1996年8月21日
コルラ〜トルファン


    
鉄門関の巨大な門

 朝食の後、ホテルの庭においてある、もう絶対飛べない古い飛行機の前で、記念撮影をした。いったいいつの飛行機なんだろう。もう、破れた傘と同じくらいぼろぼろだけど。こういうのが無造作においてあるって言うのも、なんだかちょっと怖い。
 午前中、コルラの観光。孔雀河を見ながら、鉄門関へ。大きな石造りの門が川にそってそびえている。孔雀河沿いの大粒のじゃりがごろごろしている道が、昔のシルクロードだという。少し歩いてみた。砂漠も大変だが、この道も決して楽そうではない。ちょっと気を許したら、悪い足下に、怪我をしそうだ。つくづく昔の人の苦労を思うと、頭が下がる思いだった。でも、だからこそ、シルク路d−どに魅力を感じるんだけれど。
 久しぶりにちょっとダートに近いような所を走って山越えし、トルファン盆地へ向かった。今日の目的地はトルファンだ。山を越えたところで、緑の盆地が眼下に広がった。砂漠の向こうに、緑の大地出現だ。
 町に入ると前回の5月に来たときには青々として葉っぱだけだった葡萄棚に、実が付いて房が下がっていた。ああ、ここは葡萄の町だったなあと思い出したのだった。
 前回の春のツアーでは、残雪の景色を見た。それどころか中国に入ってから、雪もちらついたし、同時に早春の鮮やかな緑が目を楽しませてくれたが、今回も又、別な意味での季節の色彩を楽しみにしていた。それは、ズバリ、オアシスのフルーツだ。
 スイカやウリ、特にハミウリ、それにトルファンの葡萄が楽しみだった。色々な本やお話の中で見聞きしたそのオアシスルートのフルーツの見事さを味わってみたかったのだ。そのために夏にオアシスを巡るツアーに参加したと言っても過言ではない。他にもイチジク(これは食べてみた)、ザクロ(これは時期をはずしていた)など、有名なフルーツはたくさんあるのだ。
 何度も書くが、当たるか当たらないかは運である。手当と判断さえ間違わなければ、ちょっとの下痢くらい何とかなると私は思っていたので、フルーツはいっぱい食べた。洗って食べた方がいいものは、かねて持参のビニール袋にミネラルウオーターを入れてその中にフルーツを入れてシェイクして洗った。それ以外は、極力、フルーツの外側をなめないように気をつけながら、なんでも食べてみた。道ばたにしゃがんで、お世辞にもきれいとは言い難いシートの上で、ナイフで切りとったウリも、試食し放題のドライフルーツも。今、食べなかったら、秋のシルクロードにいつまた来れるか分からないと思っていた。何もかもやってみるという覚悟だったのだ。
 トルファンの手前で再会した火焔山は赤く燃え立っては居なかった。火焔山はトルファン盆地の北側に幅100mの山が延々10kmにわたって横たわっている。高さは一番高いところでも850mとあまり高くはない。この山は、西遊記にも登場し、火が燃えさかっていて通れないので、孫悟空が鉄扇公主とその夫の牛魔王を倒してうばった芭蕉扇で扇いで火を消して通ったという、あのおなじみのエピソードの舞台となったところだ。
 天気が悪くて光線が充分ではないと、赤くは見えないらしい。曇り空ではだめらしかった。この前は、春で光線が弱かった。真夏に来たら、異常気象だった。いつくれば、燃えるのだろう、この山。とても残念だ。

タマリスク日記  悪いものを見つけてしまったのだった
河のはたの昔のシルクロード
いにしえのシルクロード
 コルラの博物館は、ビルの4、5階にあった。その同じビルの2階に図書館が入っていたし、1階には書店が入っていた。新彊の地図を買うために、カシュガルでも本屋には立ち寄ったのだが、このコルラの小さな本屋で、えらいものを見つけてしまったのだった。
 それは、中国語海賊版の『幽遊白書』だった。『幽遊白書』は、雑誌連載中からスキで好きで、キャラクター商品も集めまくったし、おもちゃメーカーのバンダイがだしている、キャラクターカード商品のカードダスにいたっては、プレミアムを付けて買い取ったことすらあるのだ。なにしろ、一時寝てもさめても幽遊白書と言う時期があったくらいだ。放送が終了して1年と8ヶ月経ち、いまごろ新しいコレクターズアイテムに、この中国の田舎町で出会えるとは思わなかった。おそらく海賊版だろうから、これを購入することは著作者の権利侵害を助けることになるのだなと思いながらも、衝動に勝てず、その売場にあった分をひとそろい購入した。全19冊のうち8冊そこで買えたことになる。
 こういうものを見つけてしまうと実はとても大変なのだ。何とか中国に居る間に、残りの11冊を買いたいと真剣になってしまうのが私の悪いところだからだ。欲しいとなったら欲しいのだ。明日から、宿の近くの本屋はチェックだなと心に決めたのだった。

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