1996年4月7日(第8日)
コンヤ〜スルタンハーン〜カッパドキア


    
シルクロードの隊商宿
シルクロードの隊商宿

 天気は曇り、しかも肌寒い。今日はそんなスタートでした。
 最初は、陶器博物館へ。いろいろなモスクや、廟などで使われているタイルの展示がありました。こちらのタイルの青い色は本当にきれいです。特殊な釉薬を使っているのでしょうか。模様は、花模様、幾何学模様、それにアラビア文字、動物など、いろいろです。イスラム教は偶像は崇拝しないので、モハメッドの姿などはありません。
 ついで、昨日みた、踊る宗教のイスラム教のスーフィズムの創始者メブラーナのお墓と、それに関する展示をしている博物館に行きました。踊る宗教のことなどがよけいよくわかりました。(詳しくは日経BP社ネットナビのホームページをご覧ください)
 昔シルクロードが盛んに交易を行っていたときの隊商宿に立ち寄りました。隊商宿は40キロに一つずつあったそうです。40キロというのはらくだが歩く一日の距離の目安です。冬は大きな室内にらくだごと入り、夏は回廊の下でらくだとともに寝ました。隊商宿には、ハマムというトルコのお風呂と、モスク、病院がありました。そして最初の2、3日は宿泊料は無料でした。夕方になると、大きな隊商宿の門の扉は堅く閉ざされ、誰も入ることはできなかったとか。そうやって、略奪から隊商を守ったのでしょう。私たちのこれから進む先には、どんな隊商宿やオアシスがあるのでしょうか。楽しみです。
   そして、今日はひたすら、カッパドキアを目指しました。途中、ハッサン山という山が雪をいただいて車窓の右側に見えていました。富士山のようなきれいな山でした。ああ、ちょっとホームシックです。カッパドキア地方の人々が戦争の時に隠れ住んだという地下都市に立ち寄りました。途中のトンネル通路は曲がりくねり、アップダウンもあるし、場所によっては腰をかがめてやっと通れるくらいです。狭い穴中でどうやって暮らしていたのかとちょっと不思議な気持ちになりました。また、カッパドキアの岩山をくりぬいた家に住んでいるご家族も訪問しました。きれいな室内が岩をくりぬいたもので、長椅子なども、岩棚にクッションを乗せたものだというのはびっくりしました。本格的な観光はまた、明日。

ミニコラム
ハマムの内観
トルコ風呂、その名はハマム
 このところ、毎日のバスの移動がきつい上に、夜この原稿を作っているので、少々疲れがたまってきた。何となくそんな話を添乗員さんにしたところ、ハマムを勧められた。ハマムとはトルコの蒸気風呂で、あかすりとマッサージがついている。体の疲れがほぐれてよく寝られますよ。という言葉に惹かれて早速、試してみることにした。夜12時閉店ということだったので、1時間前の11時にホテルの地下一階のハマムについた。
 中に入ると、まず、90x150センチくらいの布を渡され、それをロッカールームで裸の上に巻く。ハマムの前にサウナで汗をかいてきてくれというので、サウナで辛抱すること15分。汗まみれになったので、もういいかなと蒸気風呂に回ってみた。どこかの日本人のおばさんが、ほとんど全裸でこすってもらっていたりして、ちょっとびっくり。
 すると、あかすりのハマムおやじに部屋の真ん中の円形まな板みたいなところではなく、壁の裏側のちょっと人目に付かないところに案内された。あれれ、なあんだろう。ここの方がいいのかしら。なんて、漠然と考えていた。まず、マッサージ。とても気持ちよいけれど、日本のとは違って肉を摘むように揉むので効いているのかどうかいまいちわからない。しかし、おやじ、なんだか胸の上の方と太股中心に揉んでるけれど、なんだかへんだぞと思い始めたころ、でました。「あなた、ちょーきれい」
 誰だぁ?こんな変な日本語教えたやつ。曖昧にわらって、内心目悪いんじゃないのって思いながら、やり過ごしたら、これが失敗。いきなり、あかすりを始めたと思ったら、うつぶせに寝てる背中の布をめくられちゃって、バックすっぽんぽん状態に。そのまま、ちょっと堅くなったマグロ状態で堅いグローブみたいなあかすりでこすられたら、今度は日本語で「回ってください」という。何とか布をもう一度巻き付けて上むくべと、ごそごそしてたら、「ノープロブレム」ときた。何言ってのよ、あんたに問題なくても、私にあるわよ。と言うわけで、何とか布をまき直して上に向いた。
 あかすりは結局、テニスボール一個分くらいのあかがとれて、びっくり。次に、石鹸液の中に、布袋をつけたのを持ってきて、布をばっと取り出すと、その袋の中にぷうっと息を吹き込んで、口をとじて中の空気を絞ると泡がいっぱい出るのです。それを体の上にかけて、私はあっと言う間に泡だらけ。それから、泡マッサージをしてくれるのだけれど、手が滑ったふりをしながら、ときどき変なところに手が行く。それさえなければ結構気持ちいいのに。そのたびににらみつけたり、ノーといったりしながら、早く出ようとするが、彼もなかなか。「もう少し、仕事残ってます」と日本語でいう。
 なんだか雲行き怪しいなあ、なんて思ってたら、人差し指と親指で隙間を作りながら、「ちょっとだけ。ちょっとだけ」という。何がちょっとだけなんだぁ?
 ますます、訳が分からないが、ハマムの室内の蒸気が気のせいかピンク色になってるような。ちょっとだけ、脱げっていうのか、それともなんだ?もう、想像するのも怖くなってきた。すでに室内には私とハマムおやじの二人だけなのが気配で分かる。少し表情を堅くしたら、「あなた、怒りましたか」というので、英語ですこしと答えたら、後はシャンプーだけだというので、髪を洗ってもらってシャワーを浴びて出た。
 するとハマムおやじ、更衣室までついてきて、イスに座った私をタオルを5枚もつかってくるんで、肩を揉んでくれた。そして、私が着替えるのに便利なようにと、床にタオルを広げ上目遣いに私をみながら、日本語で「迷惑かけてごめんなさい」。おめえ、確信犯か!!!
 一応、愛想良くあがってきたけれど、時間は2時間経っていた。ふつうは10分くらいのサービスなのに。髪は自分で洗った方が気持ちいいので、もう一度部屋で洗い直し、リンスした。
 今朝になって、ツアーの仲間に話したら、大笑いされて、午前中一杯すっかり肴にされた。ツアー最年少の繭子ちゃんと、ハマム親父にゃやられたねえと大笑い。今度は彼女に勧めてみよう。
 しかし、あのハマムおやじ、いったい何者なんだ?

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