か落として、それに気付いたホームレスが親切に追いかけてきてくれた、と言うものでは絶対になさそう。
 ま、そのうち諦めるだろうと鴨川沿いを北上するように走ったのですが、後ろから聞こえてくる声は途切れる様子がありません。
 こんな輩を引っ張っていたら観光が出来ないぞ、と嫌気を感じた私はギアを変えて一気に加速しました。
 私は24段ギア付きのMTB、向こうは安物のシティーサイクル。力の差は歴然なので負けるはずはなく、三条で西向きに折れて少し走ったあたりで彼の声は聞こえなくなりました。
 私は自転車を置いてそこから三条の観光に切り替えました。

 三条は本来観光する場所ではなく食事を含めた買い物をする場所です。私は買い物はそこそこに、ウィンドウショッピングに徹しました。
 そんな最中、三条の一角で24時間テレビの準備をしているところを見かけました。そうかぁ、今日と明日なのかぁと思いましたが、私に用はありません。さして気にしないで観光を続行しました。
 24時間テレビに嫌気がさしたのはいつ頃でしょうか。欽ちゃんが引退して少ししたころだったかな。そこまでやるならその分を募金に回せよ、と思ったのが発端でした。そう、近年の24時間テレビはイベント性が大きくなりすぎて、チャリティーという本題が後回しにされている感じがしてならないんですね。
 それと相対するかのように細かい道にも入ったり、裏道ではないかと言う道を歩いて見たり。そんなことをしていたら、さんまのまんまに出ているまんまを見つけました。どうやら、昔からある店舗でまんまグッズを限定販売するようになり、そのオープニングキャンペーンとしてまんまが来たようです。本物なのかどうかは知りませんが。
 で、三条に飽きた私は昨日肩透かしを食らったあぶりもちの再確認に行って見ました。が、やっぱりテレビで見たような勢いはありませんでした。
 YHは16時になると再び入れるようになります。ちょうど頃合良く16時になったので私はYHに戻りました。

 YHでは打ち込みを再開したのですが…さして進みませんでした。食後すぐに談話が始まってしまったのです。昨日楽しく話した人が私との談話を楽しみにしていてくれたんですね。
 しかし…そんな談話を打ち崩す人物の存在がありました。
 まるでイタリア人男性のように女性に親切にするんですが、下心見え見え的な接し方なもんでせっかく談話に来た女性たちが散ってしまう。女性が来ないと男性も来ない。ということで男女を気にせずに談話を楽しみに来ていた人たちだけが集まってしまいました。
 人が去っていく理由は他にもあります。自分の意見は絶対だ、と言う押し付け的な口調なんですね、その方。その意見が正しいならいいんですけど…ねぇ。
 まず自転車の話し。とんでもないスピードで山の道無き道を駆け巡っているような話をしていたのですが、私が見る限りそんな筋肉の発達した人には見えません。
 靴底の話しになり、ペダルを漕ぐには足にフィットする靴底が大事なんだとか。靴底が足の裏にフィットしても靴底が柔らかかったら意味ないでしょうに…。
 たまたま献血センターに勤める人がいて新宿の献血センターの話しになったのですが、そのとき問題の人は何を思ったか人間の身体には20リットルの血が流れてるなどと発言。私は、確か体重の10分の1じゃなかったかな、とうろ覚えだったので聞き流しましたが、献血センターに勤めている人も、そんなに無かったと思いますよ、と当り障り無く否定してました。
 そうそう、新宿の献血センターは献血するともらえるものが結構いいんだそうで。今度機会があったら寄ってみたいものです。
 そんな話をしている間も、問題の人物は談話室にやってくる女性全員に自分が立てたお茶をもてなしています。いい加減閉口した私は、
「女性限定で茶を振舞ってるみたいですよ」
 と発言したところ、今度は向こうが閉口しました。少々言いまわしがきつかったかなと思いましたが、そんなことは気にする必要は無かったようです。
 実は談話室の彼から避難していた女性陣はロビーに集まっていたのですが、それに気付いた彼はロビーに入り浸ることになりました。もっとも、彼がロビーに居座りだしたので女性陣の談話も中断して結局その日の全ての談話が終わってしまいました。
 日記の打ち込みは進まないし、談話は尻切れで終わってしまうし。散々でした。
....つづく
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