1996年4月6日(第7日)
パムッカレ〜コンヤ


    
パムッカレの石灰棚
パムッカレの石灰棚

 今朝はどんよりとした曇り空でした。まあ、昨日の雨よりはましですが、楽しみにしていたパムッカレの石灰棚をみにいくのですから、やはり、いいお天気がいいですよね。残念残念。
 途中、ヒエラポリスの遺跡によって、死者の町ネクロポリスを見学した後、パムッカレへ。パムッカレの石灰棚というのは、何年か前のセブンスターか何かの宣伝で使われた真っ白な段々畑のような石灰棚に青い水がたまっていて、青い空を見上げると飛行機が飛ぶというコマーシャルで使われたあの、白い段々畑です。正確には丘の上からわき出している温泉に含まれた石灰が、丘の斜面を流れ落ちるうちにだんだんになった大小のプールを形成していったものです。
 この石灰だなの上は、土足厳禁、靴下も不可ではありますが、裸足で散歩してみることができるのです。丘の上のお湯の沸き出しているあたりに近いところは 棚の中にたまっている水も温かいのですが、下の方に行くと冷たくなっていて、お散歩も楽ではありません。
 丘の上には、温泉プールの水中に遺跡の石柱が沈んでいるところで泳がせてくれるホテルもあるし、なかなかの観光地でした。
 今日は、ここの観光の後、エギルディール湖のそばで写真を撮り、後はひたすら走り続けました。このところ、日に日にバスに揺られる疲れがたまってきているようで、バスの中では、荷物の上に体を投げ出すようにして眠っていることが多くなりました。どうも疲れがとれないです。バスの旅行は疲れると聞いていましたが、とにかく、揺れっぱなしは体に応えます。夜になると、体の骨がなくなったような、妙に熱っぽい変な感じがします。
 これから、踊る宗教のショーをみたら、トルコ風のお風呂のハマムに入ってゆっくり寝ようと思います。

ミニコラム イスラム教の異端児たち
踊る宗教の実演
回って回って
ひたすら回る
目だって
絶対回ってるはず。
 4月6日の夜、泊まっているコンヤのホテルのダンスバーで、イスラム教の一派のスーフィズムの踊る宗教の実演のショーがあるというので、20ドル支払って入った。このショーはあくまでもショーで、本当のお祈りではない。だけれど、踊っていて神を(この場合はイスラム教だからアラーだが)みることのできる宗教というふれこみが気に入ったのだ。
 最初、黒いマントのようなものを着た男女6人が登場。そのうち一人は主催者の様な感じなのか、正面に座って祈りを捧げた。そして残りの5人のうち4人が立ち上がってマントを脱ぐと下は白い衣装に黒いベルトをしている。ゆっくりした音楽に合わせて右手を天に向け、左手を地に向けて大きく手を広げて回り始めた。  最初に着て現れた黒いマントは死を、頭のとんがり帽子は墓石を表す。死を脱ぎ捨てて再生したことを表す白い衣装を着て、上向けた手から天の恵みを受け、それを下に向けた手から人々に分け与える、という意味だそうだ。だから、分け与えるためになら、回れば回るほどいいらしい。
 30分のショーをみた結論では、あれなら、神くらい見えるかもしれないと思った。というのは、30分のうち25分くらいは、男も女も真白いスカートを文字通り翻して祈りの曲にあわせて1.5秒に一回くらいの割でただひたすら回り続けるのだ。首を少し傾けて、手を大きく広げひたすら回り続ける。ほかの動きはほとんどない。
 これなら、きっと、目も回るだろうし、脳内麻薬のドーパミンも出て幻視や幻聴なんぞお茶の子だろう。第一、よっぽど訓練しないとあんなに回り続けられるものでもないけれど、あれくらい回ったら、きっと私も神がみられるかもしれない。
 この宗教はトルコ国内でもイスラム世界全体でもとても異端らしく、現在はこの一派の本当の祈りは一般に法で禁止され、年に一度創始者の命日にみることができるだけだ。異端の宗教は去年日本でも問題になったけれど、こちらでは彼らも問題になっているらしい。
 ただ、『神をみるべく回り続ける踊る宗教』のショーとしては、なかなか美しい見せ物だったけれど。あ、罰あたるかな?

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